最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

カニ三昧

2012年05月18日 06時04分17秒 | 新聞コラム
北海道新聞みなみ風の「立待岬」。5月17日掲載のタイトルは「カニ三昧」。



 東京でカニを食べた。カニすきだった。カニに縁のある一日で、その日の午後は有明でカニに遭遇した。明治41年に創立され、昭和9年西巣鴨に日本初のがん専門の研究所と付属病院を開設した公益財団法人がん研究会は、平成17年に江東区有明へ移転したが、付属病院の「がん研有明病院」はがん診断と治療で高い評価を受けている。
 この病院の建物を見上げるとシンボルマークのカニがある。がんの英語は「cancer」だが、これはカニを意味していて、ギリシャ語のカニ「Karkinos(カルキノス)」に由来する。片方の爪が大きいカニのシンボルマークは東京国立博物館所蔵の刀のつばからとったもの。昭和41年に開催された国際がん会議のシンボルマークとして使用されたものを後に学会の許可を得て「がん研究会」のシンボルマークとした。このカニは本州から九州にかけて生息するハクセンシオマネキだ。
 ベイエリアにある病院の高い評価は臓器別チーム医療を診療方針の柱として、がん検診から緩和ケアまでのトータルながん診療、研究と臨床を一体化させるなどすべての医療手段を集結させたことが要因だが、寄付への取り組みも際立っている。寄付者は院内に名前を月別に掲示、個人で10万円以上、団体・企業50万円以上の場合には、別途、寄付者銘版にその名前が残される。
 寄付のこととカニの甲羅が気になった東京の夜は静かにゆっくりと過ぎていった。
                    (メディカルはこだて発行・編集人)

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