たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

人間―有機化合物から、非有機物体に変身?―「サピエンス全史」

2017-02-23 11:32:48 | 本・読書

サピエンスの終焉、超ホモ・サピエンスへ、
コンピューターの中で人間の脳が動き回る

話題の文明書「サピエンス全史―文明の構造と人類の幸福」下巻を読み終えました。
  たにしの爺、上巻については、暮れから正月にかけて読み終えて、
1月8日に「人類種として唯一生き延びたホモ・サピエンス」として記事にしています。

下巻の順番が来るのを待っていましたが、2月10日に連絡が入って返却日は25日でした。
しっかり読んでいきたいと思いつつ、図書館の本ということと、
順番待ちの人が4人もいるので、どうしても速読になってしまいました。
上下巻とも再度、借り出して読みたい本です。
どうでもいいことを長々しく書き出しましたが、
下巻について述べるには助走が必要でした。



<下巻>の構成は<上巻>第3部「人類の統一」の続きの章として、
・宗教による超人間的秩序
・歴史には必然性があるのか、と問う。それは「ノー」であるとする。
 歴史は何らかの「謎めいた選択」の結果だとする。

*第4部は「科学革命」
・人類は過去500年間で前例のない驚くべき発展をした。
科学が「帝国主義」「資本主義」「産業革命の推進力」となって、
市場の拡大と限りない欲望のグローバル化をもたらした。
しかし、それら文明は人間を幸福にしたのか、と問う。

・「国家や権力の発展」は必ずしも、みんなの幸せにつながらない。
拡大や成長ばかりを追い求めることになってしまう。
狩猟採集民の方が、現代人より幸せだったのではないかという。



*最終の第20章「超ホモ・サピエンスの時代へ」
・バイオニック生命体から、ホモ・サピエンスの性能を高めて、
異なる種類の存在にしようとしている科学プロジェクト。
・それらのプロジェクトはもう、止められなくなっている。
・ギルガメッシュ・プロジェクトは科学の大黒柱なのだと。

そして、私たちが直面している真の疑問は、
「私たちは何になりたいのか?」ではなく、
「私たちは何を望みたいのか?」かもしれない。
と結論付けます。

「あとがき――神になった動物」の冒頭の部分と、最後の3行を引用します。
・7万年前、ホモ・サピエンスはまだ、
アフリカの片隅で生きていくのに精一杯の、取るに足りない動物だった。
ところがその後の年月に、全地球の主となり、生態系を脅かすに至った。
今日、ホモ・サピエンスは、神になる寸前で、
永遠の若さばかりか、創造と破壊の神聖な能力さえも手に入れかけている。

<中略>

・その結果、私たちは仲間の動物たちや周囲の生態系を悲惨な目に遭わせ、
自分自身の快適さや楽しみ以外はほとんど追い求めないが、それでもけっして満足できずにいる。
・自分が何を望んでいるかもわからない。不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろうか?


読み終えて、 たにしの爺的感懐は「ホモ・サピエンス」の歩みは、
弱肉強食、先進と停滞、支配と隷属の連鎖であって、この先、
私たちはすでに、生存の一部を委ねている「バイオニック生命体」の支配による、
「不死」の人間になる道が開け始めている。「死なない人類」の誕生である。
行き着く先は「ホモ・サピエンスの終焉」です。



このままでは、サピエンスは地球を荒廃させる最も危険な生物でしかない。
そう警告する著者は若いイスラエル人歴史学者・ユヴァル・ノア・ハラリである。

本書は老い先の短い「好奇高齢者(後期高齢者)」にとっても、
100年後の地球世界を知っておくために熟読に値する。
「私たちは幸せだったのか」とー―



NHK「クローズアップ現代」
2017年1月4日(水)放送のハイライトを参考に再度添付します。
――“幸福”を探して 人類250万年の旅 ~リーダーたちも注目!世界的ベストセラー~――


この実、何の実、この樹、何の樹、初めて知ったモミジバフウ(紅葉葉楓)

2017-02-19 12:53:19 | 散策の詩

昨日18日土曜日は、雪が溶け始める24節気の「雨水」でした。
しかし、前日17日金曜日の「春一番」から一転、
春先気候の崖下に転落「冷温冷風」の一日になりました。
それでも、佐保姫は一進一退、近づいているのでしょう。



前回の記事で県立北総花の丘公園はに立ち寄り、
サクラの咲き初めと白梅をアップしました。
白梅と咲き初め桜の一角を除けば、
公園の広場は冬木立と枯芝の寒風景でした。



かなりの面積を占める枯れ木立ちの下には、
茶色の球形の実がびっしり落ちていました。



高木の枝先には茶色の玉がぶら下がっていました。
枝には「恐竜の背や尾」のような帯状成分があります。
掛けてある木札には「モミジバフウ・マンサク科」とありました。
帰って調べてみました。



落葉高木で街路樹や公園木として植栽されている。
葉がモミジによく似ているので、モミジバフウの名がついている。
花は4月頃に咲き、雌の花序は球形で垂れ下がる。
枝にコルク質の稜(翼)ができる特徴があるという。



紅葉の美しさは庭木の中でも際立つ美しさで、
紅葉が進むにつれ、葉色が変化していくので、
街路樹を彩る紅葉のグラデーションが美しい、
ということを知りました。



この公園には季節にかかわらず、気持ちよく歩けるので、
成田方面に行った際、ときどき、立ち寄っていましたが、
この樹木群に格別、気を留めたことはありませんでした。
今年はこの樹木の季節に、注目していきたいと思います。



拾い集めた実を見てみるとかなり「奇怪」な形状ですね。
なんか「イガイガ虫」が迫ってくる身震い感もあります。
空洞の中には種が入っていて、風に乗って飛散するのだという。



一見すると、楓カエデの実とか鈴懸スズカケ、プラタナスの実に似ています。
実はこのカエデ、スズカケ、プラタナスの違い区別もよく知らないのです。


3月陽気、今日の白梅シラウメと桜サクラ

2017-02-15 22:15:29 | 花とつぶやき

気温が3月、4月並になった2017・2・15日。
買い物ついでに県立北総花の丘公園はに立ち寄りました。





なんと、サクラが咲き始めていました。



白梅も青空に浮かぶかのように、まぶしく輝いていました。



マンサクも色付いていました。



この公園は千葉ニュータウン地区で最も大きな都市公園です。
公園は道路を隔てて5つのゾーンに分かれます。
端から端まで歩けば1万歩を超します。



県立だけあって、手入れが行き届いていて、
いつ行っても心地よい散策を楽しめます。



隣接して大規模なUR公営住宅があります。
空き室が在りそうなので、ここに移ったら、
毎朝いい徘徊が楽しめそうです。
上京するには、
日本一運賃の高いの北総線を利用しなければなりません。



成田空港へも、羽田空港へも一本線で行けるけど、
その先の空へ上がる運賃がない。

春日差し、寒風に紅梅耐え、春耕を待つ菜畑

2017-02-12 15:25:06 | 散策の詩

立春から一一週間。
日差しはあれど、風強く春寒の日曜日になっています。





徘徊の道野辺は、なお「春浅し」の気分です。
紅千鳥がほころんでいました。
白梅の古木は満開状態です。





春耕を待つ霜融けの菜田圃の影はくっきり。
ホトケノザ、おおイヌフグリが花を付けていました。







山陰地方を中心に、西日本では記録的な大雪になっています。
この時期の大雪は春への準備です。
これから「三寒四温」を繰り返し、
春一番が吹けば春本番になることでしょう。

持続的好奇高齢者になる「感動する脳」

2017-02-07 09:59:12 | 本・読書

感動の素―「意外性」と「懐かしさ」が感情を揺さぶる。

最近、こんな本を読みました。
「感動する脳」茂木健一郎著<PHP研究所>

手にしたきっかけは、いつも行く市川市の図書館。
大活字本のコーナーで池波さんの「鬼平」第19巻全3分冊と、
残りの2冊分(5冊が借り出し限度)を物色していたら、
目についたのが、表題の「感動する脳」でした。
借りてよかった、とても参考になり、大いに「感動」しました。



人の「心」を動かす源流は脳にあると著者の言う。
脳を活性するには「感動すること」だという。

アインシュタインが「感動することをやめた人は、
生きていないのと同じことである」と言ったように、
「感動」こそが、人を新しい行動にかりたて、
そして、人生を変える力になるというのが同書のコアとなっています。



齢をとると、よく「涙もろくなる」という。
たにしの爺も最近では、
「稀勢の里」の優勝インタビューを見ていて、目頭が緩みました。
映画を見ていて、暗がりで涙が出て、頬を伝わることがよくあります。
いづれも「感動した」証ですね。



人生において、胸が締め付けられるような苦しい思いや、
悲しみを味わうことがあります。
また、胸がワクワク、ドキドキする喜びを感じるときもあります。
脳科学者の著者は言う。
それらの苦しみや喜びのメカニズムの素は、
心・ハートではなく「脳内現象であると」。



同書によって「蒙が啓かれ」「感動した」フレーズを、
目次と本文から、いくつか抜き書きしてみました。

はじめにーー心は脳に宿る
人間の「心」を支配する脳
大切なのは「意欲」
「根拠なき自信」でも、脳は自信を持つ
意欲が脳を刺激する
人生は不確実性に満ちている
意欲は美しい環境から生まれる
欲望のレベルを高くしよう
「感動」は脳を進化させる
「若さ」とは、変化するということ
たくさんの言葉が心を豊かにする
「ネガティブ脳」のメカニズム
負のスパイラルから抜け出す方法
「感動脳」を育てる
心に空白部分をつくる



意欲なくして創造性は芽生えず、創造性のないところに、感動はやってこない。
脳は体験したことを一生、蓄積続ける。
側頭葉に蓄積された情報は、前頭葉によって「意欲」や「価値観」は活用される。
努力によって、多くの情報を側頭葉に蓄積するのが秀才で、それを前頭葉によって想像力に変えていくのが天才。
人間の文化は、美意識への高い欲望から生まれる。
不確実性へのチャレンジこそが、脳を活性化させる重要な要素である。
心の持ちようが脳の活動を裏付ける。
引っ込み思案の人は、脳までが引っ込み思案になっている。



本書は、評判の脳科学者・茂木健一郎さんが、
感動のメカニズムと人生について述べたもので、
ワクワク、ドキドキした日々を送りたい高齢者に必読の書です。
たにしの爺、「好奇心」と「感動」を求めて今日も徘徊を続けます。




池波さんの「鬼平」を読んでいると、実に楽しいです。
「鬼平」が終わったら、「剣客」です。

水鳥の遊ぶ春立つ日の池

2017-02-05 12:01:16 | 24節気

晴天が続いている当地では、水辺の光には春の兆しが訪れていました。
今日は雲が厚く広がってきました。久しぶりに雨になるのだろうか。

きのう4日は、2017年の立春でした。
この日のテレビアナの常套句は、「暦の上では今日から春になります」
しかし実際、季節的には春になった訳ではありません。
これからが寒さの本番になります。

立春と言っても、春が立つという意味で、この頃から、
気温の底はピークを過ぎ、
徐々に春めいた気温や天気に変わっていくというわけです。



日本の暦には自然の変化とともに、季節を分ける日があります。
代表的な節目は「24節気」で、カレンダーにも表示されています。

今年、これまでに過ごしてきた節気は次の通りです。
新春早々の1月5日は、寒さが本格的になる「小寒」でした。
1月20日は「大寒」で、一年で最も寒いとされています。
そして2月4日は「立春」。暦の上では春となる日です。



これから先、2月18日は「雨水」、雪が雨に変わり、雪や氷が溶けて水となるとされています。
3月5日は虫たちが動き出す「啓蟄」。
ブログ管理人「たにしの爺」も もそもそしだすことでしょう。

3月20日は最初の四節気「春分の日」になります。
昼と夜の時間が同じになり、本格的な春になり、
サクラ開花宣言があちこちの街から聞こえるようになります。



たにしの爺、4月8日には「ちょ筋」仲間と花見会が約束されています。
みな健康に気遣う歳で、お酒で盛り上がるより、
病院と飲んでいる薬の話で盛り上がります。
花見日和になることを祈っています。