ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「飛行スタイル」20240717

2024-07-17 | Weblog

                                                                             AGATSUMA Original Tune ”Zipangu” (youtube.com)

 

 

旅客ジェットはすべての飛行条件を総合して空を飛ぶかたちを決める

航空法・気象・タイムスケジュール・距離・ルート・燃料・管制指示
乗員指示、安全対策、テロ対策、エトセトラエトセトラエトセトラ

生命が日々、知覚、記憶、思考、感情、全センサーをフルに動員して
環世界から有意な情報をピックアップして生のかたちを組み立てるように

東京発第〇〇〇便は考えうる拘束条件をすべてピックアップして、総合し
一回的フライトのアルゴリズムを形成して、パリへ向かう

この情報のピックアップ作業にはもう一つ付け加えるべきことがある

不確実性、予測不可能性、すなわち非知的変数の突然の乱入
つまりピックアップしきれない未知の情報の出現がありうること

このことを胸に刻んだパイロットとそうではないパイロットがいて
情報を包摂する柔らかな飛行と情報に拘束された固い飛行が分岐する

 

 

 

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「絵描きの仕事」20240716

2024-07-16 | Weblog

                                                                                Grooving (youtube.com)

 

   
  You live in your description of reality.  ──Gregory Bateson
 「我々は自ら認識し、自ら解釈し、自ら描き出す世界に生きている」

 

この記述命題にはつづきがある

自らしたため、描いた絵に筆を入れる作業
つまり、未完のキャンバスに対峙する仕事が待っている

それが「いまここ」における絵描きの展開本質を構成する

目的は一つ、〝よりよい絵〟へ向かうこと
未だ現われない、どこにもない絵が顕現するように

覚えておくべき作画の作法
デザインするための心得がある

知るかぎり、聴こえるかぎり、見えるかぎり
触れるかぎりの世界に、自足するとき、失意するとき
筆は止まり、未知と非知につながる野蛮さが失われる

わかることの位相にすべてを収納するとき
わからないことのわからなさ
かたちのないものへの感度がおとろえ
筆を入れるちからのみなもとが枯れていく

感情は走りやすく
理解は行きすぎやすく
言葉は確定に向かいやすい

自明性に埋まるときピリオドが訪れる

はやり、うごき回り、いらだつ心に休止符を打ち込む
「これが世界」という結詞へ向かう心に
まっさらな時間とスペースを用意してそこにたたずむ

新たな絵が芽吹く地平を枯らさないように
日々、水をやり、光をあてる

すべては〝よりよい絵〟へ向かうために

果実を享受するより大事なことがある
すべての果実の種が芽吹く地平
そこを守り、そこを耕す意志をキープする

 

 

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「教育ゲーム」20240715

2024-07-15 | Weblog

 

 

特定の理想や真理を先行的に立ててそこへ一斉に向かう
そうではなく、理想や真理は各自が生きる関係世界(共同性)に媒介されて
かならず複数現われ、それぞれに生きられているということ

そのことの共通の了解において、各自の理想や真理をひるむことなく開示しあい、
混ぜ合わせながら、合意可能な新たな理想や真理の範型を創り出すゲーム

つまり、価値(理想・真理)の多様性多数性を前提に、その優位性を競うのではなく
共通の了解と相互の承認において創発的ゲームを人間は生きることができる

そのことを、人生のはじまりにおいて、ともに試し、鍛え、胸に刻みあうレッスン
その展開としての教育ゲームがあり、学校がある

その手段として、たとえば、ともに同じテキストを読み合という経験がある
一つの解(真理)をめがけて読みあうのではない
それぞれの読み(印象・感銘・理解)の固有性をひとりひとりがことばにして
フェアに、オープンに、恥ずかしがらず、披歴しあい、交換しあい
自分とはちがう価値観、感受性、理想、夢を生きる存在に出会い、つぶさに知る
この〝異者、ちがう心〟との交流をおおいなる触発として、悦び楽しさの享受として
ともにそれぞれの価値観や感受性、つながりを拡張していく

教育ゲームの展開の場としての学校
ゲーマー(プレーヤー)としてのこども
ゲームのホスト、運用者としての教師

こうしたレッスンの場として機能する社会的装置の一つとしての学校
このことはそのまま社会そのもののが異質なものへ開かれ、
その包摂力を拡張していくプレーヤーを育む極めて重要な意味をもつ

 

 

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「教育」20240714

2024-07-14 | Weblog

 

 

市場ではおいしいパンを焼くパン屋さんが繁盛する
おいしくないパンを焼くパン屋さんはいつか滅びてゆく
笑顔がステキな娘がいるお店は男性客でにぎわう

生活世界、その延長としての経済社会の暮らし
そこには市場の競争原理、消費心理の普遍性が貫いている

でもね、学校はそうじゃないのですね
教師の力量やスキル、志を競う場所ではないのですよ

そうであってはならないのです
もしそうならまっすぐに市場の論理と直列することになる

お手軽安心カンタン便利、よりよいものをより安く
上質のもてなしとサービス、品揃え、居心地よいショッピング

あの店よりこの店、だれか教えて、とかなんとか
おまかせあれ、へい、らっしゃい、とかなんとか、

出会いの偶有性、くじ引き性を放置したまま
当たりハズレの構造にこどもを晒しちゃいけません

(この路線では信念対立のアポリアは解けない)

「科学」の看板を掲げて研究を志すなら
このレベルの手法、ノウハウ、方法論の優劣に留まってはまずい
それ以前にえぐり出すべき社会全体とつながる大きな課題がある

(個別の理想、ロマン、経験知に敬意を払ったうえで)

取り組むべき最優先のテーマははっきりしている
教育システム全体が共有可能な新たな合意項、すなわち
こども像、教師像、教育観のちがいや矛盾、対立を克服する理念の創出

 

 

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「人物」20240713

2024-07-13 | Weblog

 

 

酒の呑み方にすべてが現われる
歴戦ののんべえにははっきり見える

大事な話の途中でぐうすか居眠り

対面の存在はきれいに消えている
お幸せお気楽の国の住人なのだろう

はっきりいえばこうなる

なんも聴いてねえんだから
バカに決まっているだろ

見てる人は見てる、ごまかせないんだぜ
たかくくったお幸せの田吾作くん

おそらく全部つながっている
日々の言説、行動、ふるまいすべて

きれいことの務めは昼間すべて済ませたとか?
なんてことで終わらせることはできないんだぜ

 

 

 

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「両生類ヒトの夢」20240713

2024-07-13 | 参照

 

 

──竹田青嗣『新・哲学入門』2022年


人間精神(つまり人間的自由)の本質についてのヘーゲルの洞察は、
なぜ人間世界が宗教や哲学や芸術を維持し続けてきたかについて、
その根本の理由をよく示唆する。

思春期から青年期において典型的に形成される「自己ロマン」「自己理想」は、
「善き自己」たろうとする自己配慮から現われるが、その結晶化は、人をして、
理想像と現実(あるいは自己自身)との間の乖離と矛盾を意識に抱かせる。

われわれはここに、宗教的形而上学者やロマン的哲学者が表現しつづけた、
神と人間、自然と理性、理性と感性、有限と無限性といった
対立項の「合一」の理念の根拠を見ることができる。

またこの矛盾の意識のうちに、「イデア」「唯一者」「至上存在」「絶対者」
「存在の真理」といった超越的本体の諸観念の源泉を、
つまり矛盾の完全な克服の可能性についての諸観念の根拠を見ることができる。

 

 

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「PostScript」20240712

2024-07-12 | Weblog

 

 

後悔してない?
いちども

つばさを生やしたい?
生えてる

待ってくれる?
いくらでも待つさ

 

 

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「展開ルート」20240711

2024-07-11 | Weblog

 

 


 そこで愛が生き続けるためには、
 〈智〉の声を届かせなくてはならない。

       (G.ベイトソン『精神の生態学へ』佐藤訳)

      *

愛の守備範囲は限られている 
愛の絆がより遠くへ拡張されるには条件がある

守備範囲の限界を明晰に認識しながら
展開のルートが接続されなければならない

ルートの入口には一つの表示がある
「人権の道──愛を切り離して進め」

このルートが開かれてはじめて遠くへ向かうことができる

 

 

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「よき感情」20240710(20221027)

2024-07-10 | Weblog

 

 


 情動、衝迫、欲求、エロス的力動、意味、価値、強度、
 時間性、空間、そして現前地平、これらのことは同じ出来事の、
 すなわち始原的世界分節という出来事の諸側面にほかならない。

               ──竹田青嗣「本質学2」48

       *


はじまりの地平は、いまここに
つねにはじまりの地平でありつづけている

過去 現在 未来
他者、社会、世界
からだ、思考、感情

すべては現前意識の水面に現象している
現象するものを目撃し、染まり、まみれている

世界の色づかせる作動が先行してことばが励起し
心は動き、ことばに手を伸ばし、ことばを結ぶ

現前するものから逆算して自らを規定するまえに
一切の現象の地平、「われ」を適切にもてなす作法がある

       *

世界分節の始原の地平にいつか苦い感情が姿を見せる
干上がり、砂漠化し、切断のエロスに魅せられた心がいる
  
ある感情はあるとき、あるものの死を裏書きするように
切り捨てるように、記述を確定するように動いていく

貧しく、やせ細った、酷薄な世界の姿を証明するように
ふさわしいことばを選んで心はみずからを強化していく

ことばたちを、ある必然性において、その逆の方角へ

価値あり価値なしを告げる始原の告知を聴き切ったあと
新たな世界の現われを導く〝ことば〟を連結するように

新たな「ありうる」を告げ、ささえるものとなるように
いま、ここに、つねに見出されるべき「よき感情」がある

 

 

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「メタファーの翼」20260709(20240330)

2024-07-09 | Weblog

 

 

 

真摯な精励の日々を疑うことはない
そのうえで一つだけつけ加えたいことがある

鍬を入れる場所はそこだけではない
耕して掘り進む別の作業エリア、空域がある

地にありながら空域を翔けるニンゲンの翼があって
メタファーの翼と呼ばれている
翼はこんなふうに羽ばたいて歌を歌う

 かいすいよくすなやまかいがらすいかわり (小1女子)

直喩でも換喩でもない、説明は要らない
一切のリンクを外し切って空域に身を投げる

全時間、全方位、全銀河へ向かうオープンエンド
あなたこなた、あれもこれも、どいつもこいつも
見境なく結びあわせ、新たな飛翔ルートが次々に見出されていく

 なのはなが月のでんきをつけました(小1女子)

ひとつのサークルの円周内に留まれば空域は消える
無限の飛翔ルートが走るように
サークルに穴を穿って開口部をあつらえておく

 

 

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「友」20240708(20200627)

2024-07-08 | Weblog

 

 


それぞれに、存在ごとに、固有の巡航速度があり
生の気圏に描かれる航跡、一回的波形がある

揚力と斥力のたえざる感知、エアポケット
遭遇する嵐、雷雲を避けるように
晴れ間を縫うようにして航跡を描くもの

その全景、全時間、全航跡にわたって追尾し
とらえ尽くすまなざしはどこにも存在しない

波形と波形が出会う限られた場所、限られた時間のなかで
互いに投げあうことばは限られている。

それでも出会うことに
なんらかの〝決着〟をつけることばをあつらえる

出会ったことにあいさつを交わし
手を振り、いちどきりの別れを告げる

ありがとう

      *

すこしだけ現実への着生がゆるむ許された時間
たとえば茜色に染まった夕暮れの空

心を柔らかくして、窓を開く
永遠の相の下で──

海と空が出会う水平線、虹のかなた
たしかにそこに萌すものがある

見渡すかぎり
どこまでもはてしなく

思いのたけ思うかぎり
見たい夢を見たいかぎり

泣きたいだけ
叫びたいだけ

けっして生きられることのない〝永遠〟
仮象のイデアにリンクして流れ出す感情

わかれのことばを交わし
消えゆく航跡を見送りながら

わからないことのわからなさ
知りえないことの知りえなさ

ことばにできないことのできなさ
わかりあえないことのわかりあえなさ

伝えきれなかった、伝えそびれたことば

たがいに未知であり、非知であること
そのはてに萌す地平に立って

シグナルを交換する

満ちる疑いようのないたしかさ
そのエールのたしかさに心をよせる存在

いまここにいてもいなくても
つねにかたわらにいるもの
俺たちはそれを友と呼んでいる

 

 

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「永遠の祭礼」20240707

2024-07-07 | Weblog

 

 

ひとり、まただれかが
なまえを呼ばれ

みえない腕に抱かれ
呻吟の海を渡り
コスモスの闇を抜ける

この星に滾るエロスの光
はかり知れない誘い
生きる理由を与えるもの

呼ぶ声は心臓深く
突き刺さり、肉を焦がす

きよらかな光が凝集し
はかない視覚を洗い

発情に咽ぶまなざしの子宮に
太古の祭礼が屹立する

永遠の律動に騎乗し
遠く近く、熱く冷たく

むせびにふるえ
無量の光が氾濫する

涙がこぼれ、かなしみが溶け
未知の分娩を幻視して
祭礼ははるかに駆け上り

細胞の共振は轟音を響かせ
緊縛されたセルフを道連れに
陶酔の極北へ加速する

昇天の熱が夢を溶かし
かなしみを埋めた辺境に
せつない嗚咽が木霊し

夢に濡れた夜に閃光が走り
精霊たちの白熱が貫通し

永遠とむすぶ時のさざ波が
孤独のひだを洗い
ちいさな死がくちびるを重ねる

彼岸をめがけるように
喪神の祭壇に踊る可憐な巫女たち

酷薄な刻印をうがたれた
コスモスの生け贄なのか

はかないまなざしの内側を照らす
祝福の閃光なのか

幻想の涙に濡れて光が走り
無限の闇が身震いした

永遠をつむぐ祭礼に抱かれ

はるかな時の流れにそって
ひとり、孤独な小径を刻んでいく

ちいさな心臓を捧げた陶酔に
なんどもわかれの挨拶を交わし

いつか夜の果てにたどり着いたとき
巫女たちは戻るものなのか

みえない戒律にうながされ
この星のせつない歌とともに
滅びていくものなのか

それともかなしみの向こう側へ
突き抜けてゆくものなのか

永遠のしきたりに導かれるように
呼ぶ声にさらわれ
またひとり、夜を超えてゆく

 

 

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「お絵描きの時間」 20240706

2024-07-06 | Weblog

 

頭を冷やす
耳を澄ます

あちこち冷まして
からだを澄ます

ことばに出番はない

出番を与えすぎだね
出入り禁止、およびでない

ことばがなんとかかんとか
本来とか、本質とか、真理とか、

偉っそうに、すっこんでなさい

なんも知らないのにかぎってあれこれ宣う
ほんとにかっこわるすぎるぜ、田吾作くん

きみも一緒にどう?

さあ、はじめようか
お絵描きの時間がはじまるよ

 

 

 

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「1916、夏目漱石、49歳没」20240706

2024-07-06 | 参照

 

 


斯う西洋の圧迫を受けている国民は、
頭に余裕がないから、碌な仕事はできない。
悉く切り詰めた教育で、
そうして目の廻る程こき使われているから、
揃って神経衰弱になっちまふ。
話をして見た給へ大抵は馬鹿だから。
自分の事と自分の今日の、只今の事より外に、何も考えやしない。

                  (代助『それから』)

 

牛になる事はどうしても必要です。
吾々はとかく馬になりたがるが、牛には中々なり切れないです。

あせつては不可せん。頭を惡くしては不可せん。根氣づくでお出でなさい。
世の中は根氣の前に頭を下げる事を知つてゐますが、
火花の前には一瞬の記憶しか與へて呉れません。うんうん死ぬ迄押すのです。
それ丈です。决して相手を拵らへてそれを押しちや不可せん。
相手はいくらでも後から後からと出て來ます。さうして吾々を惱ませます。
牛は超然として押して行くのです。何を押すかと聞くなら申します。
人間を押すのです。文士を押すのではありません。是から湯に入ります。

       (「大正五年八月、芥川龍之介・久米正雄宛書簡」)

 

 

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「She said Ⅱ」20240705

2024-07-05 | Weblog

 

 

 

なければつくる
ないからつくる

だからなんにもないと云ってはいけない

手もとに散らばったガラクタでもなんでも
落穂を拾うようにかき集めて〝おにぎり〟にする

いちどかぎりのほんとのオリジナルごはん
かたわらにいるひとに分けて差し上げる

いただきます、ごちそうさま

おいしくてもまずくても
ともにする時間が透きとおる

夢の時間がいつもリンクしている

みんなそうして生きてきたのでしょう
とても生意気な云い方だけど許してね

おりこうさんして、おつむてんてん
そんなことは願っても願わなくても
願うよりはやくおにぎりの仕事が待っている

だから、おいしい、まずい、きれい、ぶさいく、とかなんとか
なんとでも云いたければ云っていいとしても
すべてはそのことをわきまえたうえでのこととしてね

 

 

 

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