未熟なカメラマン さてものひとりごと

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美しい表現の世界を堪能 ピカソと巴水の魅力に迫る

2023-05-02 18:04:37 | 美術館・博物館
訪問日:令和5年4月13日(木)

以前、NHKの日曜美術館で川瀬巴水の版画が紹介されていました。その素晴らしさに感動し、機会があればぜひ鑑賞してみたいと常々思っていました。それが何と、巡回展で広島県立美術館にやってくるというではありませんか。ということで、会期が始まった二日後の14日、休みを取って出かけることにしました。そしてもう一つの目的、知り合いから「東広島市の仙石(せんせき)庭園に一度行ってみてください。全国の有名な石が集められていて、びっくりしますよ!」と聞いていたので、こちらにも、この機会にぜひ訪ねてみたいと思っていました。
また、ひろしま美術館では、ピカソの特別展開催中との情報も得て、せっかく広島まで出かけるならと、この日の予定を、広島県立美術館の地下駐車場に車を入れ、歩いてひろしま美術館に行きピカソ展を鑑賞し、そのあとで広島県立美術館に戻り川瀬巴水展を鑑賞、その後お隣の縮景園を散策して帰りに仙石庭園に立ち寄るという日程にしました。


ひろしま美術館開館45周年記念
ピカソ 青の時代を超えて 2023年2月4日→5月28日入館料一般1800円

今回の展示は、国内でも屈指のピカソ・コレクションを誇るポーラ美術館とひろしま美術館の共同企画展となっており、約70点の作品が展示されています。
20世紀の巨匠、誰もが知る画家パブロ・ピカソの20代前半は、青色の絵の具を用いて描き、この数年間は青の時代と呼ばれていました。
この青の時代を超えてその後、様々な試みを行うようになります。このプロセスに焦点を当てるのが、今回の企画展のテーマとなっています。



新緑の平和の森の中にひろしま美術館はあります


本館は、原爆ドームをイメージして作られています。


開館45周年の記念展です。
展示会場 一部を除いて写真撮影可能となっています。


パブロ・ピカソ 自画像 バルセロナ・ピカソ美術館


パブロ・ピカソ 座る女 ポーラ美術館


パブロ・ピカソ スープ アート・ギャラリー・オブ・オンタリオ


中央広場


会場の様子


パブロ・ピカソ 葡萄の帽子の女 ポーラ美術館


パブロ・ピカソ ドラ・マールの肖像 徳島県立近代美術館


パブロ・ピカソ 静物-パレット、燭台、ミノタウロスの頭部 京都国立近代美術館


パブロ・ピカソ 頭蓋骨のある静物 大原美術館


パブロ・ピカソ ろうそくのある静物 ポーラ美術館


パブロ・ピカソ 帽子の女 ポーラ美術館


観賞を終えて外に出ると、正面にリーガロイヤルホテル広島


G7 広島サミットの文字がいたるところに


川瀬巴水 旅と郷愁の風景 KAWASE HASUI Travel and Nostalgic Landscape
広島県立美術館 会期2023 4/11→6/11 入館料一般大人1400円


広島県立美術館


3階ロビー、向こうに受付


芝増上寺のタペストリーが掛かっていました

今回の広島会場では、180点が展示されていました。一点一点見応えがあり、見終わるのに随分時間がかかりました。出口付近で摺りを重ねる様子が動画で紹介されていました。

川瀬巴水とは
川瀬 巴水(かわせ はすい、1883年(明治16年)5月18日- 1957年(昭和32年)11月7日)は、日本の大正・昭和期の浮世絵師、版画家。本名は川瀬 文治郎(かわせ ぶんじろう)。
鏑木清方の門人で伊藤深水の「近江八景」に影響を受けて版画家に転向しました。


衰退した日本の浮世絵版画を復興すべく吉田博らとともに、新しい浮世絵版画である「新版画」を確立した人物として知られています。
「新版画」は、明治後半から昭和にかけて制作された木版画で、伝統的な浮世絵の技術を使って海外の市場を目指し、代表的な版元の渡辺庄三郎が当時の画家に呼びかけた芸術運動です。江戸時代に誕生した浮世絵は明治に入り衰退していきましたが、渡邊庄三郎は自ら版元となり、絵師・彫師・摺師の三者がそれぞれの高度な技術を伝統的な木版技術の復興と普及を目指しました。


巴水は、近代風景版画の第一人者であり、日本各地を旅行し旅先で写生した絵を原画とした版画作品を数多く発表、日本的な美しい風景を叙情豊かに表現し「旅情詩人」「旅の版画家」「昭和の広重」などと呼ばれています。約40年にわたる画業のなかで、600点を超える作品を発表しています。

「巴水ブルー」と称される青色は巴水の特徴的な色彩で、水や空気を表現したさまざまな青色は、日本人のみならず、スティーブ・ジョブズをはじめとした多くの外国人を魅了しました。アメリカの鑑定家ロバート・ミューラーの紹介によって欧米で広く知られ国内よりもむしろ海外での評価が高く、浮世絵師の葛飾北斎・歌川広重等と並び称される程の人気があります。
作品の中で、最も人気が高かったのが「東京二十景・芝増上寺」です。巴水の代表作で2,000枚以上売れたとも、3,000枚以上摺ったともいわれています。雪がしんしんと降り注ぐ中、着物姿の女性が傘をつぼめて増上寺の門前を進みます。伝統的な構図を採用しているなかで、雪の激しさを物語るように乱れ飛ぶ雪片は、一片、一片の大きさが異なるなど、新しい表現を取り入れています。


私がお気に入りのベスト15
図録から選んだため、今回の展示会にすべて出品されていたかどうかは不明です。(ナンバーは図録の通し番号)*印は私のコメント

268 増上寺之雪 

当時の文部省文化財保護委員会がスケッチの段階から版画が完成するまですべての工程を記録にとった
もっとも評価された一枚。摺り度数は実に42回 

271 吉田の雪晴れ 

*屋根に雪をいただいた民家。富士山の襞まで描かれている 朝日が出て明るくなっているのがわかる

269 平泉金色堂 絶筆 

*未完成を渡辺庄三郎が完成させた どこか寂しい

277 西伊豆木負 

*広島県立美術館パンフレット採用。桜と富士 にしいずきしょう

71 金澤下本田町 旅みやげ第二集 

*風情ある路地。巨木が印象的、夏の日差しがよく表現されている

91 天草より見たる温泉ゲ嶽 日本風景選集 

*まるで小野竹喬が描く日本画のよう

124 大阪天王寺 旅みやげ第三集 

*霞む五重塔をモノクロで描き遠近感を描いている

125 田澤湖漢搓官 旅みやげ第三集 

*湖の透明感が際立つ

142 芝増上寺 東京二十景 

*最も売れた一枚 構図が素晴らしい

159 馬込の月 東京二十景 

*闇夜に浮かぶ月と民家の灯りが見事に描かれている 芝増上寺の次に人気のあった作品とか

164 品川 東海道風景選集 

*何気ない登場人物が華を添えている 郷愁をさそう一枚

174 尾州半田新川端 東海道風景選集 

*石垣の描き方が見事 犬もかわいい

245 つつじ庭より富士を見る 元箱根見南山荘風景集 

*他ではみれない極彩色

254 京城慶会桜 朝鮮八景 

*何といっても構図が素晴らしい

256 朝鮮智異山泉隠寺 続朝鮮風景 

*明暗のコントラストがいい、どこか郷愁を感じさせる

私が感じた巴水作品の素晴らしさ

・雪の表現が素晴らしい。積もった雪、降りしきる雪、吹雪などを見事に描き分けている
・水面に映る影を見事に表現
・巴水ブルーといわれる鮮烈な青が引き立つ
・あえて有名なスポットをはずし、何気ない日常を描く郷愁の風景
・日没後の暗い世界を見事に描写
・構図が素晴らしい。伝統を守りながらも独自の表現
・精緻な人物表現。小さくても決して手を抜かない。


一度、出かけてみませんか!きっとあなたも巴水ワールドの魅力にはまりますよ!
広島県立美術館の会期は、6月11日まで。図録は2,500円



ロビーから見る縮景園


藤も咲いているようです

最後までご覧いただきありがとうございました。

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