マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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下山田広出垣内地蔵寺初十九夜さん

2013年05月05日 05時52分18秒 | 天理市へ
夕方にやってきた十九夜講の当番の婦人。

下山田の地蔵寺にある炊事場でイロゴハンを炊いている。

1升を二つの大釜で炊くイロゴハンのお米は1戸について1合2勺(せき)。

25軒の講中からいただいたお米である。

具材は多い。

カマボコ、コンニャク、タケノコ、ヒラテン、アゲにシメジ、ニンジン、グリーンピースにまだある。

良い出汁がでるモモのカシワにシーチキンとくる。



醤油で味付けするが隠し味にだしの素も入れると話す当番の女性。

ドウゲ(当家)と呼ばれる年当番のTさん。

イロゴハンは普段の日でも食べている料理食。

月に数回も炊いていると云う。

寒の入りには必ず食べるという女性もいる。

子供も喜んで食べると話すイロゴハンは季節の節目に炊くようだ。

この年は1月14日に初祈祷をしていた地蔵寺。

今夜に行われる正月の初十九夜さんとも広出垣内の行事であるが、初祈祷は広出・東村・清水垣内の3垣内が集まる下山田の男性で十九夜さんは広出垣内女性の集まりである。

初祈祷は村の新年会と初日待ちの寄り合いも兼ねている。

牛玉札を墨書して朱印を押した。

それをウルシ棒に挟んで中山田の蔵輪寺住職が祈祷した。

お経の途中で発せられるダンジョー。

それを合図に太鼓を叩いて堂外でウルシ棒の縁叩き。

村の安穏を願うオコナイの行事は「乱騒」とも呼ぶようだ。

村の人が何時でも貰っていけるように堂外に初祈祷されたごーさん札のウルシ棒を置いている。

その堂外から上がる女性たち。

境内にある如意輪観音石仏に手を合わせて上がる十九夜さんの晩だ。

元来は十九日に行われていた十九夜さんは集まりやすいその日に近い日曜日に移った。

突然の大雪になった14日の初祈祷は歩くことも困難な日だった。

路面は解けたといっても気温が下がる夜。

残雪がバリバリと音をたてる車道。

滑らないようにこの日も雪掻きせざるを得ない里道を歩いてやってきた。

扉を開けて年初の挨拶。

「明けましておめでとうございます」が触れ合う初十九夜さん。

かつては年に数回あったが今は正月の月だけになった。

安置してある地蔵仏に灯明火を灯す。

地蔵仏の御供は炊きたてのイロゴハンだ。

二つの大鍋を囲んで輪も二つ。

蓋をとれば美味しい香りが漂ってくる。

およそ20人もの女性たちが輪になって座る。

連れてきた子供も一緒になっていただくイロゴハン。

子供は小学6年生ぐらいまでついてくるという。

Tさんが作ってきた福神漬けもいただく前に10月8日の八日講において引き継いだドウゲの挨拶。

「これからの一年よろしくお願いします」と口上を述べた。



美味しくいただく家の味。

香の物も美味しいがそれ以上に感じた絶品味の福神漬けがたまらなく美味い。

甘酒もよばれる和やかな時間を過ごす場は婦人たち。

一同が揃う晩は年に一度の語らいの場である。



この夜に差し出された福神漬けのレシピを教えてもらう女性たち。

家族の食事に活かせたいと熱心にメモをとる。

それほど美味かった福神漬けは持って帰って食べたかーさんも唸ったが、レシピに書き残す余裕がなかった。

再訪するときには是非ともお願いをしなければと思った。

おかわりを何杯もしてしまうほどのイロゴハンの味わい時間はおよそ2時間。

十九夜和讃の本が配られて始まった。



女性たちはガラス戸の方に向けて座った。

その方向にあるのが如意輪観音石仏だ。

座敷いっぱいに広がって和讃を唱える。

下山田では広出の他、東村や清水垣内でも行われているが正月の初十九夜は前日だったようだ。

下山田の十九夜は正月の他、5月と9月にも行われていると聞く。

<昭和54年の広出の十九夜和讃本>
「きみよう ちよらい 十九夜の
ゆらいを くわしく たづぬれバ
によいりんぼさつの ごせいがん
あめのふる夜も ふらぬよも
いかなるしんの くらき夜も
いとはづ たがはず けだいなし
十九夜おとうへ まへるべし
なむあみだぶつ なむあみだ
寅の 二月十九日
十九夜ねんぶつ はじまりて
十九夜ねんぶつ もうすなら
ずいぶん あらため しょうじん也
おうじやう 志ゆふしの ふだをうけ
なむあみだぶつ なむあみだ
死して 志ようどへ ゆく人は
みやうほうれんげの 花さげて
ふきくるかぜも おだやかに
志ゆほうはるかに しずまりて
てんより によいりん くわんぜおん
たまのてんがい さしあげて
八まんよじうの ちのいけも
かるきのいけと 見てとうる
六ぐわんおんの そのうちに
によいりんぼさつの おしびしん
あまねく しゆじゆうをすくわんと
六とうの志じゆうに おたちあり
かなしき 女人の あはれさを
けさまですみしも はやにごる
ばんしのしたの いけのみず
すすいでこぼす たつときは
天もぢしんも すいじんも
ゆるさせたまへや くわんぜおん
十九夜おどうへ まいるなら
ながくさんずの くをのがれ
ごくらくじようどへ いちらいす
まんだかいけの ななしゆご
いつかは こころ うつりけり
きようこの十九夜も 志きとくに
にはのめいども ありがたや
志しんの親たち ありありと
すくはせたまへや くわんぜおん
そくしん志ようぶつ なむあみだ
なむあみだぶつ なむあみだ」

(H25. 1.20 EOS40D撮影)


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