イクイノックスの前走天皇賞は、前半1000mを57秒台のハイペースに巻き込まれたのにもかかわらず、後半1000mも57秒台で駆け抜け、1分55秒2の世界レコードで勝った。常軌を逸した怪走で、長年競馬を見ていて、これほど強い馬は見たことがない。ナリタブライアンにもディープインパクトにも感じたことがない強さだった。
今回のジャパンカップはイクイノックスの一本かぶり。もう相手になる馬がいない。牝馬三冠のリバティアイランドが対抗馬に挙げられたが、役不足は否めない。波乱要素は、パンサラッサ、タイトルホルダーの逃げ馬2頭。天皇賞のようにハイペースに巻き込まれると、距離が長くなった分、ゴール前で失速する可能性もある。もっとも、強力な追い込み馬もいないから、鉄板のレースだった。
案の定、パンサラッサが大逃げを打った。前半1000mが57秒6のハイペース。イクイノックスは離れた3番手を追走しており、61秒ぐらいのペースだったと思う。このあたりは、ルメールの冷静な騎乗が光る。
最後の直線、パンサラッサがまだ大差をつけて残っていて、逃げ残りかと思われたが、残り200mでイクイノックスがこれをかわし、あとは差を広げ4馬身差の楽勝。2着にはリバティアイランドが入った。ルメールは鞍上で男泣きしていたが、普通に乗って普通に勝った印象だった。
イクイノックスの今後が気になる。有馬記念に出ても勝つのは分かっているから、このまま引退したほうがいいように思える。