未熟なカメラマン さてものひとりごと

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キレンゲショウマ

2011-09-21 21:09:14 | 植物

ラッパ状に下向きに咲くキレンゲショウマ

お茶のお稽古で、当日の茶花は「キレンゲショウマ」と「カリガネソウ」でした。先生から「さてもさん、今日のお花は剣山のキレンゲショウマですよ!」と久々に先生も納得のいい花が手に入ったといわんばかりでした。夏場の茶花はなかなかいいものが無くて苦労されるようです。このキレンゲショウマは、名前の由来がレンゲショウマによく似ているということで付いたようですが、私にはあまり似ているとは思えません。可憐さは、やはり森の妖精と云われるレンゲショウマに軍配が上がるでしょう。でも、この花のことをいろいろ調べていると、興味深いことがいくつかわかってきました。
まず、この花の群生地ですが、西日本第二の霊峰、剣山のそれも1700㍍以上の、あるところにしか咲いていないということ。また、この花を一躍有名にしたのが、宮尾登美子さんの小説「天涯の花」だということでした。私はその小説が読みたくなって、すぐに書店で購入(集英社文庫)し、一日で読み切ってしまいました。あらすじはこうです。

お寺の前に捨てられた生後2か月の珠子は、その後養護施設で、中学校を卒業するまで大切に育てられた。花が好きなとても純粋な子どもであった。中学を卒業すると、どこかに就職先を見つけて、施設を出なくてはならないが、珠子の願いは、いつまでも施設の子といわれることのない、新しい養父母のところにもらわれていくことだった。くしくも、剣山の中腹にある剣神社の老いた宮司夫妻が、「やさしい素直な女の子」がいたら養女にもらいたいという希望を出しており、結局、珠子はこの老夫婦のもとにもらわれていくことになった。
剣神社には、電気も水道もガスもなく不便な生活であったが、巫女として立派に養父を助けた。そのうち養母がリュウマチで亡くなってしまう。ある日、山小屋の典夫から、キレンゲショウマの咲く群生地に案内してもらい、あまりの美しさに魅了され我を忘れてその場に立ちつくしてしまうほどだった。ある日、珠子は、遭難した久能を助けることになる。久能はキレンゲショウマを撮りに来たカメラマンであった。怪我が治るまで一緒に暮らすうち、お互いに惹かれるようになる。しかし、久能を心配した妻が東京から迎えにくる。きっと帰ってくると言い残して去った久能だがそれから10カ月も音沙汰がなく、珠子は以前から結婚を求められていた典夫と一緒になることをいったん決める。しかし、捨て子、施設の子と心配する典夫の親戚の声を偶然きいてしまう。それから珠子はいつまでも久能を待つことを決心する。
ちょうど、その頃、神官の資格をとることを決め、剣山に向かってくる久能の姿があった。物語はここで終わる。

という物語の内容ですが、登場人物が皆、心やさしい人ばかりで読んでいて心がなごみます。宮尾登美子さんは、剣山のレンゲショウマは実は見たことがなかったそうです。1400mの見ノ越まで車で行ったそうですが、息が苦しくて引き返したとか。この話は実話をもとに書かれたものともいわれています。先日の日曜日の朝の番組「小さな旅」で、西日本一の霊峰・石鎚山をしていましたが、キレンゲショウマが発見されたのは、その石鎚山だという興味深いコメントがありました。さて、現在、剣山は道路も随分整備され、行きやすくなっており日帰りも可能だそうです。来年の8月には是非、この目でキレンゲショウマを生で見てみたいと思うのです。

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