俳句でつながる人生恋歌!!
カバーのコピーから――
この夏以来、たにしの爺、コミック漫画にはまっています。
有間しのぶの原作を奥山直が作画する「あかぼし俳句帖」。
定年を5年後に控えた窓際サラリーマンの、新たなトキメキ発見ストーリーです。
主人公・明星啓吾(あかぼし・けいご)氏は、
大手自動車メーカーに勤め、宣伝部長として、
切れ味鋭い「キャッチコピー」で売り上げ増に大貢献したと、
自負の塊(かたまり)で「でかい顔」を売り物にしているが、
今では、出世コースに乗り遅れ、閑職の「広報部」のヒラ。
年下の上司から小言を言われ、周囲からも邪魔扱い。
「窓際族」の集まる「喫煙所」でエンコウ(煙交)して、
退社まで時間を潰す定時帰りの日々です。
肩書きが無くなり、部下も居なくなった元エリートの悲哀です。
定時帰りの途中、趣味を探すことで書店に立ち寄ります。
あれこれ、ムックや雑誌を手にとって思案するうちに、
俳句の雑誌に見入ります。これなら俺にもできる。
かつては名コピーで鳴らした(自称)感覚が蘇える。
雑誌には女流俳人・水村翠(みずむら・すい)が特集されていた。
独り暮らしの主人公(家族も居ない悲惨な境遇なんです)。
帰りによく立ち寄る常連の居酒屋が「お里」です。
愚痴を聞いてくれる女将サンとは永年の付き合い。
お酒を戴いたり、夕飯を食べたり、慰められたり、
孤独な明星サン。いい感じの「人生の止まり木」です。
この「お里」にはもう一人の、ご常連サンが居ました。
雑誌に特集されていた女流俳人・水村翠さんです。
インテリアショップの雇われ店長を勤める翠さんも、
「お里」で仕事帰りを憩い、女将とは大の仲良し。
翠さんを見初めて、お近づきになった明星啓吾サン。
彼女に近づきたい一心で俳句の指導を乞うのだが……。
下心丸出しで「翠さん」に自作を披露してみせる。
とんだ迷惑な「翠さん」。でも、そこは女流俳人です。
「だめ句」の所以を指摘したりします。
有頂天になった明星さん。句作りに没頭します。
そのうちに疑問の壁にぶち当たります。
なぜ自分の句は、五七五なのに俳句になっていないのか。
やがて「翠さん」の助言と添削によって、
出世コースから外れた「おっさん」の人生が、
「恋模様」の十七音に彩られはじめます。
「翠さん」は明星さんの俳句世界を広げるために、
自分の所属する俳句結社「帆風」に入会させます。
ベテランぞろいの俳句同人に囲まれて、
鎌倉に吟行に行くことになった明星さん、
合評会で苦吟の披露をしなければなりません‥‥
壁に突き当たりながら明星さん、
俳句の世界の深さにのめりこんでいきます。
「翠さん」への想いは??ライバルも居ます。
季語のこと、古語など、俳句世界の入門としても、
初心者の何処がダメなのか、わかりやす書かれていて、面白くて勉強になる物語です。
この作品を知ったきっかけはテレビの「NHK俳句」
夏井いつきさん選者で、ゲストは漫画家の有間しのぶさん。
そのとき「あかぼし俳句帖」が話題になっていました。
ストーリーの途中に挿入される俳句は、すべて、著名作家の引用区を除いて、
登場人物の詠む俳句はすべて有馬さん自作していると言う。
現在、4巻まで出ています。
何巻まで続くか知りませんが読み続けるつもりです。
小学館の公式サイトでは、
1巻の冒頭部分を試し読み用に公開中です。