松明 ~光明を指し示して~

暗闇を照らし赤々と燃える。が、自身が燃え上がっては長くはもたない。火を消すことなく新しい松明へと引き継がれねばならない。

taigar先生の授業、学級づくりから

2010-03-27 22:53:11 | Weblog


 私は、taigar先生の勤務する学校には週1回、初任者の先生のお手伝いで勤めている。したがってtaigar先生の学級には、初任者の先生の指導の合間に外からチラッと垣間見るだけであり、詳しくは分からない。しかし、taigar先生の学級の掲示板にある図工の絵や版画の作品、朝のグランドを走る子どもたちの様子、体育館へ出入りする子どもたちの歩く姿などを見ていると、「ああ、よい仕事をしているなあ」と感じてきた。また、先日は国語「大造じいさんとがん」の授業を一時間参観させていただく機会に恵まれた。予想通りのよい授業であった。ここではtaiga先生の授業を中心に少し書いてみる。

5年国語「大造じいさんとがん」の授業から、授業の展開を順を追って概略を記してみる。
1、会話文をどのように読むか
 最後の場面での大造じいさんの会話文は、次のようになっている。
 「おうい。がんの英ゆうよ。おまえみたいなえらぶつを、おれは、ひきょうなやり方でやっつけたかあないぞ。なあおい。今年の冬も、仲間を連れて、ぬま地にやってこいよ。そうして、おれたちは、また、堂々と戦おうじゃないか。」

会話文には次のようなケースが考えられる。
 「お~い、○○先生、宿題を減らしてよ」を例にすると、
①残雪が目の前にいて、声を出して言った。
②残雪が目の前にいて、声を出さずに言った。
③残雪が目の前にいなくて、声を出して言った。
④残雪が目の前にいなくて、声を出さずに言った。
この4通りに大別できるだろう。①の場合は、残雪に、大造じいさんの声が伝わる。しかし、②③④の場合は伝わらないと考えてよい。
 大造じいさんの場合は、①~④のどのケースであろうか。おそらく①と考えてよいだろう。ただ、相手が人間でないから、言葉は伝わらない。従って、大造じいさんは、残雪に対して言ってはいるが、自分に向かって言っていると解釈できる。これは、推測ではあるが平野先生の解釈と考える。
ここの会話文を平野先生は次のように授業を展開された。

Tこの会話文を5つに分けてみよう
C「①おうい。がんの英ゆうよ。②おまえみたいなえらぶつを、おれは、ひきょうなやり方でやっつけたかあないぞ。③なあおい。④今年の冬も、仲間を連れて、ぬま地にやってこいよ。⑤そうして、おれたちは、また、堂々と戦おうじゃないか。」
Tこの会話文で気になった文はどれですか
C②と⑤です。
T②を取り上げて、大造じいさんさんの気持ちがよく表れている言葉はどれですか
C辞書を引きながら、気になる言葉を選ぶ
C「ぞ」を選ぶ
C「ぞ」は、判断や考えを強めている意味です。
Tでは、大造じいさんの判断とは何ですか。
Cひきょうなやり方です
T⑤の文はどうですか
C「か」に注目します
T「か」を辞典で調べると5つあるよ
アうたがいをあらわす。
イ誘いをあらわす。
ウ依頼をあらわす。
エおどろきをあらわす。
オ自分の決心を強くあらわす
Cア~ウの意味を使って短文をつくる
Tこの教科書の文の「か」はどれだろうか
Cイが15人、オが15人となる
Cそれぞれどちらなのか理由を考える
C自分たちで話し合う
C数十分子どもたちでアが相応しいのかオが相応しいのか自由討論する。
T時間内に決着しないので次の時間にやることにしましょう
C「えー、終わるの」「2時までやろうよ」

おおよその流れは以上である。私の見た授業の感想
①子どもたちは、教師や友だちの発言をよく聞いている。
②グループの話し合いがサッとできる。
③辞書を引いて、文に当てはめて考えることができる。
④自由討論ができる。
⑤子どもの心が開かれている
⑥反応がよい。生き生きしている
⑦終了時間がきても集中して話し合っている。
等である。いずれにしても追求型の授業によって子どもがよく育っている。

その他、このクラスの様子いついての感想
① クラスの背面黒板には、多くの子どもたちが「最高の1年であった」と感想を書いている。
子どもたちの多くがこの学級であったことが「最高の1年であった」と言っている。これは担任教師としてほんとうにうれしいことである。自分で築いてきた学級づくりが子どもたちにしっかりと受け入れられた証でもある。
② 朝運動場を走る、長縄跳びが上手い
この学級の教師と子どもが約束をし、実践をする。それも喜びを持って行う。そのことが学校行事での持久走大会や縄跳び大会での好成績につながる。学級全体の連帯感や所属感も強めることにもなった。
③ 図工作品がすごい。(タケノコ、腕相撲、アジサイ、椿の版画の作品)
丁寧に見る、描く、色塗りする、彫る。この指導が全員の子どもの素晴らしい作品につながる。また、このことは同時に子どもたちの心をもつくることにもなる。
④ 体育館への出入りの移動が静かできちんと歩ける。
「体育館に並んで静かに移動する」「用具の準備をする。後片づけをする」などを大切にしている。何でも主活動というものがあるが、その前後がしっかりできなければ主活動は上手くできないと考える。
1年間でよい学級、子どもをつくったなと感心した。taigarさんは、職人的な仕事をする。ある期間に必ず子どもを理想の姿に育てるところが凄いと思う。今後のさらなる発展、活躍を期待したい。