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尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

安倍首相夫妻に見る「夫は妻を代表できるか」問題

2018年03月20日 21時20分13秒 |  〃  (安倍政権論)
 森友学園をめぐる国有地払下げや文書書き換えの問題は、いまだよく判らない点が多すぎる。そういう問題も大事だけど、この問題をめぐる安倍首相、あるいは安倍昭恵夫人の「ふるまい方」に大きな問題を感じ取ることがたくさんある。安倍首相の国会答弁にこういうものがあった。「削除された文書を見ても、忖度したとは書かれていない」。うーん、困ったな。これって何なんだ?

 単に言葉を知らないだけなのかもしれないけど…。公務員が文書に「首相夫人に忖度した」と書くわけがない。もし公文書に書いてあったら、それはもう「忖度」じゃないでしょ。自分は知らない、命じていないと何度も言ってるけど、首相が知らないところで、首相夫人の名前を公文書から消してしまう。そういう「部下」を持っていることに、何の恐れも感じないのかも。自分は知らないんだから、何の問題もないじゃんと心の奥底から本気で思ってるのかも。 

 ところで、皆が知るように首相夫人安倍昭恵氏は、森友学園問題が発覚してからこの問題で何の発言もしていない。外国訪問に同行したりはしているので、公的活動をすべて止めたわけではない。今回も「妻に確認したところ、そのような発言はしていないということだ」などと国会で答弁している。森友学園の籠池夫妻はすでに逮捕・起訴され、近畿財務局も背任で告発されている。刑事事件になっている問題で、「伝聞証拠」を出してくるとは国会をないがしろにするものだ。

 そもそも「妻の行動を夫がどこまで代弁できるのだろうか」と思う。私的領域の出来事は構わないだろう。芸能人の結婚記者会見で、なれそめはなんて質問に、夫だけが代表して答えたってとやかく言うわけにもいかない。でも、「公的領域」の場合は代表できないはずだ。日本の民法では、夫婦の共有財産などは認めていない。夫の物は夫の物、妻の物は妻の物。(限度額以上の)贈与すれば贈与税がかかる。今回の「名誉校長」は無給の名誉職なんだろうが、妻の公的活動なんだから、夫はすべてを代表できない

 もっとも籠池氏がどこまで信用できる人物か、きわめて怪しいと思う。首相夫人がこう言った、ああ言ったと勝手にふくらませて大きなことを言ってる感じもする。全部じゃないかもしれないが、そういうホラ話をあったんじゃないか。だが、その場合でも「名誉校長になった」という公的責任があるのだから、公的な場でちゃんと語る必要がある。だまされていたと主張するなら、自分でちゃんと言わないといけない。一度も記者会見さえしないんだから、国会に証人として呼ぶ必要がある。

 しかし、僕が言いたいのはそういうことじゃない。この安倍首相のふるまいを見ていると、「女性活躍社会」というのが、やっぱりウソだと判るのである。妻を公的な役目を持った人間として認めていない。自分の足を引っ張る存在としかとらえていない。それがホンネなんだろう。間違いなく「名誉校長」だったんだから、「妻にも自分の言葉で説明するように言っておきます」というのが、「対等な関係の夫婦」というもんじゃないだろうか。

 森友問題以上に、そっちの方が重大かもしれないと思う。安倍首相は、妻がやってた名誉職はほとんど辞めることにしたと語っている。全部と言わないけど、今後もやるのは何だろう。今回の問題を見ると、安倍首相夫人に「公的な名誉職」を務める意味が判っているのか心配だ。僕が思うに、首相夫人が様々な名誉職的な仕事をするのは、一向にかまわないと思う。しかし、「森友学園の小学校名誉校長」は実は名誉職ではない。福祉とか芸術などの応援活動ではない。それは「イデオロギー活動」だった。だから、もともと首相夫人がやるべきものではなかった。それが判っていて、だから出てこないのだろうが、この夫婦は判らないことばかりである。
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