「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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公務員の職務の公正と社会一般の信頼を保護、賄賂罪刑法197条~ロッキード事件を読む

2013-01-24 16:34:46 | シチズンシップ教育
 賄賂罪、公務員の職務の公正と公務員の職務に対する社会一般の信頼を保護法益として存在しています。


****刑法*****
(収賄、受託収賄及び事前収賄)
第百九十七条  公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。
2  公務員になろうとする者が、その担当すべき職務に関し、請託を受けて、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、公務員となった場合において、五年以下の懲役に処する。



 賄賂罪に関する最重要判例が、「ロッキード事件丸紅ルート」の判例(最高裁判決平成7年2月22日)。

 一国の内閣総理大臣が賄賂罪に問われた事件。

 判決文に、賄賂罪についての重要な考え方があります。

 以下、判決文を抜粋します。(判決文重要事項に下線を引きます。赤字で注釈を書きます。)


 構図は、ロッキード社の代理店丸紅から内閣総理大臣に5億円の賄賂が渡され、その見返りとして、内閣総理大臣は、運輸大臣に働きかけをし、運輸大臣が行政指導の形で、ロッキード社製の航空機L1011型機を選定購入するように全日空に働きかけた事件です。

 




*****最高裁ホームページより*****
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115515702127.pdf
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50355&hanreiKbn=02



事件番号 昭和62(あ)1351



事件名 外国為替及び外国貿易管理法違反、贈賄、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反被告事件



裁判年月日 平成7年02月22日



法廷名 最高裁判所大法廷



裁判種別

 判決



結果

 棄却



判例集等巻・号・頁 刑集 第49巻2号1頁




原審裁判所名 東京高等裁判所



原審事件番号

原審裁判年月日 昭和62年07月29日

*****主要部分*****

第二 被告人Bの弁護人宮原守男、同森本脩、同志村利昭の上告趣意第七点にっ
いて所論は、憲法違反、判例違反をいう点を含め、その実質は単なる法令違反の主
張であり、刑訴法四〇五条の上告理由に当たらない。

 所論にかんがみ、職権により被告人Bの贈賄罪の成否について判断する。

 一 本件請託の対象とされた行為のうち、Eが内閣総理大臣として運輸大臣に対
しF株式会社(以下「F」という。)にGの大型航空旅客機L一〇一一型機の選定
購入を勧奨するよう働き掛ける行為が、Eの内閣総理大臣としての職務権限に属す
- 4 -
るとした原判決は、結論において正当として是認できる。その理由は、以下のとお
りである。

 1 賄賂罪は、公務員の職務の公正とこれに対する社会一般の信頼を保護法益と
するものであるから、賄賂と対価関係に立つ行為は、法令上公務員の一般的職務権
限に属する行為であれば足り、公務員が具体的事情の下においてその行為を適法に
行うことができたかどうかは、問うところではない。けだし、公務員が右のような
行為の対価として金品を収受することは、それ自体、職務の公正に対する社会一般
の信頼を害するからである


(賄賂罪の重要性が述べられています。)


 2 Eが内閣総理大臣として運輸大臣に対しFにL一〇一一型機の選定購入を勧
奨するよう働き掛ける行為が、Eの内閣総理大臣としての職務権限に属する行為で
あるというためには、右行為が、Eが運輸大臣を介して全日空に働き掛けるという
間接的なものであることからすると、(1)運輸大臣が全日空にL一〇一一型機の
選定購入を勧奨する行為が運輸大臣の職務権限に属し、かつ、(2)内閣総理大臣
が運輸大臣に対し右勧奨をするよう働き掛けることが内閣総理大臣の職務権限に属
することが必要である
と解される。

(働きかけた事実を証明するべき過程を明らかにしています。)

 (一)そこで、まず、運輸大臣の職務権限について検討する。

 民間航空会社が運航する航空路線に就航させるべき航空機の機種の選定は、本来
民間航空会社がその責任と判断において行うべき事柄であり、運輸大臣が民間航空
会社に対し特定機種の選定購入を勧奨することができるとする明文の根拠規定は存
在しない。しかし、一般に、行政機関は、その任務ないし所掌事務の範囲内におい
て、一定の行政目的を実現するため、特定の者に一定の作為又は不作為を求める指
導、勧告、助言等をすることができ、このような行政指導は公務員の職務権限に基
づく職務行為であるというべきである




(行政指導の形で働きかけられました。)
 

そして、運輸大臣がその長である運輸省の任務ないし所掌事務についてみると、
- 5 -
運輸省設置法(昭和四七年法律第一〇五号による改正前のもの)は、運輸省の任務
の一つとして「航空」に関する国の行政事務を一体的に遂行することを規定し(三
条一一号)、航空局の所掌事務として、「航空運送事業、利用航空運送事業及び航
空機使用事業に関する免許、許可又は認可に関すること」(二八条の二第一項一三
号)などを、運輸省の権限として、「航空運送事業、利用航空運送事業及び航空機
使用事業を免許し、又は許可し、並びにこれらの事業の業務に関し、許可し、認可
し、又は必要な命令をすること」(四条一項四四号の九)などを定めている。

 また、航空法(昭和四八年法律第一一三号による改正前のもの)は、運輸大臣に
対し、定期航空運送事業を経営しようとする者に対する免許権限(一〇〇条一項)
のほか、定期航空運送事業者の事業計画変更の認可権限(一〇九条、一〇一条)を
付与しているところ、定期航空運送事業者である民間航空会社が新機種の航空機を
選定購入して路線に就航させようとするときは、使用航空機の総数、型式、登録記
号、運航回数、整備の施設等の変更を伴うため事業計画の変更が必要となり(航空
法施行規則(昭和四八年運輸省令第五九号による改正前のもの)二二〇条、二一〇
条一項参照)、運輸大臣の認可を受けなければならないこととなる。そして、運輸
大臣は、事業計画変更申請に際し、「公衆の利用に適応するものであること、当該
路線における航空輸送力が航空輸送需要に対し、著しく供給過剰にならないこと、
事業計画が経営上及び航空保安上適切なものであること、申請者が当該事業を適確
に遂行するに足る能力を有するものであること」などの認可基準(航空法一〇九条
二項、一〇一条)に適合するかどうかを審査し、新機種の路線への就航の可否を決
定しなければならないものとされている。

 このような運輸大臣の職務権限からすれば、航空会社が新機種の航空機を就航さ
せようとする場合、運輸大臣に右認可権限を付与した航空法の趣旨にかんがみ、特
定機種を就航させることが前記認可基準に照らし適当であると認められるなど、
- 6 -
要な行政目的があるときには、運輸大臣は、行政指導として、民間航空会社に対し
特定機種の選定購入を勧奨することも許されるものと解される。したがって、特定
機種の選定購入の勧奨は、一般的には、運輸大臣の航空運輸行政に関する行政指導
として、その職務権限に属するものというべきである。そうすると、本件において、
運輸大臣がFに対しL一〇一一型機の選定購入を勧奨する行政指導をするについて
必要な行政目的があったかどうか、それを適法に行うことができたかどうかにかか
わりなく、右のような勧奨は、運輸大臣の職務権限に属するものということができ
る。



 (二)次に、内閣総理大臣の職務権限について検討する。

 内閣総理大臣は、憲法上、行政権を行使する内閣の首長として(六六条)、国務
大臣の任免権(六八条)、内閣を代表して行政各部を指揮監督する職務権限(七二
条)を有するなど、内閣を統率し、行政各部を統轄調整する地位にあるものである。
そして、内閣法は、閣議は内閣総理大臣が主宰するものと定め(四条)、内閣総理
大臣は、閣議にかけて決定した方針に基づいて行政各部を指揮監督し(六条)、行
政各部の処分又は命令を中止させることができるものとしている(八条)。このよ
うに、内閣総理大臣が行政各部に対し指揮監督権を行使するためには、閣議にかけ
て決定した方針が存在することを要するが、閣議にかけて決定した方針が存在しな
い場合においても、内閣総理大臣の右のような地位及び権限に照らすと、流動的で
多様な行政需要に遅滞なく対応するため、内閣総理大臣は、少なくとも、内閣の明
示の意思に反しない限り、行政各部に対し、随時、その所掌事務にっいて一定の方
向で処理するよう指導、助言等の指示を与える権限を有するものと解するのが相当
である。したがって、内閣総理大臣の運輸大臣に対する前記働き掛けは、一般的に
は、内閣総理大臣の指示として、その職務権限に属することは否定できない。

 (三) 以上検討したところによれば、運輸大臣がFに対しL一〇一一型機の選
- 7 -
定購入を勧奨する行為は、運輸大臣の職務権限に属する行為であり、内閣総理大臣
が運輸大臣に対し右勧奨行為をするよう働き掛ける行為は、内閣総理大臣の運輸大
臣に対する指示という職務権限に属する行為ということができるから、Eが内閣総
理大臣として運輸大臣に前記働き掛けをすることが、賄賂罪における職務行為に当
たるとした原判決は、結論において正当として是認することができる
というべきで
ある。


 二 以上のとおり、被告人Bにつき贈賄罪の成立を肯定した原判決の結論を是認
できるから、本件請託の対象とされた行為のうち、Eが直接自らFにL一〇一一型
機の選定購入を働き掛ける行為が、Eの内閣総理大臣としての職務権限に属するか
どうかの点についての判断は示さないこととする。



(可能性として、内閣総理大臣が直接働きかけるルートがあったかもしれないが、一方の運輸大臣を介しての働きかけのルートが証明されたため、そのもう一方のルートは判断を示さないこととされました。
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朝日社説:教育現場の自発的な発案、責任ある行動で進めていく。その過程があってこそ、学校は変わる

2013-01-24 10:36:08 | 教育

橋下徹‏@t_ishin
24日朝日新聞社説。「入試の折衷案が分かりにくい」結局この批判か。朝日は他社のようなバカな意見を出さなかったからどんな意見が出るか期待していたが、結局これ。批判をする原則は従前との相対比較。今回の案が完璧な案だとは思わない。しかし、入試中止をやらなかったらどうなるのかと比較すべき


橋下市長が上記批判を述べていた、朝日新聞社説。


*****朝日新聞(2103/01/24)*****
桜宮入試中止―わかりにくい折衷案だ


 体罰が明らかになった大阪市立桜宮高校の入試について、市教委は橋下徹市長の求めに応じ、体育科とスポーツ健康科学科の入試をとりやめる。

 ただし普通科として入試をする。体育系2科と同じ試験科目で受験できる。市教委が市長の顔を立て、同時に入試方式を変えないで受験生に配慮した折衷案での決着だ。

 桜宮高校はスポーツを中心にした教育で全国に知られる。体育系2科を志願してきた中学3年生にとっては、入試中止の事態は避けられた。

 とはいえ、わかりづらい点も少なくない。市教委はスポーツに特色のあるカリキュラムにする方針だ。「勝利至上主義ではなく他者を慈しむ心を育てる」というが、具体的に何を教えるのか。体育系2科と比べて履修教科に変更はないのか。出願まで1カ月を切っており、早急に示す必要がある。

 来年度、市教委は改革の進み具合をみて学科のあり方を再検討するともいう。体育系2科が復活するのか、普通科で入学した生徒は編入できるのか。不安を抱えたままの受験となる。

 体罰容認の実態が改まっていない現状では新入生を迎えられない。今回の中止は、橋下氏がそう発言したのがきっかけだ。

 高校受験は人生の大事な節目である。本来、受験生にしわ寄せがいくのは好ましくない。

 学校教育は生身の人間が主役であり、改革も現場主導が、あるべき姿だ。だが今回、橋下氏が前面に乗り出した。

 もとのまま入試が実施された場合の予算執行停止にまで言及して、市教委を追い詰めたことには強い違和感が残る。

 入試の中止に加え、教員の全員入れ替えなどのかけ声が先行し、学校やクラブ活動をどう良くするかという本質論が先延ばしになったのは残念だ。

 入試の中止が決まった日、桜宮高校3年の運動部元キャプテン8人が市役所で記者会見し、「勝利至上主義ではなかった」「市長には生徒の声をもっと聞いてほしい」と訴えた。

 市長が直接、方針を示す「荒療治」を是とする意見もある。社会には、教育現場への不信感があるのも事実である。

 だが、橋下氏は生徒の声にもっと耳を傾けるべきだったし、一方的な発言で対立を深めるのでは、根本的な問題解決の糸口はつかみにくい。

 体罰をめぐる意識改革などを、教育現場の自発的な発案、責任ある行動で進めていく。その過程があってこそ、学校は変わっていける。
コメント (1)
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東京都檜原村の村民の皆様の快挙。村議会「議決」無効判決、東京地裁H25.1.23

2013-01-24 10:00:26 | シチズンシップ教育
 東京都檜原村は、「中央区の森」があり、交流のある大切な自治体です。

 美しい山々がある日本のひとつの故郷というべき場所。

 その檜原村の村民の皆様が、大きな快挙を成し遂げられました。

 村の不正な公金返還に関連した裁判。
 村議会のおかしな議決、すなわち、手当を違法と認定した高裁判決の確定前に、「司法判断がいかなるものであったとしても」と議会が判決を無視する形で、賠償請求権の放棄の議決。

 東京地方裁判所が、村議会の議決を「無効」としました。

 以下、東京新聞が報じています。


******東京新聞(2013/01/24)*******
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20130124/CK2013012402000130.html
【東京】


檜原村住民訴訟 「村長、議会の責任大きい」 原告団は再度、批判

2013年1月24日

 「やっとこの判決にたどりついた。こちらの主張がほぼ認められ、ありがたい」。原告の檜原村民らは喜びの声を上げた。二十三日の東京地裁判決は、嘱託職員への違法な手当の支給分について、村議会が坂本義次村長への賠償請求権を放棄した議決は「違法であり無効」と断じた。最初の訴えから七年余り。原告村民らは、あらためて「ここまで長引かせた村長、議会の責任は大きい」と批判した。 (北爪三記)


 記者会見した原告団代表の丸山二郎さん(66)は、待ち望んだ判決に「ひと安心した」と笑みを浮かべた。原告の元村議田倉栄さん(71)は「約八年間の訴訟で村民にも、村や議会任せではいけないという気持ちが芽生えたのではないか」と意義を強調した。


 判決はこう指摘している。村の人口はわずか二千五百人。予算の歳入のうち村税は二億四千万円(二〇一〇年度)にとどまり、嘱託職員へ支給した七百五十六万円の手当は、村の財政に影響を与える。さらに手当を違法と認定した高裁判決の確定前に、「司法判断がいかなるものであったとしても」と議会が判決を無視する形で、賠償請求権の放棄を議決したことには合理的な理由がない。


 その上で、村議会による債権放棄の議決は「違法で無効」であり、被告の代表監査委員が村を代表して村長に手当の返還を求める訴訟を起こさないのは、「財産の管理を怠る事実にあたり違法」と結論づけた。


 原告側弁護団は「極めて正当な判断で、意義は大きい」と評価する。田倉さんは「何でもできてしまう議会に問題がある」と批判。窪田之喜弁護士は「この判決を受け止め、住民自治の土俵でどう対応するかが重要だ。村長が手当支給分を支払うことが住民自治の姿ではないか」と指摘した。


 一方、被告の福田宮夫・村代表監査委員は「大変厳しい判決と認識している。今後、控訴する方向で検討したい」とのコメントを発表した。
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