鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『表裏源内蛙合戦』②・白と黒のせめぎ合い

2008-11-23 20:57:41 | Weblog
おだやかな初冬の一日。
昨日の疲れで、一日休養。今週明けから、また、月末の会計処理が始まるんで、休養も兼ねて。

昨日の続き。

今回は・・・と言うより、今回も・・・と言うべきでしょうか?
この劇場抽選枠で、当たったチケットというのは、いつも(・・・と言っても、2回だけですが・・・)、二階席の最前列。
私は、この劇場の二階席っていうのが、どうしても好きではありません。
いつも、忌々しく思うのは、舞台を上下に分割する手摺の位置。多分、安全基準かなんかで、決められているのだろうし、私の座高にも関係するのかもしれませんが・・・。
出来る事なら、一番上だけでも、透明な素材にできませんかね・・・。

昨日、『薮原検校』と『表裏源内蛙合戦』は、同一のラインの作品と書きましたが、作者の井上ひさしさんは、どうも、江戸時代の検校制度にご興味があるらしく、両作品ともに、社会的に差別された盲目の人たちにスポットライトを当てています。

今回の『表裏源内蛙合戦』は、タイトルロールどおり、江戸時代の奇才・平賀源内の一生をドラマ化しておりますが、上川隆也さんの演じる平賀源内に、盲目の金貸し検校の手先となっている恋人(高岡早紀さん)が、登場し、絡みつきます。
かなり、濃厚な官能的なシーンも多用していて、観ていて、ツライ。
もともと差別された人々を描いていますし、官能さの中の醜悪さが、強調されているようで、どうにも居心地の悪さが・・・。
極めつけは、恋人が、処刑されて、その遺体を、解剖するシーン。
美しい恋人が、解剖されて只の臓器の存在となっているのですが、シルエットかなんかにした方が、良かったのでは・・・とも思いました。

源内自身、高松藩の下級武士の生まれで、才気溢れる野心家として登場しますが、どうも、運命と仲良くできず、出世もままならず、自分の発明も、結局、何の役にも立たず仕舞い・・・。
チャンスは、降って来るものの、それを生かしきれないジレンマを抱えています。
表の源内を、白い衣装の上川隆也さん、裏の源内を、黒い衣装の勝村政信さんが演じていますが、白と黒のせめぎ合い、顕在意識と潜在意識の対立といった構造が、次第に顕わになってきます。
裏の源内の勝村さんの個性が強すぎて、少し控えめな印象だったのが表の源内の上川さん。

社会の底辺に生きる吉原の遊女たち・不具者・一揆を企てる農民が、表の源内を取り巻き、権力者に媚びる裏の源内。

舞台の展開は、早いものの、4時間は、長かった・・・。
しかし、あの料金で、この舞台で、採算とれるんでしょうかと余計な事まで考えてしまいました。
蜷川演出の特長でもある群集シーン(脇役さんも多くて)もあるし・・・。