爆笑問題の太田光の書き下ろし小説。物語は、「架空の小国の首相が世界会議に遅刻したことでテロを免れたのをきっかけに、言葉の力を信じて世界を一つにするべく立ち上がる政治エンターテインメント」と紹介されている。原稿用紙1,188枚の長編大作で、2段組で530頁もある。今年の3月、幻冬舎から2,200円で発売された。
太田は大変な読書家で教養もある。本作は人気芸人の片手間作品のレベルではなく、プロレベルの小説として仕上がっている。出来栄えには本人も相当自信があったようだが、残念ながら、それほど話題になることも、売上ランキングに名前があがることも、もちろん直木賞にノミネートされることもなかった。
茅ヶ崎図書館が入荷したので、借りて読んでみた。
荒唐無稽な話をリアリティをもって語るのは、これがSFだと思えば許容できる。話も途中までは面白かった。問題は、思わせぶりな伏線を長々と語る割には結末が薄っぺらなことだ。登場人物のキャラに一貫性がないのも気になった。読後感も良くない。頁数が多いことも含め、疲れる作品だった。
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