たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

春眠 けろろ 「蛙の目借り時」

2009-04-29 10:43:36 | Lyricism
けろろ
毎日新聞朝刊一面に「季節のたより」という、浮世絵版画と一句を季節の催事に合わせ、坪内捻典さんが監修している小さなコラムがあります。
4月26日の句にこんなのがありました。

いつまでも同じページを目借時 尾池和夫

「春は眠いが、それは蛙が人の目を借りるからだという。この眠い春が季語「蛙の目借り時」。「目借り時」と縮めて用いることが多い。」という注釈が付いていました。

たにしが最近、仕事中にほんの数分、爆睡するらしい。
はっと気がつくと、周りはシーンとしている。
たぶん、蛙に目を貸した瞬間なのだろう。
それとも、脳内欠陥が進行中なのだろうか。

「蛙の目借り時」をWebで探ったらいろいろ知ることが出来ました。

春眠暁を覚えずは、誰もが知っている孟浩然の詩の一節です。春は眠くてたまらない。
この時期を「蛙の目借り時」という春の季語になっています。こんな季語あるとは初めて知りました。

人が眠いのは実は、蛙が人の目を借りていくためで、蛙は何故この時期、人の目を借りようとするのでしょうか。
「目借り」は蛙がメスを求める「妻狩(めか)る」から転じた語と、辞書に記されていました。
 春はオタマジャクシが蛙に孵って、恋人探しに池や沼に集まるシーズン。
大勢のライバルから、自分に合う相手を探すには、よい目が必要になります。
そこで人の目を借りるのだということのようです。

たにしの目を借りた蛙君、たにしの細君のようにきっと、素晴らしい伴侶を見つけたに違いない。

アハハ、たにしの目は当てになりませんよ。

お客は一日一組だけ 小川糸 「食堂かたつむり」

2009-04-25 17:10:23 | 本・読書

「食」べることは「人」に「良」いを実感します。
小川糸さんの「食堂かたつむり」(ポプラ社、1365円)を読んだ。

同じ作者の最新作「喋々喃々」を読んでから、小川さんのデビュー作で発売(08年の1月)当時、テレビなどで取り上げられて、新人作家の作品ながらベストセラーになった本だということを知って読んでみた。

レストランで共働きしながら、同棲中のインド人の恋人に、
一切合財を持ち逃げされてしまった主人公(若い女性)
残っていたのは祖母の形見「ヌカ漬けの床」だけ。
やむなく、有り金をはたいて、無一文で、軽蔑している不仲の母のいる故郷に帰る。

離れを借りて食堂レストランを開く、レストランは一日に一組の客しか扱わない。
彼女の調理する料理をいただいた人たちは、みんな幸せになり悩みも解決する。
「幸せになれる食堂」として評判になる。

 彼女は最高の食材で、時間をかけて最高の料理を作る。
手際と発想は天才シェフの域でもある。
メニューのない調理の原点は「命を頂く」。
ちょっとしたきっかけから「母との確執」が解けていく。

厳しい言い方をすれば、小説としての表現は粗いが、
ファンタジーとしてみれば、終わりがちゃんと着いている。
読み始めると、先が気になる本だ。

この本を読みながら終始思ったのは、
2年前に、東京渋谷の東急Bunkamura の映画館で観た
ドイツ映画「厨房で逢いましょう」
テーブルは3つしか置かない保養地のレストラン。
孤高の天才シェフが平凡な主婦に恋をする。

「私の料理は、あなたを満たす」身体に触れない愛撫のよう。
「官能料理」を口にする彼女は、エクスタシーが身を満たす。

彼の想いは料理に注がれ、その味は舌と心をとろかせる。
レストランに来た客たちは、彼の料理に堪能し恍惚の表情で、
サラの一枚一枚を舐めつくす。

その後ある事件で、シェフは街にいられなくなって姿を消す。
夫に死なれて彼女もまた、子どもを連れて他国へ引っ越すことになる。
そして、国境の町の食堂でシュークリームを一つ買う。
子どもと半分ずつ分け、口に入れた……女の顔が徐々にほころんでいく。

この「食堂かたつむり」も映画化されることが、決まっているようです。

春の宴 ベニシジミとハルジオン

2009-04-19 22:11:19 | Lyricism
春の野は生の営みが輝いている。
春先から、晩秋まで、草の生える場所には、
どこにでも咲いているハルジオンの花。
白とピンクがある。



年中咲いているので蝶たちにとって、
嬉しい花といえる。

ベニシジミ蝶が無心に、
蜜を吸っていた。









里は春 野に日は満ちて 山の雪しろし

2009-04-15 22:24:45 | 葉っぱの会
朝日山に住むユキウサギさんが、
野には春が来たと、写真を送ってくれました。

>「里の田圃はすっかり雪が融けてしまいました。
>ここ雪国にも、春が訪れています。
>例年より、2週間ほど早いです。
>
>でも、山の雪はまだたっぷり残っています。
>土地では、5月スキーが観光目玉です。
>
>ゴールデンウイークに滑れるのが有名です。
>たらの芽、コゴミが旬になりつつあります。」

>たにし様の湧水田には、
>春がいっぱいですね。」

ユキウサギ様。
写真飾らしていただきます。
いいですね。
>>{

白拍子の舞いに似たる 一人静

2009-04-11 22:07:02 | Lyricism

前々からこの花を、たにしのアルバムに撮りたかった。
ようやく、撮り下すことができました。

毎年、時期が早すぎたり、
散った後で出会えなかったでした。
二人静は、近くに群生地があるので、
すでに2006年5月16日の一人静、二人静に吹く舞い風で咲いています。



里山の林下や土手で見られる多年草。
毎年同じ株から、
4月から5月にかけて花を付ける。



 白いブラシ状の花で、
 白拍子の舞いに似ていることから、
 源義経の妻「静御前」に因んだ名とされている。

 ヨシノシズカ(吉野静)、マユハキソウ(眉掃草)
 という別名もある。

 花言葉は「静謐」「隠された美」

桜の花びらごとに 「喋々喃々」小川糸

2009-04-05 08:20:19 | 本・読書

花の宵は栞さんに逢うべし――
小川糸「喋々喃々」ポプラ社1575円を読む。

東京下町の谷中。
谷根千といわれる界隈の街で、
アンティーク和装店(ひめまつ屋)をひとりで営む栞さん。

お茶会に行く着物を探しに来たと正月早々、
サラリーマン風の男が訪れた。

おいしい食事処、スイーツの店、居酒屋、お酒処、お惣菜店。
そして、朝倉彫塑館、根津神社、湯島天神など史跡・名所が、
すべて実名でデイトの場所として登場します。

上等なお菓子をゆっくり味わい。少し苦いお茶でうるおす。
銘酒をお猪口でふくみ(コップ酒なんてとんでもない)いただく。

そんなのひとときの時間と味わいを、女の、
心と身体の襞が紡ぎだすような言葉で綴られた小説です。

外出やデートはいつも、
季節の移ろい、心のあやに合わせて着物をえらぶ。

「喋々喃々」(ちょうちょうなんなん)
男女がうちとけて、小声で楽しげに、語り合う様子――と、
本のオビに記されています。

それにしても、たにしの爺が許せないのは、
この一介のサラリーマ氏。妻子がいて、
小田急線の町田に住んでいるのに、
しょっちゅう谷根千の街に来ては、
栞さんに想われデートしてもらえる。
許せない!!


色付く細身越年蜻蛉(ホソミオツネントンボ)

2009-04-01 21:21:34 | Lyricism

その後の、「「細身越年蜻蛉(ホソミオツネントンボ)」」です。
成虫のまま冬を耐えてきて、春の訪れと共に褐色から青色へ。

冬枯れの草木の中に、褐色の隠れ蓑をまとい冬を越してきたが、
春の陽光を浴びて、体色が淡い空色に戻り始めた。
やがて美しい瑠璃色に染まる。
前回の種と同じかどうかは分からない。