四万十の碧 遊覧船のりば
5月4日(日)ホテルを出て、隣地の物産店(相当大きい)で買い物を済ませたあと、いよいよ四万十川の観光船乗り場に出発です。想像していたのは、開けた河川の岸辺に浮かぶ屋形船でしたが、なんと道路からは樹木が邪魔になって屋形船どころか川も見えません。やがて遊覧船を運航する業者のひとつ「四万十の碧(しまんとのあお)」の駐車場が見えてきました。こちらでは1時間おきに定期船が出ていて、もちろん貸し切りもOKです。おまけに弁当も用意してくれるし、頼めば、船上のその場でアユやウナギも焼いてくれます。
次の便は11時で30分ほどの時間待ちでした。テントが設営してある船の待合所まで降りて行くとやっと川が見えてきました。ここから見る四万十川はとても美しいものでした。遠く下流に沈下橋も見えます。
水辺まで降りてみると、川の水はあくまで清らかで魚の姿も見えました。ウグイスは鳴き、菜の花にチョウが飛ぶ、誠に静かな時が流れていきます。特別、何があるというわけではありませんが、何とも懐かしいような、癒されるような、清々しい気分です。当日の天気も初夏のような陽気さで、なにからなにまでが最高の条件でした。
11時の船は、ファミリー客が中心で、約30名が乗船しました。所要時間は約40分です。屋形船は、全天候型になっていて座卓のある畳の間があり、その周囲をぐるりとガラス戸で仕切ってあります。私は撮影が目的なので中には入らず船首に陣取りました。おかげで船頭さんのアナウンスは何も聞こえませんでした。同じように頑張っている人がもうひとりいました。出発するとすぐに、目にしたのが空の虹です。虹は通常、円を描いていますが、その虹はとにかく変わっていてほとんど棒状でした。あとで思ったのですが、これは地震雲ならぬ地震虹ではなかったろうかと。ちょうどこの前後、関東地方で大きな地震があったことを知ったのは翌日のことです。
三里沈下橋 車が通るので注意が必要です。
四万十川も、このあたりは下流にあたり川幅もかなりあります。途中でカヌーを楽しむ人に出会いました。川岸に近いところをゆっくり漕いでいます。船は沈下橋にかかりました。この沈下橋は三里沈下橋といい、橋を渡る人の姿や車も見えます。この時季、特に目を引くのが山の青葉です。紅葉の時期もいいだろうなと思っていると、次の橋が見えてきました。この橋は、沈下橋では一番有名な最下流の佐田の沈下橋です。こうして遊覧を楽しんだ後、沈下橋を実際に渡ってみたいと思いました。選んだ橋は、遊覧船で目にした先ほどの三里沈下橋です。下り坂の道路の端に車を停めて歩いて渡りました。中央あたりで見る川と山の景色、それは素晴らしいものでした。ただ、時おり車が通るので注意が必要です。できるだけ端によってかわしますが、運転する方も大変だなと思いました。
途中、橋の上に座って涙を流す若い女性を見ました。このときは、ケンカでもしたのかなと思いましたが、あとで考えると、あまりの景色の美しさに感動していたのだと確信に近いものを感じました。このあと対岸まで渡り、そのあと河原に降りて橋を眺め、沈下橋をあとにしました。(うなぎの名店、四万十屋と桂浜につづく)
泣きたいほど美しい四万十川