たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

今日は大暑 暑さ真っ盛り

2008-07-22 07:27:47 | Lyricism
24節気の一つで、暑気が至り一年で最も暑い「酷暑」の時期。毎年7月23日ころ。

蒸し暑さで、体力の消耗が激しくなるため、
夏バテ防止に精力のつくウナギを食べる。
いわゆる「土用の丑の日」ある。

今年ほど「ウナギ」に関心が集まったことがない。
ウナギが悪いのではない。
食べ物で、暴利を貪ろうとする経済行為が、
いまの日本に蔓延るようになってしまった。

福祉厚生医療、企業会社雇用……官から民まで、
「騙しの構図」が定着してしまった。

青息吐息、国民の悲鳴 炎天下に噴出している。
ムフフ…の福田首相は夏休みでホテル暮らし。

   念力のゆるめば死ぬる大暑かな   村上鬼城



暑気払いにはウナギより、清涼剤がいい。
タニシは映画館でいい映画を観ること。

「……ヒロインの所在なさげでありながら芯のあるキャラクターに、若手女優きっての演技派、蒼井優がさらに奥行きを与えている」という毎日新聞の映画評に惹かれ、
蒼井優主演の最新作を観に行った。「百万円と苦虫女」

就職浪人中の主人公のヒロイン鈴子・蒼井優。
捨てられていた子ネコを助けたことがきっかけで、
前科一犯になってしまう。周囲から孤立してしまう。

「非存在な自分になりたくて」彼女は家を出た。期間限定のアルバイトで、海の家や山中の農家で働き、百万円たまったら、その土地を離れる生活をはじめるが……。

蒼井優という女優をはじめて知ったが、頼りなさ気で、なんという薄い体型、細い手足、今風に言えば省エネ体型と言える。
困ったときに顔をしかめてちょっと笑う。苦虫顔?



人とのかかわりを避けた「非存在な自分に」なりたいのに、いつのまにか、抜き差しならない人間関係が押し寄せてくる。

そんなヒロインが、地方都市のバイト先で知り合った大学生(森山未来)の情に絆されて、
「好きです」なんて言われて……、せっかく貯めてきたお金まで貢ぐ。
もう、タニシの爺様は切ない。なんでそうなるの、悔しいではないか。
そうなるんだったら、桃畑の朴訥なお兄ちゃん(ピエール瀧)にあげる方が許せる。

「私何をやっているのだろうか」とつぶやくヒロイン。
結局、真っ蒼な空の下、街を出て行く蒼井優が清々しい。


魔女は死んでも、魂が残る

2008-07-14 22:20:34 | 劇場映画

映画「西の魔女が死んだ」を観た。
なぜ、この映画を見る気になったのか、……それは、魔女に聞いてみてください。

映画は大自然に囲まれた、石が好きだった夫の残した山荘風の家で暮らす、祖母と孫娘のロハスな日常が淡々と描かれる。
ハーブと野イチゴとジャム作り、花とおしゃべり。贅沢なものは何もない。
が、なんと豊饒な、心の満ち足りた暮らしなのか。



物語は、中学3年生になった少女・まい(高橋真悠)は、学校に行くのが辛くなり(今風に言えば登校拒否)、ママ(りょう)の運転する車で、おばあちゃん(サチ・パーカー、アカデミー賞女優シャーリー・マクレーンの実娘。流暢な日本語を静に話す)の家へ向かう。祖母・おばあちゃんは、魔女の家系を曳くイギリス人。

豊かな自然(撮影地は八ヶ岳高原清里)の中で、まいは自然とともに生きる暮らしと、魔女修業が始まった。魔女修行とは、早寝早起きをして、規則正しい生活をすること。そしてもう一つ、「何事も自分で決める」ということだった。

まいは生きる活力を取り戻していく。おばあちゃんがまいにかけた“魔法”とは? 最後に受け取る“秘密のメッセージ”とは?……

勇気が出る魔女語録の一つを紹介します。
「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ」



原作は梨木香歩が1994年に発表した同名の小説「西の魔女が死んだ」新潮文庫。
この作品は、小学館文学賞、日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学賞など数々の賞を受けているという。
タニシ的評価で言えば、期待値80に対し30%。
二人のスローライフな日常に、他者(隣人と郵便屋さん)が関わると、静止しているようなスクリーンが突如、狂音声の夾雑的な雰囲気になる。それまで続いていたおばあちゃんの、詩的な会話との落差に、何度も苛立った。
まいの、他者を拒絶する心理感の表現と理解すれば、演出されたものとも、思えるが……、この辺が、この映画の評価の分かれ目になる。


時鳥、ホトトギス啼きて……小暑の日

2008-07-08 06:16:22 | Lyricism

昨日は24節気の小暑であった。
この日、当地は朝から、強雨と雷鳴が響いていた。
雷が鳴ると、もう、梅雨明けも近い。

小暑あるいは大暑から立秋までの間が暑中で、小暑の終わりごろに夏の土用に入る。と歳時記に記されている。

7月7日は七夕でもある。残念ながら曇り空でした。
タニシの湧水田も、草の匂いが強くなり、
春の花の小路は、夏草に押されてしまっている。
この春の花の記憶を映してみます。


「夏は来ぬ」佐々木信綱作詞・小山作之助作曲

卯の花の、匂う垣根に
時鳥、早も来鳴きて
忍音もらす、夏は来ぬ



さみだれの、そそぐ山田に
早乙女が、裳裾ぬらして
玉苗植うる、夏は来ぬ



橘の、薫るのきばの
窓近く、蛍飛びかい
おこたり諌むる、夏は来ぬ



楝ちる、川べの宿の
門遠く、水鶏声して
夕月すずしき、夏は来ぬ



五月やみ、蛍飛びかい
水鶏鳴き、卯の花咲きて
早苗植えわたす、夏は来ぬ

今日から7月、1日は半夏生の日

2008-07-01 07:20:45 | Lyricism

半夏生は夏至から数えて 11日目。

   朝の虹 消えて 一ト雨 半夏生  黙禅

植物の“ハンゲショウ”もこの頃に花をつける。
葉っぱの一部が白くなり花よりも目立つので,半化粧ともいわれる。

今日の花は「ハンゲショウ」
花言葉は<内に秘めた情熱>だという。
―――NHK発行の「誕生日の花カレンダー」

夏の盛りの頃になると、葉の白い部分は色落ちして、ふつうの緑色になる。





これは「アンスリウム」ハート型の葉が紅くなる。

花言葉:飾らない美しさ、無垢な心 情熱

室内に置くことにより室内の空気浄化と蒸散作用による保温、保湿の効果が得られるとされています。
アンスリウムの充実した株は、葉一枚につき天狗の鼻のような花が一輪咲くと、説明書には書いてあるが……
早尭に 時鳥啼きて 半夏の日
タニシがアブ句を噴いた。