白い薔薇はそっと愛をささやく
おお、赤い薔薇は鷹
白い薔薇は鳩
ジョン・ボイル・オライリー - John Boyle O'Reilly (1844-1890)[白薔薇]

人類の想像力・抽象力の思惟の所産としてのシンボル・イメージ。
たにしの爺が薔薇に描くシンボル・イメージは、
誰が言ったか知りませんが、
「ヒステリー女には薔薇を嗅がせろ」です。

以下のような文章を紹介します。
ジェイナ・ガライ 中村凪子・訳
「シンボル。イメージ小事典」・社会思想社刊
現代教養文庫 1990年10月30日 初版からの引用です。

ただ一輪のバラが、ちょうど曼陀羅のように神秘の核心を表わすのである。
花言葉では、バラの花冠は美と報われた美徳を表わす。
しおれたバラは美のうつろいやすさを意味し、
大きくて鋭い刺のある野バラは快楽と苦痛を意味する。

そのゆえに「刺なき薔薇」とも呼ばれる。
しかし、同じバラでも黄金造りのバラは信仰の成就を表わし、
教皇に属するものとなった。

古くからカトリツク教会への奉仕に対する褒賞であった。
ローマ教皇の祝福とともに、この黄金のバラを最後に授かったのは、
一九五六年ルクセンブルク大公妃であった。
しかし、いかなるバラにもまして紅白のバラこそ深い意味をそなえている。

相反するものは紅白の二色において結合を果たすと考えられていた。
赤は情熱の象徴であり、白は純潔の象徴であり、
錬金術に使われていた不思議な紅白のバラは火と水の融合の象徴であった。
この融合は生命あるものの理想的な状態であり、
ソロモンの『雅歌』は完全無欠のキリストを「わたしの恋しい人は白く、赤く、赤銅の色に輝き、ひときわ目立つ」とたたえている。

招かれた先のテーブルにバラの花が吊りさげてあれば、
そこで話されたことは他言無用であるとの意味だった。
そして、後には会議室、宴会場、告解室などの天丼には思慮の象徴として、
バラの花が刻まれるようになった。

あるとき、キューピツドが沈黙の神ハーポクラテスにバラの花を贈って、
母ヴイーナスの情事を他言しないように頼んだことに由来するとも伝えられている。

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バラは15世紀の王位継承をめぐる「バラ戦争」が契機で、
イングランドの「国歌」となっています。

故ダイアナ妃は「イングランドのバラ」と呼ばれ、
バラは「愛」「純潔」「高貴」の象徴となっています。
英国のガーディングには欠かせない花ですね。
今ごろが最盛期でロンドンの街角を飾っていることでしょう。