たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

7月も終わり。夏の祷りの禊花「ミソハギ」

2013-07-31 22:19:57 | Weblog

暑中お見舞い申し上げます。今日で7月も終わりです。
写真は夏の祷りの禊花「ミソハギ」です。川辺や水気のある道端に群生しています。
茎は垂直で濃いマゼンタピンクの花が連なって咲く。

この7月は変わりやすい天候に悩まされました。
早々と梅雨が明けたと思ったら真夏日続きで、
40℃近い記録的暑さの都市が列島に広がりました。
一方、未だに梅雨明けになっていない地方もあります。
後半はゲリラ集中豪雨で記録的な雨量に見舞われ、
山陰地方では洗い出された地区・集落もあります。



暑さに弱い爺は、日除け雨除けで家篭りの精進の日々でした。
そんな訳で、テレビ映画の楽しみ方を発見しました。
映画鑑賞は劇場映画館が一番と思っていましたが、
ステテコ一枚で観るホームシアターが病みつきになりました。
中でも午後1時からの「NHKbsのプレミアムシネマ」が見応えがあります。
ノーカットで最後のエンドローグまで完全上映です。
大分昔に、観た映画もありましたが、まったく知らなかった映画ばかりでした。
上映作品の一覧はこちらで見られます「プレミアムシネマカレンダー」



まったく予備知識無しで観た2007年アメリカ制作の「扉をたたく人」(THE VISITOR)でした。
コネチカット州で大学教授をしている62歳のウォルター(リチャード・ジェンキンス)、
妻を亡くしてからすっかりやる気をなくし、惰性だけの学究生活を送っている。
ピアノの練習を始めたが、まったくの音痴で4人目の先生からも、
「音楽の才能がない」ピアノを売りなさいといわれる始末です。
あるとき、学会のためにニューヨークに出張し、別宅のアパートに入ると、
見知らぬ外国人のカップルがいた。
男ははジャンベ(アフリカの太鼓)奏者のシリア系男性タレク(ハーズ・スレイマン)と、
アクセサリーを作って売るセネガル系女性のゼイナブ(ダナイ・グリラ)と名乗った。
二人は騙されてウォルターの家を貸されていたのだった。
二人に同情したウォルターは共同生活を認めて居させてやる。
陽気なタレクはウォルターにジャンベの演奏法を教え、
音痴だったウォルターもリズムを掴みストリートセッションでジャンベを叩くのだった。



その帰路に運命の岐路に見舞われてしまう。
タレクは地下鉄無賃乗車を疑われて逮捕され、不法滞在者として拘留されてしまう。
彼を釈放させようと奔走するウォルターの前に、
タレクの母であるモーナ(ヒアム・アッバス)が現われる。
9・11以降テロへの恐怖が移民希望者や不法滞在者に対して、
厳しい措置を取るようになったアメリカ。
不条理な運命が4人を翻弄し始めるのだった。
心揺さぶる展開と、現代社会を反映した考えさせられる秀作品でした。
ラストシーン、ウォルターはメトロのホームでジャンベを叩き続けるのだった。


千葉・幕張新都心で癒しの日本庭園「美浜園」

2013-07-21 10:51:31 | 社会見学

高層ハイテクビルが林立する幕張新都心に、
癒しの日本庭園があり茶室もあるというので、
ご近所サークルのご一行様とで出かけました。





お出かけ当日は前日までの真夏日から一変、
うす雲が広がり比較的涼しい日になりました。





日比谷公園の4倍もの広さを誇る広大な公園。
県立幕張海浜公園の一角を占めている美浜園。
よく手入れの行き届いた池泉回遊式日本庭園。





京都北山杉を用いた数寄屋造の本格的な茶室。
松籟亭では一服400円で抹 茶が楽しめました。



今日も一日暑いようです。
熱中症に気をつけましょう。

桜木紫乃著「起終点駅 ターミナル」「氷平線」を読む

2013-07-20 09:38:50 | 本・読書
桜木紫乃さん、晴れて直木賞を受賞
 当ブログで昨年(12年7月18日)に投稿した北海道の女流作家・桜木紫乃さんがこのたび、念願の直木賞を受賞しました。
 以下、毎日新聞のニュース(2013年07月17日 18時54分)を追加して再投稿します。
   *   *   *
 第149回芥川・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が17日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞に藤野可織さん(33)の「爪と目」(新潮4月号)、直木賞に桜木紫乃さん(48)の「ホテルローヤル」(集英社)が選ばれた。
(中略)
 桜木さんは北海道に生まれ育つ。02年「雪虫」でオール読物新人賞を受賞した。同作を収録した「氷平線(ひょうへいせん)」で07年にデビュー。一貫して北海道を舞台に小説を執筆。候補2度目で受賞に至った。
 受賞作は、北国のラブホテルを舞台にした7編からなる連作短編集。恋人にヌード撮影を頼まれた女性店員、働かない10歳下の夫がいる清掃係など、疲弊した地方の町でつましい毎日を送る人間の切実さを丁寧に描いた。
 
 桜木さんは会見で「デビューして本が出るまで5年、ちょっとしんどかった。私にしか書けない一行があると信じて書いた特別な作品。書くことをやめなくてよかった。自分に起こってきたことには無駄がなかったと思えた」と話した。【内藤麻里子、棚部秀行】
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 今春から注目していた桜木紫乃さんの「起終点駅 ターミナル」と「氷平線」を読んだ。
桜木さんは「ラブレス」で第146回直木賞候補となり、最終選考の2人にまで残った実力派女流作家。
4月に発刊された最新刊「起終点駅 ターミナル」(小学館・1500円)は書店の店頭では平積みで置かれている。
北海道を舞台にした陰影のある作品世界に惹かれ、処女作品集の「氷平線」(単行本2007年11月、文庫版2012年4月・文藝春秋刊)も読んでみた。

「起終点駅 ターミナル」は,
北海道の中でも地方の、主として港、海、牧場を舞台に、どうにもならない運命に腹をくくって、
暗い川床を流れていくような生き様を清冽に綴った6編の短編集からなっている。
全編の底流は「男の弱さ」を描き、「女の強さ」が浮き彫りになっているように思える。

巻頭の「かたちのないもの」は、
銀座の有名店の主人公・真理子が、心身ともに鍛えてくれた元恋人の納骨式に出るために函館を訪れる話。
真理子は、恋人との別れと死を辿ることでさらに上を目指す。

2編目「海鳥の行方」は、
駆け出し女性記者の里和がデスクのいじめにもめげず、特ダネ狙いで動き回る。
ある日、港で不発弾が発見されたということで取材を命じられる。
埠頭で釣りをする中年男と知り合いになる。その男が言う。
「オンタ(雄)駄目だな。あきらめるのが早くて闘い甲斐がねねよ」
「オンタは最初は威勢がいいんだ。とにかく暴れるしアタリも強い。だけど水面に近づくとがくんと闘志がなえるんだな。
あっさりあきらめる瞬間が分かる。タモに入れる頃にはもうもう死んだみたいになって動かねぃよ」
逆にメンタ(雌)は引っ張れば引っ張るほど暴れるのだという。
その反抗ぶりは陸に上がっても変わらず、最後の最後まで抵抗すると石崎が言った。
その石崎が海に落ちて死んだという。記者は男の過去を辿って捜しだしたものは‥‥

この新人女性記者は編集局のいびりにもめげず、「ぶっ壊され」そうになりながらも、
納得できるまで記事に挑戦していく。
女性記者には、大学時代に付き合って親も公認の札幌の裁判所勤務の恋人がいたが、
「ぶっ壊され」て、ノイローゼになって自宅に戻っている。
最近の社会現象ともいえる、オンタの弱さ、メンタのしぶとさが対比される。

各編を通じて、過酷な運命への開き直りの女性と、
いつまでも挫折を引きずり抜け出せない男たち、この構図が底流となって描かれる。

表題作の「起終点駅」は、
釧路市で、主として国選弁護人の鷲田寛治は、覚醒剤使用の罪で起訴された椎名敦子の国選弁護を担当する。
判決後、敦子が訪ねてきたことで、凍結していた過去と向き合うことになる。

その他、努力の結果、念願かなって一流銀行に勤めることになった主人公、結局は母の牛飼いを手伝いに戻ってくる「スクラップ・ロード」。
再び札幌に転勤した女性新聞記者里和の登場する「たたかいにやぶれて咲けよ」は、ある新人作家をめぐるややこしい話。
6編目の「湖風の家」は、
弟が関わったとされる殺人事件から逃れ、故郷をすてた主人公・千鶴子が、
30年ぶりに帰郷した際、かつて特飲街にいた幼馴染と再会し怖かった故郷が、
貧しいながらも女同士親身な友情につつまれる。

筆者はあるメディアのインタビューに「頑張るでもなく、耐えるでもなく、静かに“腹をくくった”人たちを描いてきたように思います。個と個が一緒にいると新たな始まりをもたらす。」と話している。

なお、「氷平線」の所収作品は以下の5編「雪虫」「霧繭」「夏の稜線」「海に帰る」「水の棺」「氷平線」
 
日本文学振興会は17日、「第147回芥川賞・直木賞(平成24年度上半期)」の芥川龍之介賞に鹿島田真希氏の『冥土めぐり』、
直木三十五賞に辻村深月氏の『鍵のない夢を見る』を選出したと発表した。
桜木紫乃さんの「起終点駅 ターミナル」今回は直木賞候補作にノミネート(5日に発表)されていなかったから当然、
選考されるはずもなかったが、北海道の片隅の町で、孤独の中で、過去を封印して生きる人生は静かだ。
昨今の饒舌で騒々しい作品とは違うので、直木賞向きではないのかな。

不可能を可能にした、完全無農薬・無肥料「奇跡のりんご」

2013-07-17 11:20:08 | 劇場映画

映画「奇跡のりんご」を観ました。公式サイト
りんごの故郷、青森・津軽・岩木山の風景画が美しい。



りんごは実って売れるまでに、10回前後の消毒をしなければなりません。
傷のない美しいりんごほど消毒が大切です。
うどんこ病、赤星病やアブラ虫を予防するためで、手遅れになると、
あっという間に葉が黄変色し、実はいびつになってしまう。
全国生産2位県のりんご農家で育った「たにしの爺」には体験的に分かります。



今では使用禁止になっている、
硫酸銅と生石灰で調剤するボルドー液のや怖いパラチオン系の消毒剤を、
樹木と樹木の間を、ホースを引っ張り回しながら手繰ります。
ときには消毒液を被ることもありました。

映画は青森・津軽の岩木山の麓でりんご栽培の若夫婦の物語です。
実在のモデルもいる実話でもあります。



高校を出て東京でサラリーマンをしていた主人公の木村秋則(阿部サダヲ)は、
帰郷した際に見合いを勧められる。
相手は高校時代から好きだった初恋の木村美栄子(菅野美穂)だった。
機械ものが好きで、メカに憧れて農業を馬鹿にしていた秋則だったが、
大りんご農家の一人娘美栄子との結婚に乗り換えてしまう。
夫婦でりんごの消毒に奔走する日々が始まった。





しかし、
消毒作業のあった日は、必ず美栄子の身体に変調が起きた。
皮膚はただれ潰瘍が出来ていた。そして美栄子は身ごもっていた。

秋則は子育ての本を買いに本屋に出かけた。
偶然にも「無農薬農法」の本を手にする。
愛する美栄子の苦悩を救うために消毒をしない、「無農薬りんご栽培」を決意する。

もともと研究熱心な秋則は農薬の代わりに、酢や重曹液の散布を試みながら、
絶対不可能といわれている「無農薬りんご栽培」の研究に没頭する。
研究というより「憑依かれて」しまう。
義父から受け継いだりんご園は荒れ果て、
枝には無視や毛虫がびっしり取付いている。



花も実も付かず、葉は枯れ落ち、木も枯れていく。
同業者から奇人扱い、お金もコメもなくなり、りんご園は差し押さえられる。
妻の美栄子はそんな秋則を理解し、極貧の生活を支える。
3人の娘たちも健気に、
「父ちゃんの作ったりんご」食べたいと作文に書いていた。

りんごが成らなくなってから、11年が過ぎていた。
長女の病気、義父の痴呆症、家族全員の支えが崩れ始め、
一家は絶望のときを迎えていた。
秋則は一本、一本りんごの木に「ゴメンね」と謝り、
岩木山の山中に死に場所を探しに分け入っていく‥‥



妻・美栄子役の菅野美穂が好演です。3人の娘の母になって、
夫・秋則を見守る健気に明るく、そして哀しく、演技が実にいいです。
義父・木村征治役の山崎努も素晴らしい。
寡黙ながら、娘と婿を信じて、支援するため全財産を失う。、
痴呆症の果て最後に信じていたものがあった。



原作は「奇跡のリンゴ 『絶対不可能』を覆した農家・木村秋則の記録」(石川拓治著/幻冬舎文庫刊)。
近く続編ともいえる「ドキュメンタリー いのちの林檎」も封切りされます。

「銃弾は我々を黙らせることはできない」 16歳少女のメッセージが世界の心を打つ

2013-07-13 22:57:35 | Journalism

暑中お見舞い申し上げます。
猛暑日が続いています。
夏の花はヒマワリですね。

猛暑の中、国連の本会議場から発しられた、16歳少女のメッセージは、
ターリバーンの銃弾に勝って、世界の人々の心を打ちました。

マララ・ユサフザイさん=パキスタンの人権活動家が12日、国連本部で、
「銃弾は我々を黙らせることはできない」と強調。さらに、
あらゆる難問には「教育が唯一の解決方法」だと訴えました。



以下、毎日新聞、2013年07月13日の記事から――
 【ニューヨーク草野和彦】女子教育の必要性を訴え、
昨年10月にイスラム武装勢力に頭を撃たれたパキスタンの少女、
マララ・ユスフザイさん(16)が12日、国連本部で初めて演説した。
マララさんは「我々は平和と教育の実現という目標に向かって歩み続ける」と決意を述べた。
 この日はマララさんの誕生日で国連は「マララ・デー」と命名。
マララさんは「平和と教育を受ける権利のために闘い続ける
声なき女性や子供たちのために話したい」と述べた。
「パキスタン・タリバン運動」に銃撃されたことにも触れ、
「タリバンは教育や女性の力を恐れている。銃弾は我々を黙らせることはできない」と強調した。


 一方でマララさんは「タリバンやイスラム過激派の子供たちにも教育を受けさせたい」と話し、
インドのガンジーなどが訴えてきた「非暴力主義」を主張。
各国政府がすべての子供に無償の義務教育の機会を与えることを求め、
「教育が(あらゆる問題の)唯一の解決方法です」と訴えた。
 演説会場では世界各国から集まった約500人の若者の他、
潘基文(バンキムン)事務総長らが見守り、
マララさんが演説を終えると、総立ちで拍手を送った。
ーーー―ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
現在、わが国では参議院の選挙活動が行われています。
政治家候補から、マララさんのメッセージに匹敵するような、
国民の心を動かす言葉が発しているのでしょうか。
今日まで、爺の心には何も届いていません。


ーーー―ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
◇マララ・ユスフザイさん、国連本部での演説要旨

 「マララ・デー」は権利を求めるすべての女性や少年少女のための日だ。
教育や平和、平等を求めて闘う何百もの人々がいる。
何千もの人がテロリストに殺され、何百万もの人が傷を負っている。
私はその一人にすぎない。

 タリバンは私や私の友人を銃弾で黙らせようとしたが失敗した。
テロリストは何も変えられなかった。私から弱さと恐怖、絶望が消え、強さと力、勇気が生まれた以外は。
 タリバンやイスラム過激派の子どもたちにも、教育を受けさせたい。
私を撃ったタリバンを憎むことすらしない。
もし、私が銃を持ち彼らが目の前に立っても、私は撃たない。
ガンジーやマザー・テレサから学んだ非暴力主義の哲学だ。

 「ペンは剣より強し」と言うが、それは真実だ。
過激論者は本とペンを恐れる。教育は彼らを怖がらせる。
 私が女性の権利と少女の教育に焦点を当てるのは、彼らが最も苦しめられているからだ。
今こそ立ち上がる時だ。私は女性が自立して自分自身で闘うよう力を注いでいる。
 すべての子どもの輝く未来のために学校と教育を。言葉の力と強さを信じなければならない。
言葉は世界を変えられる。一人の子どもと一人の教師、1本のペンと1冊の本が世界を変える。
教育こそが唯一の解決策だ。【訳・長野宏美】
毎日新聞 2013年07月14日 東京朝刊から

大西洋の島、マデイラ育ちマデイラ・ワインを頂きました

2013-07-02 18:45:41 | 頂き物

地場サークルの親しい友だちが、ポルトガルを10間旅して来たといって、
Vinho da Madeiraをお土産に頂きました。

MADEIRA WINEといえば、10年近く前に爺もポルトガル旅行した際に、
ナザレの海岸近くのレストラン(土産物屋の店先)で食事をした。
そのときに味わったマデイラ・ワインという、香り豊かなVinhoが忘れ難いものになっていました。
爺のブログコードネームmadiira-kanaria69608の由来です。
そのワインが思いがけなく一本頂くことになって、ただ感激するばかりです。ありがとう。

海外旅行で、他人へのお土産選びは大変なもので、爺は多くは体験していませんが、
出来るだけ小物で軽いものを物色します。
重くて、移動中に割れたりしたら大変なことになるワイン。貴重な一品として深くお礼を申し上げます。

マデイラ・ワインは、スペインのシェリー酒と並ぶ酒精強化ワインで、
大西洋上のマデイラ島(ポルトガル領)で作られる。
酒精強化ワインというのは、醸造過程でアルコール(酒精)を添加することで、アルコール度数を高めたワイン。
酸化・腐敗に強く、船便による長期の輸送にも向いたものとなっているという。

この高貴な頂き物ワイン、どのような機会に開けたらいいのか迷うばかりです。



もう一つの小箱はイワシのパテです。パンに塗って食べるポルトガル人の朝食の定番ペーストですね。
「ご飯に載せて食べても美味しい」と、お土産を下さった方が申しておりました。



これはご近所の方からの頂き物・山形のサクランボ。甘くてジューシイでした。ありがとう。
これらの頂き物、ブログに盛って来ていただいた方へのお裾分けとします。