たにしのアブク 風綴り

86歳・たにしの爺。独り徘徊と追慕の日々は永い。

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を

2010-07-30 22:07:00 | 劇場映画

ボスの指令「殺せ」と言われ、銃弾を撃ち込むだけの、
非情なキラー・マン(殺し屋)にも友情の絆があった。


マカオの高級住宅、料理を作る美しいフランス人の妻。
かわいい二人の娘が遊んでいる。中国人の夫が帰宅した。
一家の楽しい食卓風景になるはずだった。

突然ドアが爆破され、銃弾の雨に夫は蜂の巣に。
妻は子どもを庇いながら、銃撃の応酬戦になる。
3人組みの男が子どもに非情な銃弾を浴びせる。
血しぶきが飛び散る惨劇の跡。

高級ホテルの8階、3人組の男。
メイドから掠め取ったカードキーが差し込まれる。
室内では全裸の男女が行為の最中。激しい息遣い。
女の声が高潮に達っしたとき男の背中に銃弾数発。

部屋の前を通り過ぎる1人の男。
消音銃の音を微かに聞く。出てきた3人組と会う。
衿を立てた長身のヒゲ男、顔の傷もただ者でない。
4人は見つめあったまま。やがて何事もなく解散。

5月の封切りローショーで見る機会がなかった。
2009年香港・フランス合作映画
「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」を見てきた。
ジョニー・トー監督最新作――
世界が認めた”心で泣く映画”、孤高のハードボイルド・エンタテインメント――
予告編の惹き文句である。

フランスにレストランを持っている男・コステロ(ジョニー・アリディ)は、
最愛の娘・アイリーンと家族が何者かに惨殺されたことを知らされる。

3人の殺し屋たちと手を組み、娘の復讐を誓う。
彼もまた、凄腕の殺し屋だった過去を持つ身だ。
彼はかつて頭に銃弾を受けていた。
徐々に記憶を失い始めていた……。

映画は香港を舞台に、すさまじい銃器戦が展開される。
香港映画のカリスマ・ジョニー・トー監督が求めるのは、
銃器への賛美と銃撃戦のリアリティと様式美。

月夜のキャンプ場、雨中の非常階段、ゴミの集積場
銃弾の嵐、血煙、のけぞり跳ねる男たち。
マグナム弾の銃撃音が、館内を圧倒する。

同じボスの支配を受ける殺し屋対殺し屋。
死も辞さない殺し屋同士の固い絆。
非情な世界に生きる男たちの友情。
くわえタバコで銃弾に身をさらす。

殺し屋が、殺された身内の復讐に執念を燃やす。
復讐されるべきは、お前だと言いたいところ、だがしかし、
フランスから来て主演を張るジョニー・アリディ、
寡黙で、切なさが滲む、なんともいえない魅力だ。

たにしの爺に一言、言わしてもらえば……
これほどご都合主義に出来た映画はない。
細かいストーリーの整合性など何もない。

もう一言、
過去に傷を持ち、暗い影を落とし、孤独に耐え、
心根はナイーブ……そうです。
あの市川雷蔵、鶴田浩二、高倉健なのです。
日本の任侠映画路線を張ったあの男たち。
腹にさらしを巻いて、長ドスを差しこみ、
義理と仁義に生きる、白刃の殺陣の方が、。
銃撃戦より、スタイリッシュではなかろうか。

さらに一言
この映画、封切られたときは上映館がすくなく、
足を運べなく見損なっていたが先日、上京した際、
東銀座から歩いていたら、目の前に映画村というか、
面白い一帯があった。銀座シネパトス

ご覧のように、新旧の名画が並んでいるではないか。
まさに、シネマパラダイスですね。

映画館を出ると強烈な太陽にクラッツとなりました。
隣りにあった、
おかきの「播磨屋本店」のフリーカフェで涼をとって、
しばし心地よい時間を過ごしました。

4丁目交差点の「銀座三越は」改装閉店前で、
入る人も少なく、店内はガランとしていました。
掘り出し物があるか、覗いてみようと思いましたが、
時間がなく、メトロの階段を下りていきました。


地デジ 爺は未だアナログ派

2010-07-25 09:38:42 | Journalism

 昨日は2011年7月24日、
地デジ完全移行まで残り1年の境日。

 所官庁の総務省を中心に、
テレビ中心のメディアが多彩にPRしていた。
全国の普及率は80%超だといわれている。

 家電量販店に行けば、
薄型、地デジ対応の大型テレビが店内を占拠している。
うちはアナログブラウン管TVを堅持しています。
残り20%の一員ですね。
このまま行くと1年後には、うちのテレビは無用になる。

 支払い済みのNHK視聴料は、還してくれるのかな。
NHKさん、教えて下さい。
 あまり暑いので、たにしの爺、
訳の分らないアブクを噴いて、フー、フーです。

「編集者の仕事」 紙に印刷した本 電子書籍 セルフパブリッシング

2010-07-19 07:49:47 | 本・読書

「編集者の仕事」という本を読みました。
新潮社刊・新潮選書、柴田光滋・著、735円。
サブタイルは「本の魂は細部に宿る」
そして帯には『いい本』はどこが違うのかと。

なぜこの本を、手にとって見る気なったのでしょうか。
出版産業が衝撃的な革命時代を迎えています。
紙印刷(アナログ)から、電子書籍(デジタル)へ。
出版社、取次店の流通機構から、セルフパブリッシングへ。

「いい本」とはどんな本でしょうか。 筆者の柴田氏は「いい本」とは、
編集者の行き届いた仕事によって作られた「もの」だという。

著者は、日本有数の伝統出版社の新潮社で、
永年たずさわった本作りの苦心談とこだわりを、細部にわたって、
ご自身が担当した作品を例に、ウンチクを誇りに満ちて語ります。

表紙から版型(本の大きさ)、文字の書体、サイズ、文字詰め、
紙の色質、扉、見返し、表紙カバーまで、
紙で作る本の作業の質をいかに高めていくかについて、綴られています。

これらのワザが行き届いている本が「いい本」で、
本を手にしたとき、開いたとき、心地よく読めるのだという。
もちろん、書かれている内容の質が「本の良さの最大要素」であることは言うまでもないが、
作品を生かすも殺すも編集者の質の高さによるという。
たにしの爺、まったく同感です。

少々やっかみで言えば、こういう本を、社員だった人の仕事のウンチクを、
自社で出版する新潮社という会社に敬意(ム?)・・・
さすが「週刊新潮」の会社です。



それはさておき、「国民読書年」の今年、この本を、
後世に残しておきたい本として最高に評価します。

デジタル出版元年「電子書籍」時代を迎えて、
アナログ時代の編集者のこだわりとワザが、
デジタル出版に、どのように生かされていくのか、
あるいはまったく、継承されることなく無視されてしまうのか。
「本の魂は細部に宿る」という、柴田氏がいう「魂」が、
電子書籍にどのように「宿る」のかを見守る尺度として、
この本「編集者の仕事」はメルクマールとなるでしょう。


活版印刷所の職人さんたちが、
活字を並べて印刷物を作っていた時代から、
パソコンによるDTP(デスクトップパブリッシング)、そして電子書籍。
グーテンベルクの印刷術から続いてきた、紙に印刷する本が消えていく、
デジタル読書時代。そして、セルフパブリッシング(自主編集・自主出版)

「本」という有形なモノがない読書。出版社、取次ぎ会社、書店、読者・・・
本を読む風景がどのように、変わって行くのでしょうか。
しかし、たにしの爺は確信します。
紙に印刷する本は絶対になくなることはない。

書店内徘徊は、たにしの爺の趣味としています。
図書館もそうですが、本の背表紙をながめていくと、
まあ、いろいろな本が書かれて、出版されたものだと感心します。

最近の大型書店は、ベストセラーが順位で並んでいたり、
映画化された本のコーナーがあったりして、楽しめます。
カラー装飾が満載です。
最新刊や「文庫本」の平積み陳列が圧倒しています。

10年も、20年も昔になります。
駅前の小さな本屋さんに立ち寄り、棚の本を1冊、1冊みては、
気になる本に出会うと、引き出して、パラパラめくって見ます。
その頃に比べ、最近の本は造り方が派手になっています。

なぜ、その本を手にとって見たくなるのでしょうか。
本が、私が手に取ることを待っていた、そんな感じがします。
本との出合いですね。知らない事象への扉が開きます。
そのときの、自分の精神の存在、関心の方向が、深く関わっているのでしょうか。


スペイン悲願実る W杯、初の黄金のチャンピオン

2010-07-12 06:36:32 | Journalism

3回目の決勝戦に進んだオランダ。
過去最高4位に甘んじていたスペイン。

初のチャンピオンを目指す決勝戦は、
双方、イエローカード続出の激しい攻防も、
決着が付かず延長戦に突入。

延長後半戦、スペインに神が降りてきた。

ゴールペナルティーアークで、
相手のクリアボールを拾ったセスクが右前にパス。
受けたイニエスタがワンタッチから逆サイドを狙い、
ボレーシュート! が決まる。スペイン先制!

この1点を守り、
無敵艦隊スペインがワールドカップを初めて制覇した。
VIVA エスパーニャ





スペイン悲願 決勝進出なる

2010-07-08 05:43:35 | 劇場映画


スペインがドイツに1-0で押し勝った。
2年前、2008年の欧州選手権と同じ顔ぶれとなった、
2010ワールドカップ(W杯)準決勝は、
スペインが悲願のファイナル戦へ進出した。

両軍、ゴール前の怒涛の攻防はまさに圧巻だった。結局、
スペイン、後半28分、コーナーキックから、ブジョルのヘッデイングであげた1点を守りきった。

これまで、無敵艦隊といわれながら、W杯の頂点には届かなかったスペイン。
同じく、初優勝目指すオランダと決勝戦となった。
すさまじい戦いになるだろう。


都内のゲンゴロウが絶滅 レッドリスト入りになった

2010-07-04 22:15:27 | Journalism

ゲンゴロウが都内から絶滅

水生昆虫のゲンゴロウが都内から消えた、
絶滅したことが東京都の調べで分かった。

たにしの爺、昔は池や水田で黒い楕円のゲンゴロウを、
よく見かけていました。
水中を直線的に泳ぎ、ときたま水面からちょこっと、
口を出しては水中に潜水する。
後に小さな気泡を幾つも残していく。
ときには、ミズクサの茎に掴まって身体を干している。

 ところで、以前はよく「たにしの湧水田」に、
顔を出してくれたゲンゴロウさんは、
最近出てこないけれど、元気でいるのかな、
蓑虫さんもどうしているのかな。



今年は「国際生物多様性条約国会議(COP10)」が、10月に名古屋で開かれます。
この条約は、
地球上のすべての生き物が等しく将来にわたって棲息できる環境を享受し
利用できるために結ばれた条約です。

ゲンゴロウのように、人間の生活による環境汚染によって、
絶滅させられた地球上の生き物は、
毎年、数千種が絶滅しているという、
最後の絶滅種は、人間によって破壊されるヒトでしょう

夏つながりです。半夏 ハンゲショウ 半夏生

2010-07-02 06:02:02 | 花とつぶやき

1年の折り返し点ともいえる7月に入りました。
暦の歳時記によると今日、2日は「半夏(はんげ)」とあります。

夏至から数えて11日目、本日がその日です。
21日に更新した「今日は24節気の夏至、夏の意味」つながりです。
「半夏」--お坊さんたちが、雨季の季節に外出を控え、
籠もって修業する「夏安居」の半分の日とされています。
要するに折り返し点ですね。



また、ハンゲショウ、半夏生(はんげしょうが生ずる)頃ともあります。
ドクダミ科の植物。ちょうど今頃に葉を半分だけ白く染める。
緑陰のなかで白く光っているさまは、幽玄ですね。

別名では「半化粧」「片白草」とも。花言葉は「内に秘めた情熱」



とうの昔に折り返し点は過ぎている たにしの爺。
残照=X(エックス)が限りなくゼロに近づいていく恐怖。
 たにしのあぶ句です。
半夏生 今年も同じ 場所に生え
半夏雨 片白濡らし 立ち止まる