たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

夢枕獏「神々の山嶺」を読んでいる昨夜、NHKジャーナルでレビュー

2022-08-27 15:37:20 | 本・読書
令和4年8月27日 木々の葉の光や梢を揺らす風。
なんとなく秋の気配になってきた。そんな感じだ。
不思議な事象というか。偶然というか。
昨夜、26日夜、10時半過ぎラジオのスイッチを入れた。

NHKジャーナルの時間だった。
「ブックレビュー」で「神々の山嶺」が話題になっていた。
早稲田大学文学学術院准教授の石岡良治さんが、
夢枕獏作、谷口ジロー作画によるコミック版の、
「神々の山嶺(いただき)」を紹介していた。



フランスでこのコミック本がアニメ化され、
大変評判になっている。日本でも、
映画館で上映されて人気になっているということでした。
予告編



なんとこの本、ちょうど原作を読んでいる最中でした。
夢枕獏さん原作。集英社出版1997年8月10日発行で、
上下2冊になった分厚いボリュームの本です。
映画にもなっています。



エヴェレスト登頂史の謎に挑む二人の男の葛藤と生き様。
「たにしの爺」すでにコミック版も映画も観ています。
ブログにも書いてあります。

山岳映画「エヴェレスト 神々の山嶺」
2016-04-07 20:31:20 | 劇場映画


で、また何で、この本の原作などいま、読んでいるか、
全く心当たりがないんです。
図書館から借り出す、きっかっけは何だったのか。
その読んでいる本が、たまたま聞いたNHK番組で耳に入り、
フランスでアニメ化され、
日本でも公開されているなんて初めて知りました。



下巻にとりついた「たにしの爺」
ボリュウムに圧倒されながらも、
(以下本の読み進行によって追加していきます)

ストイックな孤高の登山家・羽生丈二が挑む。
誰も成し遂げたことがない「冬季エヴェレスト南西壁の単独・無酸素」登頂。
その記録に賭ける山岳カメラマン深町誠。

行方にエヴェレスト雪の岩壁が……。

(30日、追記分、省略あり)
いやになるほど、空が晴れている。
その空に、エヴェレストの、黒い岩峰が刺さっている。
深町は南稜に近い岩の上で、その岩峰をにらみ続けている。
頂上をファインダーの中に入れ、ピントを合わせ三脚を固定した。
ファインダーいっぱいに、イエローバンドから上のエヴェレスト頂上岩壁の威容が入っている。

深町は、何度もファインダーに目をやった。
「いた⁉」
小さな、ゴミのような、赤い点。
頂上直下ウォール。
そこに、羽生の姿があったのだ。
「やめてくれ、引き返せ」
深町は歯を噛んだ。

エヴェレスト南西壁でも、最大級の危険地帯を、羽生は、静かに上へ移動中であったのである。
深町はシャッターを押した。1枚、2枚、3枚……

チベット側の上空に浮かんだ白いものが見えた。
動いている。雲だ。
チベット側から、その雲は吐き出され、頂上岩壁に這い寄ろうとしていた。

「羽生!」逃げろ、深町はファインダーを覗いた。
どこだ。どこにる羽生。
いない。羽生が見えない。

居た。上方の岩壁に動いていた。
頂上まであと、250メートか。
シャッターを押す、押す。

雲が上昇気流に乗って、岩壁を這い上がって登っていく。
羽生に、雲が迫っていく。
羽生よ、逃げろ、上へ。
「羽生!」深町が、唸るようにその名を呼んでシャッターを押した時、羽生の姿は、這い登ってくる雲に包まれて消えていた。
エヴェレストの頂そのものが、すべて雲の包まれて見えなくなっていた。



(9月2日、追記分、ストーリの概略です)
1993年12月18日10時36分、
深町のカメラのファインダーで捉えた羽生は、
エヴェレスト南西壁イエローバンドの上方登頂直下の壁で動いていた。
その時、上がってきた雲が羽生を隠してしまった。

それから2年後の1995年11月10日10時28分。
エヴェレスト登頂を果たし、深町は8100メートルまで下りてきた。
霧の中を、雪が疾っている。
ルートを見失っているようだった。
7069メートルのノース・コールのベースキャンプまで下りなければ死だ。

風も、雪も止まなかった。
どれだけ歩いたか。方向も時間の感覚もなくなった。

岩陰に、ほんの狭い空間にふたつの人影が見えた。
羽生っ!!羽生がうずくまっていた。
隣にマルローが凍っていた。
・・・・・・・・
……………………………………………………………………………………
9月2日、夢枕獏「神々の山領」上下巻970ページ余りを読み終えた。
エヴェレスト初登頂をめぐる伝説をベースに、
孤高の登山家・羽生丈二の軌跡を追う、
山岳カメラマン深町誠の圧巻の記録が深い。
山岳ミステリーの醍醐味を味わい、読み切りました。
氷壁を寸刻みに登攀してゆく描写がすごい。

満月と狸タヌキは関係があるのか、ないのか……

2022-08-18 11:59:45 | 散策の詩
令和4年8月18日 強い雨が降ったり、止んだり。
蒸し暑い空気で体調も気力も、へなへなぐったり。
前回は長文の夏休み「読書感想文」をアップした。



今日はお気楽話です。
タヌキ「狸ちゃん」のタメフン溜め糞です。
いつも徘徊する自然公園の草むらに、
今年も狸の子育てが観察されました。



管理学芸員の話ですと4匹だそうです。
爺も徘徊中に目撃したときは写真に撮ります。
人慣れしてしまって、近くを通り過ぎても、
寝ている「狸寝入り」か、こっちを見るだけ、
逃げ隠れはしません。



最近は姿はあまり見ませんが、
「フン糞場」が盛大に広がっています。
夜分に出てきて、やらかしているのでしょう。 



タヌキのトイレは同じ場所にする習性があるという。
結構「大クソ」のようですね。
トイレの面積が広がっているようです。



ところで、12日(金)は8月の満月だったそうです。
狸ちゃん親子、揃ってお尻を揃えて、
マンゲツを見上げながら、
ウンコをしていたのかな~~。



親子そろって「ポン」「ポコ」「ポン」
ツッツキ、月夜だ、みな出てコイコイ~
オイラは「ウンぽこ」「ウンぽこ」~~



安部公房「砂の女」を読んだ。爺の「夏休み読書感想文」です

2022-08-13 15:29:52 | 本・読書
令和4年8月13日 久しぶりに硬派な小説を読みました。
新潮日本文学46 安部公房集「砂の女」
--罪がなければ、逃げる楽しみもない。



8ポイント活字で2段組、文字がぎっしり詰まった本。
小さな文字を一日3、4ページづつ「ハズキルーペ」と、
エッシェンバッハ光学の「ワークルーペ」を併用し読みました。
眼が疲れました。20日は眼科に行く日です。





何で、今、安部公房「砂の女」を読む気になったのか、
6月ごろ、NHKラジオ、高橋源一郎の「飛ぶ教室」で、
漫画家・文章家のヤマザキマリさんとの「読書会」を聞いて、
思い出したので、図書館から借り出した。


 
こんな書き出しで始まる。――

八月のある日、男が一人、行方不明になった。
休暇を利用して、汽車で半日ばかりの海岸に出かけたきり、
消息をたってしまったのだ。
捜査願いも、新聞広告も、すべて無駄に終わった。



7年たち、民法第三十条によって、死亡の認定となった。
 
男は学校の先生で昆虫採集を趣味としていた。
砂地に住む希少種の新種発見が願望であった。
彼は双翅目蝿の仲間の変種に目をつけていた。
黄色い前足のニワハンミョウ採集に傾注した。
鞘翅目ハンミョウ族は砂地に住む昆虫だった。
 
彼は砂浜海岸を歩いているうちに、
砂の斜面を掘り下げた、
くぼみの中に沈んだ家が点在する集落に足を踏み入れていた。

夕暮れが近づいていた。
漁師らしい老人の案内で、一夜の宿を紹介された。
「縄ばしご」で砂の斜面を下りるような穴の底に、
半分砂に埋まりかけたような家だった。
30前後の女が出迎えた。
 
一夜明けて男は、砂底の家からは出られない。
「縄ばしご」は引き上げられてしまっていた。
 
毎日、流れてくる砂を掻きだし、
モッコで引き上げてもらわないと、
埋まってしまうような穴の底で、女と暮らすことになった。
 
女は男の身辺に気遣ってくれているようだったが、
一日の大半は砂の掻きだしと砂の搬出に精を出していた。
水はモッコの砂と引き換えだった

砂は流体。空気のように体中、口の中まで積もる。
女は夜、砂の積もった裸体で床に伏して寝ている。
男は体に自制できない何かが動き出すのを感じた。

男と女の営み、男の官能を通じて何ページも続く。
 
砂の壁から出られない男は不条理な境遇を呪った。
自由だった世界に戻りたい、幾度か脱出を試みた。
「底なしの流砂地獄」に嵌って、徒労に終わった。
村人たちに助けられて穴の家に戻されてしまった。
 
 「失敗したよ……」
 「はい……」
 「まったく、あっさり、失敗してしまったもんだな。」
 「でも、巧くいった人なんて、いないんですよ……まだ、いっぺんも……」
 
 女は、うるんだ声で、しかし、まるで男の失敗を弁護するような、力がこめられている。
 なんていうみじめなやさしさだろう。このやさしさが、酬いられないのでは、あまりに不公平すぎはしまいか?
 
 「納得がいかなかったんだ……」
 「……このまま暮らしていってそれでどうなるんだと思うのが、一番たまらないんだな……」
 「洗いましょう……」はげますように女が言った。
  
ギクシャクしていた女との関係も、
いつしか馴染める関係になっていた。
流れてくる砂を掻き、モッコで引き上げることや、
生活労働が二人の共同作業になっていた。
 
男が外界との連絡を取る手段に、
鴉の脚に手紙をつける作戦を思い立った。
鴉を捕獲しようと仕掛けた穴の桶に、
ある日、「水が貯留」しているのを発見した。

女が妊娠した。
街の病院に入院するため「縄ばしご」が下ろされ、
女はオート三輪で連れ去られた。
 
男は残されていた「縄ばしご」をゆっくり上った。
久しぶりに外界を眺めた。海が見えた。
空は黄色く汚れていた。
海も黄色くにごっていた。
深呼吸したがざらつくばかりだった。
穴の底で、何かが動いた。自分の影だった。
 
桶の底に溜まっていた水は、切れるように、冷たかった。
べつに、あわてて逃げ出したりする必要はないのだ。
溜水装置のことを、村人に話したいと思いはじめた。
逃げるてだては、またその翌日にでも考えればいいことである。

ここも悪くないな~なんて思い始める…… 
以上が、小説のストーリーの概略です。


  
いま「砂の女」読んでみれば、
この小説が発表された1962年の時代状況とは、
「砂穴の壁」が様々な意味を持って感じられる。
 
貧富、上流民、下流民、正規、非正規、ジェンダー……
社会に張りめぐされた既得支配「エスタブリッシュメント」
金子みすゞ「見えないけれど、あるんだよ」的な壁です。



ところで、ヤマザキマリさん、テレビ、ラジオに、
著作にと、すごい活躍(?)ぶりです。それに話が面白い。
「壁とともに生きる わたしと「安部公房」とか、
「100分de名著」テキスト(NHK出版)など
書店に平積みで並んでいます。

たにしの爺は、ときどき立ち読みでページをめくっています。
たにしの爺にとって、「歳、年齢」が越えられない壁です。

夏休みの課題「読書感想文」のつもりです。
膝の痛みは、なかなか良くならないが、
頭の方は、なかなか大丈夫のようです。
困ったものだ。

3度目のアオノリュウゼツランが見られました。

2022-08-11 20:08:58 | 花とつぶやき
令和4年8月11日 きょうは「山の日」でした。
数十年に一度、咲く花「アオノリュウゼツラン」
3度目の観察記録を報告します。



いつも徘徊する自然公園に「温室植物園」があります。
中庭にはバナナなど亜熱帯の植物が植わっています。
その中に4株の「アオノリュウゼツラン」があります。
今夏、そのうちの一株が花を付けました。



数十年に一度しか咲かない花を、
84歳で3回も観察できたことになります。
まあ、同じ株から咲いた花ではないので……
そんなに珍しがることでもないです。



たにしの爺ブログ、
これまで「アオノリュウゼツラン」については、
2回観察記録をアップしています。
今回はあまり花付きた良くないようです。



1回目にアップした記録、
・数十年に一度咲く花 アオノリュウゼツラン
2012-08-04 21:54:41 | 花とつぶやき
この記事がよく「検索閲覧」されて読まれていますので、
参考にしてください。

2回目の観察記事もあります。
・アオノリュウゼツランの花を再び見られました
2017-08-04 12:51:06 | 花とつぶやき



アオノリュウゼツランを初めて見たのは、
2012年の夏でした。
その後、2017年の夏、そして今夏の2022年、
5年ごとに咲くようです。
4株目の花が5年後に咲くかもしれません。
それまで頑張るとしよう。

今日は暦の上では二十四節気の一つ「立秋」です。

2022-08-07 11:59:07 | 24節気
令和4年8月7日 残暑お見舞い申し上げます。
たにしの爺ブログ、ネタがないときは「節気」綴りです。
もっぱらWebから知識を借用します。これも、
趣味としている「勉強」の一つです。



と言う訳で学習しました。
明確な四季の移ろいに恵まれている日本です。
四季の移ろいを暦の上で区切ったのが「二十四節気」ですね。



夏至と冬至を「二至」とし、春分と秋分を「二分」、
それぞれの中間に存在する、
立春・立夏・立秋・立冬を「四立(しりゅう)」とする。
これらをあわせて「八節」と呼ばれている。



立秋は特に大切な「八節」の一つとされる。
平安時代から現代まで、日本の詩歌文芸の魂になっています。
まあ、そういうことです。皆さんも、ご存知のことですよね。



高校の国語教師が秋の「鑑賞詩」として、
良く引用した歌を今も覚えています。

馬追虫の髭のそよろに来る秋は まなこを閉ぢて 想ひ見るべし  長塚



リアル現実は盛夏、猛暑、洪水、熱中症、コロナ、サル……
秋の気配どころか、「危険な気配」ばかりです。
「中国・習近平」殿の力誇示は「恐怖」ですね。