く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<滋賀・日野祭>800年の伝統を誇る湖東最大の春祭り 今年も2~3日に

2012年04月30日 | 祭り

【豪華な曳山と威儀を正した裃・一文字笠姿の行列】

 湖東の春を彩る日野祭(滋賀県日野町)が今年も5月2~3日に開かれる。出世開運の神として近江日野商人の崇敬を集めた馬見岡綿向神社の春の例祭。800年以上の歴史を持つこの祭りは「挨拶に始まり挨拶に終わる」とまで言われるほど厳格な秩序としきたりによって執り行われる。

 日野町内には江戸時代後期築造という曳山が16基ある。贅を尽くした4輪2層の御所車型で、豪華な彫刻や見送り幕も一見の価値がある。曳山は本祭当日の3日、各町内から本通りを通って宮入り、午前11時ごろまでに勢ぞろいする。曳山の上には趣向を凝らした「だし」の人形。拝殿には3柱の祭神を乗せた3基の神輿。その前で宮司と3人の神子(神稚児)の間で「御幸の杯の儀」が行われる。

  

 これが終わると、いよいよお旅所「ひばり野」まで2キロ余の渡御。神子を守る裃・一文字笠姿の約100人の「芝田楽」を先頭に神馬、神輿、神幣などが続く。境内にずらりと並んだ曳山は笛・太鼓・すり鉦で祭り囃子を奏じて行列を見送る。祭りが最高潮に盛り上がる瞬間だ。お旅所で「還御の祭典」をして行列が戻ってくるのは午後4時すぎ。到着すると境内で宮司と神子が「七三の別れ」の挨拶を交わす。

 メーンストリートの本通りに面した家々には「桟敷窓」という日野特有の切り窓がある。日野祭の当日、この窓を緋毛氈などで飾り、ごちそうを食べながら曳山や渡御・還御の行列を見物する。豪華絢爛な曳山、格調高い時代絵巻のような行列、そして「桟敷窓」の家の造り。それらの全てが往時の日野商人の勢いを今に伝えているかのようだ。

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<ハナミズキ(花水木)>米ワシントンへの桜の返礼として約100年前日本へ

2012年04月29日 | 花の四季

【別名アメリカヤマボウシ、今や春に欠かせない人気の花に】

 今年の春も米国の首都ワシントンのポトマック河畔では「全米桜祭り」が開かれ、満開の桜を一目見ようと大勢の人でにぎわった。日本側からその桜を贈ってほぼ100年。ハナミズキはその返礼として初めて日本にやって来た。日本産のヤマボウシに花が似ていることから「アメリカヤマボウシ」とも呼ばれる。

 ハナミズキはミズキ科の落葉樹。北米原産で米国ではバージニア州やノースカロライナ州が州の花にするなど人気が高い。4~5月に枝先に白やピンクの4枚の花を上向きに付ける。花びらに見えるのは実は総苞片で、本当の花は頭状花序と呼ばれ中央に球状に集まった黄緑色のもの。秋に深紅色の艶のある実を付け紅葉も美しい。花が淡紅色のものは「ベニハナハナミズキ」という。

 ポトマック河畔の桜は明治の終わりごろ、当時の尾崎行雄東京市長がタフト大統領夫人らの希望に応じて贈ったもの。最初に贈ったソメイヨシノ2000本は害虫の発生で焼却処分となった。そのため明治45年(1912年)、改めてソメイヨシノやカンザン、アケボノなどの苗木3100本を贈ったという。ハナミズキはそのお返しとして大正4年(1915年)、米国から東京にプレゼントされた。そして今度はポトマック河畔の桜の子孫が約10年前、日本に戻ってきた。「里帰り桜」と呼ばれ日本各地で大切に育てられている。今年3月には東日本大震災で津波に遭った仙台空港の臨空公園にも「里帰り桜」の子孫が被災地の復興を願って植樹された。

 日米の間にはこの間、真珠湾攻撃(1941年)を皮切りに戦火を交えるという悲惨な一時期があった。だが桜とハナミズキはそれを乗り越え、今も日米友好100年の〝しるし〟として花を咲かせ続けているわけだ。6~7年ほど前、一青窈の「ハナミズキ」がはやった。2001年のアメリカ同時多発テロを受けて書かれたそうだが、その中で「君と好きな人が百年続きますように」という歌詞が繰り返される。この印象的なフレーズはどこから生まれてきたのだろうか。

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<バレー黒鷲旗1日開幕> 五輪代表候補不参加、若手アピールの絶好機に

2012年04月28日 | スポーツ

【大学、高校も含め16チーム出場、東レは決勝トーナメントから】

 バレーボールの黒鷲旗(全日本男女選抜大会)が5月1日(~6日)、大阪府立体育会館で開幕する。全日本代表候補になっている有力選手がロンドン五輪世界最終予選(東京、5月19~27日)に向け合宿中で不参加のため、例年に比べると少し寂しい大会になりそう。だが、日ごろ出番が少ない若手選手にとってはアピールできるまたとない機会となる。見る側にとっても次代の日本バレー界を背負う逸材をじっくり探す楽しみもありそうだ。

 大会に参加するのは男女とも16チーム。女子の場合、プレミアリーグの8チームとチャレンジリーグ上位の4チーム、大学3チーム、高校1チーム。大学はインカレ(全日本大学選手権)上位の東海大、日体大、嘉悦大の3大学、高校は春高(全日本高校選手権)優勝の東九州龍谷が出場する。

【久光は主力8人、東レは5人が代表合宿のため不参加】

 2000年以降の女子優勝チームをみると、ユニチカ、NEC,東レ、パイオニア、東レ、パイオニア、久光製薬、久光製薬、デンソー、東レ、東レ、JT。最近ではプレミアリーグ優勝チームが黒鷲旗でも優勝することが多かった。だが今年はなかなか予測が難しい。プレミアリーグ優勝の東レと2位の久光製薬から全日本代表候補が多く出ているためだ。

 世界最終予選に向け全日本候補に登録されたのは計25人。久光が最も多く実に8人を占める。黒鷲旗では岩坂名奈、石田瑞穂、新鍋理沙などレギュラー陣がごっそり抜けるわけだ。東レも荒木絵里香、木村沙織、迫田さおりら5人。このほかデンソーから井上香織、大竹里歩、JTから竹下佳江、大友愛、岡山シーガルズから山口舞と17歳セッターの宮下遥、チャレンジリーグの日立からも江畑幸子が選ばれた。日体大と嘉悦大からも1人ずつ追加登録されている。このほか海外活躍組からは栗原恵、佐野優子、狩野舞子の3人。

 黒鷲旗は例年16チームが4組に分かれ4チーム総当たりで予選を戦い、上位2チーム計8チームが決勝トーナメントに進出する。ところが今年はプレミアリーグ優勝の東レがアジアクラブ選手権出場のため、予選を免除されて決勝トーナメントから参加することになった。このため4組のうちA組は変則的に3チームだけで予選を戦う。

【鍋谷をはじめ山田、二見、早坂、山口、近江ら逸材ひしめく】

 今大会で活躍が期待される新人選手を挙げるなら、一番手はまずデンソーの鍋谷友理枝(東九州龍谷出身)だろう。高校1年からエースアタッカーとして活躍、高校最強チーム東龍を引っ張ってきた。実業団入りを機に、木村沙織のような硬軟織り交ぜた攻撃の技をさらに磨いてほしい。デンソー同期組で中学時代のチームメート、大竹里歩(下北沢成徳高出身)が一足先に全日本代表候補に追加登録されただけに、鍋谷にも期するものがあるのではないだろうか。プレミアリーグ3位決定戦に出番があったが、鍋谷にとってはこの大会が本格的なデビュー戦になりそうだ。

  東龍時代の鍋谷友理枝    

 デンソーでは山田美花(古川学園出身)にも期待したい。センスの良さを感じさせる選手で、高校時代にはエーススパイカーとして活躍したが、デンソーではリベロに転向した。東レの二見梓(大和南高出身)はプレミアリーグ決勝で早くもスタメン起用されアタックにブロックに活躍しており、黒鷲旗ではさらに出番が増えそうだ。JTでは早坂梢依(古川学園出身)や山口かなめ(東海大出身)が注目を集めそう。山口は今春NECに入った近江あかり(東海大出身)と共に昨年の全日本インカレ優勝の原動力となった。

 今大会ではチャレンジリーグ上位チームの戦いぶりも見どころ。特にチャレンジマッチに惜しくも敗れプレミアリーグ昇格を果たせなかった日立と上尾メディックスが、主力を欠いたプレミアチーム相手にどう意地を見せるか。黒鷲旗ではこの2~3年、高校チームがプレミアチームからセットを奪うなどの健闘を見せ会場を沸かせてくれた。黒鷲旗出場7回目になる高校NO.1の東九州龍谷が今年はどんな若々しいプレーを見せてくれるかも楽しみの一つだ。

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<ケイカ(瓊花)> 鑑真和上ゆかりの名花、半世紀前に中国から伝来

2012年04月27日 | 花の四季

【唐招提寺で28日から特別公開】

 一見するとガクアジサイにそっくり。だが、この花が中国伝来の名花と分かると実にありがたく感じられる。そのうえ唐招提寺の開祖・鑑真和上の故郷、江蘇省揚州市から半世紀も前にやって来たと知ると、もう合掌するしかない。唐招提寺はこの花が咲く御影堂供華園(くげえん)を28日から5月8日まで特別公開する。

 アジサイはユキノシタ科だが、ケイカはスイカズラ科。真ん中の花のかたまりを、白い5弁花の装飾花(ガク)8つが取り囲むように咲く。その姿を8人の仙人にたとえ「八仙花」の別名を持つ。隋の時代の皇帝・煬帝がすっかり気に入って門外不出にしたという名花だ。

 鑑真は奈良時代、聖武天皇に請われ苦難の末に来日、唐招提寺を開いた。ケイカはその鑑真の没後1200年の1963年に、中国仏教協会から唐招提寺に贈られた。日中国交回復が1972年だから、その10年ほど前のことだ。1株のケイカが株分けされて、今では供華園に10株、鑑真御廟のそばに1株が植えられている。高さが4mほどに達し、無数の花をつけたケイカの姿は実に壮観。そばにある藤の花も毎年ほぼ同時期に見ごろを迎える。

 

 国内で唐招提寺以外でケイカがあるのは皇居、東大寺、飛鳥寺、岐阜県関市の薬草園「神薬才花苑」など極めて少ない。関の同苑には鑑真ゆかりの大明寺(揚州市)に薬草園開設の資金を寄付したお礼に、2001年、ケイカ2株が贈られてきたという。パンダだけでなくケイカも日中民間交流に尽くしているわけだ。(写真は2009年4月30日撮影)

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<上高地開山祭> 今年も明日27日 北アルプスにも春山シーズン到来 

2012年04月26日 | 旅・想い出写真館

 

  

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<五輪なでしこジャパン> カナダ、スウェーデン、南アと同組に

2012年04月25日 | スポーツ

【最大のライバル米国には決勝まで当たらず?】

 ロンドン五輪サッカーの組み合わせが決まった。12カ国が出場する女子は4チームずつ3組に分かれ、日本のなでしこジャパンはカナダ、スウェーデン、南アフリカと同じF組となった。日本は決勝トーナメントの組み合わせに恵まれ、F組1~2位通過の場合、最大のライバル米国が入ったG組の1位チームや、英国やブラジルが入ったE組の1位チームとは、決勝まで顔を合わせないことになった。

サッカー女子予選組み合わせ(カッコ内は世界ランキング)

◎グループE=英国(9)、NZ(24)、カメルーン(52)、ブラジル(4)

◎グループF=日本(3)、カナダ(7)、スウェーデン(5)、南ア(65)

◎グループG=米国(1)、フランス(6)、コロンビア(28)、北朝鮮(8)

【予選1位通過を! 準々決勝の相手は強豪フランスか】

 日本は7月26日未明(日本時間)、初戦をカナダと戦う。その後、28日にスウェーデン戦、31日に南ア戦の予定。カナダは大陸予選(北中米・カリブ海)の決勝で米国に0-4で敗れたものの2位通過で五輪出場を決めた。日本とカナダの対戦成績は3勝3敗3分けのイーブン。ここ数年は対戦していないが、カナダはこの1~2年、世界4位のブラジルとも互角に戦っており決して侮れない。

 2戦目のスウェーデンとの対戦成績は3勝4敗2引き分け。昨年のワールドカップでは準決勝で当たり、日本が川澄奈穂美の活躍などで3-1と完勝している。ただ過去10年間世界ランキングが3~6位と安定、オリンピックでも2004年4位、08年ベスト8と実績も残している。3戦目で当たる南アは五輪初出場で過去に対戦していないが、世界ランキングなどから力の差がありそうだ。

 決勝トーナメントには各組上位2チームと3位チームの中の上位2チームの計8チームが進出する。世界ランキングの実力通りなら、E組ブラジル、F組日本、G組米国が1位通過の可能性が高い。日本が1位通過すると、準々決勝の相手はG組2位(フランスか北朝鮮?)となる。仮に2位だったら、相手はE組2位(英国かブラジル?)。昨年のワールドカップで日本が唯一黒星を喫したのがイングランド戦(0-2)だった。ブラジルも手ごわい。このため予選は何としても1位で通過したい。

【なでしこ、世界ランク2位のドイツの分まで活躍を!】

 1位通過の場合、世界ランキング通りなら準々決勝の相手はフランスとなる。勝つと準決勝の相手はスウェーデンか、それとも「ホーム」の地の利で勝ち上がる英国か。これを突破するといよいよ決勝だが、相手は米国にほぼ間違いない。ワールドカップの再現だ。いずれにしろ日本はフィジカル面で劣るだけに、1戦1戦速いパス回しで勝機を見出す持ち前のプレースタイルを貫くことができるかがカギを握る。

 日本は前回2008年の北京五輪は4位でメダルにいま一歩届かなかった。だが、今の実力が4年前より確実に進化しているのは間違いない。世界ランキングが2位なのに、ワールドカップ準々決勝で日本に破れ五輪出場切符を惜しくも手にできなかったドイツの分まで、なでしこには頑張ってほしいものだ。

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<ヤマザクラ(山桜)> 清楚な白花、赤みがかった若葉と同時に開花

2012年04月24日 | 花の四季

【15年前ひょっこり出芽、今や高さ6mにも】

 我が家のヤマザクラがようやく開花を始めた。鳥が種を運んだのだろうか、15年ほど前に庭の片隅からひょっこり芽を出した。その後、見る見るうちに成長し、今では2階の屋根に達するほど。4~5年前から花を付け始め、毎年4月下旬から5月のGW前後にかけて咲き続ける。

 ソメイヨシノはまず花が咲き満開を過ぎて葉が出る。一方、ヤマザクラは花と同時に赤みがかった若葉が出る。白い5弁花で直径2~3センチ、1カ所から2~5個の花が散房状に咲く。桜の中では寿命が長く大木になるそうだ。狭い庭の中でこの桜の行く末が心配。ヤマザクラの仲間に大島桜、大山桜、霞桜など。「いにしへの奈良のみやこの八重ざくら けふ九重ににほひぬるかな」(伊勢大輔)の和歌で有名な「奈良八重桜」は霞桜が重弁化した変種といわれる。

 関西でヤマザクラといえば吉野山。「下の千本」から「奥の千本」まで数万本の桜が次々に咲き続ける。主に桜の原生種シロヤマザクラで、この桜は他の桜と交配しやすいのが特徴。吉野の桜の記述は紀貫之によって書かれた「古今和歌集」(905年)の序文が初出という。

 

 吉野山保勝会理事長の福井良盟さんは「吉野にとって一番の恩人は歌に詠んで桜の名所として不動のものにしてくれた西行法師、次いで諸大名を引き連れて花見をした豊臣秀吉」と話していた。西行は桜の歌を230首も詠んだそうだ。西行「吉野山こずゑの花を見し日より 心は身にもそはずなりにき」、秀吉「とし月を心にかけし吉野山 花の盛りを今日見つるかな」。

 福井さんによると、サクランボの種は不思議なことに、親の桜の木の下では絶対に芽を出さないという。また吉野ではカラスを大切にしているそうだ。カラスが種をよそに運んでまいてくれるからというのがその理由。

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<下関・壇の浦>平清盛の孫、安徳天皇を祀る赤間神宮は竜宮城

2012年04月23日 | 旅・想い出写真館

竜宮造りの水天門。安徳天皇の母、建礼門院徳子は竜宮城にいる幼帝の夢を見たという 

  

源平最後の合戦の舞台になった壇の浦。幼い安徳天皇(満6歳4カ月)は祖母二位尼(平時子)に抱かれ入水する。命日にちなみ毎年5月2~4日、赤間神宮で「先帝祭」が行われる

 

平家一門のお墓と「耳なし芳一」の木像を安置した「芳一堂」。平家の亡霊に囲まれ、平家物語を弾き語りする芳一の琵琶の音が、今にも聞こえてきそうな気配が漂う

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<造幣局・桜の通り抜け> 春爛漫! 約650mの間に129品種・354本

2012年04月22日 | 花の四季

【1883年(明治16年)から一般開放。紅手毬、大手毬などの希少種も】

(㊧上から) 紅手毬、林一号、須磨浦普賢象、小手毬、簪桜

(㊨上から) 御衣黄、楊貴妃、松前琴糸桜、大手毬、二尊院普賢象

 

 

  

 

 

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<ギター曲「鏡の中のアンナ」>「太平洋―日本海を桜で結ぶ」の夢乗せ!

2012年04月21日 | 音楽

【21~22日、さくら道国際ネイチャーラン】

 名古屋から金沢までの260キロ余を桜のトンネルで結びたい! こんな壮大な夢に向かって桜を植え続けた男性がいた。旧国鉄バス名金線の車掌、故佐藤良二さん(1929~77年)。給料と蓄えのほぼ全てを注ぎ込み自ら桜の苗を育てては、休暇を利用しバス路線に沿って1本1本植樹した。だが病魔に倒れ、夢半ばで亡くなった。享年47歳。植えた桜は2000本ともいわれる。

 1984年、NHK名古屋放送局が「北陸東海桜紀行」の中でこの佐藤さんのことを取り上げた。その10年後には映画「さくら」(神山征一郎監督、篠田三郎・田中好子共演)にもなった。さらに2004年から05年にかけてNHKアーカイブで再放送された。そのNHKの中で、繰り返し流れていたバックミュージックが「鏡の中のアンナ」というギター曲だった。

    

 奏者はフランスのニコラ・デ・アンジェリス。ピアノの貴公子・リチャード・クレイダーマンと同じレコード会社デルフィンに所属するギタリストで、「鏡の中のアンナ」(ポール・ド・センヌビル作曲、1981年発表)は彼のデビュー曲だった。ギターの温かい音色と優しいメロディーがなんとも心地よい。最近もNHKラジオで時々、番組案内などのバックミュージックとして流れているが、この曲を聴くとつい佐藤さんのことを連想してしまう。

 ニコラは80年代に数回来日しており、この写真のCDは86年の3回目の来日コンサートの記念アルバム。オリジナルヒット曲とラテンの名曲が交互に入っており、彼の卓越したテクニックでギターの魅力を存分に堪能させてくれる。彼の消息が気になっていたが、数年前ジャッキー・トリコワール(本名?)の名前で、レイモン・ルフェーヴル・グランド・オーケストラの一員として来日したらしい。「鏡の中のアンナ」以外にも「ルドルフへの贈り物」「夢の散歩道」などの名曲を残してくれた彼にはただ感謝の一言。

 佐藤さんの出身地、岐阜県白鳥町(現郡上市白鳥町)は遺志を引き継ごうと毎年桜シーズンに「さくら道国際ネイチャーラン」を企画、今年も21~22日に開かれる。コースは名古屋城から金沢・兼六園に至る250キロ。21日午前6時にスタートし、ゴール制限時間は22日午後6時15分。昨年は福島原発事故の影響からか海外参加予定者の辞退が相次いだが、今年は海外22人も含めほぼ定員に近い115人(うち女性21人)が挑戦する。翌23日には白鳥町内で桜を記念植樹する予定だ。

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<BOOK> 大阪・関西の「謎と不思議」を歩く

2012年04月20日 | BOOK

【若一光司著、KKベストセラーズ】

 著者は1950年、大阪・豊中市生まれ。小説・ノンフィクション・評論と多彩な執筆活動の傍ら、テレビでアジア情勢や人権問題などのコメンテーターとしても活躍している。書家・榊莫山は「好奇心こそが人生最大のエネルギー」と語っていたそうだが、著者の「奇なるもの」への好奇心の旺盛ぶりと丹念な取材ぶりが本書の隅々からうかがえる。

    

 取り上げた謎・不思議は全部で50編。その1番目「大阪市章の澪標(みおつくし)」はその言葉や市章の形をぼんやり知っていても、実際にどんなものか知らなかっただけに興味深かった。澪標は安全航行のための標識で、澪標住吉神社(大阪市此花区)に市章と同じオブジェがあること、岡山県の倉敷川河口に澪標が現存していることなどを初めて知った。

 「大阪で一番高い所」ではこれまで金剛山(1125m)とばかり思っていたため、山頂は奈良県御所市というのは意外だった。大阪府最高地点は山頂より下側の地点(1053m)で、山の高さでは葛城山(959.7m)が大阪一という。「豊臣秀吉の埋蔵金(太閤遺金)」は兵庫県の多田銀銅山が隠し場所と伝わるが、1598年に突然「銀山払い」(閉山)があったという。これが埋蔵説の出発点になっているそうだ。

 「飛行神社(京都府八幡市)」は発明家・二宮忠八が約100年前に創建し航空事故犠牲者の御霊を祀るが、ギリシャ神殿のような拝殿の写真にはびっくり。このほか「京都府立植物園の超希少種キソウテンガイ」や「大阪ビジネスパークの幻の地下鉄ホーム」「四天王寺金堂の謎の止まり木」「学文路苅萱堂(和歌山県橋本市)の人魚のミイラ」など興味深い謎・不思議を満載している。

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<シャガ(射干、奢莪)> チョウが舞う清楚な姿から「胡蝶花」の別名も

2012年04月19日 | 花の四季

【アヤメ科の中では珍しい常緑植物】

 華やかな花ではないが、よく見るとなかなか凝った造りだ。花は外花被3枚と内花被3枚から成る。外花被は青紫と黄色の模様が入り縁はフリル付き。内花被は真っ白で模様はない。高浜虚子はその姿を「紫の斑(ふ)の仏めく奢莪の花」と詠んだ。なかなか清楚でかわいいのに、なぜ「反抗」や「抵抗」といった花言葉が当てられているのだろうか?

 アヤメ科アイリス属。学名はアイリス・ジャポニカ。半日陰を好み、杉林や雑木林などの下に群生する。染色体が3倍体のため種はできず地下茎で増える。花期は4~5月で、1本の茎に10輪前後の花を付け毎日次々に咲く。群生地ではまさに多くの蝶が舞っているような幻想的な光景を醸し出す。関西では石山寺(大津市)や愛宕念仏寺(京都市)の群落が有名。

 シャガより少し小型で花びらが薄紫のものにヒメシャガがある。こちらは絶滅危惧植物。「みちのくのあさかのぬまの花かつみ かつ見る人にこひやわたらむ」(古今和歌集)。この中の「花かつみ」という植物が万葉の時代からよく詠まれているが、どの花を指すのか不明で「幻の花」といわれる。諸説の中にヒメシャガ説もあり、福島県郡山市はヒメシャガを「ハナカツミ」として市花に指定している。「花奢莪に涙かくさず泣きにけり」(長谷川かな女)。

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<遠州森町>侠客石松の墓は3代目 削られたり盗まれたり受難続き

2012年04月18日 | 旅・想い出写真館

 

賭け事にご利益?3代目も縁に削られた跡。隣には親分次郎長の碑(大洞院の門前)

  

石松愛用という「縞の道中合羽」  「石松養家」の看板が掛かる「新屋旅館」

  

三島神社「常盤の横笛」     遠江国一宮の小国神社 

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<カイドウ(海棠、ハナカイドウ)>楊貴妃にちなみ中国では「睡花」とも

2012年04月17日 | 花の四季

【ボタンと並んで美人の形容詞に】

 ソメイヨシノが散り始めると、今度はカイドウの薄桃色の華やかな花が咲き始めた。日本の花木には大陸から渡ってきたものが多いが、これも中国原産で江戸時代に渡来した。海棠の「棠」は梨のことを指し、海を渡ってきた梨ということで海棠と名付けられたらしい。

  中国では唐の時代の絶世の美女・楊貴妃にちなんで「睡花」や「眠りの花」ともいわれる。玄宗皇帝が楊貴妃を呼んだところ、ほろ酔いのうたたね顔で現れたため、「海棠の眠り、いまだ足らざるのみ」と、楊貴妃を海棠の花にたとえたことによる。楊貴妃自身もカイドウの花を好んだらしい。中国では古来ボタンとともに愛好され、詩歌や絵画の題材としてよく描かれてきた。

 カイドウといえば通常「ハナカイドウ」を指す。花が垂れ下がって咲くため別名スイシカイドウ(垂糸海棠)。同じ仲間に「ミカイドウ」があるが、これは花が上向きに咲くのが特徴。姫リンゴに似た小さな実を付け、長崎地方から全国へ広がったため「ナガサキリンゴ」の別名を持つ。

 華やかなカイドウは俳人の間でもよく詠まれてきた。「海棠や白粉に紅をあやまてる」(与謝蕪村)、「海棠の寝顔に見ゆる笑くぼ哉」(正岡子規)、「海棠の精が出てくる月夜かな」(夏目漱石)。漱石門下の久米三汀(小説家久米正雄の俳号)の忌日は「海棠忌」と呼ばれている。

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<飛騨「古川祭」> 勇壮な「起し太鼓」と華麗な屋台行列 19日に開幕

2012年04月16日 | 祭り

【白壁土蔵と清流瀬戸川、三寺まいりの静かな里が2日間祭り一色に】

 飛騨路に春の訪れを告げる祭りが続く。1415日の高山祭が終わると、今度は19~20日に飛騨古川(岐阜県飛騨市)の古川祭。約1000人の裸男による「起し太鼓」が夜のしじまを破る。一夜明けるときらびやかな9台の屋台行列。まさに「動」と「静」。高山祭とはまた一味違った祭りの醍醐味をたっぷり味わわせてくれる。

  

 古川祭は気多若宮神社の例祭。国指定の重要無形民俗文化財だ。始まったのは古く、約230年前にはすでに9台の屋台が曳き回されていたという。起し太鼓は櫓(やぐら)の上に直径80cmの乗せたもので、それに白鉢巻き、半股引き姿の若者2人がまたがって交互にバチを振り下ろす。19日午後9時ごろから、まつり広場で出立祭。祝い唄「ぜんぜのこ」の大合唱が終わると、櫓が広場から担ぎ出される。辻々で12組の付け太鼓が我先に櫓に殺到し激しくもみ合う。起し太鼓は祭りの始まりを告げる〝目覚まし〟として始まった。いわば大相撲の触れ太鼓のようなもので、それが一つの祭りとして独立し巨大化して今の姿になった。

 

 翌日の主役は町内各地区から曳行される9台の屋台。三層構造、上げ下げできる上段の造り、直角に曲がるための戻し車などに飛騨の匠の技が凝縮。龍やボタンの花などの見事な彫刻、前田青邨ら有名作家の作品もある「見送り」など、それぞれの屋台も一見の価値がある。最大の見どころは赤い欄干の今宮橋での曳きそろえ。屋台の一つ「白虎台」の子供歌舞伎も毎年大きな人気を集める。

 飛騨古川は高山のすぐ北に位置する。白壁土蔵街と錦ゴイが泳ぐ清流・瀬戸川の散策スポットが観光客の一番人気。それほど大きくない町の中心部には大きなお寺が3つ。老舗の和ろうそく店、ガラス美術館、日根野美術館など見どころも多い。高山に比べると、この祭りも町の知名度も全国的にはいまひとつ。だが一度訪ねると静かな町のたたずまいと伝統的な祭りを支える人たちの熱い思いが心に残って、また訪ねたいとつい思ってしまう魅力あふれた町だ。

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