【小米花、小米桜、岩柳、えくぼ花などの別名も】
小枝に雪が降り積もったように純白の小花が埋め尽くし、春風にそよぐ雪柳。その名前からヤナギ科と思いがちだが、バラやサクラ、ウメなどと同じバラ科。その中のシモツケ属に分類されている。シモツケやコデマリと同じ仲間だ。
ヤナギのように枝が細長く、葉も似ているため雪柳の名前をもらった。自生地は関東以西の川岸の岩場で、岩柳や小米花(コゴメバナ)、小米柳、小米桜などの別名もある。小米は精米するときに砕ける米粒のこと。花の真ん中が少しくぼんでいることから「えくぼ花」という愛称も持つ。
植物学者シーボルトはこの花に「スピラエ・ツンベルク」という学名を名付けた。ツンベルクは近代植物学の祖・リンネの弟子で、シーボルトが尊敬していたスウェーデンの医師・植物学者。18世紀後半、長崎・出島のオランダ商館医としてやって来たツンベルクは、日本の植物を調査・研究しサザンカやカキ(果物)などの日本名をそのまま世界共通の学名として命名したことで知られる。「雪柳花にも重みありにけり」(落合水尾)。