京男雑記帳

洛中で生まれ育った京男が地元視点で見た日常風景や話を雑記的に掲載

節分

2006年02月03日 07時23分35秒 | 風景


京都人のDNAの中には、新暦よりも旧暦の感覚が強く残っているように思う。
事実、京都の行事は旧暦で開催することが多い。
立春が来ると春の到来と思ってしまうのが京都人。今年の立春は4日です。
旧暦(太陰太陽暦)の正月は、いまの正月よりも約一カ月遅れます。
その時に立春が同時に来るので前日の3日の節分の夜は、年越しの夜と実感されてきたのです。
旧暦のベースにある陰陽道では、四季の春と夏は「陽」、秋と冬は「陰」にあたります。
その陰と陽の境目の節分の夜は、年間の最大の秩序の転換が行われると考えます。
節分とは、季節を分けるということなんです。
だから新暦の年越しよりも、節分の年越しの方が遥かに重要なのです。
節分の晩に、ひとりにひとつ「歳」という福徳を携えた歳神さんが来訪するのです。
と同時に鬼に代表される魔も到来するのです。



だからいかにして鬼や魔を防ぎ、歳神さんに来てもらうかが節分の大事な行事なんです。
「豆まき」も豆の霊力で邪気を払うのです。またイワシの頭をヒイラギの枝に刺し、
家の入り口に差すのもイワシの頭の悪臭で、邪気が家に入ってこないようにしているのです。
歳神さんの来られる方向が恵方(今年は、南微東)というやつね。



近年、巻き寿司を恵方に向いて丸かじりというのがコンビニやお寿司屋さんでやっていますね。
あの習慣は、大阪のお寿司屋さんが考えたのだそうです。それもここ十数年か前にね。
だからやっても意味がないと思います。コンビニで予約して、それを丸かぶりして幸福になろうという根性がいかんね。
そんなことするより歳神さんが気持ちよく来やすいようにちゃんと玄関や家をきれいに掃除した方がええんと違うかな。
京都人が丸かぶりなんて不細工な風習する訳ないんと違うかな。
節分の時、わが家も捲き寿司をもらいますが、食べやすく切って前を向いて正座して、お箸でいただきます。



年越しの時にやって来られる歳徳神は、女性の神さまだそうです。?牛頭天王の后で、八将神の母の頗梨采女(はりさいじょ)であるとか、?須佐之男尊の妃・櫛稲田姫であるとも言われてます。?その恵方から年越しの晩に「歳徳神」がくるのです。本来、これは、旧暦の正月なんです。?この歳徳神の福徳を授かることによって年をちゃんと越し、?新年の一年のその家の繁栄を保証してもらうというのです。?つまり歳徳神、屋敷神や竃神(かまどがみ)、水神(すいじん)さんたちは、一年契約なのですよ!?契約の更新料はいらへんと思いますけど。

新暦で迎え損ねたご家庭の方々、今年のラストチャンスですよ。
でもイワシのカンザシを頭に差し、巻き寿司をくわえて、年越しそばをすすり、
豆をまき散らしたら近所のお人に保健所に通報されますよ。ご注意ください。

コメント
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