ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「友」20240708(20200627)

2024-07-08 | Weblog

 

 


それぞれに、存在ごとに、固有の巡航速度があり
生の気圏に描かれる航跡、一回的波形がある

揚力と斥力のたえざる感知、エアポケット
遭遇する嵐、雷雲を避けるように
晴れ間を縫うようにして航跡を描くもの

その全景、全時間、全航跡にわたって追尾し
とらえ尽くすまなざしはどこにも存在しない

波形と波形が出会う限られた場所、限られた時間のなかで
互いに投げあうことばは限られている。

それでも出会うことに
なんらかの〝決着〟をつけることばをあつらえる

出会ったことにあいさつを交わし
手を振り、いちどきりの別れを告げる

ありがとう

      *

すこしだけ現実への着生がゆるむ許された時間
たとえば茜色に染まった夕暮れの空

心を柔らかくして、窓を開く
永遠の相の下で──

海と空が出会う水平線、虹のかなた
たしかにそこに萌すものがある

見渡すかぎり
どこまでもはてしなく

思いのたけ思うかぎり
見たい夢を見たいかぎり

泣きたいだけ
叫びたいだけ

けっして生きられることのない〝永遠〟
仮象のイデアにリンクして流れ出す感情

わかれのことばを交わし
消えゆく航跡を見送りながら

わからないことのわからなさ
知りえないことの知りえなさ

ことばにできないことのできなさ
わかりあえないことのわかりあえなさ

伝えきれなかった、伝えそびれたことば

たがいに未知であり、非知であること
そのはてに萌す地平に立って

シグナルを交換する

満ちる疑いようのないたしかさ
そのエールのたしかさに心をよせる存在

いまここにいてもいなくても
つねにかたわらにいるもの
俺たちはそれを友と呼んでいる

 

 

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