く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<馬酔木(アセビ、アシビ)> 万葉植物の一つ 愛らしい壷形の花無数に

2012年04月01日 | 花の四季

【葉や枝には毒、奈良公園の鹿も敬遠】

 神の使いといわれる奈良公園の鹿。鹿せんべいをもらおうと律儀にお辞儀する姿で人気を集めるが、主食は芝やドングリ、木の葉など。木々は約2mから下の葉や枝がすっかり食べ尽くされる。そのため遠くまで見通しがいい。この高さを「ディアライン」(鹿摂食線)と呼ぶそうだ。ただアセビだけは例外で、鹿の〝食害〟に遭わないため、公園のあちこちで目にすることができる。

 アセビは同じツツジ科のレンゲツツジなどと同様、葉や枝に「グラヤノトキシン」という毒を含み、口にすると腹痛や下痢、神経麻痺などの症状を引き起こす。そのことを草食の哺乳類もよく知っていて、このアセビだけは避けるという。アセビをその名もずばり「シシクワズ(シシ=鹿)」と呼ぶ地方もあるそうだ。

 アセビに「馬酔木」の字を当てているのは、一説に中国からの渡来人に伴われて来た馬が食べて酔っ払ったようになったため。アセビの語源ははっきりしないが「足しびれ」から来たともいわれる。万葉集にも多く詠まれた万葉植物。その一つに大津皇子の姉、大伯皇女の歌「磯の上に生(お)ふる馬酔木を手折(たを)らめど 見すべき君がありと言はなくに」。謀反を企てたとして自害に追い込まれた弟のことを悲しんで詠んだ歌という。

 「馬酔木(あしび)」は俳人、水原秋桜子の主宰誌でも有名だ。秋桜子もアセビの歌を多く残している。「馬酔木咲く金堂の扉にわが触れぬ」「来しかたや馬酔木咲く野の日のひかり」。花の色は白が一般的だが、写真のように「アケボノアセビ」と呼ばれる紅色やピンク色のものもある。

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