マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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凍える笠の雪景詣

2017年12月18日 09時36分05秒 | 桜井市へ
祝い歳になった人が参る「トシホジの祭」があると知った桜井市笠。

天満神社の行事である。

東座、西座の十二人衆が担う行事であるらしい。

「トシホジの祭」は桜井市の三谷と同じく42歳になった初老の厄祓いや還暦・米寿祝いのようである。

話してくださったのは三谷の行事に出仕していた橋本宮司だった。

宮司が続けて云われた行事は「蟇目祭(ひきめさい)」。

いわゆる年初に村の悪霊払いに行われる弓打ち神事である。

同じ読み名であるが、充てる漢字が「引目祭」になる行事は奈良市柴屋町の八坂神社行事だった。

笠の笠山坐荒神社で行われる行事を取材したのは随分前のことだ。

平成15年1月28日は大字笠にある竹林寺から笠山坐荒神社までお渡りをする神輿を撮っていた。

平成18年の9月28日は竹林寺で行われた神事も撮らせてもらったことがあるが、他の年中行事はまったく知らなかった。

いや、知ることもなかった駆け出しのころである。

橋本宮司は笠の笠山坐荒神社も出仕されていたので、「トシホジの祭」も「蟇目祭」も教えてくださったが、つい最近というか、昨日に亡くなられたと訃報が届いたそうだ。

その笠の笠山坐荒神社に仕えている男性と知り合う機会があった。

平成25年の12月20日に訪れた笠の村。たまたま尋ねたお家が笠山坐荒神社に仕える男性宅であったが、それを知ったのは後年に送られてきた年賀状で知るとは思っても見なかった展開である。

笠山坐荒神社に仕える身。

神司の役目を担っているという男性が教えてくださった天満神社の行事に東座、西座がある。

男性は、また、東座の一老を務めているHさん。

千森垣内の牛頭天王社のテンノオエシキ復活されたご仁である。

昭和36年に発刊した『桜井市文化叢書 民俗編』に笠の当屋座のことが書かれている。

正月当屋は1月10日。

三月当屋は3月3日。

大当屋の意である「大頭(だいとう)」は10月25日。

一生に三つの当屋をするが、10月25日の大頭を務めると正月当屋は務めずに、3月当屋になるなど、実にややこしい。

その10月25日には東座、西座から2組が出て祭典をしているようだが、詳しく知るには座の人たちに面識をもつことが第一と考えていた。

それを繋いでくれるのは神司のHさん。こ

の日は前日に降った雪で笠山坐荒神社参道入口に建つ鳥居前はパリパリに凍っていた。

ここへ来るにはさほどでもなかったが、神社に辿り着けば、車走行にはもっとも危険な状態。

もっとも歩くのもパリパリの参道を行くには滑らないようにと気を付けて歩いた。

笠山坐荒神社は後ほどに参拝するとして先に向かったのは笠の天満神社である。

笠山坐荒神社の参道はずっと白い道が続く。

急な階段を降りる場合は足元を見ながら慎重に下っていく。



1月、4月、9月の大祭に竹林寺から出発した神輿はこの階段を登って笠山坐荒神社に向かう。

この日の積雪状況を見てくださればわかると思うが、1月大祭の25日がこの状態になっておれば、登りも下りも難しいことが理解できる。

階段下に下りても参詣道はパリパリ。

通年が日陰になる参詣道には誰一人として遭遇することはなかった。

階段下ってからおよそ5分。

積雪でなければもっと早く着く。



天満神社の境内は一面が真っ白に埋まっている。

足跡も獣の足跡も見つからなかった。

蟇目祭の行事があったとすれば打たれた矢が残存している可能性もある。

そう思って探してみるが、真っ白な状態では見つかることもない。

寒さと冷たさに指の先が痺れそうになってきた。

本日はここまで。

Hさんは毎日のように笠山坐荒神社に出仕していると云っていたから、この日も、と期待を込めて出かけたら、社務所におられた。

Hさんの話しによれば、本来は19日であったが、今はその日に近い日曜日と聞いていた。

そうであったが、この年は8日の月並祭で行ったという。

8日は水曜日。

ちなみに平成27年は8日が日曜日だったそうだ。

8日は大雪が舞う日になった。

行事どころではなかった風雪に仕方なく2日遅らせた10日の金曜日に蟇目祭をしたという。

ちなみに『桜井市文化叢書 民俗編』では蟇目祭を結鎮講(けっちんこう)の行事として書かれていた。

「天満神社の境内に的の鬼をつくり、桜の弓に緒の弦を張って、ススンボウの矢を7本作って、神主が東西南北に天と地と鬼を打つ。この神事は2月29日である」とあったから、Hさんが云っていた19日は29日の勘違い、それとも私の聞き間違い・・・。

(H29. 2.12 EOS40D撮影)


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