2018年のアカデミー賞の作品賞、監督賞、美術賞、作曲賞の4部門で受賞した「シェイプ・オブ・ウォーター」(The Shape of Water)を見た。これは愛の名作だなあと思った。「スリー・ビルボード」が先読み不能なのに対し、「シェイプ・オブ・ウォーター」はこうなるだろうという方向で物語が進行する。物語の進行が大事なのではなく、愛のファンタジーの美しさが心に残る映画。

この映画は基本的に「ジャンル映画」として作られている。ベースは「モンスター映画」だが、ゴジラやモスラのような怪獣ではなく、フランケンシュタインとか「アマゾンの半魚人」とかの怪物である。1962年、アメリカの秘密研究施設に「半魚人」(なんというべきかよく判らないが)が連れられてくる。偶然目撃した清掃員イライザ(サリー・ホーキンス)は、耳は聞こえるものの言葉がしゃべれない。イライザは実験で殺されようとしている「怪物」に次第に心を寄せていく。
ここまでは事前情報で知っていたわけだが、見てみると「スパイ映画」としても作られていた。冷戦下、この謎の生物をめぐって米ソが裏で争っていたというわけである。「愛のファンタジー」の外側を規定する枠組みとして米ソスパイ戦がある。だから政治的に怪物を抹殺する動きも出てきて、イライザは戦うしかなくなる。周囲の助けを得て、イライザは自分の部屋に彼を連れてくる。
言葉を使えない彼女と「怪物」は、だんだん心を伝えあえるようになり、美しいミュージカルシーンがある。このような「ジャンル・ミックス」の魅力がこの映画を忘れがたくしている。映画では今までも異星人と心を通わせたり、いくつもの「異文化理解」の名作が作られてきた。この映画は「モンスター」や「冷戦」という枠組みを使って、どんな人にも愛への扉が開いていることをうたい上げた。名作だと思う。美術や音楽もアカデミー賞を取っただけの素晴らしさである。
主演のサリー・ホーキンスは、「ブルー・ジャスミン」でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、今回主演女優賞にノミネートされた。どちらも受賞しておかしくない素晴らしさだったけど、チャンスに恵まれなかった。主演というより助演タイプだから、今後「シェイプ・オブ・ウォーター」以上の作品に巡り合えるかどうか。この映画の美しさは実に絶品である。監督省受賞のギレルモ・デル・トロはここ最近受賞が目立つメキシコ出身の監督。「パンズ・ラビリンス」や「パシフィック・リム」などを作ったけど、これは一つ図抜けた大傑作。脚本、原案、製作にも加わっている。

この映画は基本的に「ジャンル映画」として作られている。ベースは「モンスター映画」だが、ゴジラやモスラのような怪獣ではなく、フランケンシュタインとか「アマゾンの半魚人」とかの怪物である。1962年、アメリカの秘密研究施設に「半魚人」(なんというべきかよく判らないが)が連れられてくる。偶然目撃した清掃員イライザ(サリー・ホーキンス)は、耳は聞こえるものの言葉がしゃべれない。イライザは実験で殺されようとしている「怪物」に次第に心を寄せていく。
ここまでは事前情報で知っていたわけだが、見てみると「スパイ映画」としても作られていた。冷戦下、この謎の生物をめぐって米ソが裏で争っていたというわけである。「愛のファンタジー」の外側を規定する枠組みとして米ソスパイ戦がある。だから政治的に怪物を抹殺する動きも出てきて、イライザは戦うしかなくなる。周囲の助けを得て、イライザは自分の部屋に彼を連れてくる。
言葉を使えない彼女と「怪物」は、だんだん心を伝えあえるようになり、美しいミュージカルシーンがある。このような「ジャンル・ミックス」の魅力がこの映画を忘れがたくしている。映画では今までも異星人と心を通わせたり、いくつもの「異文化理解」の名作が作られてきた。この映画は「モンスター」や「冷戦」という枠組みを使って、どんな人にも愛への扉が開いていることをうたい上げた。名作だと思う。美術や音楽もアカデミー賞を取っただけの素晴らしさである。
主演のサリー・ホーキンスは、「ブルー・ジャスミン」でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、今回主演女優賞にノミネートされた。どちらも受賞しておかしくない素晴らしさだったけど、チャンスに恵まれなかった。主演というより助演タイプだから、今後「シェイプ・オブ・ウォーター」以上の作品に巡り合えるかどうか。この映画の美しさは実に絶品である。監督省受賞のギレルモ・デル・トロはここ最近受賞が目立つメキシコ出身の監督。「パンズ・ラビリンス」や「パシフィック・リム」などを作ったけど、これは一つ図抜けた大傑作。脚本、原案、製作にも加わっている。