く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<秋篠川桜並木> 地域住民手づくりの〝ふれあい・いこいの場〟に

2018年03月31日 | 花の四季

【奈良市制百周年記念事業に応募し20年前に植樹】

 奈良市内にある川沿いの桜並木といえば佐保川が有名だが、市内北西部に位置する秋篠川源流域も桜の新名所として注目度が高まってきた。「桜を育てて秋篠川を地域の〝ふれあい・いこい・ときめき〟の場に!」。1996年、奈良市制百周年記念事業にアイデアが採用されたのを機に、地元住民や自治会などが「秋篠川源流を愛し育てる会」を結成、98年に桜の苗木118本を植樹した。それから丸20年。桜の木々は順調に育ち、今では追加分も含め150本を超える桜が毎春見事な花を付けるまでになった。

 秋篠川は奈良市北西部を西から東に流れた後、南下して大和川水系の佐保川に合流する。源流域の桜並木はスポーツ施設「コナミスポーツクラブ学園前」の右岸から始まり、東側の平城西小学校の方向に延びていく。遊歩道の入り口には「この川は私たちが美化を行っています(ここから下流約1.5km)」という育てる会の大きな立て看板。同会は発足時から清掃活動や親子川あそび大会、燈火さくらまつりなどに取り組んできた。川べりには河畔で見られる動植物や野鳥を紹介したボードも。育てる会はこうした地域密着活動が認められ、都市緑化基金の「緑の都市賞(奨励賞)」を受賞している。

 

 桜には1本1本「里親」がおり、根元に家族名や団体名が記された木札が立つ。幹の周りには自然や環境、エコ活動などをテーマに小学生が作った俳句の短冊も。「秋篠川さくらまいちるゆめの川」「リサイクルゴミすて禁止まもろうよ」……。「燈火さくらまつり」は例年4月の第1土日曜に開催してきた。今年も4月7~8日に開く予定だ。30日に訪ねたところ、まつりに備え既に提灯が吊り下げられ、子どもたちが描いた水彩画なども展示されていた。ただ気がかりなのは桜の開花状況。温暖化などで全国的に開花時期が早まっているが、ここでも早くもほぼ満開になっていた。1週間後までどうにか花が持つことを祈るばかりだが……。

 

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<高田千本桜> 遊歩道を華やかに彩る桜のトンネル!

2018年03月30日 | 花の四季

【樹齢約70年、奈良県内屈指の桜の名所】

 奈良県内有数の桜の名所、大和高田市の高田川畔の桜が満開になって多くの花見客でにぎわっている。「高田千本桜」として親しまれているこの桜並木は1948年(昭和23年)の市制施行に合わせ市民ボランティアの手によって植樹された。インターネットによる「関西の人気お花見スポットランキング」(3月29日現在)では大阪城公園、淀川河川公園背割堤地区(京都府八幡市)に続いて3位になっている。

 高田川は大和川の支流に当たる一級河川。両岸2.5キロにわたって植えられた桜は千本桜の名の通り、ソメイヨシノを中心に1000本を超えるという。29日訪ねるとちょうど満開を迎えて、桜のトンネルが遊歩道や川の上を覆っていた。時折吹く春風で桜吹雪も舞った。薄ピンク色の花びらが川面に張り付いて流れ下る様もなかなか風情があって見飽きることがない。まもなく見事な花筏(はないかだ)で川全面が彩られるのだろう。遊歩道の中ほどにある大中公園の周辺には露店が連なり、ひときわにぎわいを見せていた。

 

 千本桜は1998年夏の台風7号で140本が倒木の被害に遭ったという。大中公園の一角に倒れた桜の切り株が一つ残されていた(下の写真㊨)。「今後も千本桜を市民の財産として、いつくしみ育てていくための証し」とするためという。桜の中にはヤマザクラなど野生種には樹齢数百年といわれるものもあるが、雑種のソメイヨシノの寿命は一般に60~70年といわれる。千本桜も植樹から70年。それだけに枝ぶりも大きな幹も1本1本存在感を発揮しているが、見方を変えると老木と呼べなくもない。樹勢の維持と更新が今後の課題か。そんな思いを抱きながら遊歩道を進むと、巨木のそばに若木が鳥居支柱に支えられ植えられていた。その瑞々しいこと! 千本桜に対する市民の誇りと愛情を、その若木に見る思いがした。

 

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<ツクシ(土筆)> 春の到来を告げるトクサ科のシダ植物

2018年03月28日 | 花の四季

【スギナの胞子茎、和え物・汁の実など食用に】

 春の陽気に誘われ久しぶりに平城京に行くと、朱雀門のそばの土手に無数のツクシがにょきにょきと顔を出していた。桜もあちこちで咲き誇り、大和路もいよいよ春本番。ツクシは原始的なシダ植物の一種でトクサ科に属する。古名「ツクヅクシ」。源氏物語の第48帖「早蕨(さわらび)」の巻にも「蕨つくづくし、ちかしき籠に入れて……」と出てくる。ツクシは早春、地上に勢いよく突き出す。「突く」を重ねたそのツクヅクシが詰まってツクシになったともいわれる。

 身近な植物だけにツクシには全国で500を超える呼び名がある。その中には「ツギツギボウシ」や「ツギボウズ」なども。ツクシはかつて子どもたちにとって野遊びの材料の一つだった。ツクシには節ごとに「袴(はかま)」と呼ばれる輪生葉がある。その袴の1カ所から抜き取って元に戻し「どこどこ接いだ?」と当てあう。ツクヅクシの語源にはそのツギツギボウシから転訛したとの説もあるそうだ。

 「ツクシは誰の子スギナの子」。こう言われるようにツクシはスギナの胞子茎のこと。一見筆に似たような姿形から漢字には「土筆」の字が当てられた。胞子を飛ばした後は枯れてしまい、少し遅れて緑色の栄養茎のスギナが姿を現す。スギナ(杉菜)という名前は松葉状の姿が針葉樹のスギの枝葉に似ることから。このスギナの祖先は古生代まで遡り、他のシダ類とともに大森林をつくって石炭のもとになったトクサ類の子孫に当たるという。

 ツクシはワラビやゼンマイとともに野趣に富む春の摘み草として八百屋の店頭にも並ぶ。胞子を散らす前の若いツクシの袴(はかま)を取り除き茹でてアク抜きをしたうえで、和え物や酢の物、汁の実、佃煮、ツクシ飯などとして味わう。ツクシ料理を好んだといわれるのが明治天皇。新宿御苑で担当者が栽培していたそうだ。スギナは乾燥したものが問荊(もんけい)と呼ばれ、利尿、解熱などの民間薬として使われてきた。「われ死なば土葬となせや土筆野へ」(福田甲子雄)

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