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昆明で知った「のんびり」の秘訣

2006-04-20 12:40:07 | Weblog
【「譲り合い」のマナー】
経済発展の著しい北京や上海、中国沿海地域に行くと、人口密度が高く、エネルギッシュで一瞬でも気を抜けないような雰囲気だが、昆明は日本と同じぐらいの面積を持つ雲南省の省都とはいえ、どこかのんびりとしている。
たとえば子供連れで公共バスに乗っていると、たいてい座席を譲られる。もしくは座っている人が、膝の上に子供を座らせてくれる。また混雑時でも、バス内はせいぜい持ち物が触れ合う程度。外にまだ乗りたい人がいても、自主的に詰めることはしない。これが限界と信じているようだ。昆明の人が、満員電車にさらに人を押し込んで都心に向かう日本のラッシュを見たら、腰を抜かすことだろう。
バスの乗り心地はお世辞にもいいとはいえないが、体調が悪いときなどは高齢者に席を譲られることも珍しくない。譲り合いのマナーの自然さが心地よい。
【煙が出ても、あわてず騒がず】
エンジンから煙が出て故障してしまったり、タクシーが突っ込んできたりとトラブルは絶えないが、そんなときも、あせって汗が吹き出ている運転手を尻目に、同じ路線のバスを待って静かに乗り換えていく。車ものんびりしているためか、不思議と大惨事にはならなかった。
【膨らむ都市の功罪】
昆明はいまのところ首都機能を持つ空間がほぼ半径10キロ圏内に収まっている。職住接近が当たり前なことも昆明の人々にゆとりをもたらしているようだ。
「いまのところ」と書いたのは、ここ数年、都市化のスピードが早く、富と利便性を求めた人々の流入も増えて、「昆明市」は膨張傾向にあるためだ。なにより不動産業者が庭園付きの豪華マンションを、より郊外へ郊外へと建てていくので「昆明市」の行政区分も昨年初頭に大きく広げられた。それにともなってバス路線も延伸された。
こうして乗車時間が増えたせいか、譲り合いの場面にお目にかかることは一年の間にだいぶ減ってしまったようにも思える。それでも昆明滞在の最後に訪れた65歳の父は何度も「日本では譲られたことがないのに、譲られちゃったよ」と目を丸くしていた。
今後の変化は分からないが、何事にも「寛容」で「過度の干渉はせず」、「譲れるものは譲り合う」。これが、私が昆明で得た「のんびり」の秘訣である。
コメント (2)
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