く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

〈虎屋京都ギャラリー〉 所蔵品展「水のいきもの」5月19日まで

2024年04月29日 | 美術

【掛軸⋅香合⋅湯呑み⋅木彫り工芸品⋅印籠など】

 老舗和菓子店「虎屋」の京都ギャラリー(京都市上京区)で「水のいきもの」をテーマに掲げた所蔵品展が開かれている。金魚やコイ、タイ、カニ、サザエなどを題材とした掛軸や工芸品が並ぶ。5月19日まで。

 ギャラリーは京都御所に程近い「虎屋菓寮京都一条店」に隣接する。展示中の掛軸は4点。山元春挙(1872~1933)の『鯉』は水面から飛び跳ねるコイの躍動的な瞬間を描いた水墨画(写真は部分)。春挙は円山四条派に属し明治から昭和初期にかけて京都で活躍した。

 河鍋暁斎(1831~89)の『四季風景五月幟図』は五月晴れの中、鯉のぼりが富士山をバックに悠然と泳ぐ。その雄大な光景とともに、室内に飾られた武者人形や軒先の菖蒲なども丁寧に描かれている。

  

 南画家滝和亭(1830~1901)の墨画淡彩『柳下漁夫図』は髭を蓄えた漁夫が釣果を確認するように魚籠(びく)の中を手探りする。その満足そうな表情が印象的だ(写真は部分)。土田麦遷(1887~1936)の『金魚之図』も展示中。

 掛軸以外では19代雲林院宝山のタイの形をした『嘉鱗香合』、4代清水六兵衛の清水焼『赤絵蟹湯呑』が目を引く。湯呑のそばにある2匹の『木彫り蟹』(作者不明)の甲羅の模様にしばし見入ってしまった。

 琥珀製『若葉蔭』は金魚が埋め込まれ実に涼やか。寒天で作ったこれと同じ透明和菓子が5月8~19日の期間限定で「虎屋菓寮京都一条店」とそばにある「とらや京都一条店」で販売されるそうだ。

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〈東大寺〉 大仏殿で「花まつり千僧法要」

2024年04月27日 | 祭り


【全日本仏教青年会主催、宗派を超え若いお坊さんが全国から結集!

 奈良⋅東大寺で4月26日「花まつり千僧法要」が営まれた。主催は全日本仏教青年会(新井順證理事長=四天王寺総務部長)で、南都二六会⋅東大寺との共催。1988年から毎年この日に開いており、宗派を超えて全国各地から集まった若手僧侶たち約300人が大仏さまに仏法興隆、世界平和、災害被災地の早期復興などを祈願した。

 午後零時45分、僧侶たちの行列が法螺貝が吹かれる中、大仏殿に向けて出発した。色とりどりの袈裟をまとったお坊さんの列が延々と続く。

 参道の両側にはあっという間に人垣ができた。海外からの観光客も興味深そうに見つめ、スマホのシャッターを押していた。行列最後尾には東大寺学園幼稚園の園児たちが続いた。

 大仏殿で法要が始まったのは午後1時すぎ。最初に園児たちが『世界がひとつになるまで』という歌を大仏さまに奉納した。散華の後、般若心経、大般若経転読と続く。

 法要中も参拝客が次々と堂内に。写真撮影はいつも通りOKだが、法要中の真正面からの撮影だけはご法度。法被姿の東大寺職員が海外観光客に「ノー フォトグラフィー」としきりに声を掛けていた。

 法要後、僧侶たちは大仏殿のすぐ東側にある宝塔「アショカピラー」の前へ移動。この塔はインド仏教の聖地サルナートにあるアショカピラーの石像頭部を模したもので、ライオン4頭が背中合わせに並ぶ。全日本仏教青年会が1988年「花まつり千僧法要」を始めたときに記念塔として設置した。

 そのすぐそばには金色に輝く高さ23mの「七重塔相輪」がある。こちらは1970年の日本万博の遺産。古河グループのパビリオン「七重塔」の相輪部分が寄進され、翌年この地に移設された。

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〈天理参考館〉 企画展「器にみるアンデス世界―ペルー南部地域編」

2024年04月21日 | 考古・歴史

【パラカス~ナスカ、インカの多彩な土器⋅木器を一堂に】

 世界の民俗資料と考古美術の博物館「天理大学付属天理参考館」(奈良県天理市)で企画展「器にみるアンデス世界―ペルー南部地域編」が始まった。3年前に開催した「ペルー北部地域編」の続編。ペルー南部からボリビアにかけて栄えた古代アンデス地域の土器や木器を、紀元前のパラカス文化からナスカ、インカ文化まで時代を追って紹介している。6月3日まで。

 パラカス文化は紀元前800年から紀元後100年頃にかけてペルー南海岸北部で栄えた。神や動物などを組み合わせた複雑なモチーフの織物が作られ、土器には幾何学文様や信仰の対象だったネコ科動物が多く描かれた。下の写真はパラカス前期の幾何学文皿。

 巨大な地上絵で知られるナスカ文化が栄えたのは紀元後100年頃から650年頃にかけて。土器のモチーフには陸上動物や魚類、海獣、栽培作物などが選ばれ、最盛期には10~12種もの顔料が使い分けられたという。

 写真㊤はナスカ前期の鳥が描かれた橋形把手付き双注口壷。鳥は猛禽類のオナガハヤブサと推定されている。写真㊦はナスカ後期の深鉢。胴の上部に海の最強の生き物シャチが擬人化されて大きく口を開き、中央と下部に女性の顔が描かれている。

 ボリビア~ペルー南部の高地では紀元後500年頃から1150年頃までティワナク文化が栄えた。一方、ペルー中央海岸北部では1000年頃から1470年頃にかけ、独自のチャンカイ文化が花開いた。チャンカイの土器は白い化粧土の上に黒色顔料で幾何学文様や動物⋅人物などを描いたのが特徴。写真は双耳壷。左側の把手基部にサルとみられる塑像が取り付けられている。

 

 15世紀半ばから16世紀前半にかけ勢力を拡大しアンデス一帯を支配下に治めたのがインカ帝国。広大な領域内はインカ道と呼ばれる道路網で結ばれ、様々な産物が運ばれた。インカの土器を代表するのが把手付きの皿。写真の皿には幾何学文様の両側にフクシアとみられる花の蜜を吸う鳥が描かれている。

 この企画展では真作の土器や木器に加え、「再生産、消費される古代文化」コーナーに贋作も展示。贋作の多くは当初、盗掘などで破損した部分を補修して完成品に見せかけていたが、1950年代以降はナスカ土器を中心に贋作が堂々と作り続けられているという。写真はいずれも贋作または部分的贋作と推定される壷。

 企画展会場では山形大学のナスカ研究所と付属博物館の協力で、ナスカの地上絵に関するパネルも展示中。山形大学が地上絵の分布調査を始めたのは20年前の2004年。12年には現地に研究所を設立し、これまでに新たに多くの地上絵を発見してきた。(MBS 毎日放送の番組案内によると、4月21日午後6時放送の世界遺産「空から迫る『ナスカ地上絵の秘密』」で山形大学新発見の地上絵も登場)

 地上絵があるのはペルーの南海岸から約50㎞内陸の砂漠台地(標高約500m)。砂礫層を掘ったり積んだりして様々な動植物などが描かれ、ユネスコの世界文化遺産になっている。その制作目的は? パネルによると、豊作を祈願するためという説が有力とのこと。長く残っているのは①極乾燥地で植物が生えない②風で礫(小石)が移動しない③流水の影響のない場所に描かれたーーなどによるそうだ。

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〈松伯美術館〉 開館30周年「勤勉努力―素描 下絵そして本画」展

2024年04月17日 | 美術

【上村松園『唐美人』⋅松篁『緋桃』⋅淳之『鳬』┄】

 開館30周年を迎えた松伯美術館(奈良市登美ケ丘2)で「勤勉努力―素描 下絵そして本画」と題した展覧会が開かれている。美人画の上村松園とその子松篁、孫淳之の作品群で知られるこの美術館は、三代の膨大な素描や下絵なども保有する。それらを通して本画が生まれるまでの過程を作者のコメントとともに紹介している。5月6日まて。

 同館では2年前の2022年秋にも「本画と下絵から知る上村松園⋅松篁⋅淳之」展を開催。そのとき松園の作品では『鼓の音』『楊貴妃』『花がたみ』などを下絵と並べて展示していた。今回は『唐美人』『美人納涼』『雪』などを本画と下絵で、そのほか『月蝕の宵』『新蛍』など十数点の下絵も展示している。

 松園は1948年、女性として初めて文化勲章を受章した。生前、作品制作への心構えについてこう語っていたという。「人事をつくして天命を待つ、と昔の人が申したように、何事もやれるところまで努めつくしてみた上で、さてそれ以上は大いなる神や仏のお力に待つよりほかはありません。芸術上のことでもそうであります」

 松篁は母松園の姿勢を見習いながら花鳥画の制作に没頭した。松園から絵について注意などを受けたことはないという。ただ「勤勉、努力していく母の後ろ姿をずっと見続けていた。それが母のいちばん大きな遺産だったと思う」。母に次いで松篁も1984年文化勲章を受章した。今展では『緋桃』『燦雨』『白木蓮』『月明』など松篁の大作が原寸大の下絵とともに展示されている。

 現館長淳之も松篁の後を継いで60種700羽の鳥を飼育する奈良市の「唳禽荘(れいきんそう)」にアトリエを構える。淳之は祖母松園について「大変な量の素描などを整理しながら、努力とはこれなのだと思い知らされた」と述懐している。今展では『鳬(けり)』『水辺』『小千鳥』などを展示中。淳之も2022年に文化勲章を受章し、三代続けての受章となった。

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〈剣聖の里⋅柳生〉 満開の桜をバックに第16回さくら祭

2024年04月07日 | 祭り

【2日間にわたり火縄銃の演武など多彩な催し】

 奈良市柳生で4月6日「第16回柳生さくら祭」が始まった。会場は旧柳生藩陣屋跡の広場で、7日までの2日間。満開の桜を背にした野外ステージでは初日から火縄銃の演武をはじめ忍術や尺八の演奏、舞踊、南京玉すだれ、コスプレショー、柳生新陰流演武など多彩な出し物が繰り広げられた。

 火縄銃の演武は正午すぎにスタート。大阪城鉄砲隊などのメンバー11人が勇ましい甲冑姿で登場した。率いるのは堺鉄砲研究会を主宰し、柳生観光大使も務める澤田平さん。古式銃⋅古式砲術研究の第一人者で、「なんでも鑑定団」(テレビ東京)の鑑定士としても活躍してきた。

 鉄砲隊の面々が手にする火縄銃はいずれも江戸時代に作られた本物という。澤田さんの号令一下、一斉射撃や一人ずつ順に放つ“つるべ撃ち”などか披露された。そのたびに白煙とともに凄まじい轟音が轟いて、観客から驚きの声が上がった。

 この後、真剣の試し斬りに続き澤田さんによる「がまの油売り」の口上もあった。赤い甲冑姿の男性が持つ短い刀は国内で唯一本物と確認されているという忍者刀(忍刀)。一太刀(ひとたち)でスパッとよく斬れていた刀に、がまの油を塗るとなぜか切れ味がさっぱりに。ところが油を拭き取ると再び鋭い切れ味を取り戻した。不思議! 澤田さんは「がまの油は刀傷にもよく効いた」と話していた。

 火縄銃やがまの油売りの前には、橿原市のボーカルとギターのデュオ「歓音~かのん」の演奏や地元の「大河流舞遊会」による舞踊などもあった。さらに午後も南京玉すだれやコスプレショーなどが続いた。

 7日には和太鼓や三味線、草笛の演奏、田原伝統芸能、狂言、相撲甚句、アフリカの太鼓とダンスなど、初日とは異なるグループが出演する。フィナーレは2日間とも法被姿の町民たちによる「柳生音頭」の踊り。この音頭、第1回さくら祭(2006年)に合わせ、地元の小学校教師の作詞とキダ⋅タローさんの作曲で生まれた。(下の写真は初日に登場した南京玉すだれのメンバー)

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〈奈良県立図書情報館〉 「キネティックアートな3人」展

2024年04月03日 | 美術

【井村隆⋅遠藤賢治⋅千光士義和】

 奈良県立図書情報館(奈良市大安寺西)で「キネティックアートな3人」展が開かれている。キネティックアートは静的な彫刻に対し、動きを取り入れたオブジェなどの総称。金属や段ボールを使って独創的な作品を制作してきた井村隆、遠藤賢治、千光士(せんこうじ)義和の作品が並び、子ども連れの家族の人気も集めている。4月21日まで。

 井村隆の作品群は「カラクリン」と呼ばれ、キネティックアートの第一人者として高い評価を得ている。1945年堺市生まれ。デイスプレー制作会社を退職後独立し、全国各地で個展を開き様々なモニュメントの制作にも取り組んできた。

 それらのモニュメントの中には堺市緑化センターの花時計「フラワーフェアリー」や新潟県立自然館の「シンボルタワー生命球」、横浜子ども科学館の「銀河への旅」、東京⋅三鷹の森ジブリ美術館の「スペースフィッシュ」なども。

 一連の作品群「カラクリン」に使われる素材は主に銅や真鍮、アルミなど。「ボンフリー」と名付けられた魚の頭を持つひとがたの生き物が乗り物を操縦する。展示中の作品は『シーラカンス』『ノア』『飛び魚』『ボンフリーファクトリー』『魚の舟』など。最大の『シーラカンス』は横幅が1.3mもあった。

 遠藤賢治は1953年広島市生まれで、奈良にアトリエを構えて「プチプルプレーン」と名付けた空き缶アートを制作。大阪芸術大学キャラクター造形学科の教授を務めていたが、2020年に亡くなった。

 今回は空き缶を活用したミニチュアの飛行機などの遺作のほか、『太陽の詰め合わせ(太陽がいっぱい)』と名付けられた作品なども展示中。表情が微妙に異なる缶の蓋の詰め合わせに遊び心が詰まっていた。

 千光士義和は1958年高知市生まれ。85年に母校の先輩遠藤賢治の居る奈良市に移住し、動く段ボールアート作家として活躍中。大阪芸術大学芸術計画学科客員教授も務める。

 著書に『かんたん手づくり動くダンボールおもちゃ』など。今回は『マリンバード』や『天空のスイッチバック』など新旧の作品群を出品している。千光士氏は4月14日に開かれる「キネティックアーティスト井村隆の仕事」と題したトークショーにも登壇する予定。

  

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〈大和郡山お城まつり〉 5年ぶりに時代行列と白狐渡御

2024年04月01日 | 祭り

【公募の小中学生が武将役として騎乗!】

 奈良県大和郡山市で3月31日、「第63回大和郡山お城まつり」(3月24日~4月7日)のメインイベント「時代行列」と「白狐渡御」が繰り広げられた。新型コロナに加え昨年は雨天中止になっており、行列と渡御の開催は実に5年ぶり。沿道に多くの市民や観光客が詰めかけ、馬上の武将や白狐に扮して踊る子どもたちに歓声を送っていた。

 大和郡山城跡は「日本さくら名所100選」に選ばれている。城跡公園内の桜もお城まつりに合わせるかのように咲き始め、追手東隅櫓のそばにある枝垂れ桜は一足早く見ごろを迎えていた。

 時代行列と白狐渡御は市役所前での出陣式の後、午後2時ふれ太鼓に先導されて出発した。先頭は地元出身の鎌倉時代の名僧⋅叡尊上人。西大寺の復興などに尽力したことで知られる。

 この後、柳沢権大夫(淇園)、薮田市正、武田信玄、大和郡山藩初代藩主柳沢吉里などの武将が続く。勇壮な甲冑姿で騎乗するのは市内の小中学生たち。今回の行列から初めて公募で選ばれた。

 さらに続いて豊臣秀吉の弟の秀長、郡山城を築いた筒井順慶。豊臣秀長は2026年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』で主人公として取り上げられることが決まった。白馬に跨がる順慶の後ろには「筒井順慶顕彰会」のメンバーが大勢続いた。

 白狐渡御は地元で「源九郎さん」と親しまれている源九郎稲荷神社の祭礼。この神社は歌舞伎「義経千本桜」でおなじみの源九郎狐(白狐)を神の使いとして祀る。狐のお面を被った子どもたちの可愛らしいこと。お囃子に合わせ元気いっぱいに白狐踊りを披露してくれた。

 城跡公園内では特産金魚の品評会や品種展、物産展なども開催。柳沢神社の参道と県立郡山高校(城内学舎)の間の道路には多くの露店が並び、あふれんばかりの人出で賑わっていた。そんな中で、ひときわ目を引いたのが手押し車に乗った10匹ほどの子犬たち。ミニチュア⋅ダックスフンド?

 

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