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「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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成年被後見人に選挙権回復!夏の参院選より。約13.6万人(最高裁調べ昨年末時点) 改正公選法

2013-05-26 23:00:00 | 国政レベルでなすべきこと
 おかしいと思っていた国の制度が、ひとつ改善しました!

 裁判で問題提起して下さった皆様、この度の公職選挙法改正に携われた皆様に、一国民として感謝申し上げます。
 

 全会一致はすばらしい。いや、当然か。

 
 「被後見人が身体障害などで候補者名を書けない場合の投票補助者について、選挙管理委員会職員らから選ぶことを義務付けた。」とのことですが、次は、制度運営のほうをよろしくお願いいたします。
 成年被後見人の皆様の真に真意が反映されますように。


*****東京新聞(2013/05/27)*****
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013052701001899.html
【政治】


成年被後見人に選挙権 参院選から回復

2013年5月27日 19時31分


 成年後見人が付くと選挙権を失う規定を削除し被後見人に選挙権を一律付与する改正公選法は27日夕の参院本会議で全会一致により可決、成立した。1カ月の周知期間を経て、夏の参院選から適用される。最高裁調べで、約13万6千人(昨年末時点)の被後見人の選挙権が回復する。

 現行の公選法規定を違憲とした3月の東京地裁判決に、わずか2カ月半で応える異例のスピード対応が実現した。ただ、国は違憲とまではいえないとして控訴しており、取り下げない方針だ。

 被後見人が身体障害などで候補者名を書けない場合の投票補助者について、選挙管理委員会職員らから選ぶことを義務付けた。

(共同)
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重要!50年ぶりの実質的な法改正!行政不服審査制度の見直し。パブコメ5/31まで。

2013-05-25 23:00:00 | 国政レベルでなすべきこと

 ものすごく大事な法律の改正です。

 個人的にもですが・・・

 それは、さておき、なぜ大事な法律なのか。
 条文第1条でわかります。

行政不服審査法

(この法律の趣旨)
第一条  この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによつて、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。
 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

 行政の違法、不当に一国民が立ち向かうことができることを可能にする手段であるからです。



 パブリックコメントの受け付けは、5/31まで。


 ぱっと見、良い制度、スマートな制度になっていると思います。

 ただし、「審理員」や「第三者機関(行政不服審査会)」が機能することを前提に。

 もし、上記が機能せず、ブラックボックスと化すと、問題が多い制度にもなりうる印象を受けています。

 皆様いかがでしょうか。


⇒総務省ホームページ
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=145208168&Mode=0


現行法



改正のイメージ図




改正概要



以上。

詳細は、総務省該当ページをご覧ください。

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判員候補者及び裁判員として支給を受けた旅費,日当及び宿泊料は非課税にすべきでは?

2013-05-23 23:00:00 | 国政レベルでなすべきこと
 司法試験の問題は、社会で解決すべき課題を鋭くとりあげていることが多々あります。( 国会議員、官僚の皆様には、毎年の司法試験問題に目を通し、問題点の把握に努めていただきたいと思います。)

 本年2013年の司法試験、選択科目である租税法の問題ですが、その好例と思います。



 見て行きます。


 租税法第一問は、裁判員制度における施策の不十分な点をもとに作成されています。


 仕事や家事の時間を割いて裁判員制度に国民は参加します。


 問題文を一部抜粋しますが、言葉が悪いですが、“半ば強制的”に裁判員に私たちはならねばなりません。

「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下「裁判員法」という。司法試験用法文を参照。)
の下で,裁判員候補者及び裁判員は期日に出頭する義務を負い,裁判員は審理に立ち会う職務を担
う。裁判員は,特別な知識,能力,経験等を要件とせず国民一般から無作為に抽出された者の中か
ら選任され,一定の事由に該当しない限りは,その辞退を申し立てることができない。正当な理由
がなく出頭しないときは過料に処することとされている。また,裁判員は,独立してその職権を行
うこととされている。」

 わざわざ、時間をつくり、やりくりしているひとが多い中、その費用に、税金がかけれる仕組みです。

 すなわち、所得税法9条(下記参照)の非課税所得の対象の規定に、裁判員への支給したものが入っていません。


 よって、「裁判員候補者及び裁判員として支給を受けた旅費,日当及び宿泊料」に、現行法は課税しておるところですが、
 その裁判員裁判の職務の重要性と負担の大きさを考慮して、「非課税」の処置をとるべきではないでしょうか。
 (旅費はもともと課税されていないかもしれません。)



 私自身、租税法を学びだしたところであり、このあたりにも問題意識をもち、学びたいと思っています。
 (なにを隠そう、この件の指摘は、最初、租税法の先生からでした。)

******2013司法試験*******
http://www.moj.go.jp/content/000111060.pdf

[租税法]

〔第1問〕(配点:40)

S市に住むAは,S地方裁判所から,裁判員候補者として呼出しを受けた。Aは,職場の上司で
あるBに対し,「このたび,裁判所から呼出しがありました。休暇を取らせてください。」と依頼し
た。Bは,「了解しました。大事なことですから,安心して行きなさい。」と応じた。

裁判員を選任する手続の期日は,平成25年1月21日(月曜日)に指定されていた。

同日の朝,Aは,自宅からバスと電車を乗り継いで,S地方裁判所に出頭した。当日の手続によりAは裁判員
に選任され,直ちに翌日から公判が開始されることになった。Aの自宅からS地方裁判所まではか
なりの距離があり,交通機関の乗換えの便も悪かったため,帰宅はかなり遅くなったが,Aは何と
かその日のうちに自宅に戻った。

Aは帰宅後,裁判員に選任されたことをBに電話で説明し,さらに休暇を取得した。S地方裁判
所でAの合議体が取り扱うこととなった事件は,連日開廷の下で審理が行われ,平成25年1月2
5日(金曜日)に判決が言い渡された。この間のAの裁判員としての職務従事日数は計4日である。

Aは,自宅とS地方裁判所の間を連日往復することに体調面で不安があったこと,期日が連続して
いたこと,及び,同居する老親の同意を得られたことから,裁判員としてS地方裁判所に通ってい
た間,S地方裁判所付近のビジネスホテルで3泊し,ホテル代を支出した。

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下「裁判員法」という。司法試験用法文を参照。)
の下で,裁判員候補者及び裁判員は期日に出頭する義務を負い,裁判員は審理に立ち会う職務を担
う。裁判員は,特別な知識,能力,経験等を要件とせず国民一般から無作為に抽出された者の中か
ら選任され,一定の事由に該当しない限りは,その辞退を申し立てることができない。正当な理由
がなく出頭しないときは過料に処することとされている。また,裁判員は,独立してその職権を行
うこととされている。

裁判員候補者や裁判員である者には,裁判員法において,旅費,日当及び宿泊料を支給すること
とされている(裁判員法第11条,第29条第2項)。Aは,平成25年2月に,裁判員法に基づ
き,裁判員候補者として出頭したことにつき旅費及び日当の支給を,裁判員として出頭し計4日間
職務に従事したことにつき旅費,日当及び宿泊料の支給を,それぞれ銀行振込によって受けた。


〔設問〕

Aが裁判員候補者及び裁判員として支給を受けた旅費,日当及び宿泊料,並びに,Aが支出し
たホテル代は,所得税法の適用上,どのように扱われるか。

所得税法の根拠条文を摘示して説明しなさい。


*****試験問題 第一問 以上******


 念のため、問題文の関連条文

(旅費、日当及び宿泊料)
第十一条  裁判員及び補充裁判員には、最高裁判所規則で定めるところにより、旅費、日当及び宿泊料を支給する。

(裁判員候補者の出頭義務、旅費等)
第二十九条  呼出しを受けた裁判員候補者は、裁判員等選任手続の期日に出頭しなければならない。
2  裁判所の呼出しに応じて裁判員等選任手続の期日に出頭した裁判員候補者には、最高裁判所規則で定めるところにより、旅費、日当及び宿泊料を支給する。
3  地方裁判所は、裁判所の呼出しに応じて裁判員等選任手続の期日に出頭した裁判員候補者については、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判員候補者名簿から消除しなければならない。ただし、第三十四条第七項の規定による不選任の決定があった裁判員候補者については、この限りでない。


 所得税法上の関連条文

(非課税所得)
第九条  次に掲げる所得については、所得税を課さない。
一  当座預金の利子(政令で定めるものを除く。)
二  学校教育法第一条 (学校の範囲)に規定する小学校、中学校、高等学校若しくは中等教育学校又は同法第七十六条 (特別支援学校の部別)に規定する特別支援学校の小学部、中学部若しくは高等部の児童又は生徒が、その学校の長の指導を受けて預入し又は信託した預貯金(前号に規定するものを除く。)又は合同運用信託で政令で定めるものの利子又は収益の分配
三  恩給、年金その他これらに準ずる給付で次に掲げるもの
イ 恩給法 (大正十二年法律第四十八号)に規定する増加恩給(これに併給される普通恩給を含む。)及び傷病賜金その他公務上又は業務上の事由による負傷又は疾病に基因して受けるこれらに準ずる給付で政令で定めるもの
ロ 遺族の受ける恩給及び年金(死亡した者の勤務に基づいて支給されるものに限る。)
ハ 条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるものに基づいて受ける給付
四  給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの
五  給与所得を有する者で通勤するもの(以下この号において「通勤者」という。)がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当(これに類するものを含む。)のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの
六  給与所得を有する者がその使用者から受ける金銭以外の物(経済的な利益を含む。)でその職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるもの
七  国外で勤務する居住者の受ける給与のうち、その勤務により国内で勤務した場合に受けるべき通常の給与に加算して受ける在勤手当(これに類する特別の手当を含む。)で政令で定めるもの
八  外国政府、外国の地方公共団体又は政令で定める国際機関に勤務する者で政令で定める要件を備えるものがその勤務により受ける俸給、給料、賃金、歳費、賞与及びこれらの性質を有する給与(外国政府又は外国の地方公共団体に勤務する者が受けるこれらの給与については、その外国がその国において勤務する日本国の国家公務員又は地方公務員で当該政令で定める要件に準ずる要件を備えるものが受けるこれらの給与について所得税に相当する税を課さない場合に限る。)
九  自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得
十  資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における国税通則法第二条第十号 (定義)に規定する強制換価手続による資産の譲渡による所得その他これに類するものとして政令で定める所得(第三十三条第二項第一号(譲渡所得に含まれない所得)の規定に該当するものを除く。)
十一  オープン型の証券投資信託の収益の分配のうち、信託財産の元本の払戻しに相当する部分として政令で定めるもの
十二  皇室経済法 (昭和二十二年法律第四号)第四条第一項 (内廷費)及び第六条第一項 (皇族費)の規定により受ける給付
十三  次に掲げる年金又は金品
イ 文化功労者年金法 (昭和二十六年法律第百二十五号)第三条第一項 (年金)の規定による年金
ロ 日本学士院から恩賜賞又は日本学士院賞として交付される金品
ハ 日本芸術院から恩賜賞又は日本芸術院賞として交付される金品
ニ 学術若しくは芸術に関する顕著な貢献を表彰するものとして又は顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして国、地方公共団体又は財務大臣の指定する団体若しくは基金から交付される金品(給与その他対価の性質を有するものを除く。)で財務大臣の指定するもの
ホ ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品
ヘ 外国、国際機関、国際団体又は財務大臣の指定する外国の団体若しくは基金から交付される金品でイからホまでに掲げる年金又は金品に類するもの(給与その他対価の性質を有するものを除く。)のうち財務大臣の指定するもの
十四  オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会(平成元年八月七日に財団法人日本オリンピック委員会という名称で設立された法人をいう。)、財団法人日本障害者スポーツ協会(昭和四十年五月二十四日に財団法人日本身体障害者スポーツ協会という名称で設立された法人をいう。)その他これらの法人に加盟している団体であつて政令で定めるものから交付される金品で財務大臣が指定するもの
十五  学資に充てるため給付される金品(給与その他対価の性質を有するものを除く。)及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品
十六  相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法 (昭和二十五年法律第七十三号)の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含む。)
十七  保険業法 (平成七年法律第百五号)第二条第四項 (定義)に規定する損害保険会社又は同条第九項 に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの
十八  公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し法人からの贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、同法第百八十九条 (選挙運動に関する収入及び支出の報告書の提出)の規定による報告がされたもの
2  次に掲げる金額は、この法律の規定の適用については、ないものとみなす。
一  前項第九号に規定する資産の譲渡による収入金額がその資産の第三十三条第三項に規定する取得費及びその譲渡に要した費用の合計額(以下この項において「取得費等の金額」という。)に満たない場合におけるその不足額
二  前項第十号に規定する資産の譲渡による収入金額がその資産の取得費等の金額又は第三十二条第三項(山林所得の金額の計算)に規定する必要経費に満たない場合におけるその不足額


以上
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国会審議に注目。福島原発事故被害に安易な「時効」制度が適用されぬように。

2013-05-15 15:48:53 | 国政レベルでなすべきこと
 ものすごく重要な法案が審議中です。

 想定すべきものを想定せずに福島第一原発事故は起きました。
 その事故被害の損害賠償が、法律で定められた「時効」という制度のため、東京電力が損害賠償をしなくても済む事態が生じる可能性があります。

 そのための手当てが、時効特例法案として、現在、国会で審議中です。

 真に求められる立法措置は、日弁連がいうところの、、「原発事故の賠償請求権については民法を適用せず、消滅しないとする特別の立法措置」ではないかと同感です。


 時効が成立しても、それを使うか(援用する)かどうかは、東京電力側にあり、ぜひとも使わないで筋を通していただくことを期待します。

 また、万が一、時効で争いが生じた場合は、裁判所が、原発事故の賠償請求権の時効を援用することは、信義則上許されないと、最後の防波堤になっていただきたいと思います。

 ただ、そのような争いが生じることなく、原発事故の被害者をすべて満足のいく救済をできるように、十分な立法措置を国会がとることを求めたいと思います。

*****民法****

(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七百二十四条  不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

(債権等の消滅時効)
第百六十七条  債権は、十年間行使しないときは、消滅する
2  債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する

 

*****東京新聞(2013/05/15)*****
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013051590072504.html

原発事故損害賠償 時効特例法案 不十分

2013年5月15日 07時25分


 福島原発事故に伴う損害賠償請求で、民法上の請求権の時効(三年)を過ぎても東京電力に賠償を求められる政府提出の特例法案が衆議院で審議されているが、被災者たちから「実態にそぐわず、切り捨てにつながる」という懸念の声が上がっている。日本弁護士連合会(日弁連)も時効規定を適用しない特別立法の制定を訴えている。

 法案は最短で来年三月に時効を迎えるケースが予想されるため、被災者救済を目的に浮上。国の「原子力損害賠償紛争解決センター」(原発ADR)での和解交渉が不調に終わった場合、打ち切り通知を受け取ってから一カ月以内であれば、時効にかかわらず、裁判所に賠償請求訴訟を起こせるとしている。

 しかし、原発ADRに申し立てをしている人は一万六千五百四十四人(十三日現在)と避難区域の住民の一割程度。東電と直接交渉をしているか、まだ賠償請求をしていない人が大半を占めるが、こうした被災者の時効には触れていない。

 さらに損害の全容が判明しておらず、ADRへの申し立て内容も損害の一部でしかないのが実情。事故がいまだ収束しておらず、潜在的な被害もありうるため、被災者が不安を募らせている。

 福島県の被災者団体の一つ「原発事故被災者相双の会」の国分(こくぶん)富夫代表代行(68)は「特例法案の仕組みは極めて不十分。効果を疑問視している。むしろ、その中身をよく知らない被災者らの間で『これで時効が過ぎても大丈夫だ』という誤解が生まれており、心配している」と話した。

 日弁連は先月十八日付の意見書で法案を批判しつつ、「原発事故の賠償請求権については民法を適用せず、消滅しないとする特別の立法措置を講じるべきだ」と指摘した

 東電広報部は「時効が完成しても一律に賠償請求を断ることは考えていない。個別の案件ごと柔軟に対応していく」としている。

 <損害賠償請求権の時効> 民法724条は不法行為による時効を被害者らが損害を認識し、加害者を知った時から3年か、不法行為後20年を経過した時点と定めている。債権と財産権の時効については同法167条で前者を10年、後者を20年と規定。今回の福島原発事故では、両方の規定が適用される可能性がある。

(東京新聞)

*****日弁連ホームページ****
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2013/130418.html

本意見書について
日弁連は、2013年4月18日付けで「東京電力福島第一原子力発電所事故による損害賠償請求権の消滅時効について特別の立法措置を求める意見書」を取りまとめ、内閣総理大臣、文部科学大臣に提出しました。


本意見書の趣旨
1 平成23年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により生じた原子力損害(原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年法律第147号)第2条第2項にいう「原子力損害」をいう。)の賠償請求権については、民法第724条前段を適用せず、短期消滅時効によって消滅しないものとする特別の立法措置を早急に講じるべきである。



2 前項の原子力損害の賠償請求権については、民法上の除斥期間及び消滅時効の規定(民法第724条及び同法第167条第1項)は適用されず、別途、一定の期間を経過した後に消滅するものとする特別の立法措置を講じることの検討に着手すべきである。ただし、その期間については、慎重に検討するべきである。


意見書全文
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2013/opinion_130418.pdf
東京電力福島第一原子力発電所事故による損害賠償請求権の消滅時効について特別の立法措置を求める意見書

2013年(平成25年)4月18日
日本弁護士連合会

第1 意見の趣旨
1 平成23年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故により生じた原子力損害(原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年法律第147号)第2条第2項にいう「原子力損害」をいう。)の賠償請求権については,民法第724条前段を適用せず,短期消滅時効によって消滅しないものとする特別の立法措置を早急に講じるべきである。
2 前項の原子力損害の賠償請求権については,民法上の除斥期間及び消滅時効の規定(民法第724条及び同法第167条第1項)は適用されず,別途,一定の期間を経過した後に消滅するものとする特別の立法措置を講じることの検討に着手すべきである。ただし,その期間については,慎重に検討するべきである。
第2 意見の理由
1 はじめに
2011年(平成23年)3月11日に東京電力福島第一原子力発電所事故が発生してから,既に2年1か月が経過した(以下「東京電力福島第一原子力発電所」を「本件原発」,その事故を「本件事故」という。)。
本件事故の被害者の東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)に対する損害賠償請求権は,その本質が不法行為に基づくものであるとして民法第709条に基づいて構成することができるところ,東京電力が後述の見解において前提としているように,消滅時効については民法第724条前段が適用され,「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間」の消滅時効により請求権が失われると解釈される余地があることは否定し得ない。
しかし,本件事故による被害は,いまだその全容も明らかではなく,その収束の見通しも立たない状況にある。このような状況において,本件事故の損害賠償請求権につき,民法第724条前段が適用され,最短で2014年(平成26年)3月11日に同条前段の短期消滅時効が成立するとなれば,本件事故の被害者に残された時間はわずか11か月弱しかなく,多くの被害者が,先の
- 2 -
見えない生活の最中に,損害賠償請求の法的手続をとらざるを得ない状況に追い込まれることになるが,このような損害賠償請求権の短期消滅時効が成立するのは著しく正義に反する。
かかる事態を回避するために,早急に,本件事故の損害賠償請求権が民法第724条前段の短期消滅時効によって消滅しないことを,特別の立法措置により明確にするべきである。
また,本件事故の被害の深刻さ,そしてチェルノブイリ原発事故による健康被害が同事故後25年を経過してもなお発生し続けていることからすれば,本件事故の損害賠償請求権につき,民法第724条後段が適用され,本件事故発生から20年経過後に除斥期間により確定的に消滅するということも,民法第167条第1項が適用され,権利を行使し得る時から10年経過後に時効により消滅するということも,同様に許されるべきことではない。
したがって,本件事故の損害賠償請求権の消滅期間については,別途,慎重に検討した上,特別の立法措置により規定するものとすべきである。

2 東京電力福島第一原子力発電所事故による被害の特徴
(1) 被害が深刻かつ広汎であり,継続性があること
本件事故は,我が国に原子力発電所が設置されて以来経験したことのない未曾有の大事故であり,福島県のみならず,その他の地域においても深刻な放射能汚染による被害を及ぼし続けており,福島県内外において依然として放射線量が高い地域も多い。
旧警戒区域から福島県内への避難者は約9万6千人,福島県内から県外への避難者は約5万5千人存在するとされ,これらの約15万人以上の被害者は,生活基盤を根こそぎ奪われ,地域コミュニティから隔絶された中で,経済的にも精神的にも困難な状況に置かれた状況が続いている。旧警戒区域内は,2012年(平成24年)4月から帰還困難区域・居住制限区域・避難指示解除準備区域に再編されつつあるが,長期間,人が住むことのなかった地域であるため,いまだ病院や学校,様々な事業所などの社会的インフラが機能しておらず,この地に戻り,生活を再開することが極めて困難な状況にある。他方,福島県内やその他の放射能汚染が懸念される地域にとどまった人々も,放射線被ばくの危険と向き合い,様々な損害や不自由な生活に苦しみながら生活している現状にある。
本件事故による被害は,地域的に広域にわたり,被害者の数が多数に上るということのみならず,避難しているか否かを始め,家族構成や職業等個々の状
- 3 -
況ごとに様々な被害が混在しており,極めて深刻かつ広汎にわたるものである。
(2) 被害に潜在性があること
また,本件原発から大量に拡散された放射性物質が人体や環境に与える影響については,専門家の間でも意見が分かれており,とりわけ低線量被ばくについては,一致した科学的知見が確立していない状況にある(いわゆる「原発事故子ども・被災者支援法」第1条参照)。このような中で,本件事故当時いずれの地域に居住していた被害者の身体にどの程度の期間経過後に影響が現れるのか予測することは不可能であり,少なくとも現時点において,本件事故による被害の全容を把握することは全く不可能である。

3 東京電力及び政府の対応について
(1) 東京電力の見解による解決だけでは極めて不十分であること
東京電力は,本年2月4日に「原子力損害賠償債権の消滅時効に関する弊社の考え方について」と題する見解を公表し,①時効の起算点については,被害者が事実上請求することが可能となった時,具体的には東京電力がそれぞれの損害について賠償請求の受付を開始した時とし,②時効中断事由について,東京電力の被害者に対する請求書又はダイレクトメール(以下「ダイレクトメール等」という。)の送付は「債務の承認」に該当し,被害者がダイレクトメール等を受領した時点から新たな時効期間が進行するとしている。しかし,この見解は,いずれも解釈や運用によるもので不確実であるため,加害者である東京電力の判断によって被害者が不安定な地位に置かれることになりかねず,かかる見解による解決だけでは極めて不十分である。
第1に,ダイレクトメール等が送付されていない,又は受領したことを立証できない被害者については,東京電力が請求受付を開始してから3年間で消滅時効が完成する可能性を否定できない。特に,東京電力のダイレクトメール等は,東京電力が自社の基準により被害者であると判断した人にのみ送付されている。そのため,ダイレクトメール等の送付がなされていない被害者の損害賠償請求権については,東京電力が損害賠償請求の受付を開始した時から3年間で消滅時効が完成し得ることになる。すなわち,避難等対象地域以外で放射能汚染が懸念される地域に居住する住民の大多数が,わずか3年間で消滅時効の完成という問題に直面することになる。その他にも,転居に伴い住所不明でダイレクトメール等が届いていない,また,避難先を移動する際にダイレクトメール等を紛失したという例は多数存在しており,時効
- 4 -
消滅の完成の可否をダイレクトメール等の送付にかからせることは妥当ではない。
第2に,東京電力の見解では,東京電力がダイレクトメール等を複数回発送している場合,ダイレクトメール等を発送する都度に自社の債務の承認をするものと認識しているかどうか,明らかではない。仮に,東京電力がダイレクトメール等を発送するたびに債務承認すると認識しているとしても,いわゆる包括請求方式の場合には,包括請求に対する賠償をもって全ての賠償が終了したものとし,東京電力が,その後ダイレクトメール等を発送しないことが想定される。この場合,包括請求方式に関するダイレクトメール等を受領した時から3年間で包括請求の対象以外の損害についても時効が完成してしまう可能性が否定できない。
以上から,東京電力の見解では,日を置かずに問題が再燃することは避けられず,抜本的解決には程遠いものといわざるを得ない。
(2) 政府提出予定法案では一部被害者の損害賠償請求権の時効消滅を妨げられないこと
政府は,原子力発電所事故の損害賠償請求権についての時効特例法案(「東日本大震災に係る原子力損害賠償紛争についての原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続の利用に係る時効の中断の特例に関する法律案(仮称)」。以下「本法案」という。)を今国会に提出する方針であり,その内容は,原子力損害賠償紛争解決センター(以下「原紛センター」という。)への和解仲介申立てに時効中断効を付与し,和解が成立しなかった場合でも打ち切りの通知を受けた日から1か月以内に裁判所に訴訟提起すれば,和解仲介申立時に訴えを提起したものとみなすというものである。
本法案の内容は,原紛センターに和解仲介申立てをした被害者に関しては,時効中断効が維持されるという点では評価し得る。しかし本法案のみでは,相当数に及ぶ被害者は,以下に述べる問題点により不安定な地位に置かれることになり,被害者の救済としては不十分である。したがって,やはり本法案とは別途,立法的解決が不可欠である。
第1に,本法案は原紛センターへの和解仲介申立てを行うことを時効中断の要件としているが,同センターに和解仲介申立てをした被害者は,平成24年末時点でわずか1万3030名に過ぎない(同センター発表)。このように,被害者のうちごく限られた人数しか原紛センターへの和解仲介申立てを行うことができずにいる理由としては,①そもそも原紛センターや和解仲介手続の存在すら知らない被害者が数多くいるという実情のほか,②現状で
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は原紛センターにおける平均の審理期間が約8か月と解決に至るまでに相応の期間を要していること,不動産を始めとする財物賠償のように中間指針等で基準が明確に定められていない損害項目について,和解仲介手続内での解決を図ることを先送りしてきたなど,被害者が和解仲介手続の利用を躊躇せざるを得ない事情が存在していることが挙げられる。このような状況において,原紛センターへの和解仲介申立てを行わない限り,最短で後11か月弱の間に訴訟提起を行わなければ時効の完成を避けられないとすれば,実質的には,憲法が保障する裁判所による裁判を受け,自らの権利を主張する権利そのものを侵害しかねない。
第2に,現在,和解仲介手続は,損害項目ごとに,被害者に生じた損害の一部について請求が行われている場合がほとんどである。この場合,和解仲介手続において請求がなされていない損害項目については時効中断効を生じないおそれがある。すなわち,訴訟手続において損害の一部のみを明示して請求した場合には,その他の損害については時効が中断せず,消滅時効が完成するとされているのが一般的な解釈とされるためである。しかし,損害が明確になっている項目のみを先行して原紛センターに和解仲介申立てを行うことも多数あり,また,和解の段階において,和解仲介手続内での解決を図ることを先送りにした損害項目を和解合意の対象から一部外すということも一般的に行われている。このように現状では,必ずしも全ての損害についての和解仲介申立てが行われていない,又は全ての損害が和解仲介手続の対象となっていない場合がほとんどである。そのため、全ての損害についての和解仲介申立てを行わない限り,時効中断効を得られないという解釈の余地を否定し得ない本法案では,現状に即した被害者救済とはなり得ず,また,確実に時効中断効を生じさせるために,被害者が全ての損害についての和解仲介申立てを行うことを強いる結果となりかねず妥当でない。
第3に,そもそも,2014年(平成26年)3月11日までに,東京電力に対し損害賠償請求を行いたいと考えている全ての被害者が,自己の全ての損害について,原紛センターに和解仲介申立てをし,かつ,和解が成立しなかった場合に打ち切りの通知を受けた時から1か月以内に訴訟提起をすべきことを想定することは,原紛センターや裁判の実務上も無理があるといわざるを得ない。そのような申立てや提訴が短期間に一斉になされた場合に事実上処理が滞ることは必至であるし,被害者本人が代理人を付けずに和解仲介申立てをしていた場合に,打ち切り通知後1か月以内に,訴状を作成し,証拠を整理して裁判所に提出することは極めて困難である。
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4 民法第724条前段が適用されないものとする立法措置を講じるべきこと
(1) 「原子力損害の賠償に関する法律」に消滅時効が規定されていないこと
そもそも,原子力損害の賠償に関する法律(以下「原賠法」という。)には,原子力発電所の事故により生じた原子力損害賠償請求権に関する消滅時効の規定は定められていない。この点,原賠法に別段の定めがなければ,民法第724条前段規定によるという考え方も成り立ち得るが,不法行為責任の特則を定めた他の特別法においては,民法の適用について規定を設けている(自動車損害賠償責任法第4条,製造物責任法第6条等)。一方,原賠法においては,そのような規定はない。
また,原賠法が制定された当時の国会等における議論では,原子力損害賠償請求権の消滅時効について民法の規定が適用されることが前提とされておらず,むしろ,原子力損害の特殊性に鑑みて別に考慮されるべきとの意見も出されていた。
(2) 民法第724条前段の趣旨が当てはまらず,適用の前提を欠くこと
我が国の民法上,消滅時効制度が設けられている趣旨は,種々の論議があるものの,①権利の上に眠る者は保護しない,②法的安定性,③立証の困難性,といった点にあるとされている。そして,民法第724条前段が,不法行為に基づく損害賠償請求権について,特に3年間の短期消滅時効を定めているのは,特に②の趣旨につき,現実に権利行使の可能性がある被害者といかなる責任を負うのか不安定な立場にある加害者との関係を勘案したものとされている。
しかし,本件事故の損害賠償請求権においては,上記①ないし③のいずれの趣旨にも当てはまらない。
まず,①については,本件事故の全容と被害がいまだ明らかでないことから,本件事故の被害者は,本件事故から2年1か月を経過した今も,先の見えない,生活の再建すらままならない過酷な環境に置かれ続けている。多額の費用をかけて除染や住居の補修を行っても実際に従前の住居に戻り,生活することができるのか,それとも新たな地においての生活を決意すべきなのかなど,本件事故の被害者は,置かれた立場や状況ごとに異なる,いい尽くすことのできない悩みを抱えて,日々増大する不安と戦いつつ生活している状況にある。そのような不安定な生活状況の下で,いかなる項目についてどのような根拠に基づいて賠償を求めるかといった方針を明確に見定め,賠償請求に向けた行動を行うことがいかに困難であるかということは,その現実
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を直視すれば,容易に想像し得るところである。そして,このような状況において,直ちに賠償請求権を行使することができないとしても,これを権利の上に眠っていると評価するべきではない。よって,①の権利の上に眠る者は保護しないとの趣旨が当てはまらないことはおのずと導き出される結論である。
何よりも,前述のとおり,本件事故発生から2年1か月が経過しても,いまだに約15万人以上の被害者が福島県内外に避難しており,自らの権利行使のための効率的な活動を期待することが到底できかねる現状に照らせば,全ての被害者が請求手続を開始し得るまでの期間として,3年という期間が余りに短いことは明白である。
さらに,②については,自ら引き起こした本件事故が深刻かつ広汎な被害をもたらし,現在もなお本件原発より放射性物質が放出され続け,被害が継続的に発生し,これが今後も継続することがほぼ確実である以上,本件事故の加害者である東京電力が本件事故の損害賠償債務を履行することは当然の責務である。したがって,短期の消滅時効により早期に損害賠償請求の範囲が確定され,被害者との間でいかなる責任を負うのかなどについて不安定な立場から解放されるであろうといった信頼は保護に値しない。むしろ,多数の被害者が,消滅時効によって賠償請求の権利行使の途を閉ざされ,被害を回復されることなく放置されることこそが正義に反するというべきである。また,民法第724条前段における消滅時効の起算点となる「損害を知った時」については,その判断に主観的な要素が加味され,個別に判断されるものであり,個々の被害者の置かれた状況や,また損害の項目ごとによって判断や見解が異なる可能性があり,一義的に明確ではなく,被害者間における格差を生じかねないおそれもある。このようなことからすれば,②の法的安定性という趣旨も本件事故の損害賠償請求権については当てはまらない。
③の立証の困難性については,時間が進行することにより証拠が散逸し,公平な解決を得ることに支障が生ずるということがその根拠とされているところ,本件事故による損害賠償請求については,多くの被害者が避難生活を強いられ,証拠が散逸するどころか,そもそも証拠や立証資料を確保・収集することができない状況が続いており,通常の消滅時効を考えることがかえって公平な解決にならない,という点が改めて強く認識されなければならない。
以上のとおり,本件事故の損害賠償請求権については,民法に規定されて
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いる消滅時効の趣旨はいずれも当てはまらず,民法第724条前段を適用する前提を欠くというべきである。
(3) まとめ
以上のとおり,本件事故の損害賠償請求権については,民法724条前段の趣旨は当てはまらず,その適用の前提を欠くというべきである。

5 本件事故の損害賠償請求権は,民法第724条後段の適用の前提も欠くこと
また,本件事故の損害賠償請求権に,民法第724条後段が適用され,「不法行為の時から20年を経過した時」前段と同様に消滅しないか否かも問題となるが,同条前段と同じく,適用の前提を欠くというべきである。
すなわち,民法第724条後段の規定は除斥期間を定めたものと解されているところ,本件の損害賠償請求権に適用されるとすれば,財産的損害については,不法行為時から20年で確定的に消滅することとなる。しかし,事故後2年を経過した現在においても,本件事故被害者への法的救済が遅々として進まない現状に照らせば,20年間の経過によって確定的に権利を消滅させることによる弊害は無視できない。一方,民法第724条後段の除斥期間は,通常,20年間の経過により証拠の散逸が進み,また加害者にとっても長期に賠償債務を負い続けることは酷であるとの価値判断により設定されているのであり,本件事故において加害者である東京電力がこのような制度的利益を享受すべきでないことは,既に述べたとおりである。
次に,健康被害との関係では,現時点では健康被害がいつの時点でどのように出現するか一致した科学的な知見も確立しておらず,2011年(平成23年)4月に公表されたウクライナ政府緊急事態省の「チェルノブイリ事故後25年」と題する報告書においても,チェルノブイリ原発事故発生後25年が経過した後,新たな被害が発生し続けている事実が報告されている。本件事故においては,チェルノブイリ原発事故を下回るものの大量の放射性物質が拡散しており,その被害は,広汎かつ多岐にわたるものであることから,2011年(平成23年)3月11日から20年が経過した時点でも,被害の全容が明らかになるものではなく,被害者が本件事故による損害の内容を全て把握し,賠償請求の権利を適切に行使することが可能とはいい難い状況にある。
この点,判例は,いわゆる三井鉱山じん肺訴訟(平成16年4月27日最高裁第三小法廷判決,民集58巻4号1032頁)において,「民法724条後段所定の除斥期間の起算点は,(中略)当該不法行為により発生する損害の性質上,加害行為が終了してから相当の期間が経過した後に損害が発生する場合
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には,当該損害の全部又は一部が発生した時が除斥期間の起算点となると解すべきである。」と判示しており,本件事故における損害の起算点についても,除斥期間に対する同様の考え方で判断されるべきと考える。しかしながら,除斥期間の起算点について裁判上の争点とし,これにより判断を受けざるを得ないとすることは,被害者にとって権利行使期間の判断を不安定にさせることから,民法第724条後段の適用をあらかじめ立法措置により排除しておく必要がある。

6 本件事故の損害賠償請求権は民法第167条第1項の適用の前提も欠くこと
本件事故の損害賠償請求権に民法第724条前後段が適用されないとしても,一般債権の消滅時効の規定である民法第167条第1項が適用され得るかが問題となるが,前述のとおり,特に健康被害を含めた損害の全容について10年間では把握し得ないことから,同様に適用の前提を欠くというべきである。

7 本件事故の損害賠償請求権について,民法上の除斥期間及び消滅時効の規定(民法第724条及び同法第167条第1項)は適用されず,一定の期間を経過した後に消滅するものとする特別の立法措置を講じるべきこと
本件事故の損害賠償請求権については,民法第724条前段のみならず,同条後段及び民法第167条第1項をも適用すべきではないことは前述のとおりであるが,これが永久に消滅しない性質の権利とまではいい難い。したがって,この点についても,特別の立法措置を講ずることを検討すべきであるが,かかる立法措置については,民法724条前段を適用せず,短期消滅時効によって消滅しないものとする特別の立法措置とは別途,起算点も含めて本件事故の損害賠償請求権が消滅するまでの期間を慎重に検討した上で講ずるべきである。

8 結論
以上から,3年の短期消滅時効完成まで最短で11か月弱しかない現状において,本件事故の損害賠償請求権については,民法第724条前段を適用せず,短期消滅時効によって消滅しないものとする特別の立法措置を講ずる緊急の必要性があり,速やかにこれを講じるべきである。
その上で,本件事故の損害賠償請求権が消滅するまでの期間については,慎重に検討を行い,特別の立法措置を講ずるべきである。
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日本維新の会共同代表橋下徹大阪市長「慰安婦は必要だった」??「誰だってわかる」??

2013-05-13 16:59:11 | 国政レベルでなすべきこと

 ある程度、文脈がわかる長い記事を読んでみました。

 ただ、たとえ、そのような状況下でも、「慰安婦は必要だった」とは、私は、結論できないと考えるもののひとりです。



橋下市長の大阪改革ニュース ‏@Osaka_Kaikaku
橋下徹@日本維新の会が「従軍慰安婦は必要だった」発言 ~ 慰安婦問題の論点はそこじゃない。「職業選択の結果」か「強制連行の結果」かだ。 - kaguraの独り言

赤と青 ‏@aka10ao
大阪市男女共同参画推進条例
第8条(公衆に表示する情報への配慮)
 何人も、公衆に広く表示する情報が社会に及ぼす影響にかんがみ、当該情報において、性別による差別的取扱い又は異性に対する暴力的行為を助長する表現を行わないように配慮しなければならない。

竹田圭吾‏@KeigoTakeda
「慰安婦や性風俗産業の実態」を客観事実として確認するのと、公選公職者が性犯罪予防と反人権行為を結びつけて正当化する暴挙は別な話なのに、わざとごっちゃにし曖昧にして全国メディアへの露出確保と「きれいごとリベラルに鉄槌を下す僕」を演出する橋下氏のポジショントークに付き合ってはいかん。


Ishimaru Jiro‏@ishimarujiro
橋下徹さん、戦時慰安婦システムは、「誰が」必要としていたのでしょうか。「何のために」必要としていたのでしょうか?ずっと、この認識が問われているのです。兵士に対し、飯を与えるように性欲処理の女性をあてがえう必要があったというのは、あなたのセックス観であって歴史認識ですらありません。

中島岳志‏@nakajima1975
慰安婦問題を巡る橋下氏の詭弁を見抜くためには、是非、以前にマガ9に書いた拙稿「橋下徹の言論テクニックを解剖する」を読んでみてください。http://www.magazine9.jp/hacham/111111/ 今回駆使しているテクニックは「前提条件を無理やりつくる」「意味内容を狭める」という方法です。

****朝日新聞(2013/05/13)*****
http://www.asahi.com/politics/update/0513/TKY201305130072.html

「慰安婦は必要だった」「侵略、反省とおわびを」橋下氏


 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長は13日、戦時中の旧日本軍慰安婦について「銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で命をかけて走っていくときに、精神的にも高ぶっている猛者集団をどこかで休息させてあげようと思ったら、慰安婦制度は必要なのは誰だってわかる」と述べ、慰安婦は必要だったとの認識を示した。大阪市役所で記者団に語った。

 橋下氏は「当時の歴史を調べたら、日本国軍だけでなく、いろんな軍で(慰安婦を)活用していた」と指摘。そのうえで「なぜ日本の慰安婦だけが世界的に取り上げられるのか。日本は国をあげて強制的に慰安婦を拉致し、職業に就かせたと世界は非難している。だが、2007年の(第1次安倍内閣の)閣議決定では、そういう証拠がないとなっている」と述べ、「事実と違うことで日本国が不当に侮辱を受けていることにはしっかり主張しなければいけない」と語った。

 一方で「意に反して慰安婦になったのは戦争の悲劇の結果。戦争の責任は日本国にもある。慰安婦の方には優しい言葉をしっかりかけなければいけないし、優しい気持ちで接しなければいけない」とも語った。

 また、橋下氏はアジア諸国に対する反省とおわびを表明した村山談話については「日本は敗戦国。敗戦の結果として、侵略だと受け止めないといけない。実際に多大な苦痛と損害を周辺諸国に与えたことも間違いない。反省とおわびはしなければいけない」と強調。

 一方で、安倍晋三首相が「侵略の定義は定まっていない」と主張している点については「学術上、定義がないのは安倍首相が言われているとおり」と述べ、理解を示した。

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元裁判員のストレス障害は、医学的にきちんとフォローを!

2013-05-08 09:25:46 | 国政レベルでなすべきこと
 大城聡弁護士も、コメントされています。

 新聞記事⇒最高裁の竹崎博允(ひろのぶ)長官は会見で「必要があれば今まで以上のケアを講じていくことも考えねばならない」とも言及。市民団体「裁判員ネット」代表の大城聡弁護士は「カウンセリングの回数制限をなくすなどのケア拡充に加え、審理中も各高裁に臨床心理士を常駐させるなどの環境を整える必要がある」としている。

 私も、元裁判員のストレス障害は、医学的にきちんとフォローすべき部分だと思います。

 その体制整備は、国の最優先事業のひとつではないでしょうか。 


******************************

精神的負担どう軽減 「ケア拡充」「辞退、弾力的に」

2013.5.7 22:00 (産経ニュース)


 裁判員が遺体写真や凶器を目にする可能性もある裁判員制度では、当初から裁判員の精神的負担が懸念されていた。最高裁は相談窓口を設けているほか、遺体写真を白黒で表示するなど審理の現場でも負担緩和の工夫が重ねられてきたが、関係者からはケア体制の拡充を求める声も上がる。

 最高裁が裁判員経験者を対象に行ったアンケートでは、過去4年間いずれも半数以上が「非常によい経験と感じた」と答えたが、一部で「現場写真は覚悟していない者にとってはきつかった」などと回答。精神的負担を感じた様子も浮かび上がった。

 裁判員裁判を担当した経験のある裁判官は、「遺体写真を白黒で映したり、写真でなく刺し傷の位置を記した遺体のイラストを証拠として調べるなどしていた」と工夫を明かす。

 裁判員に選任後も、身体や精神に著しい不調が生じれば、申し出て審理から外れることは可能だ。この裁判官は「審理中などの様子があまりにつらそうな場合は、裁判官から『大丈夫ですか? 続けられますか?』と意向を確認することも必要だろう」とみる。

 一方、甲南大学法科大学院の園田寿教授(刑事法)は「証拠はそのまま見せるのが原則で、写真を白黒などに加工すれば犯行の残虐性などの要素が伝わらなくなる恐れがある」と指摘。「遺体写真などを見たくない人については、辞退を現状よりも広く認めてもよいのではないか」と話す。

最高裁が設置する裁判員メンタルヘルスサポート窓口の利用件数は3月末時点で230件。うち172件がメンタルヘルスに関する相談だった。217カ所の提携先で5回まで無料カウンセリングが可能で医療機関の紹介も受けられるが、紹介例は4件にとどまる。

 最高裁の竹崎博允(ひろのぶ)長官は会見で「必要があれば今まで以上のケアを講じていくことも考えねばならない」とも言及。市民団体「裁判員ネット」代表の大城聡弁護士は「カウンセリングの回数制限をなくすなどのケア拡充に加え、審理中も各高裁に臨床心理士を常駐させるなどの環境を整える必要がある」としている。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130507/trl13050722000001-n2.htm
コメント (1)
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安倍首相1日中東外交スピーチ、世界一安全な原子力発電技術提供に根拠はあったか?

2013-05-02 07:28:41 | 国政レベルでなすべきこと
 記事は、スピーチの要旨であり、実際のところの詳細は不明です。

 ただ、福島第一原発事故という想定すべきことを想定せずして起こした人災を日本は経験しているにも関わらず、「世界一安全な原子力発電の技術を提供」ということには、それ相応の根拠を伴っていうべきではなかったか。



******時事ドットコム(2013/05/01-16:45)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201305/2013050100606&g=pol
安倍首相スピーチ要旨
 【ジッダ時事】安倍晋三首相が1日行った中東外交スピーチ「共生・共栄・協働がつくる新時代の日本・中東関係」の要旨は次の通り。
 日本とサウジアラビア、日本と中東との全く新しい関係、今までと異なる次元の結びつきをつくりたい。石油・ガスを超えた経済・産業全般に及ぶ結びつきを強めていく。
 日本は再生可能エネルギーや世界一安全な原子力発電の技術を提供できる。中東と日本は利害と関心をともにするパートナーだ。
 日本と中東は政治、安全保障の関係を日に日に強くしていく。わが国は独立国家樹立に向けたパレスチナ人の民族自決権を支持している。パレスチナとイスラエルの両当事者には、一刻も早く直接交渉を始め、和平に向けた努力を倍加する責任がある。
 シリアで進む惨劇やイランの核問題にも目をつぶることはできない。安定と繁栄を享受する成長の舞台を当地にもたらさなくてはならない。
 サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコ各国と安全保障に関わる対話を進めるよう提案する。日本は中東各国との間で、首脳同士あるいは安全保障のハイレベルの当局者同士で不断の協働を図る。中東から北アフリカにまたがる地域で、安定と平和を根付かせる一助とするために、22億ドル規模の支援を行う。
 サウジアラビア、UAEを手始めに「コストシェア技術協力」という新機軸を始める。経験豊かな国際協力機構(JICA)の専門家を、各国にもコストを負担してもらって受け入れてもらう。イスラムの寛容の精神に日本の技術者は多くを教わるだろう。
 向こう5年で約2万人の研修実施と専門家派遣を行う。UAEから日本への留学生を500人に増やす。資源を超えて経済全般の関係を結び、共生と共栄を図る。アブダビで日本人学校の門戸を開放する。(2013/05/01-16:45)
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ありがとう、スピルバーグ。『リンカーン』を観て

2013-04-29 03:19:45 | 国政レベルでなすべきこと
 スピルバーグ『リンカーン』を観て来ました。

 まずは、ひとこと。

 ここにも、戦った政治家がいました。

 奴隷解放。

 その実現のためには、克服せねばならない憲法改正2/3の壁(上院可決後、下院において下院議員2/3以上の賛成を得ること)がありました。それを見事に乗り越えた。
 

 憲法のなんたるかをご理解なさらないで憲法96条改正をとなえる国会議員の皆様、政治家の皆様に言いたい。

 もし、本当に成し遂げたい改正があるなら、2/3のままで戦いませんか。

 姑息にも、なぜ、憲法改正2/3自体のハードルを下げることから始める必要があるのですか。


****憲法*****
   第九章 改正

第九十六条  この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
○2  憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
***********
 

 
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民法改正の重要部分のひとつ:民法534条買主にリスク負担が移るのはいつか。独仏日の法比較

2013-03-28 23:00:00 | 国政レベルでなすべきこと
 民法を学ぶ上で、なんかおかしいなと引っかかる部分が、民法534条。

 民法債権法改正でも取り上げられている条文です。


****民法534条*****
(債権者の危険負担)
第五百三十四条  特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。
2  不特定物に関する契約については、第四百一条第二項の規定によりその物が確定した時から、前項の規定を適用する。


 534条1項。

 例えば、不動産売買で、10/1に軽井沢の別荘を売買契約をし、買主に引き渡されるのが11/1とします。10/2にその別荘が火事で山火事に巻き込まれ燃えたとします。(売主原因の出火ではない。)
 まだ、不動産を利用していない買主が、それでも、別荘の代金を売主に支払うという一見不合理な条文です。
 なぜ、そんな条文があるの。
 その説明が、「利益の存するところに、リスク有り。」の説明。
 それで、無理やり納得させるのが現状。

 買主(債権者)が、焼失した別荘の損を引き受ける(債権者主義)のか、売主(債務者)が引き受けるのか(債務者主義)が、リスクの負担の問題(法律用語で、「危険負担」)。


 リスク負担と対になる概念が、果実収取権。
 別荘敷地に、柿がなっていたら、その柿は、売主買主どちらのものになるか。

 日本では、民法575条で、引き渡されるまでは、果実は、売主のもの。引き渡されると、買主のもの。
 10/31までの柿は、売主のもの。11/1引き渡し後は、買主のもの。

 買主は、リスクは、負担するのに、果実はもらえないのが日本の民法。さらにどうなのかと一見思ってしまうところ。

****民法575条*****
(果実の帰属及び代金の利息の支払)
第五百七十五条  まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じたときは、その果実は、売主に帰属する。
2  買主は、引渡しの日から、代金の利息を支払う義務を負う。ただし、代金の支払について期限があるときは、その期限が到来するまでは、利息を支払うことを要しない。



 このリスクの負担と、果実収取権の考え方が、独仏日で大きな違いがあります。

 以下、比較します。(特定物売買において)



日本 リスクの負担 契約締結時 売主⇒買主へ移転。(民法534条1項)

   果実収取権  引き渡し時 売主⇒買主へ移転。(民法575条1項)


独 両者 引き渡し時 売主⇒買主へ移転。

仏 両者 契約締結時 売主⇒買主へ移転。(所有権が売主に移転ゆえ)


 債権法改正で、どうあるべきか、少なくとも今の「一見?」の状態が是正されるとよいと思っています。
 


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成年後見制度選挙訴訟:政府・与党 控訴する方向??残念です。

2013-03-27 16:46:27 | 国政レベルでなすべきこと
 選挙権は、最も大切な人権の一つです。

 極力、なんとしてでも、保障していくべきと考えます。

 成年後見制度で、理解できないことは、この被成年後見人は、選挙権が奪われてしまうというしくみ。
 そのような中、東京地裁は、まっとうな判決を出されたと思っていました。

 政府・与党は、それでも控訴の方向と。


 今の政治をとても残念に思います。


*****
http://mainichi.jp/select/news/20130326k0000m040095000c.html
成年後見制度選挙訴訟:政府・与党 控訴する方向で調整へ

毎日新聞 2013年03月26日 01時06分(最終更新 03月26日 07時35分)


 政府・与党は25日、成年後見人が付くと選挙権を失う公職選挙法の規定を違憲と判断した東京地裁判決について、控訴する方向で調整に入った。自民党幹部や政府関係者が明らかにした。ただ、成年後見制度の見直しを掲げる公明党は控訴断念を主張しており、政府・与党は今国会中の法改正に向けて引き続き協議する。

 政府・与党には控訴の可否を巡って両論があったが、さいたま、京都、札幌各地裁で係争中の同種の訴訟の判決を見守るべきだという意見が大勢になった。控訴せずに東京地裁判決が確定した場合、法改正前に行われる地方選挙が違憲と判断される可能性があることも考慮した。

 政府高官は「今後の選挙に影響する。与党の考えも聞かなければならない」と指摘。自民党幹部は「控訴することで守られる権利もある。控訴しないわけにはいかない」と述べた。

 政府・与党は28日の控訴期限までに最終決断する。政府内には、控訴したうえで、法改正が実現した段階で取り下げる案も出ている。ただ、約13万6000人(最高裁調べ)とされる成年被後見人に一律に選挙権を認めるのか線引きするのか、不正投票防止策をどう講じるかなど、法改正に向けた論点は多く、成案を得るまでに時間がかかる可能性もある。【鈴木美穂】
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日本の民法改正のあるべき形ー2001年ドイツ民法改正を参考にしつつ

2013-03-23 23:00:00 | 国政レベルでなすべきこと
 民法の債権法分野が、改正が検討されています。

民法(債権関係)の改正に関する中間試案(法務省ホームページより)
:http://www.moj.go.jp/content/000108853.pdf
パブコメ期間:平成25年4月1日から同年6月3日


 法律を学ぶ一法科大学院生として、一国民の立場から感じるところを書きます。

 ところどころ参考とするところは、2001年に大幅改正(債務法改革、債務法現代化)を実現したドイツ法の講義です。

 同講義を受講しながら、一方で思ったことを書きます。


 まず、民法自体がどうあるべきか。

一、国民の権利を守る者であるべき。

⇒国民ひとりひとりは、非常に弱い立場であり、その立場を守る視点であるべき。


一、国民に役立つものであるべき。

⇒そのためには、民法だけを読んでおけば、重要な権利は守られる仕組みを理解できるように。
 重要な権利保護の規定は、特別法に委ねず、取り込むべき。


一、国民にわかりやすい形であるべき。

⇒上記と矛盾するが、あれもこれも特別法を取り込むと、非常に複雑になるため、シンプルでもあるべき。
 読めばわかるものであるべき。

一、裁判を極力回避し、訴訟経済上も経費が削減されるように貢献する者であるべき。

⇒裁判は、減った方が、よい。



 では、どのようなところを改正して行くべきか。

 思いつくまま、アトランダムにまず書きます。
 今後、整理して書き直したいと思うところです。

 また、現場で法律を使って考えた訳ではなく記載に問題が多々あろうかと思います。今後その是非をさらに深く分析をしていきたいと思う次第です。

 講義は、来週まで続くため、その都度、続きも記載する予定です。

******************************

*瑕疵担保責任。
 二年間は、買った製品の瑕疵は、品質保証の考え方で、売り主責任とすることの規定とする。(二年以内に発生した瑕疵は、最初からあったものとする。)

*一定額以上のお金のやり取りは、書面を要求する。


*時効の起算点、終了時期を一定にする。
 債権が生じた翌年の1月1日を起算点にし、よって、終わるのは、12月31日とする。

*消滅時効。
 日本は、権利が消滅する考え方。
 ドイツの請求権消滅の考え方のほうがよいかもしれない。
 債権は、請求できる権利と、履行されたものを保持できる権利とする。
 債務者から、消滅時効であるものを、債務者が知らずに弁済し、その後、時効を債務者が援用した場合、弁済したものは、債務者が不当利得返還請求する形になる。
 ドイツでは、時効完成で、債権者がそのものの請求権が消滅するだけであり、保持できる。よって、上記の場合でも、保持できる。


*法定利息は、高い設定はやむを得ないところもある。
 万が一、銀行金利より安い形になると、銀行からお金を借りて返済するより、返済を遅らせるほうを経済的観点から、あえて選ぶ可能性が出てくる。
 法定利息は、支払をするインセンティブとなっている。

*債権譲渡は、公正証書をもって、第三者対抗要件とする。
 今の民法にある譲渡人から債務者への通知を必要とすると、債権を担保とした借り入れで不利。小売りの債権者に対し、債務者が大手のことも多く、売り掛け代金の債権譲渡で、お金を借りていることが、通知により債務者に知れると、信用不安の印象を与え、取引から外される可能性有り。


など。
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神奈川県独自条例臨時特例企業税 地方税法違反最高裁判決H23.3.21

2013-03-22 23:00:00 | 国政レベルでなすべきこと
 地方自治のひとつの限界を示す重要判決が出されました。

 財源をいかに獲得して行くかが、地方自治の課題。

 その点では、地方自治に大きな課題を投げかけた判決でした。

*****読売新聞(2013/03/21)*****
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130321-OYT1T00671.htm
臨時特例企業税は「違法」…神奈川県の敗訴確定

 神奈川県が条例で独自に設けた臨時特例企業税が地方税法に違反するかどうかが争われた訴訟で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は21日、「企業税は違法、無効」とし、原告のいすゞ自動車が納税した19億円余の全額返還を命じる判決を言い渡した。


 2審で勝訴したものの、逆転敗訴が確定した県は同日、原告を含む1696社に利息分も含め総額約635億円を返還すると表明した。

 地方自治体が独自に設けた「法定外税」を最高裁が違法と判断したのは初めて。自治体による独自課税の違法性が争われたケースでは、東京都が2000年度に導入した「銀行税」を巡る訴訟があるが、1、2審で都側が敗訴し、03年に上告審で和解が成立している。

(2013年3月21日20時26分 読売新聞)


*****読売新聞(2013/03/22)*****
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20130321-OYT8T01608.htm
「臨特税違法」県財政に痛手

 2001年に導入された県の臨時特例企業税(臨特税)が「違法」とされた21日の最高裁判決。県は、徴税額に還付加算金を加えた635億円の支出を迫られることになり、財政に大きな痛手となった。巨額の県民負担が生じることや、課税自主権の行使のあり方などを巡っては、今後、県議会などで議論を呼びそうだ。(黒見周平、加藤高明)

◇県庁に衝撃

 「とてもとても容認できることじゃない。しかし、最高裁の判決だからしょうがない」

 黒岩知事は県庁で涙を浮かべながら判決への怒りをぶちまけた。中村正樹財政部長は「色んな配慮を重ね、地方分権の流れの中で県の提案が(独自税の)第1号で認められた。こんな判決が出るとは」と残念がった。

 敗訴の確定を受け、県はいすゞ自動車を含む企業1696社に対し、総額約635億円を還付する手続きに入る。

 臨特税が導入されたのは01~08年度で、地方税法上は還付請求の時効(5年)に大半がかかっている。

 しかし、県は判決で、課税が「地方税法と矛盾抵触し、違法、無効」と判断されたことを重視。民法上、不当利得に対する返還請求権の時効が10年であることを踏まえ、民法上の時効がかかる約1億円を除き、加算金を加え、還付する判断をした。

 県は、13年度予算案の編成では200億円の財源不足が生じ、県有施設の売却や補助金の削減を進めるなど、台所事情は元々厳しい。

 県は今回の敗訴も想定し、財源を事前に確保していたが、緊急支出に備える財政調整基金を取り崩したことで、14年度以降の予算編成での財源探しは更に難航しそうだ。

◇経済界は歓迎

 還付に時間をかければ、利子で還付額が膨らむため、県は財源を盛り込んだ補正予算案について、25日のスピード成立を目指している。還付対象の企業には22日以降、一斉に電話をかけたり、文書を送ったりして、早期の請求を促す方針だ。

 臨特税は県内に事業所を置き、資本金5億円以上の企業が対象になったため、全国各地に活動拠点を持つ企業側に特に不満が強かった。

 県商工会議所連合会の佐々木謙二会頭は「(県経済界は)臨特税導入に慎重な対応を求めてきた経緯があり、判決は要望に沿うものだ。県には、課税対象とされた企業が一つの県や国を超えて活動を展開していることを理解してもらいたい」とのコメントを出した。

◇意見分かれる

 今回の裁判では、31都道府県が「臨特税が違法と判断されれば、自治体の課税自主権が著しく狭められる」などとする意見書を提出している。

 専修大の原田博夫教授(地方財政論)は「課税自主権の観点から考えれば、違法と切り捨てることには疑問も残る」と指摘。「各自治体は今後、課税自主権の行使に慎重にならざるを得ないだろう」との見方を示した。

 札幌学院大の金山剛教授(租税法)は「臨特税は自治体の課税自主権を認めた地方税法の観点で合法だとする見方がある一方、法律と条例の関係から趣旨や目的などに矛盾があれば、違法だとする見方があり、学識者でも意見が分かれている」と述べた。

 県が民法の規定を基に過去10年分を還付することについては、「過去に最高裁で違法課税と認定された国税のケースでも、還付期間を10年としており、妥当だ」と評価した。

(2013年3月22日 読売新聞)
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成年後見制度:選挙権喪失は違憲 東京地裁判決H25.3.14

2013-03-14 14:24:32 | 国政レベルでなすべきこと
 医療同意の問題と共に、成年後見制度の重要な問題点のひとつ、被成年後見人になると選挙権が奪われる規定、違憲判断が出ました。

 妥当な判断と考えます。

 早急なる国の公職選挙法改正を求めます。

公職選挙法
(選挙権及び被選挙権を有しない者)
第十一条  次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない。
一  成年被後見人
二  禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者
三  禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。)
四  公職にある間に犯した刑法 (明治四十年法律第四十五号)第百九十七条 から第百九十七条の四 までの罪又は公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律 (平成十二年法律第百三十号)第一条 の罪により刑に処せられ、その執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた者でその執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた日から五年を経過しないもの又はその刑の執行猶予中の者
五  法律で定めるところにより行われる選挙、投票及び国民審査に関する犯罪により禁錮以上の刑に処せられその刑の執行猶予中の者
2  この法律の定める選挙に関する犯罪に因り選挙権及び被選挙権を有しない者については、第二百五十二条の定めるところによる。
3  市町村長は、その市町村に本籍を有する者で他の市町村に住所を有するもの又は他の市町村において第三十条の六の規定による在外選挙人名簿の登録がされているものについて、第一項又は第二百五十二条の規定により選挙権及び被選挙権を有しなくなるべき事由が生じたこと又はその事由がなくなつたことを知つたときは、遅滞なくその旨を当該他の市町村の選挙管理委員会に通知しなければならない。



*****毎日新聞(2013/03/16)******
http://mainichi.jp/select/news/20130314k0000e040186000c.html

成年後見制度:選挙権喪失は違憲 東京地裁判決

毎日新聞 2013年03月14日 13時52分(最終更新 03月14日 14時05分)


 成年後見人が付くと選挙権を失う公職選挙法の規定は法の下の平等などを保障した憲法に反するとして、ダウン症で知的障害がある茨城県牛久市の名児耶匠(なごや・たくみ)さん(50)が国に選挙権があることの確認を求めた訴訟で、東京地裁(定塚誠裁判長)は14日、この規定を違憲と判断し、訴えを認める判決を言い渡した。同様の訴訟は、さいたま、京都、札幌各地裁でも起こされ、今回の判決が初の司法判断になる。

 名児耶さんは07年2月に父清吉さん(81)が成年後見人となり、選挙権を失った。名児耶さん側は「成年後見制度は主に財産管理のためのもので、選挙権を奪うことは憲法違反」と主張していた。

 これに対し、国側は「他人に影響されて不正な投票をする危険性があり、選挙には能力が必要。能力を個別に判断することは不可能で、成年後見制度を借用するのは合理性がある」と反論していた。

 成年後見制度は認知症や知的障害などのために判断力が十分でない人を支援するため00年に始まった。公選法11条は、家庭裁判所が選任する成年後見人がついた人(成年被後見人)は選挙権・被選挙権を有しないと定めている。【鈴木一生】
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確定申告すみましたでしょうか?

2013-03-07 15:53:44 | 国政レベルでなすべきこと
 皆様、確定申告すみましたでしょうか。

 本日、申告書を京橋税務署に提出してきました。
 クリニックのほうは、会計士の先生にお願いしており、自分自身のほうの申告です。

 国税庁のホームページから、自動計算ソフトに沿って作成できます。
 電子申請のやりかたは、ちょっと苦手だったので、プリントアウトして、税務署に持参しました。


 あるとき、先輩の医師から、確定申告というものがあると教えていただき、そのときは、このようなソフトも知らず、手書きで計算して、提出したものです。
 そのとき、研修医であったにも関わらず、税金がものすごく払い過ぎゆえ、もどってきたのに驚きました。


 自分で計算する意義は、大きいと思います。

 どのような仕組みで、年収が確定していくのか、そのうちいくらを税金として納めるのか、実感をもって理解することができます。
 家族の医療費にかかった分などが、きちんと差し引かれて課税所得が確定している点などは、ものすごく助かる部分です。

 
 誰もが、望むなら、自分で確定申告される制度になっているのだろうか。
 
 確定申告をしたいと思ってもできない人がいるとするならば、それは不合理な差別ではないかとさえ感じます。

 
 確定申告をしながら、税金の重みを身をもって実感すれば、その使い道を決める政治の重要性をさらに認識することになると思います。
 きっと、より慎重に、政治家を選び、その行動をチェックするようになると思います。
 
 
 法科大学院で、今後、租税法を学ぶことで、税金の制度をもっと詳しく知ること楽しみにしています。

 
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大いに注目。婚外子の相続差別規定、大法廷判断へ 合憲判例(最大判H7.7.5)見直しか

2013-02-28 01:50:44 | 国政レベルでなすべきこと
 民法の違憲状態がひとつ解決される方向に、動く気配が見られます。

 来るべき最高裁大法廷判決に大いに注目です。

 少しずつですが、時代は動いているのですね。


 以前の関連ブログ:
*2013-02-19 13:47:09婚外子相続は半分、放置17年…地裁高裁相次ぐ「違憲」判断、国会で改正議論すべき時期に
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/111b83c916144b4aeba0f10e34dfbc4a

*2012-05-02 16:40:32非嫡出子法定相続分は嫡出子法定相続分の二分の一:民法900条四号但書前段と法の下の平等:最大判H7.7.5
http://blog.goo.ne.jp/kodomogenki/e/aa82d94d925e9961789cf6d49360fa3c


*****朝日新聞(2013/02/27)*****
http://www.asahi.com/national/update/0227/TKY201302270303.html

婚外子の相続差別規定、大法廷判断へ 合憲判例見直しも


 【青池学】結婚していない男女間の子(婚外子=非嫡出〈ちゃくしゅつ〉子)の遺産相続の取り分は、結婚した男女の子の半分とする。こう定めた民法の規定が、「法の下の平等」を保障した憲法に違反するかどうかが争われた2件の裁判で、最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)は27日、審理の場を大法廷(裁判長=竹崎博允〈ひろのぶ〉長官)に移すことを決めた。

 最高裁は通常、三つある小法廷で審理するが、判例を変更したり違憲判断を示したりする場合、長官と14人の判事全員で構成する大法廷で審理する。相続差別を合憲とした1995年の最高裁判例が見直される可能性があり、年内にも結論が出るとみられる。

 2件は(1)2001年7月に死亡した東京都内の男性(2)01年11月に死亡した和歌山県内の男性の遺産をめぐる審判。(1)は東京家裁と東京高裁で、(2)は和歌山家裁と大阪高裁でいずれも昨年に規定を合憲とする判断が出たため、非嫡出子側が最高裁に特別抗告していた。
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