乗りかかった船、だれにとってもさ
ひとりの例外もない、たったいちどきりの船の旅
ときどき忘れそうになる、けっして忘れないようにな
覚悟してもしなくても
願っても願わなくても
あきらめてもあきらめなくても
怒り、かなしみ、よろこび、憎しみ
すべては乗りかかった船のなかの出来事
船の外はどこにも存在しない、Never
船の外という観念は船の中に生まれる
外があるという観念の生成
俺たちの観念の運動はどこかで船の外へ向かい、一線を超えてしまう
そのことには確かな理由がある
そのことのどうしようもなさがある
なぜだろうか
そのことも覚えておいたほうがいい
船の外がなければ救われない
そんな身をよじる感情や経験があって
どうしよもうなく船の外に希望、救済を夢みる心がいる
どうしようもなく深い業にみちびかれ
船内のどこか、あるいは、全域を制圧したい欲望にかられる
そんな心が船外にまします〝カミガミ〟を呼び寄せる
そんなこともありふれた出来事として起きてきた いまもだ
バカだなって、それだけで済ませられるか?
すべては船上において現象する
船外に運びだすことはできない
願いは一つ、よりよき船の旅
船の外という観念、星に願う心が心のまま
そのまま穏やかに生きられるために
船上の暮らしをなんとかする以外にない
なにより大事なことがある
それぞれの〝よりよき〟は一つではない
一つではないことを一つにしようとする
するとカミガミが召喚され争いがはじまる
一つではないことを条件として
それぞれの〝よりよき〟が生きられる船の旅
とは何か?
適切に問いが投げられるとき
その解は適切な問いのなかにすでに含まている
だれかがそう語った、そのことは信じていいかもしれない
適切に問いを立てようとするかぎり
船外という観念一切は棄却されなければならない
つまり、すべての問題を船内においてほどいていく道だけがある
船上に生きて行くかぎり、さまざまなゴミが生まれる
しかしゴミの掃き出し口はどこにもない
ゴミを集めてかき出す外部は存在しない
ゴミを含めて船上の暮らしがある
だからゴミをかかえて生き抜く方法は一つになる
溜まったゴミをすべて資源化して生きる糧に変換する
この知恵を研ぎ鍛え上げていくしかないということになる
よき船の旅を願うかぎり、それが不可避のテーマになるにちがいない