【黄色い胸~腹部に黒の縞模様】
庭でスズメサイズの小鳥が地面に下りて皿の水を飲んでいた。よく見ると胸から腹にかけて黄色く、そこに黒い縦縞の模様。「あっ、アオジだ」。野鳥図鑑ではよく目にしていたが、実際に間近で見るのは今回が初めて。これまでも庭にやって来た小鳥たちの写真を撮ってはこのブログにアップしてきた。メジロやヤマガラ、シジュウカラ、ツグミ、シメ、コゲラ、シロハラ、カワラヒワ、ジョウビタキ……。猫の額のような小さな庭をわざわざ訪れてくれた小鳥たちには「ありがとう」と「ご苦労さま(冬鳥の長旅に対して)」の声を掛けてあげたい。
アオジはホオジロ科ホオジロ属の野鳥、学名は「Emberiza spodocephala(エンベリザ・スポドケファラ)」。3亜種が確認されており、生息地域で色や紋様などが微妙に異なる。日本でよく見かけるのはサハリンや千島列島南部、日本の本州中部以北で繁殖する「亜種アオジ(personata)」。秋から冬にかけ主に積雪のない本州の中部以南に飛来して越冬する。「亜種シベリアアオジ(spodocephala)」の繁殖地はロシアのバイカル地方や中国東北部、朝鮮半島北部などで、中国南部や台湾で越冬する。日本でも春や秋の渡りの季節に日本海側でシベリアアオジを観察できるそうだ。ほかに中国の中南部で繁殖し、インド西部~中国南部で越冬する「亜種(sordida)」もいる。・
体長は16㎝ほど。オスは頭部が灰緑色で、背中の羽は暗褐色。胸~腹は黄色地に黒い縞模様が目立ち、目の周りから嘴にかけては黒い。メスの色目はオスに比べやや地味で、目の後方や頬の下側に黄色いラインがあるのが特徴。学名(種小名)のスポドケファラは「灰色の頭の」を意味する。和名アオジの「アオ」は緑色がかった羽毛の色から。アオジの漢字「青鵐」は「あおしとど」とも読む。アオジなどホオジロ科の仲間は古くから「シトト」または「シトド」と呼ばれてきた。漢字の別表記「蒿雀」の「蒿」は蓬(ヨモギ)のこと。英名は「Black-faced Bunting(黒い顔のホオジロ)」。アオジによく似た小鳥に同じホオジロ科の「ノジコ(野路子)」がおり、環境省のレッドリストで準絶滅危惧種になっている。