【「誕生祭」に続き約110人が鷽のお守りを次々に交換】
奈良市菅原東の菅原天満宮で6月25日、祭神菅原道真公の「誕生祭」と「鷽(うそ)替え神事」が執り行われた。鷽替えの開催は新型コロナ禍もあって実に5年ぶり。約110人の参拝者が太鼓に合わせ「替えましょ、替えましょ」と木彫りの鷽のお守りを交換しあった。
鷽替え神事は九州の大宰府に流された道真が蜂の大群に襲われたとき、鳥の鷽に救われたという故事に因む。鷽は嘘(うそ)に通じ、災厄⋅悪事をうそとし吉に転じてくれるとして、道真を祀る各地の天満宮で行われている。
神事の開催時期は年の始めの1月というところが多い。太宰府天満宮も大阪天満宮も道明寺天満宮(大阪府藤井寺市)も1月に斎行。ただ、この菅原天満宮では古くから道真の誕生日(陰暦6月25日)に合わせて行ってきた。
鷽替えは午前11時、中村眞一宮司の挨拶に続いてスタート。太鼓の「ドン⋅ドン⋅ドン」という音に合わせ「替えましょ、替えましょ」と鷽のお守りが入った箱の取り替えっこが始まった。
お守りの交換は回数が多ければ多いほど厄が払われ幸運に恵まれるといわれる。そのため参拝者は次々に相手を見つけては取り替えていた。
太鼓が鳴り止むと、交換は一旦終了。そのたびに抽選会が行われた。当たりくじを引くのは中村宮司。くじの番号と箱の番号が一致した当選者には梅茶や毛筆、奈良⋅特産赤膚焼の焼き物などが贈られた。
お守りの交換と抽選は30分余り繰り返された。そして抽選も最後の特別賞1本を残すだけに。景品は高さが30㎝ほどもある「大鷽」。拝殿前の三方の上に飾られていた一品だ。
「63」。番号が読み上げられると、どっと歓声が起きた。幸運の主は73歳の男性だった。大鷽と副賞の抹茶茶碗を受け取った男性はその後、報道陣に囲まれ取材に応じていた。
この日、境内にはしばしは「ピ、ピ、ピーッ」という鷽の鳴き声が流された。まるで人の口笛のようなやや甲高い鳴き声だった。鷽の「ウソ」の名前も古く口笛を意味した「オソ」が語源らしい。(上の写真は天満宮の東約100mの住宅街にある「菅原道真産湯の池」と伝わる遺跡)
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