…… 遠い昔 電車で旅をするとき おとうさんが おかあさんの
顔を窺いながら 買ってくれた アイスクリームは…
ザラザラっとした氷のツブ と 濃いミルクがまじりあって
サラサラして スッーと とけてゆく 喉をすべってゆく
天国みたいな 食べ物だった。
経木でできた大きなマッチ箱みたいな入れ物にはいっていて
すっと横に蓋をすべらすと ひんやりした 水蒸気 が
ふわっと立ち上って ほのかに あまーい におい
その頃 日本はゆたかではなく 我が家はたぶん 裕福では
なかったから ぎゅうぎゅう詰めの冷房の無い電車 固い
椅子に座って食べるアイスクリームは贅沢なんてもんじゃ
なかった……
● ● のシェイクは 束の間 わたしを 遠い昔に
連れていってくれて だから.....
3.11 の時の 被災地応援食材 も 惑鴆トマトも 辛抱
したのだが もう おしまい。
個人的な見解だが ノスタルジー 抜きにしても
ぽったり もったり 重たい なめらかな 形状はクリーム
様だけど ミルク感のない あれは ウラギリ。