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春城の寒い冬

2006-04-12 21:57:21 | Weblog
【風邪のリレー】
「春城」との異名を持つ昆明は雪が積もるほどには寒くなく、太陽の熱にうだりきるほどには暑くない。なにより住んでいる人が一年中、春のような陽気だと信じているのだから、まずはおだやかな気候なのだろう。だが、私の住んでいた2004年12月24日の室内温度は13度、夜間の外は2度だった。寒い。標高1890メートルの高原だと頭では分かっていても、沖縄の西表島と同程度の緯度なのにと、いささかショックだった。暖房設備もほとんどない。家族で風邪のリレーを繰り返すという厳しい冬。春の城は、錯覚だった。
【かかせない「保暖内衣」】
天気のよい日は小春日和の温かさ。多くの人は日差しを求めて戸外に出る。曇りの日は底冷え。下着を着込みシャツ、セーターの上に外套を羽織って過ごす。女性なら襟首のスカーフもかかせない。下着はいわゆるばばシャツ・すててこスタイルで「保暖内衣」と呼ばれるもの。底冷えのひどい昆明では爆発的な売れ行きで、老いも若きも身に着けているようだ。困ったことに、日本に帰ってからも綿100%で軽くて暖かいと、家族全員が手放せなくなってしまった。
この優れものの「保暖内衣」、中国では1997年に少数の企業が売り始め、現在、300企業以上がしのぎを削っているとか。品質のばらつきが激しいため、2004年11月1日付けで国から内衣の保暖率や質量の表示などを義務付けることも通達された。
【乾期に訪れる停電】
 11月ごろから雨季から乾季に移るため、水力発電を主力に据えた昆明の電力事情も悪化した。なんと欠電局なる役所が存在し、計画的に地区ごとに停電させていくのだ。近年までは局員が電線を鋏で切って停電させ、またつないで復旧させていたと知人に聞いた。
【「水力発電」で外貨獲得】
 雲南省の水力発電量は、年約4500億キロワット時で全国2位(2004年末。ただし2006年4月現在、日照りのため、発電量はゼロに近く、昆明などの火力発電と貴州省から送電してもらうなど対策に大わらわである)。火力発電もあわせると本来なら省内は十分足りるのだが、年約70億キロワット時を広東省に送電し、さらに2004年10月からベトナムにも送電を始めた。この送電は大事な外貨を獲得するためにも、多少、送電量を減らしたとしてもかかせないらしい。さらに2004年12月1日には100名以上の学者を昆明に集め、「水エネルギー資源と生態保護問題」に関する「献策」の場を設けた。その上で雲南省、四川省、青海省を跨ぐ金沙江(長江の上流域)、瀾滄江(メコン川上流域)、怒(ヌー)江及び周辺の河川に大型水力発電所を2020年までに建設し、国内沿海地域及びタイ、ベトナム、ラオス、ミャンマーに送電する計画を発表した。そして今春、雲南省南部の瀾滄江沿いの景洪で水力発電所の建設が着工する。
雲南省は、太陽熱温水器など電気に頼りきらない設備も予想以上に普及している。現在、環境に優しい冬の過ごし方をしている人々が、沿海地域の経済発展の犠牲にならないように願う。
コメント (4)
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