く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<沖縄の音楽> 27日は「カチャーシーDAY」

2018年05月28日 | 音楽

【奈良で5年目の〝ムジーク・プラッツ〟】

 沖縄の音楽や伝統芸能を紹介する野外ライブ「ムジーク・プラッツin春日野園地」が今年も5月26~27日、奈良公園内の芝生広場で開かれた。7年目を迎えた「ムジークフェストなら」(5月7日~6月3日)の一環で、この沖縄音楽の集いは今回で5回目。「沖縄の音楽と笑い」をサブテーマに掲げた今年も、沖縄を代表する民謡歌手や音楽グループ、お笑い芸人らがステージに登場し多彩な芸能を繰り広げた。

 初日の26日は「三線DAY」。沖縄民謡界の第一人者知名定男&知名定人や石垣島出身の女性ユニット「やなわらばー」などが出演したほか、三線を持参した観客たちがステージの出演者と一緒に「十九の春」を合奏・合唱した。「カチャーシーDAY」の27日には「豊年音頭」に合わせたカチャーシー(乱舞)などもあり、ステージと観客が一体となって盛り上がりを見せた。

 

 2日目は「玉城流・円の會(つぶらのかい)平良冨士子琉舞道場」による琉球舞踊からスタート。続いて「琉球國祭り太鼓奈良支部」のメンバーがエイサーをベースにした勇壮な創作太鼓を披露した。次に登場したのはバンジョーを奏でながら歌う女性歌手「BANJO AI(バンジョー・アイ)」。デビュー曲の「唄の島」が飲酒運転根絶キャンペーンのCMソングに起用されるなど、いま沖縄で注目を集めるアーティストの一人で、軽快なバンジョーサウンドが耳に心地よかった。

 女性3人グループの「ゆいゆいシスターズ」は予想を超える観客の多さに「涙が出そう」と繰り返しながら、持ち歌の「ちゅらぢゅら」「私の大好きな島」「ユイユイ」などを披露した。この後〝琉球笑タイム〟を挟んで、兄弟・従兄弟3人によるエンタメバンド「きいやま商店」や、全国各地で積極的にライブ活動を展開する「DIAMANTES(ディアマンテス)」が登場した。「きいやま商店」の名前は3人のおばあちゃんが石垣島で営んでいたお店に因むそうだ。過去にも家族4人のユニット「鳩間ファミリー」や那覇・栄町市場の3人組「おばぁラッパーズ」などが出演したが、この「きいやま商店」もなんとも沖縄らしいほのぼのとしたグループ名で、気持ちがなごんでほっこりしてきた。

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<奈良女子大管弦楽団> ドヴォルザーク第8番など溌剌と演奏

2017年12月11日 | 音楽

【第47回定演、ブラームス「悲劇的序曲」なども】

 奈良女子大学管弦楽団の第47回定期演奏会が10日、奈良県文化会館(奈良市)で開かれた。第1部はワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より「第1幕への前奏曲」とブラームスの「悲劇的序曲」、第2部はドヴォルザークの「交響曲第8番」。学業の合間に練習を重ねてきた学生たちの溌剌とした演奏に、会場の国際ホールを埋めた観客から惜しみない拍手が送られた。

 客演として指揮したのは若手女性指揮者の木下麻由加さん。2010年に神戸大学発達科学部人間表現学科を卒業し、その後、デンマーク王立音楽アカデミー指揮科で研鑽を積んだ。帰国後は関西を中心にオーケストラや吹奏楽団などの客演や合奏トレーナー、副指揮を務めている。奈良女子大管弦楽団の定演客演指揮も2015年から3年連続。その間に団員とのスムーズな意思疎通や信頼関係が育まれてきたのだろう。今回の演奏会でも時に繊細に、時にダイナミックに切れのある指揮で若い演奏者たちを見事に統率していた。

 ワーグナーの「ニュルンベルク…」は全3幕15場で4時間半にも及ぶ長大作。「第1幕への前奏曲」はそれをぎゅっと凝縮したような10分余りの曲で、冒頭のハ長調の明るく力強い響きによってワーグナーの世界に一気に引き込まれた。ブラームス「悲劇的序曲」は陽気な「大学祝典序曲」の対極として作曲され、曲名も自ら名付けたといわれる。ドヴォルザークの交響曲第8番は第9番「新世界より」の影に隠れがちだが、クラシックファンには傑作の一つとして人気が高い。この名曲を強弱・緩急のメリハリを利かせて演奏し、中でも第3楽章のバイオリンの哀愁を帯びた甘美な旋律が心地よく耳に響いた。アンコール曲は同じドヴォルザークの「スラブ舞曲 作品46-8」だった。

 同管弦楽団の演奏会を聴くのは2014年のイタリア公演凱旋記念演奏会(橿原市)以来3年ぶりだったが、今回も期待を裏切らない名演奏だった。ただ、団員の間では苦労が絶えないようだ。団長の中野奏子さんは「ごあいさつ」の中でこう吐露している。「近年、団員不足という大きな問題に悩まされてきました。特に幹部である3回生の人数が非常に少なく、運営面、演奏面においても上手くいかない場面が多々ありました」。それを示すように舞台上では女性陣の中に10人余りの男性が交じり、出演者名簿の一覧にも「賛助」や「OG」の文字が少なくなかった。演奏会の成功も多くの力添えがあってこそというわけだ。来春には新1回生が1人でも多く仲間に加わることを陰ながら祈りたい。

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<ムジークフェストなら⑤> 「堤剛&萩原麻未 デュオ・リサイタル」

2017年06月21日 | 音楽

【年の差44歳! チェロ界の重鎮と注目の女性ピアニストの協演】

 国際的なチェリストの堤剛と若手女性ピアニスト萩原麻未という魅力的な取り合わせのコンサートが20日、奈良市西大寺の秋篠音楽堂で開かれた。堤74歳、萩原30歳。年の差44歳のデュオ・リサイタルだ。堤は名実ともに日本を代表するチェリストで、2013年まで9年間、桐朋学園大学の学長を務めた。現在は演奏活動の傍ら、霧島国際音楽祭音楽監督やサントリーホール館長なども務める。一方、萩原は2010年のジュネーブ国際コンクールピアノ部門で優勝し一躍注目を集めた。コンサートは堤の円熟味あふれる演奏と萩原の溌剌とした演奏が融合し、チェロとピアノの二重奏の醍醐味を満喫させてくれるものだった。

      

 プログラムは前半がベートーヴェンの「モーツァルトの『魔笛』の〝娘か女か〟の主題による12の変奏曲」、モーツァルトの「幻想曲二短調」、セザール・フランクの「チェロ・ソナタ」。15分の休憩を挟んで、後半は三善晃作曲の「母と子のための音楽」5曲とリヒャルト・シュトラウスの「チェロ・ソナタ」。ピアノソロの「幻想曲二短調」以外はいずれも二重奏だった。

 フランク「チェロ・ソナタ」は元々バイオリン・ソナタが原曲。フランクはベルギー出身で19世紀にフランスで活躍した。バイオリン・ソナタの傑作といわれるこの曲はチェロのほかフルート・ソナタなどとして演奏されることも多い。堤は身も心もチェロに委ねるように、時に目を閉じ時に体を大きく揺らしながらビロードのような艶やかな音色を紡ぎだした。萩原もそれに呼応するように繊細かつ大胆に卓越したテクニックで鍵盤を操った。とりわけ第4楽章のフィナーレの息の合った演奏は感動的だった。

 萩原がジュネーブで優勝したのは23歳の時。コンサートのファイナルではスイス・ロマンド管弦楽団をバックにラヴェルの「ピアノ協奏曲」を演奏した。その時の演奏と授賞式の模様を繰り返しユーチューブで見たのが懐かしい。当時の新聞には萩原が現地から広島の母親に「信じられない。私が1位でいいのかなあ」と電話で話したことなどが詳しく紹介されていた。その後、1位の名に恥じないよう研鑽を積み数多くの演奏会をこなしてきたためだろう、萩原の演奏は自信に満ち溢れていた。演奏後、聴衆に向かって深々とお辞儀する姿も印象的だった。

 アンコール曲は2曲。最初にラヴェルの「ハバネラ形式の小品」、次いでラフマニノフの「ヴォカリーズ」。この「ヴォカリーズ」は甘美なメロディーが愛され、映画「プラトーン」で使われるなど聴く機会も多いが、堤がチェロで奏でる「ヴォカリーズ」は深みのある音色と旋律がマッチして、より味わい深いものになった。

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<ムジークフェストなら④> 春日野園地で沖縄音楽一色の2日間

2017年06月19日 | 音楽

【りんけんバンド、鳩間ファミリー、よなは徹、大城美佐子……】

 奈良市の奈良公園春日野園地で17~18日の2日間にわたって「沖縄の音楽と芸能」の野外ライブが開かれた。今年で6年目の「ムジークフェストなら」の人気イベントの一つ。今回も沖縄を代表する歌手やグループが登場するとあって、大勢の観客が広大な芝生広場を埋め尽くした。初日が「エイサーDAY」、そして2日目は「三線DAY」。両日とも公演は4時間半前後に及び、出演者と会場が一体となって手踊りカチャーシーなどで盛り上がった。(写真右奥は東大寺大仏殿)

 初日のライブは昨年同様「琉球國祭り太鼓」奈良支部の勇壮なエイサーで始まった。続いてロックバンド「ジャアバーボンズ」が『猫マヤー』『勝利の歌』などを力強く演奏した。メンバーは全員沖縄出身だが、メジャーデビューを機に今は拠点を高知県に移して活動する。「ニャンニャン」と猫の仕草を真似た『猫マヤー』の振付が愉快だった。夢は「紅白出場」とのこと。この後、ボーカルデュオ「D-51」、照屋政雄などが登場し、とりを務めたのは昨年に続いて「りんけんバンド」だった。ただ後半はバイオリニスト千住真理子の公演時間と重なり、「りんけんバンド」上原知子のボーカルを聴けなかったのが残念だった。

  

 2日目は琉球民謡の「登川流研究保存会 宮里政則民謡研究所」の演奏からスタート。次に「鳩間ファミリー」が舞台に上がった。鳩間島出身の鳩間隆志や娘の可奈子を中心とする4人家族のユニット。鳩間島は八重山諸島の小さな離島だが、毎年5月3日に開かれる音楽祭で知られる。今年で20回目。音楽祭を始めた加治工勇が作った歌に『鳩間の港』がある。島を離れる人たちを見送る時にタオルなどを振りながら歌われる。この日も一部の観客が歌に合わせてタオルやハンカチを振っていた(上の写真㊧)。鳩間可奈子の伸びやかな高音が印象的だった。

 

 続いて登場したのは「よなは徹バンド」や「大城美佐子&堀内加奈子」。よなは徹は琉球古典芸能の実力派で、卓越した腕前といわれる三線を手に、よく通る張りのある歌声を披露した。関西でバンドを組んで演奏したのはこれが初めてという。大城美佐子は沖縄民謡界の大御所的存在。芸歴は60年に及び、80歳を超えてなお現役の唄者として活躍している。この日は教え子の堀内加奈子と協演した。

 とりを務めたのは「宮沢和史with大城クラウディア」。宮沢は元「THE BOOM」のボーカリストで、昨年はトーク特別ゲストとして出演したが、今年は大城クラウディア(アルゼンチン生まれの沖縄系二世)を伴って代表曲『島唄』などを演奏した。フィナーレは観客も全員総立ちで『豊年音頭』などに合わせカチャーシーを踊った。会場の一角には沖縄料理などの販売テントも設けられ、耳と舌で沖縄を堪能する2日間だった。例年この沖縄ライブが終わるとまもなく6月23日を迎える。「沖縄慰霊の日」。県民の4人に1人が犠牲になった沖縄戦が事実上終結した日で、この日は学校なども休みになり正午に1分間黙祷が捧げられる。

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<ムジークフェストなら③> 千住真理子、ヴィヴァルディ「四季」渾身の名演!

2017年06月18日 | 音楽

【テレマン室内オーケストラと協演、映像作品「奈良の四季」も】

 バイオリニスト千住真理子と映像作家保山(ほざん)耕一による「音楽と映像で巡る奈良の四季」と題する演奏会が17日、奈良県文化会館(奈良市)で開かれた。第1部は千住が延原武春指揮のテレマン室内オーケストラとの協演でヴィヴァルディ『四季』を演奏。第2部では千住と同オーケストラの演奏に乗せて、保山耕一が奈良の四季を撮った映像作品などが上映された。千住の渾身の名演奏と映像の美しさに、会場からは万雷の拍手が送られた。

     

 第1部では演奏に先駆け延原が『四季』について「最高の描写音楽」「春夏秋冬は全て違う調性」など、特徴的なサワリを聴かせながら解説した。続いて『四季』の演奏が始まった。千住の愛器は約300年前にイタリアで作られたストラディバリウス「デュランティ」。そのふくよかな艶のある音色が会場の空気を終始支配した。時に温かく包み込むように、時に激しくすさまじく。オーケストラとの息もぴったりだった。『四季』が単なる合奏曲ではなくて独奏バイオリンを主体とするバイオリン協奏曲だったことを改めて思い起こさせる名演奏だった。

 第2部が始まる前に千住が司会者のインタビューの中でこう話した。「ストラディバリウスを弾きこなすには体力を使う。この楽器に似合う体づくりに取り組んだ結果、すごく筋肉がつきストラディバリ仕様の体になりました」。そう言いながら左手を上げ観客に力こぶを見せていた。そう言えば、かつては細身の印象が強かったが、今ではかなりがっしりした体躯。舞台の袖で千住の演奏を聴いていた保山も「男は背中で勝負するというけど、バイオリニストも背中で勝負するんですね」と話していた。

 映像作家の保山は2013年に末期の直腸がんと宣告された。それ以降「好きな奈良の風景に別れを告げよう」と奈良の美しい風景の撮影に取り組む。そのライフワークのテーマは「奈良には365の季節がある」。千住の次兄で作曲家の千住明とは10年ほど前、奈良の旅番組で一緒に仕事をしたことがあるという。今回は「うれしいご縁」(保山)で妹の千住真理子とのコラボが実現した。6年目の「ムジークフェストなら」でも音楽と映像のコラボは今回が初めて。

 1年間にわたって奈良県内各地の四季の輝きを撮影した作品は千住明作曲『ヴァイオリンとストリングオーケストラの為の「四季」』の演奏に乗せて上映された。桜と東大寺、吉野の桜、夕陽が沈む二上山、優しく微笑む室生寺の観音様……。どの映像もまさに〝美の極致〟。千住真理子は「動く絵画のよう」と形容していた。続いて奥大和の桜を「1カ月間1日も休まずに追い続けた」という作品も披露された。その演奏曲も千住明が作曲したNHK大河ドラマ『風林火山~大河流々~』。2つの映像作品には自然が放つ命のきらめきへの保山自身の優しいまなざしがあふれていた。

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<ムジークフェストなら①> 能舞台で「びわ湖ホール4大テノール」コンサート

2017年06月11日 | 音楽

【春日野園地では「あおぞら吹奏楽」人気マーチングバンドなど出演】

 音楽の祭典「ムジークフェストなら」が10日開幕した。「音楽で奈良を元気に」を合言葉に2012年にスタートして今年で6年目。25日までの16日間、奈良市を中心に県内全域はクラシックやジャズ、ポップス、邦楽、沖縄エイサーなど多彩な音楽一色で彩られる。初日には奈良春日野国際フォーラム甍(いらか)の能楽ホールでびわ湖ホール4大テノールによる「オープニング・ガラ・コンサート」が開かれた。若草山を間近に望む春日野園地では県内の吹奏楽部などによる「あおぞら吹奏楽」が高らかに鳴り響き、近鉄奈良駅などでの「駅前ウェルカムコンサート」も始まった。

 開幕コンサートに出演したびわ湖ホール4大テノールは滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールに所属する4人のテノールで2010年に結成された。いずれもオペラのソリストとして活躍する実力者ぞろい。最近は愛知や徳島など近畿圏を飛び出して活動範囲を広げ、テレビやラジオなどへの出演機会も増えてきた。さらに今年1月にはバドミントンのタカマツペア(高橋礼華・松友美佐紀組)、リオ五輪400mリレー銀メダルチームとともに「関西元気文化圏賞 ニューパワー賞」を受賞。来年3月には東京単独公演も決まっている。

 注目度が高まる中で開かれたこの日のコンサートも満席の盛況だった。前半のオープニング曲は「琵琶湖周航の歌」。続いて「荒城の月」「からたちの花」「平城山」「イヨマンテの夜」「帰ろかな」など日本の歌曲や歌謡曲など7曲を4人全員またはソロで披露した。後半は「オペラの魅力」と題して4人それぞれが得意とするオペラのアリアから始まった。竹内直紀はプッチーニ「蝶々夫人」より「さらば愛の家よ」、二塚直紀はレオンカヴァッロ「道化師」より「衣裳をつけろ」、清水徹太郎はヴェルディ「リゴレット」より「女心の歌」、そして山本康寛はドニゼッティ「連隊の娘」より「ああ、今日はなんと楽しい日」。山本の軽やかな高音の響きが印象的だった。

 オペラの後はこのユニットの名物コーナー「テノールdeコント」。この日は「就学旅行は大変だ!の巻」と題し、リーダーの竹内が先生役を務め、生徒役の3人は学ランやセーラー服姿で登場した。修学旅行で奈良にやって来たとの設定で、生徒たちは鹿のぬいぐるみを持ったり、鹿のふんをまねたチョコ豆を口にしたり。愉快なパフォーマンスを交えながら「大仏なら…」「奈良の春日野」「巣立ちの歌」の3曲を歌った。「私たちはオペラ歌手です。芸人ではありません」。竹内のそんな軽妙なトークもあって、会場は終始笑いに包まれた。続いて「イタリアン・カンツォーネ・メドレー」。4人で「サンタ・ルチア」「カタリ・カタリ」など4曲を熱唱し、「フニクリフニクラ」では替え歌「鬼のパンツ」も愉快な振付付きで披露した。アンコールも4曲と大サービス。ここでもプッチーニ「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」で荒川静香さん(トリノ五輪フィギュアスケートメダル)を真似てイナバウアーをやるなどして、会場は最後まで笑いが絶えなかった。

  

 春日野園地での「あおぞら吹奏楽」には奈良市や生駒市などの中学校合同バンドのほか、日本を代表する人気マーチングバンドの京都橘高校吹奏楽部も登場し、見事な演奏のたびに広大な芝生広場を埋め尽くした観客から大きな拍手が沸き起こった。近鉄奈良駅前の行基広場ではこの日「さうりる4Trombones(トロンボーンズ)」など3グループが演奏した。この広場では最終日の25日まで連日ジャズグループなどが交代で登場する。駅前コンサートはJR奈良駅や近鉄大和八木駅前でも開かれる。会期中に県内の社寺や美術館、ホールなどで開かれるコンサートは実行委員会主催分だけで71回に上り、市町村などとの連携コンサートも64回予定されている。加えてカフェやレストランなどでも〝まちなかコンサート〟が連日繰り広げられる。

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<ソプラノ藤原のり子さん> 大阪・天満教会で「いざよいコンサート」

2017年04月14日 | 音楽

【日本歌曲を叙情的に「白鳥の歌」「荒城の月」「初恋」「早春賦」など】

 大阪市北区の天満教会で13日「藤原のり子のいざよいコンサート」が開かれた。主催は1995年に梅原猛氏、小松左京氏らの呼び掛けで設立された「藤原のり子の日本歌曲の会」。藤原さんは東京藝術大学音楽学部声楽科卒で、同会を基盤に日本歌曲の素晴らしさをもっと多くの人に知ってほしいとの願いを込めコンサート活動を続けてきた。この日のコンサートは約1年半ぶりで、岡田春恵さん(ピアノ)と三木麻帆さん(シンセサイザー)が伴奏を務めた。

 コンサートは副題に「MIWAKOに捧ぐ」。MIWAKOはコンサート活動を支えてきた姉の丸山美和子さんのことで、ちょうど1年前のこの日に病気で他界した。コンサートに先駆け同教会で「しのぶ会」も開かれた。コンサートは2部構成。第1部ではその姉が大好きだったという『もう春だ』(夢虹二詞・中田喜直曲)で幕開けした。のり子さんが身に着けた緑色のドレスは姉の着物の帯を仕立て直したという。

 

 次いで『埴生の宿』『白鳥の歌』『荒城の月』『津軽のふるさと』と続いた。豊かな声量と伸びやかな高音。歌詞に込められた叙情的な情景が目に浮かぶようだ。日本語の美しい響きにも改めて気づかされた。藤原さんは「じーばーず」という合唱団を結成し、病院や東北の被災地などでも演奏活動を続けてきた。第1部の後半はその「じーばーず」も登場し、最初の『歌ごよみ』では観客と一緒に『どこかで春が』『朧月夜』『村祭』など9曲を続けて合唱した。次いで『むこうむこう』『からまつ』、そして姉美和子さんが好きだったという『翼をください』で締めくくった。

 第2部は華やかなピンクのドレス姿で登場した。皮切りは石川啄木の『初恋』、続いて子守唄2曲、夏川みりのヒット曲『童神(わらびがみ)』と北原白秋の『揺籃(ゆりかご)のうた』。藤原さんは日本歌曲について「西洋の歌曲は愛をテーマにしたものが中心だが、日本の歌曲は花鳥風月を愛で自然の美しさを歌ったものが多いのが特徴。その詩歌にぴったりの音楽が合体して生まれた」と話す。この後の演奏曲は『早春賦』『平城山』そして『落葉松』。これまでのコンサートではこの『落葉松』が締めの曲だったとのことだが、続いて『涙そうそう』を披露した。姉を偲びながらしみじみと歌った後、そっと涙をぬぐう姿が印象的だった。最後の1曲は東北の被災地でも歌った『おひさま~大切なあなたへ』。「♪あなたは私の奇跡 あなたは私の希望~」。藤原さんの明るい笑顔と優しい語り口もあって、ほっこりと心が温まるコンサートだった。

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<森麻季リサイタル> 1曲目は「Stand Alone」―「坂の上の雲」テーマ曲

2017年02月12日 | 音楽

【生駒市「たけまるホール」で、アンコール・ピアノ演奏含め全20曲】

 日本を代表するソプラノ歌手、森麻季さんのソプラノリサイタルが2月11日、奈良県生駒市の「たけまるホール」で開かれた。東京芸術大学・大学院卒業後、ミラノとミュンヘンに留学。その後、内外の著名なオーケストラ、指揮者と共演を重ねてきたが、NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」のメインテーマ「Stand Alone」での透明感あふれる美声が、クラシックファンだけでなく多くの人々を引き付けてきた。この日の1曲目もその「Stand Alone」だった。

       

 前半は主に日本歌曲で構成。「♪ちいさな光が歩んだ道を照らす」と歌う壮大な「Stand Alone」に続く2曲目は、NHK東日本大震災復興支援ソングの「花は咲く」。ピアノ伴奏者山岸茂人さんのピアノ独奏、ブラームスの「≪6つの小品≫作品118より第2曲<間奏曲>」を挟んで、加藤周一の詩に中田喜直と別宮貞雄が別々に作曲した「さくら横ちょう」や「朧月夜」「からたちの花」など5曲。再び山岸さんがグルック(ズガンバーティ編)の「メロディ」をピアノ演奏し、前半最後の曲はドニゼッティの歌劇「シャモニーのリンダ」より「私の心の光」だった。

 後半は曲順を変え、最後に予定していたグノーの歌劇「ミレイユ」より「おぉ、軽やかなツバメよ」から始まった。強弱のメリハリの利いた伸びやかな歌唱。スパンコールがキラキラ輝く華やかなドレス姿が舞台に映える。山岸さんのピアノ独奏の後は「アヴェ・マリア」。シューベルト、バッハ=グノー、マスカーニ作の3曲を1曲ごとに森さん自身の解説を交えて披露した。両手を胸の前で組み合わせて歌う森さんの姿が神々しく見えた。

  山岸さんのピアノ演奏、ショパンの「ノクターン第8番」に続いて後半最後の曲はグノーの歌劇「ロミオとジュリエット」より「私は夢に生きたい」だった。鳴り止まない拍手の中でアンコールを3曲。石川啄木の「初恋」、ヘンデルの歌劇「リナルド」より「涙の流れるままに」、そしてプッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」の中のアリア「ムゼッタのワルツ」。「♪砂山の砂に腹這ひ初恋のいたみを……」と情感たっぷりに歌う「初恋」が心に染みた。

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<大町志津子さん> イタリアで活躍するオペラ衣装デザイナーが講演

2016年09月23日 | 音楽

【奈良・秋篠音楽堂で、「アルマーニの助言やレオ・ヌッチの励ましが支えに」】

 イタリアを拠点に活躍する国際的なオペラ衣装デザイナー、大町志津子さんの講演会が22日午後、奈良市西大寺の秋篠音楽堂で開かれた。奈良市国際交流協会イタリア部会、秋篠うたくらぶ研究会、奈良日伊協会の共催。「衣装美術デザイナーの仕事を通じて見るイタリアオペラの舞台裏」というタイトルで講演した大町さんは、四半世紀にわたるデザイナー歴を振り返りながら「全てに感謝。観客の感動する姿も大きな支えとなった」などと話した。

       

 大町さんは1954年岡山県生まれで、イタリア在住歴は30年以上に及ぶ。現在はローマ、ヴェネチアと岡山県美作市に在住。今でこそヨーロッパ在住唯一の日本人オペラ衣装デザイナーといわれる大町さんだが、社会との関わりは神戸の短大卒業後の臨床検査技師がスタートだった。だが「仕事に満足感がなく他の生き方があるのでは」と思い立つ。渡航の貯蓄ができたところでまずロンドンに留学、さらにイタリアに渡って国立ヴェネチア・アカデミア絵画部やミラノのファッション専門学校で研鑽を積んだ。卒業後、ヴェネチアのオペラ衣装製作アトリエで衣装作りの過程を目の当たりにしたのが大きな転機に。「この衣装の世界こそ自分が探し求めていたものだと確信した」。最初はデザイナーのアシスタントとして映画衣装の製作に携わったが、次第に舞台の総合芸術といわれるオペラへの関心が高まった。

 その間、ジョルジオ・アルマーニから「ファッションビジネスでは本当の意味での芸術性は追求できない。君はもっと違う分野に移ったほうがより才能を伸ばせ楽しいのではないか」というアドバイスももらっていた。だが、ヨーロッパ生まれのオペラの世界で日本人が確固とした地位を築くのはたやすいことではない。激しいバッシングにも多く直面したという。オペラ衣装デザイナーとしてのデビュー作はフェニーチェ劇場のヴェルディ「椿姫」。衣装美術デザイナーは「アートディレクターとプロデューサーの両方を兼ねた仕事」。自らは衣装を製作せず、数十人のスタッフを束ねて衣装などを具現化していく。大町さんはこのオペラに全てを賭け懸命に向き合った。裁断・縫製のスタッフは自分の負担でパリのオペラ座から呼び寄せたという。

 しかし他の多くのスタッフはなかなか言うことを素直に聞いてくれない。大町さんは四苦八苦していた。そのとき力強い助け舟が登場した。出演者の1人でイタリアオペラ界を代表するバリトン歌手レオ・ヌッチさんだ。舞台衣装を着て現れた彼は大勢のスタッフの前で「シズ、僕の体は君のものだから、好きなように作ればいいんだ」と話した。「みんなの前で私に対するリスペクト(尊敬の念)を示してくれたことで、回りの人たちの態度がその後ガラッと変わった。本当にありがたかった」と振り返る。

 「衣装美術デザイナーの大きなポイントは登場人物の心理状態をどう解釈し、衣装でどう表現するかということ」。そのためには3つの要件が欠かせないと指摘する。①服飾史、社会史、歴史の知識を含めた時代背景をしっかり理解できること②現実的に形にする製作作業を推進できること③クリエイティブなオリジナルなものを作る能力があること。プッチーニの「トゥーランドット」では日本の着物の美しさに着眼し、京都の古着店などで入手した150着分の着物と帯を活用した。また大町さんはほとんどのオペラ衣装を染色してもらっているという。「染色によって舞台に深みと人生の重みを表現できるから」。最新作は8月に手掛けたばかりのヴェルディの「リゴレット」。作った衣装はルネサンス時代のものなど約170着に上った。大町さんのテリトリーは衣装だけでなく出演者の頭から足元まで全身。大町さんは「時間とエネルギーを多く費やすのは、当時の髪型などディテールをきちっと押さえること」とも話していた。

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<ムジークフェストなら> 「トゥジュール・サクソフォンクァルテット」

2016年06月24日 | 音楽

【犬養万葉記念館で、「四重奏のための『万葉』」など好演】

 奈良県明日香村の犬飼万葉記念館で23日、「サクソフォンが奏でる万葉の調べ」と銘打ってサクソフォン四重奏団「トゥジュール・サクソフォンクァルテット」の演奏会が開かれた。ポピュラーな曲目を中心にアンコールを含め8曲演奏したが、中でも万葉歌に因む「サクソフォーン四重奏のための『万葉』」はサックスの豊かな表現力や音域の広さなどを再確認させてくれる好演だった。

     

 グループ結成は約10年前の1995年で、以来、毎年秋に大阪、名古屋、東京で定期演奏会を開いてきた。プロフィルによると、メンバー4人のうち辻本剛志、岩本雄太、山添悟の3人はいずれも大阪芸術大学の演奏学科を首席で卒業し、同時に学長賞も受賞。またアルトサックス担当の森下知子は大阪音楽大学出身で、2005年から「阪神大震災復興祈念コンサート」で20回にわたって単独公演を行い、毎回1000人を超える観客を集めているという。(写真は左から辻本、森下、山添、岩本の各氏)

 オープニングは「情熱大陸」(葉加瀬太郎作曲)。次いで「蘇州夜曲」(服部良一作曲)と「ホーダウン」(アーロン・コープランド作曲)。演奏者と観客席が近いアットホームな雰囲気で、リズムを刻んで主旋律を支えるバリトンサックスの低音がおなかに響く。この後、メインプログラム「サクソフォーン四重奏のための『万葉』」を挟んで、スウィング調の「故郷の空」(イギリス民謡)、「彼方の光」(村松崇継作曲)、そしてSMAPのヒット曲メドレー「SMAP!ノンストップ!」。

 「サクソフォーン四重奏のための『万葉』」は吹奏楽曲を多く作曲している櫛田胅之扶(てつのすけ)の作品で、「采女の袖吹きかへす明日香風都を遠みいたづらに吹く」(志貴皇子)など5つの万葉歌をもとにした5曲から成る。1曲ごとに万葉記念館の岡本三千代館長のミニ解説と朗誦に続いて演奏された。哀愁を帯びた物悲しい音から迫力のある明るく艶やかな音まで、サックスの多彩な音色と様々な演奏技法を堪能させてもらった。アンコールは夏川りみのヒット曲「涙(なだ)そうそう」(BEGIN作曲)。4日前19日の奈良公園での野外ライブで、おおとりとして登場した夏川りみがこの曲を熱唱していた模様が鮮明に蘇ってきた。

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<ムジークフェストなら> 東大寺・金鐘ホールで「小川理子トリオ」演奏会

2016年06月21日 | 音楽

【ジャズのスタンダードナンバーから童謡まで15曲を熱演】

 19日、奈良市の東大寺総合文化センター(金鐘ホール)で、「小川理子トリオ」によるジャズ演奏会が開かれた。ピアノ・ボーカル小川理子(みちこ)、ウッドベース小林真人、ギター田辺充邦。小川はパナソニック経営陣の唯一の女性役員で、音楽活動との二足のわらじで注目を集めている。これまでに14枚のCDをリリースし、2003年発表のアルバムは英国ジャズ専門誌の評論家投票で第1位に輝くなど実力も折り紙付きだ。この日は小川の弾き語りを中心にデューク・エリントンのスタンダードナンバーやジョージ・ガーシュインの作品など15曲を披露した。(写真は「ムジークフェスタなら」のHPから拝借)

      

 オープニング曲はデュークの「サテン・ドール」だった。5月の連休には中南米を旅しブラジルでボサノバをたくさん聴いたという。そこで続く「ティー・フォー・トゥー(二人でお茶を)」はボサノバ調にアレンジしての演奏。そしてガーシュインの「アイ・ガット・リズム」。〝ハーレムストライド奏法〟(1920年代にNYハーレムで流行)と呼ばれる小川の巧みなピアノタッチとソフトで滑らかな歌声が耳に心地いい。

 米国映画「カサブランカ」のテーマ曲として知られる「アズ・タイム・ゴーズ・バイ(時の過ぎゆくままに)」の後は、童謡「赤い靴」や小川の父親が70歳のときに作曲したという「マイ・ファザーズ・ラヴ・ソング」など。「赤い靴」は小川が母のおなかの中で聴いたと信じている曲で、幼い頃にはこの歌を聴くたびに涙を流していたそうだ。小川はその体験から「胎教というものを絶対的に信じている」とも話していた。

 後半にも小川が大好きというガーシュインの作品を2曲演奏した。「ス・ワンダフル」と「サマーマイム」。チャップリンが無声映画「モダン・タイムス」のために作曲した「スマイル」やデュークの「A列車で行こう」なども披露した。締めの1曲として選んだのは「ヒンダスタン」。舞台の背後にはスポットを浴びた仏様のレリーフ。仏教のルーツはインド。ということから、この曲に決めたという。

 アンコールは予定していなかったそうだが、鳴り止まない拍手に促されて演奏したのは「スウィングしなけりゃ意味がない」だった。「A列車で行こう」と並ぶデュークの代表曲。小川の「デュワッ、デュワッ」という軽やかな歌声が今も頭の中を駆け巡る。会場の入り口には小川が中心になって開発した「テクニクス」の高級オーディオ機器がデモ展示され、休憩時や公演後に多くの人がその音色に耳を傾けていた。

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<沖縄音楽とエイサー> 「ムジーク・プラッツ 2016 in 春日野園地」

2016年06月19日 | 音楽

【我如古より子、マルチーズロック、りんけんバンド……】

 奈良公園で18日「ムジーク・プラッツ 2016 in 春日野園地」が開かれた。「ムジークフェストなら」の一環で、沖縄を代表する歌手や音楽グループが奈良のエイサー団体などと共演する野外ライブ。この日は我如古(がねこ)より子、宜保和也、マルチーズロック、おばぁラッパーズ、りんけんバンドなどが出演し、元「THE BOOM」のボーカルで「島唄」のヒットで知られる宮沢和史がトーク特別ゲストとして姿を見せた。ライブ2日目の19日には夏川りみ、ネーネーズなどが出演する。

 午後1時に始まったライブは琉球國踊り太鼓奈良支部のエイサーなどに続いて我如古より子が登場、宜保和也、大城クラウディアとともにヒット曲『娘ジントーヨー』などを披露した。宜保は石垣島出身で、NYのブルーノートで三線ライブを開いたこともある三線の達人。大城はアルゼンチン生まれの沖縄系二世。我如古は那覇市に民謡ライブ「歌姫」を開いているが、8月に国際通り「はいさい沖縄」の地下に移転するそうだ。「上にネーネーズの店が入っているけど仲良くやります」と話していた。

 この後登場したマルチーズロックは約20年前に作詞・作曲担当のもりと(糸満盛仁)を中心に結成された。拠点を那覇市の栄町市場に置きながら活躍の場を内外に広げている。メッセージ性の強い歌詞にマッチした力強いボーカルと演奏が印象に残る。もりとは「怒りや悲しみや悔しさを、歌でこれからも乗り越えていきます」と力を込めていた。50代の女性3人でつくるおばぁラッパーズも栄町市場を拠点にしているが、その知名度も今や全国区になってきた。

 とりを務めたのは沖縄音楽を代表するりんけんバンド。メーンボーカル上原知子(リーダー照屋林賢の妻)の天を突き抜けるような高音の美しさが実に心地よく会場に響き渡った。約4時間半にわたるライブは出演者全員と来場者が一体となって、沖縄の愛唱歌「てぃんさぐぬの花」の合唱と手踊り「かちゃーしー」で締めくくられた。会場後方には沖縄料理やビール、特産品などの店も多く出店、まさに沖縄一色の半日だった。

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<12人のチェロアンサンブル> 「セロ弾きのコーシュ(巧手) 爆弦」

2016年06月18日 | 音楽

【「ムジークフェストなら」恒例の人気演奏会、今年で3回目】

 11日開幕した「ムジークフェストなら2016」の一環として17日、奈良市学園前ホールで〝爆弦〟と銘打った「12人のチェロアンサンブル セロ弾きのコーシュ(巧手)」が開かれた。関西ゆかりの演奏家を中心に気鋭のチェリスト12人が結集したコンサートも今年で3回目。今やこの音楽の祭典の看板コンサートの1つになっており、この日も抽選に当たった多くのファンが会場を埋め尽くし、息の合ったチェロの響きに酔いしれた。

     

      

 1曲目は昨年も演奏したユリウス・クレンゲル作曲「12本のチェロの為の讃歌」。この後、メンバー12人の最年長で地元奈良の二名中学・奈良高校出身の西谷牧人(東京交響楽団首席チェロ奏者)がメンバーを1人1人紹介した。3年連続の出演は西谷をはじめ辻本玲、佐古健一、北口大輔(日本センチュリー交響楽団首席チェロ奏者)、福富祥子、高木俊彰、中西哲人、カザフスタン出身のアルトゥンベク・ダスタンの8人。若くして日本音楽コンクール・チェロ部門第1位に輝いた奈良出身の逸材、伊東裕はヨーロッパ滞在中のため今回はメンバーから外れた。昨年から2人が入れ替わり山口真由美と堀田祐司が新しく加わった。最年少は京都・堀川高校出身で東京芸術大学在学中の加藤菜生で、高木良(高木俊彰の弟)とともに昨年に続いて2回目。(写真は上段=左から西谷、辻本、佐古、北口、福富、高木俊彰、下段=中西、ダスタン、加藤、高木良、山口、堀田)

 前半の演奏曲目は4曲。クレンゲルの讃歌に続いてグリーグ作曲の組曲「ホルベアの時代」から「前奏曲」「ガボット」「リゴドン」を12人全員で演奏。続くフォーレ作曲「パヴァーヌ」とアストル・ピアソラ作曲「ル・グラン・タンゴ」はメンバーの1人、佐古が編曲したものを8人で演奏した。「パヴァーヌ」では叙情的な甘美な旋律を優美に奏で、「ル・グラン・タンゴ」では対照的にノック・ザ・ボディー奏法(胴を拳で叩く)も交えながら力強く歯切れのいい演奏を堪能させてくれた。

 休憩を挟んで後半最初の曲目は20世紀を代表する米国の現代クラシック作曲家、サミュエル・バーバーの「弦楽のためのアダージョ」。バーバー自身は意図していなかったそうだが、レクイエムのような旋律は葬送曲、鎮魂歌として度々演奏されたり映画などで使われたりしてきた。J.F.ケネディの葬儀、NY同時多発テロの慰霊祭、オリバー・ストーン監督の映画「プラトーン」……。チェロの深い音色によって、この名曲の素晴らしさも一層引き立つ。2曲目はヴィラ=ロボス作曲「ブラジル風バッハ第1番」。第9番まである中でチェロアンサンブルのみの編成で書かれたのはこの第1番だけで、名チェロ奏者パブロ・カザルスに献呈された。アンコールは威勢のいい「八木節」に続いて、そのカザルスが編曲したスペインのカタルニア民謡「鳥の歌」だった。「私の故郷の鳥はピース(平和)、ピースとさえずる」。カザルス自身が晩年、NY国連本部でこう言って演奏したこの曲は、今や「12人のチェロアンサンブル」の演奏会を締めくくるテーマソングにもなっているようだ。

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<ムジークフェストなら2016> 「我が心のノスタルジア」

2016年06月15日 | 音楽

【「ヴァイオリンで奏でる名曲の調べ」と「甦る昭和の名曲集」】

 奈良の梅雨シーズン恒例の音楽の祭典「ムジークフェストなら」が今年も6月11~26日の会期で始まった。2012年にスタートし5年目。今年はジャズシンガー阿川泰子さんやトランペット奏者日野皓正さん出演の5周年記念コンサート(17日、唐招提寺)やフランス国立リヨン管弦楽団の演奏会(25日、奈良県文化会館)をはじめ、県内各地で連日多彩な音楽イベントが繰り広げられる。(ただ期待していた5周年記念コンサートが抽選で外れてしまったのが残念至極!)

      

 奈良県文化会館で14日開かれた「我が心のノスタルジア」と銘打った演奏会を聴いた。このコンサートは片山勲氏プロジュース・司会で、これまでも大阪府堺市などで毎年開いてきたという。「ムジークフェストなら」への出演は昨年に続き2回目。第1部が「ヴァイオリンで奏でる名曲の調べ」、第2部がクラシック声楽家による「甦る昭和の名曲集」の2部構成だった。

 第1部では奈良県出身のバイオリニスト金関環さんが登場、エレクトーンによる伴奏でアンコール曲も含め7曲を披露した。金関さんは高校卒業後渡米し、NYのジュリアード音楽院に入学。帰国後は内外で著名交響楽団と共演したりゲストコンサートマスターとして迎えられたりするなど、精力的に演奏活動を続けている。この日の演奏曲目は「荒城の月」「トロイメライ」「白鳥」「ライムライト」「エストレリータ」「アメージンググレイス」。馴染み深いクラシックの小曲に日本の愛唱歌や映画音楽などを織り交ぜ、繊細な表現力でバイオリンの伸びやかな響きを聴かせてくれた。アンコールはサラサーテの「チゴイネルワイゼン」だった。

 第2部の懐メロ特集にはソプラノの端山梨奈さんとテノールの山本欽也さんが、同じくエレクトーンの伴奏で交互に1曲ずつ、計10曲を披露した。端山さんは「ガード下の靴磨き」「ケセラセラ」「ボーイハント」「夜明けの歌」「愛燦燦」。最後の「愛燦燦」は昨年の好評を受けての選曲で、この日もブラボーの掛け声とともに万雷の拍手が送られた。山本さんは「かえり船」「夢淡き東京」「哀愁の街に霧が降る」「江梨子」そして「シクラメンのかほり」。クラシック歌手の張りのある格調高い歌唱は、岸洋子や美空ひばり、橋幸夫や布施明とはまた一味違う味わいがあった。

 第1部、第2部を通じ1人で伴奏をこなしたのはヤマハエレクトーンデモンストレーターの田頭裕子さん。「ステージア」というハイテクのエレクトーンで、両手による2段の鍵盤と足で踏むペダル鍵盤を自由に駆使し、時に壮大なオーケストラのような迫力のある演奏を聴かせてくれた。目を閉じていると、とても1人で奏でているとは思えないほどの見事な演奏。「ムジークフェストなら」のHPやちらしに出演者として田頭さんの名前は見当たらなかったが、この日の主役の一人だったと言っても過言ではない。「時々オーケストラと共演するけど、彼女の演奏のほうがいいなあ」。バイオリンの金関さんもお世辞半分だろうが、演奏後こう漏らしていたそうだ。

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<小林沙羅> 奈良で初のソプラノリサイタル

2016年02月23日 | 音楽

【今秋には万葉オペラ「遣唐使物語」にも出演】

 内外で活躍の場を広げる今注目のソプラノ小林沙羅さんのリサイタルが22日、奈良市のなら100年会館で開かれた。東京生まれで幼少時をドイツで過ごし、東京芸術大学・大学院卒業後はウィーンで研鑚。奈良に来たのはこの日が初めてという。小林さんが音楽活動の軸として掲げるのはドイツ歌曲、イタリアのオペラ・歌曲、日本歌曲の3つ。この日の公演もこの3本柱で構成したが、卓越した表現力、豊かな声量、伸びのある声質は期待を上回るものだった。

       

 小林さんは同会館で今秋開かれる万葉オペラ「遣唐使物語」(中村透作曲)にも出演する予定。リサイタル第1部の冒頭、原作・脚本を担当する万葉学者、上野誠・奈良大学教授が登場し、「美しい人・美しい声を聴く前にはまず私を見るという試練がある」といつものユーモアを交えながらオペラについて紹介した。小林さんには「名もなき人(遣唐使船で中国に渡った留学生や送り出した家族や恋人たち)を慰めてくれる鎮魂の歌を歌ってもらう」そうだ。

 第1部の前半は2014年発売のデビューアルバム「花のしらべ」にも収められているドイツ、イタリアの歌曲4曲。シューベルト「野ばら」とシューマン「君は花のよう」「春が来た」、そしてトスティの「バラ」。この後、ピアノ伴奏者森島英子さん(指揮者としても活躍)の独奏、モーツァルトの「幻想曲二短調」を挟んで、後半は歌劇のアリア3曲を披露した。モーツァルトの「フィガロの結婚」より「とうとう嬉しい時が来た」(通称「薔薇のアリア」)では日本語とイタリア語でスザンヌ役を表情豊かに熱唱。プッチーニの「ジャンニ・スキッキ」より「私のお父さん」とドヴォルザークの「ルサルカ」より「月に寄せる歌」では伸びやかな高音の美しさに魅了された。

 第2部は日本の歌曲で構成。「大好きな曲」という山田耕筰の「この道」と「からたちの花」に続いて、同じ詩に中田喜直と別宮貞夫の2人が別々に作曲した「さくら横ちょう」。小林さんは詩の朗読などにも取り組んでいるというだけあって、発音が美しく明瞭なため実に聴きやすく耳にすっと入ってくる。どの歌も情景が目に浮かんでくるようで、日本歌曲の魅力と神髄に改めて触れた思いがした。

 2部後半は橋本國彦の作品を4曲集めた。「お菓子と娘」に続いて「スキーの歌」と「お六娘」。この2曲を作詩したのは林柳波で、小林さんが「私のひいおじいちゃん(曽祖父)です」と紹介すると、ホール内に一瞬どよめきが起きた。最後の曲は「舞」。それまでは若草色や赤のドレス姿だったが、この曲ではあでやかな着物姿に。金地の扇を右手に軽やかな舞を披露しながら熱唱した。アンコールはシューマンの「献呈」と、小林さん自作の「えがおの花」。「♪けれど私は信じている 今日も種を植える いつか世界がえがおの花で あふれますように」。あっという間の2時間。終演後、小林さんのサインがもらえるという初アルバムの販売コーナーには男性を中心に長い行列ができていた。

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