【若一光司著、KKベストセラーズ】
著者は1950年、大阪・豊中市生まれ。小説・ノンフィクション・評論と多彩な執筆活動の傍ら、テレビでアジア情勢や人権問題などのコメンテーターとしても活躍している。書家・榊莫山は「好奇心こそが人生最大のエネルギー」と語っていたそうだが、著者の「奇なるもの」への好奇心の旺盛ぶりと丹念な取材ぶりが本書の隅々からうかがえる。
取り上げた謎・不思議は全部で50編。その1番目「大阪市章の澪標(みおつくし)」はその言葉や市章の形をぼんやり知っていても、実際にどんなものか知らなかっただけに興味深かった。澪標は安全航行のための標識で、澪標住吉神社(大阪市此花区)に市章と同じオブジェがあること、岡山県の倉敷川河口に澪標が現存していることなどを初めて知った。
「大阪で一番高い所」ではこれまで金剛山(1125m)とばかり思っていたため、山頂は奈良県御所市というのは意外だった。大阪府最高地点は山頂より下側の地点(1053m)で、山の高さでは葛城山(959.7m)が大阪一という。「豊臣秀吉の埋蔵金(太閤遺金)」は兵庫県の多田銀銅山が隠し場所と伝わるが、1598年に突然「銀山払い」(閉山)があったという。これが埋蔵説の出発点になっているそうだ。
「飛行神社(京都府八幡市)」は発明家・二宮忠八が約100年前に創建し航空事故犠牲者の御霊を祀るが、ギリシャ神殿のような拝殿の写真にはびっくり。このほか「京都府立植物園の超希少種キソウテンガイ」や「大阪ビジネスパークの幻の地下鉄ホーム」「四天王寺金堂の謎の止まり木」「学文路苅萱堂(和歌山県橋本市)の人魚のミイラ」など興味深い謎・不思議を満載している。
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