【神戸連覇? それとも日テレ雪辱? 湯郷にもチャンス】
女子サッカーの「プレナスなでしこリーグ2012」が15日開幕する。クラブ創設10周年の前季に悲願の初優勝を飾ったINAC神戸が連覇を果たすのか、それとも前季2位に終わった日テレが雪辱するのか。ロンドン五輪開幕まで3カ月余。リーグ前半戦は五輪日本代表入りを目指す各選手にとっても正念場となりそうだ。
前季2011年のリーグ戦は東日本大震災の影響で、福島を拠点としていた東京電力マリーゼが参加を辞退した結果、9チームで争った。12年はチャレンジリーグから復帰した大阪高槻を加え10チームに戻り、11月11日まで2回戦総当たりで戦う。前半戦は6月10日まで、後半戦は9月15日から始まる。その間になでしこリーグカップとロンドン五輪が行われる。
<2011年の順位と戦績> ①神戸13勝0敗3分け②日テレ11勝3敗2分け③浦和10勝3敗3分け④湯郷ベル8勝4敗4分け⑤新潟L6勝6敗4分け⑥伊賀FC5勝10敗1分け⑦ジェフL5勝10敗1分け⑧AS狭山3勝12敗1分け⑨福岡AN1勝14敗1分け(勝敗数が同じ6~7位は得失点差による)
【若手の岩渕、京川、仲田、田中陽、猶本、横山らに期待】
神戸は前季、16試合無敗、得点49、失点わずか8という戦績で他を圧倒しリーグ初優勝を果たした。同時に全日本選手権も2010年に続いて連覇。今季も新主将のFM大野忍をはじめ、MF沢穂希、FM川澄奈穂美、GK海堀あゆみ、DF近賀ゆかりら昨年のW杯優勝メンバーをずらりとそろえる。さらにこの春からFW京川舞(常盤木学園高校卒)、MF仲田歩夢(同)、田中陽子(JFAアカデミー福島第1期生)ら注目の新人が加わった。中でも昨年のチャレンジリーグEASTの得点王(15試合で24ゴール)で、今年2月のアルガルベ杯日本代表にも選出された京川がどんな活躍をするのか。選手層の厚さから見て、神戸は今年も優勝候補の最右翼だろう。
日テレはリーグ優勝12回、全日本選手権制覇10回を誇る。昨年は生え抜きの主力選手が抜けたこともあって2位に終わったが、その悔しさをどうぶつけるか。W杯優勝の立役者の一人、DF岩清水梓がチームの要だが、今季は同じW杯優勝メンバーのMF阪口夢穂が新規加入したのが心強い。FW陣も永里亜紗乃や前季リーグ戦得点ランキング3位の19歳岩渕真奈の成長が著しい。
浦和は18歳のMF猶本光が注目株。これまで福岡ANに所属していたが、高校(福岡女学院)卒業とともに浦和に移籍した。湯郷ベルは沢穂希の後任としてなでしこジャパン主将になった宮間あやが司令塔としてチームを統率する。昨シーズンからかなり選手の入れ替えがあったが、その中で18歳のFW横山久美(東京・十文字高卒)が注目を集めそう。2010年U―17女子ワールドカップ準決勝の北朝鮮戦で鮮やかな6人抜きゴールを披露、11年U―19女子アジア選手権でも日本2連覇に貢献した。
【五輪狭き門、今月末までにまず36人を予備登録へ】
このほかFWでは新潟Lの菅沢優衣香や大阪高槻に移籍した丸山桂里奈がどんな活躍を見せるかも見どころ。21歳の菅沢はアルガルベ杯で初代表に選ばれデンマーク戦で代表初ゴール、続くキリンチャレンジ杯でもブラジル戦でゴールを奪った。丸山は右ひざ靭帯損傷の回復具合が気がかり。W杯順々決勝のドイツ戦で見せた相手の裏を取る技術とスピードを、ロンドン五輪でもぜひ見せてもらいたいものだ。
ロンドン五輪の女子サッカーの登録選手枠は18人。佐々木則夫監督はW杯やアルガルベ杯に加え、15日から始まるリーグ戦での選手の動きなどを、全スタッフを動員してチェックしたうえで、今月末までにまず五輪予備登録選手36人の名前を提出する予定。これを最終的に半分まで絞り込む。W杯、アルガルベ杯の日本代表はいずれも21人だったが、五輪ではさらに狭き門になる。それだけにリーグ戦の序盤は各選手にとってもどうアピールするかがカギを握る。20歳前の若手の中から五輪メンバーに入る選手が出てくるのか。見どころ満載のリーグ戦がいよいよ始まる。