く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<梅>「梅一輪 一輪ほどのあたたかさ」(服部嵐雪)というけれど……

2012年02月29日 | 花の四季

                   

 「春告花」とも呼ばれるが、厳しい冷え込みのせいか今年は開花が遅れ気味という。わが家の枝垂れもきょう、ようやく1輪だけ咲いていた。梅は中国原産で、遣唐使が漢方の薬として日本に持ち帰ったそうだ。万葉集で植物を詠んだものはハギが141首で最も多いが、梅は119首でこれに次ぐ。だが、平安時代以降は花見といえば桜を指すように。梅林といえば関西では「一目百万本、香り十里」と形容される和歌山県みなべ町の南部梅林が有名。江戸時代に8代将軍吉宗が紀州藩主時代、梅干づくりを奨励したのが始まりという。ちなみに「南高梅」の名称は品種改良に貢献した「南部高校」に由来するとのこと。

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<女子サッカー「アルガルベカップ」>五輪前哨戦、なでしこ3月5日に米国戦

2012年02月28日 | スポーツ

【昨年初出場3位で自信、W杯優勝の原動力に】

 

 女子サッカーの国際大会「アルガルベカップ」が29日、ポルトガルで開幕する。なでしこジャパンのほか、米国、ドイツ、スウェーデンなどの強豪も出場するため、今夏のロンドン五輪の前哨戦として注目される大会。なでしこは3試合目(3月5日深夜)に米国と対戦の予定で、昨年のワールドカップ決勝戦の再現となる。

 

 1994年にポルトガル南部のアルガルベ地方で始まった同カップは今年で19回目。これまでの優勝国と優勝回数は米国8回、ノルウェー4回、スウェーデン3回、中国2回、ドイツ1回。米国の8回は2000年からの12大会の中で果たしたもので、このところ米国の強さが際立つ。日本は昨年、出場キャンセルのドイツに代わって急きょ初参戦。米国に1―2で敗れたものの、順位決定戦でスウェーデンに2―1で勝ち3位となった。日本の通算成績は3勝1敗(9得点、3失点)だった。

 

FIFA(国際サッカー連盟)女子最新世界ランキング

(○印は今回のアルガルベカップ出場チーム)

 

1位 ○米国

2位 ○ドイツ

3位 ○日本

4位  ブラジル

5位 ○スウェーデン

6位  フランス

7位  カナダ

8位  イングランド

9位  北朝鮮

10位  オーストラリア

11位  イタリア 

12位 ○デンマーク

12位 ○ノルウェー(デンマークと同ポイントのため同順位)

※この他の出場チームはアイスランド15位、中国18位、アイルランド29位、ハンガリー34位、ポルトガル43位、ウェールズ46

 

【五輪不出場のドイツ、この大会に全力投入?】

 

 参加12チームがまず4チームずつ3組に分かれ、総当りのリーグ戦を行う。日本は米国、デンマーク、ノルウェーとともにB組に入った。A組はドイツ、スウェーデン、アイスランド、中国。実力的に劣るC組はアイルランド、ハンガリー、ポルトガル、ウェールズ。順位決定戦ではA組とB組の1位同士が対戦して優勝を争う。A組とB組の2位同士は3位決定戦に回る。

 

 日本の対戦相手は29日ノルウェー、3月2日デンマーク、5日米国。順位決定戦は7日に行われる。日本にとって実力的には日米戦が最大の山場とみられる。何としてもその前での取りこぼしは避けたい。A組ではドイツが頭一つ抜け出ており、順当ならB組1位通過チームがドイツと優勝を争うことになりそうだ。ドイツはW杯準々決勝で日本に敗れた結果、ロンドン五輪の出場権を逃した。欧州から五輪に出場するのはW杯準決勝進出組のフランスとスウェーデン。それだけに、この大会にかける懸けるドイツの意気込みには並々ならぬものがある。

 

【代表初選出の18歳京川、楽しみなデビュー戦】

 

日本はW杯でPK戦の末、米国を下した(公式記録上は90分引き分け)が、それまでは21敗3引き分けで米国に全く歯が立たなかった。日本がPK戦ではなく90分内でゴール数で上回って米国戦初勝利を上げることができるか。一方、ドイツ戦も昨年のW杯を含めても1勝7敗1分け。世界ランキングが示すように実力的にはまだ米国、ドイツが格上とみられるだけに、新キャプテンのMF宮間あや(岡山湯郷)率いる新生なでしこがどんな戦いぶりで挑むかが注目される。

 

日本代表メンバー21人からW杯ドイツ戦勝利に貢献したFM丸山桂里奈(大阪高槻)が右膝損傷のため外れたのは残念。五輪には間に合うのだろうか。けがのため代表候補の合宿に不参加だったMF沢穂希(INAC神戸)の調子も気がかり。初選出された18歳のFW京川舞(宮城・常盤木学園高→INAC神戸)がどんなデビューを飾るのかも今大会の楽しみの一つだ。

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<BOOK>「日本軍接収図書 中国占領地で接収した図書の行方」

2012年02月27日 | BOOK

 【鞆谷純一著、大阪公立大学共同出版会(OMUP)発行】

 著者は1974年奈良県生まれ。大学の卒論テーマに「満鉄図書館」を取り上げ、卒業後は徳島県の図書館に司書として勤める傍ら日本図書館史の研究に取り組んできた。この本は2011年春の博士論文「第二次大戦中の中国における日本軍接収図書の研究」(大阪市立大学大学院創造都市研究科)を単行本化したもの。

 

     

 

 序章、第1部「各占領地の日本軍接収図書」、第2部「略奪図書の返還」、終章の構成で、丹念に一次史料に当たって史実を掘り起こしている。それによると、華北占領地で接収された図書約2万冊は東大図書館に、広東と上海租界からの接収分、約3万8000冊は文部省民族研究所経由で京大図書館に、香港での接収分の約6万5000冊は参謀本部などを通じ帝国図書館に搬入されたという。

 

 中国の各地域で接収を担当した組織なども明らかにしたうえで、接収の目的を「占領地ごとに異なっていたが、思想統制と情報収集という二つの目的があった」と結論づけている。図書の接収についてはかつて「戦禍から資料を守った」「中国文化財の保護に努力した」など正当化する言説もあったが、多くの史料調査と地道な検証の積み重ねを基に「決して資料の保全を目的としたものではない」と断じた。

 

 戦後になって帝国図書館や東大、京大両図書館から約19万冊が連合国側に返還されたが、その約7割が帝国図書館からだったという。各章の終わりに設けている「まとめ」の項が、より理解を深めるうえで大いに役立った。

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<ラグビー日本選手権開幕>サントリー連覇か、パナソニック2季ぶりVか?

2012年02月26日 | スポーツ

【天理大は初戦敗退、トップリーグ昇格のキヤノンが機動力発揮】

 

 ラグビーの第49回日本選手権が25日開幕した。注目はトップリーグのプレーオフ決勝(26日)を制したサントリー(リーグ戦1位)が連覇するのか、それともパナソニック(同3位)が三洋電機時代の2009年度以来2季ぶりの優勝で、プレーオフの雪辱を果たすか。プレーオフ準決勝でパナソニックに敗れ、シード権を逃した東芝(同2位)がどう巻き返すのかも見ものだ。

 

    

     

     

  25日の1回戦2試合を東大阪の近鉄花園で観戦した。大学選手権準優勝で初出場の天理大は、来季のトップリーグ昇格が決まっているキヤノンと対戦。天理がPGで先制し序盤は天理ペースで進んだが、前半30分、キヤノンがハイパントをキャッチし初トライを挙げると、前半終了間際にも素早いパス回しでトライ。後半はキヤノンがバックスの機動力で圧倒して4トライを重ね、37―13で勝利した。天理は後半1トライを挙げ一矢を報いたが、地力の差は埋めようがなかった。

 

【神鋼、シンビン3人のNECに認定トライ1本に封じられる】

 

2試合目はNEC(リーグ戦4位)がワイルドカードで出場権を得た神戸製鋼(同6位)を17―10で破った。神鋼は開始早々PGを決めたものの、NECの防御ラインをなかなか突破できない。一方、NECは2トライなどで前半を17―3で折り返すが、後半になると自陣に押し込まれ防戦一方。後半10分から17分の間に3人がシンビンで一時退場の苦境に。相次ぐ反則による認定トライで1T1G差に迫られたが、どうにか逃げ切った。神鋼としては数的優位に立った時間帯にゴールラインを割れなかったのが悔やまれる。

 

 

(前半29分、NECのツイタヴァキが右サイドにトライ。左は

 リーグ戦「トライ王」のNECナドロ)

 

【帝京大は圧勝。東芝はヤマハに順当勝ち】

 

 東京・駒沢で行われた大学選手権優勝の帝京大とクラブ大会優勝の六甲ファイティングブルの対戦は、帝京が83―12で圧勝し2回戦に勝ち上がった。もう1つの試合、東芝(リーグ戦2位)とワイルドカード出場のヤマハ発動機(同8位)は東芝が56―15でヤマハを寄せ付けなかった。

 

 2回戦(3月4日)は東芝―帝京、NEC―キヤノンの組み合わせとなり、それぞれの勝者が準決勝(3月11日)で、シードのサントリー、パナソニックと対戦する。決勝は3月18日、東京・国立競技場で。

 

 日本選手権優勝・準優勝チーム(数字はスコア)

 

2000年度 神戸製鋼  27―27 サントリー(両チーム優勝) 

2001年度 サントリー 28―17 神戸製鋼

2002年度 NEC   36―26 サントリー

2003年度 東芝府中  22―10 神戸製鋼

2004年度 NEC   17―13 トヨタ自動車

2005年度 東芝府中   6―6  NEC(両チーム優勝) 

2006年度 東芝    19―10 トヨタ自動車

2007年度 三洋電機  40―18 サントリー

2008年度 三洋電機  24―16 サントリー

2009年度 三洋電機  22―17 トヨタ自動車

2010年度 サントリー 37―20 三洋電機

 

【東芝、帝京に勝つと準決勝で対サントリー戦】

    

大学勢は2005年度に早稲田大が2回戦でトヨタ自動車を破って準決勝に進出したが、それ以降はクラブチームに勝って2回戦に進出しても、トップリーグには歯が立たない状況が続いている。今年、同志社大以来の大学3連覇を果たした帝京大も例外ではなく、2年前の日本選手権では2回戦でNECに、昨年は東芝に完敗している。帝京が同じ東芝相手にどれだけ意地を見せることができるか。

 

 東芝が勝ち上がると準決勝でサントリーと当たる。サントリーのリーグ戦戦績は12勝1敗だったが、その唯一の黒星をつけたのが東芝(1月22日、スコア21―18)。東芝はリーグ最終節でパナソニックにも59―25と圧勝するなど、攻守の歯車がかみ合ってきているだけに、おもしろいゲーム展開になりそうだ。

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うさぎの「く~にゃん物語」⑦ 「水は飲まない」は迷信よ!

2012年02月24日 | ウサギ「く~にゃん物語」

 

【乾燥ペレット食べた後にはゴクッ、ゴクッ】

 

 「ウサギは水を飲まない」「水を飲ませると下痢して死んでしまう」。ウサギについて昔からこんなことが言われてきたらしいわね。だけど水を飲まない生き物っているかしら。

 

     

 

飼われ始めたときは生後数カ月とまだ小さかったから、ケージにセットされた給水ボトルの飲み口から「ゴクッ、ゴクッ」と飲んでいたの。懐かしい! だけど大きくなってからは、白いガラス製の器に入った水を1日に何回も飲むよ。この器、照明器具の電気カバーを代用しているんだって!

 

あくまでも想像だけど……。昔、家で飼われていたウサギにとって、主食は水分たっぷりの野草や野菜くずなどばかり。だから、あまり水を飲む必要がなかったんじゃないかしら。そこで「水を飲まない」といった迷信が生まれたのかなあ。

 

だけど、今では水分があまり含まれていない乾燥ペレットが主食でしょ。だから喉も当然渇くの。特に暑い夏場は水がなかったら死んじゃうかも。それじゃ「ゴクッ、ゴクッ」っと。

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<椿・紅侘助>茶人好み、楚々とした風情もそろそろ見納め

2012年02月22日 | 花の四季

   

 

 小ぶりで一重の筒咲き。その控えめな風情が茶人に好まれ、茶の湯の席にしばしば用いられてきた。花期は12月~3月。「わびすけ」とは何とも変わった名前だが、その由来には様々な説が。①豊臣秀吉の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)のとき、侘助という人が持ち帰ってきた②千利休に仕え、この椿を育てた侘助の名前から③堺の茶人、笠原侘助がこの椿を好んで茶花として用いた――など。ちなみに「広辞苑」は①の説を採用している。

 

     

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<東大寺お水取り> 奈良「春迎え」の行事、前行の「別火」入り

2012年02月20日 | 祭り

 

【一度も途切れず、今年でなんと1261回目!】

 

 古都奈良に春を呼ぶ東大寺の修二会「お水取り」が始まった。といっても二月堂でお松明が見られるのは本行が始まる3月1日から。練行衆11人が2月20日から「別火」と呼ばれる前行に入ったのだ。お水取りは大仏開眼法要が行われた752年から一度も途絶えたことのない「不退の行法」。今年で1261回目を迎える。

 

「別火」は別火坊(戒壇院)にこもり、俗界の火とは別に火打ち石で起こした火で精進の生活をすること。別火最終日の2月28日、翌日からの本行に備え二月堂下の参籠宿所に移る。練行衆のお1人から以前うかがった別火や本行中の食事や勤行などは、凡人には想像できない実に厳しいものだった。

 

別火中はお供えするお餅や椿の造花、紙衣(かみこ)づくり、声明やほら貝のけいこなど本行への準備に慌ただしい。寒さはなお厳しいが、暖房は炭火の火鉢が1つあるだけ。前半の試(ころ)別火では雑談も認められるが、後半の総別火からは私語も一切禁じられる。

 

    

 

【食事も行の1つ、1日2回だけ】

 

 3月1日からの本行は毎日、正午の「食堂(じきどう)作法」から始まる。目の前にご飯が盛られているが、すぐに口に運べるわけではない。ただひたすら祈りの言葉を唱え、食べるのは45分ほどたってから。冷えたご飯や汁物、たくわんを5分ほどで食べ終わると、また祈りが続く。

 

 本行中は「六時の行法」といって1日6回の行がある。「日中」の後に「日没」「初夜」「半夜」「後夜」「晨朝(じんじょう)」と続く。本尊十一面観音を祀った二月堂内陣にはもちろん暖房はない。全ての行が終わるのは早くて深夜0時半、遅い日には未明の午前4時にもなる。この間の勤行中は食事なし、水なし。「晨朝」の後、半日以上たってようやく2回目の食事。湯屋(お風呂)で冷えた体を温めた後、「ゴボウ」と呼ばれる茶粥を口にする。

 

【お松明は12日・14日が11本、他の日は10本】

 

 お松明は「初夜」のため二月堂に上がる練行衆の足元を照らすためのもの。練行衆を先導する松明が北側の石段を登り、懸崖造りの二月堂の欄干で火の粉が舞い落ちると、どっと歓声。いつもの光景だが、最近は観光客が増え、ひときわ大きい「籠松明」が出る12日などは二月堂の真下から見ることがなかなか難しくなってきた。


 参籠宿所にこもるのは練行衆11人に世話役も含めて総勢およそ40人。1人ひとり役割が決まっており、1人欠けても支障があるという。練行衆には松明を抱える先導役の「童子」が1人ずつ付く。松明の数は12日と14日は練行衆の人数と同じ11本だが、それ以外の日は10本だけ。なぜ? 練行衆のうち雑用役の「処世界」が内陣掃除などのため一足先に二月堂に上がるため。

 

過去帳奉読(5日と12日)を担当するのは「南衆之一」と呼ばれる若手練行衆。聖武天皇に始まって大仏と大仏殿の造営に関わった功労者の名を延々と読み上げる。その中には「金知識(こがねのちしき)」37万人余、「材木知識」5万人余、「役夫」51万人余などもあって、総勢260万人にも上るそうだ。

 

それにしても不思議なのが「青衣女人(しょうえのにょにん)」。鎌倉時代、過去帳を読み上げていると、堂内は女人禁制なのに青い衣装を着た女性が「なぜ私の名を読み落としたのか」と恨めしげに。そこでとっさに追加したというのだが……。

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<ポルトガル大衆歌謡ファド>鹿糠ちはる 若手ファディスタの注目株

2012年02月17日 | 音楽

 

【マカオ観光局のボーカリストとして活躍】

 

 フランスにシャンソン、イタリアにカンツォーネがあるように、ポルトガルには「ファド」と呼ばれる大衆歌謡がある。そのファドの「女王」が有名なアマリア・ロドリゲス(1920~99年)。日本国内では月田秀子が第一人者として活躍中だが、若手ファディスタ(ファド歌手)も育ってきた。その一人が鹿糠(かぬか)ちはる。昨年、旧ポルトガル領・マカオ観光局の公式イベントボーカリストに起用されたのをきっかけに、内外で活動の舞台を広げている。

 

 鹿糠は札幌や東京で主にアメリカンポップスやジャズを歌っていたが、2003年ごろ、大阪に拠点を移しファドを歌い始めた。ファドの歌心をつかむため本場リスボンにも数回渡って〝修業〟を重ね、05年には「ファドの友ポルトガル協会」会長から正会員証を授与された。

 

          

 

【「ファドは暗い」そのイメージを変えたい】

 

ファドでまず思い浮かぶ曲がアマリアの「暗いはしけ」。漁師の妻が帰ってこない夫への心情を切々と歌ったものだ。その連想に加え、ファドがポルトガル語で「運命」や「宿命」を意味することなどもあって、ファドは悲しみに沈んだ暗い歌という先入観があった。

 

5~6年前、大阪でのライブで鹿糠の歌声を初めて聞いたとき、それが間違いだったことを知った。その歌声はファド特有の歌い回しの中にも、軽やかで伸びやかな点が印象的だった。ファドは広く庶民の喜怒哀楽を歌ったもので、明るく陽気な歌も多いことも知った。

 

鹿糠は「これまでのファドのイメージを変えたい」と話す。「ポルトガルでは人生の深みを心の奥底から歌う歌手がいれば、ウェートレスの女性が突然、リスボンを讃える歌を歌い始めたこともあった。多彩な表現で愛されているファドに感銘を受けた」からだ。

 

【3月1~3日、大阪市内でライブ】

 

2007年、鹿糠は大阪から東京に拠点を移す。そのころからライブやイベントへの出演回数も徐々に増え、昨年はマカオ観光局のイベントボーカリストとして全国各地で「マカオの夕べ」コンサートに出演、中国古筝奏者の伍芳(ウー・ファン)らと競演した。ポルトガル人が初めて漂着したというマカオの世界文化遺産「媽閣廟」の前でもファドを披露した。鹿糠にとって忘れがたい思い出とともに自信につながったのではないだろうか。

 

大阪での鹿糠のライブにはできるだけ足を運ぶようにしているが、年輪を刻むように歌声に味と深みが出てきたように思う。その成長ぶりをライブで確認できるのはファンの一人としてうれしい限りだ。今年も3月1~3日、「花見月ライヴ in OSAKA」と銘打って大阪市内4カ所でライブを予定している。

 

【心に響くポルトガルギターの哀愁の音色】

 

ファディスタは通常館内でのライブではマイクを使わない。歌声が生なら、伴奏する12弦のポルトガルギターとヴィオラ(ポルトガル語で「ギター」の意)もギター本来のアコースティックな音色。電気機器を介さないからだろうか、哀愁を帯びた歌声と音色が聴く者の心に直接響いてくる。

 

昨年12月の大阪ライブでは、湯浅隆と水谷和大の息の合った演奏が始まるやいなや、ファドの世界に引き込まれた。石畳の街並み、歌声が漏れるファドの酒場……。まだ行ったことがないリスボンの下町に誘ってくれる。その空気感がなんとも心地よい、

 

湯浅はポルトガルギターの第一人者。その華麗なテクニックは他の追随を許さない。水谷も日本ギターコンクール・アンサンブル部門で優勝したこともある実力者。2人の伴奏が鹿糠の歌声をいっそう引き立てる。再び3人の組み合わせでファドを堪能できるのが今から楽しみだ。(敬称略)

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うさぎの「く~にゃん物語」⑥ スタンピング 後ろ足で「ダン!ダン!」

2012年02月15日 | ウサギ「く~にゃん物語」

【ご機嫌斜めの証拠だよ】

 

 以前、ご主人様のベッドにジャンプして上がったことがあるの。そこで遊びに夢中になっていて、ついコロコロウンチが! それを見つけたご主人様が両手をパチンと打ちながら「コラッ!」。怖かったなあ。だから、私も「足ダン!」で対抗したの。

 

            

 

 後足を高く持ち上げて、素早く振り下ろすの。「スタンピング」といって、すごい音がするんだ。さすがにご主人様も初めて見た時には驚いて、あっけにとられていたよ。長い時には1~2分間ほど続けるけど、音は次第に小さくなっていくわね。

 

 野生のウサギは天敵が近づいてきた時などに、このスタンピングで仲間に危険を知らせるんだ。家で飼われている私たちもその習性というか本能を受け継いでいるというわけ。「足ダン!」が始まったら、何かに怒ったり、気に入らないことがあったり、ストレスがたまったりしているという証拠よ。

 

 ウサギは普段、犬や猫のように鳴かないし、表情も乏しいと思われているでしょ。だけど、スタンピングのほかにも結構いろいろな「ボディランゲージ」で、その時々の気持ちを表現するの。よく観察してね。

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<四大陸フィギュア> えっ!あれで回転不足、真央のアクセル

2012年02月13日 | スポーツ

 

【全米選手権覇者が金、強力ライバル出現】

 

大技のトリプルアクセル(3A=3回転半)は回転不足に――。米国コロラドスプリングスで開かれていた「四大陸フィギュアスケート選手権2010」(2月9~12日)で、ショートプログラム(SP)1位の浅田真央はフリーで同2位のアシュリー・ワグナー(米)に逆転され2位に終わった。

 

浅田は封印していた大技の3Aに挑戦したものの、SP、フリーのいずれも回転不足と判定された。SP3位だった村上佳菜子も米国選手に逆転され4位となって初のメダルに届かなかった。米国勢の台頭や欧州勢の巻き返しの中で、日本勢は3月の世界選手権に向けて立て直しが急務となってきた。

 

 <四大陸選手権女子シングルのメダリスト>

         「金」      「銀」        「銅」

2008年  浅田真央     J.ロシェット(カナダ)   安藤美姫

2009年  金妍兒(韓国)  J.ロシェット(カナダ)    浅田真央

2010年  浅田真央       鈴木明子       K.ジャン(米)

2011年  安藤美姫         浅田真央        長洲未来(米)

2012年  A.ワグナー(米) 浅田真央                          K.ジャン(米)

 

 四大陸選手権はアジア、アメリカ、オセアニア、アフリカの各国・地域の代表が競う。初開催から100年以上たつヨーロッパ選手権に比べると歴史はかなり浅いが、格式的には世界選手権や冬季五輪に次ぐ大会に位置づけられている。今回出場した日本選手は全日本選手権5位以内から選ばれた男女各3人。女子は2シーズン連続金・銀を独占しており3年連続が成るか、浅田が2年ぶり3回目の優勝を飾るかが注目を集めていた。

 

【思い入れ強いトリプルアクセル、封印を解除】

 

浅田の最大の武器トリプルアクセルは6つのジャンプのうち唯一つ前向きで踏み切り、後ろ向きに着氷する。成功すれば基礎点も高いが、女子にとって極めて難易度が高いため、プログラムに組み込む選手は少ない。

 

浅田は2010年バンクーバー冬季五輪でSP、フリー合わせ3回成功したが、昨年11月のNHK杯SPで失敗した。そのため、佐藤信夫コーチの助言を受け翌日のフリーではダブルアクセルに変更、その後のグランプリ(GP)シリーズのロシア杯、全日本選手権でも3回転半を避けてきた。それでも各大会で183~184点台をたたき出しており、3Aを飛ばなくても高い評価を得ることができることを証明した。

 

だが浅田の思い入れは強く、再び四大陸で3Aに挑んだ。が、判定は2回とも回転不足。浅田の今回の188.62は直近の3大会を上回ったものの、自己ベストを更新したワグナーの192.41には及ばなかった。ワグナーにとっては地の利もあったのか? ワグナーは浅田より1つ年下の20歳。1月に全米選手権を優勝するなど今シーズンめきめきと力をつけている。シニアの国際大会での優勝は今回が初めてだ。

 

【世界選手権、日本勢3連覇なるか】

 

世界選手権は3月26日からフランス・ニースで開かれる。日本からはシングルに男女とも全日本選手権上位の1~3位が出場する。女子は浅田、村上に鈴木明子(全日本2位)を加えた3人。世界選手権では2シーズン続けて浅田と安藤美姫が金メダルを獲得しており、日本勢の3連覇がかかっている。

 

伸び盛りのワグナーは四大陸の優勝で、それに「待った」をかける有力ライバルとして名乗りを上げた。欧米勢の巻き返しも予想される。とりわけカロリーナ・コストナー(イタリア)は浅田が母親の危篤のため棄権したGPファイナルを制し、欧州選手権でも優勝するなど勢いに乗っている。日本勢にとっては手ごわい存在になりそうだ。

 

それでも信じている。「浅田がNO.1」と。回転もスケーティングも切れ味を取り戻してきており、世界選手権ではトリプルアクセルも成功するに違いない。浅田にはやっぱり表彰台の一番上がよく似合う。母親の葬儀の翌日から悲しみを振り払って一心に練習に励み全日本で優勝した浅田。その頑張りに心から声援を送り続けたいと思う。

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<女子バレー第2節終了> 岡山7勝7敗に 目標4位以上に黄信号

2012年02月12日 | スポーツ

【デンソー・東レが熱い首位争い】

 

Vリーグ女子バレーのレギュラーラウンド(8チーム3回戦総当たり)の第2節が2月11日終了した。デンソーと東レが同じ12勝で熱いトップ争い、これに続いて9勝同士の久光製薬とJTが3位争いを展開している。岡山シーガルズは7勝7敗の五分になり、目標のセミファイナル進出(4位以上)が厳しくなってきたが、可能性が消えたわけではない。12日から始まる最終節の頑張りに期待したい。

 

第2節終了時点(2月11日現在)の順位と勝敗

  1位 デンソー    12勝2敗

  2位 東レ      12勝2敗

  3位 久光製薬   9勝5敗

  4位 JT     9勝5敗

  5位 岡山     7勝7敗

  6位 トヨタ車体  4勝10

  7位 パイオニア   3勝11

  8位 NEC       0勝14

(勝敗数が同じ場合はセット率による)

 

デンソーの2敗はいずれも首位争いを繰り広げる東レに敗れたもの。一方、東レの2敗は第1節に岡山、第2節に久光製薬に不覚を取ったもの。東レはセット率でデンソーを下回るものの、最終節で相性のいいデンソーに勝ったうえ、下位チームに取りこぼしさえなければ、逆転1位となることもあり得る。

 

【岡山、最終節で5勝2敗以上なら可能性も】

 

 11日、兵庫県尼崎市のベイコム総合体育館で行われた岡山―デンソー戦。岡山は第1、第2セットを21―25で連取された後の第3セット、粘りのバレーでジュースの末29―27で奪い返す。第4セットも中盤一時リードしたものの結局23―25で取られ、セットカウント1―3で敗れた。

 

    

 

第1戦が成すすべなく0―3での完敗だったことから見ると大健闘といえる。日本期待の大型セッター宮下遥(大阪国際滝井高校在学中)が随所に非凡さを見せ、着実に成長していることを見せてくれたのも大きな収穫だった。だが、同時に課題も多く浮かび上がった。

 

 最大の敗因はデンソーの長身外国人選手、デラクルス(188センチ)に自在に打ちまくられたこと。バックアタックの14点も含め、この選手一人にアタックだけで40点も取られては勝ち目は薄い。最終節に向けて外国人選手の高さへの対応が改めて課題として残った。

 

サーブレシーブ成功率の低下も気がかりな点だ。第1節終了時点では60.8%で全8チーム中2位だったが、第2節終了時点では54.5%で6位まで落ちている。この試合でもデンソーのレシーブ成功率を下回った。粘り強く拾ってつなぐバレーを信条とするからには、相手サーブをきっちりセッターに返すことが最も大切だろう。

 

岡山が4位以上を達成するには、最終節で下位3チームに勝ったうえで、上位チームとの4戦のうち最低でも2勝し、5勝2敗以上を挙げることが必要。それを達成できたら通算戦績は12勝9敗となる。3位グループの久光製薬、またはJTが最終節で3勝4敗となったとき初めて勝敗数が並ぶ。その場合はセット率で順位が決まるため、岡山にとっては上位チームを食うとともに1セットでも多く得ることが非常に大切。なかなか厳しいものがあるが、可能性がある限り、残り7試合に全力を発揮してほしい。「頑張れ!頑張れ!シーガルズ」

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うさぎの「く~にゃん物語」⑤ 食糞「えっ、汚~い」なんて言わないで!

2012年02月10日 | ウサギ「く~にゃん物語」

【盲腸糞、栄養たっぷりの発酵食品よ】

 

ウサギのウンチって知ってる? 普通のウンチはコロコロして乾燥しているの。そう、シカの糞(ふん)をずっと小さくしたものを連想したら分かりやすいかな。においはほとんどしないよ。

 

だけど、ブドウの房のような粘り気のある軟らかい便もするんだ。これを「盲腸糞」というの。ビタミンBやたんぱく質など栄養たっぷりの発酵食品なので、すぐに食べちゃうんだ。夜中に多いから「夜便」とも言うわね。だから、ご主人様でもあまり目にすることがないんじゃないかなあ。

 

                

           

「えっ!糞を食べる。汚~い」だって。「食糞」は私たちの習性なの。だから、そんなこと言わないで。犬にも「食糞症」というのがあって飼い主さんたちを悩ませているそうね。だけどウサギの「食糞」はそれとは違って健康を保つために不可欠な大切なお食事。だから、お尻に口をもっていってモグモグしているのを見ても、見て見ないふりをしてね。

 

それに「盲腸糞」を食べ残して、よく見かけるようになったら要注意。体調があまり良くないということを知らせてくれているのかもしれないからね。じゃ、横座りして昼寝しようかな。おやすみ。

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<高校ラグビー> 筑紫高、常勝の東福岡ついに破る

2012年02月08日 | スポーツ

【公式戦3年間・83戦無敗を止める】

 

全国高校ラグビーでこの1月に3連覇を果たしたばかりの東福岡高が、ついに福岡県のライバルチーム筑紫高に敗れた。2月5日開催の全九州新人大会福岡県予選の決勝で、スコアは20―25。東福岡は20091月、全国大会準決勝で常翔啓光学園に破れて以来、国内の高校相手の公式戦では83戦無敗(1引き分けを含む)と、3年間無敵を誇っていた。

 

 筑紫高は県立進学校。九州の高校ラグビー界では知られた強豪校だが、最近は全国大会福岡県予選の決勝で東福岡にことごとくはね返され、花園への切符に手が届かなかった。筑紫は県予選で過去7年間に東福岡と6回対戦しているが、2005年度はわずか1点差、08年度も2点差など、いずれも手に汗握る接戦ばかりだ。

 

 <福岡県予選> <全国大会>

筑紫―東福岡  東福岡の成績

 2005年度 27―28    ベスト16            

   06年度 15―25   準優勝

  07年度  7―19   初優勝

  08年度 10―12   ベスト4

  09年度 12―17   優勝

  10年度  対戦なし   優勝

  11年度 12―23   優勝

 

全国大会に駒を進めた東福岡はこの7年間に、史上5校目の3連覇を含め優勝4回、準優勝、ベスト4各1回という好成績を挙げている。東福岡が2回目の優勝を飾った09年度の全国大会では、5試合で274点も入れ、失点はわずか24点だった。一方、全国大会前の県予選はわずか1トライ差の激戦で、筑紫が涙をのんでいた。

 

【福岡県にも全国切符2枠を、の声も】

 

東福岡にとって最も手ごわかった相手は花園で戦った相手ではなく、県予選決勝の筑紫だったのではないか――。09年度の全国大会後、関係者の間でこんな話が流れた。全国大会では大阪に3校、東京、北海道にも2校の枠が割り当てられているが、福岡県も2校出場を認めるべきではないか。地元ファンの間でそんな声が出始めたのもそのころからだ。筑紫が全国レベルでもシード校並みの実力校であることは間違いない。

 

今の東福岡があるのも好敵手・筑紫の存在を抜きにしては語れない。東福岡は昨年まで新人戦県予選でも6年連続で優勝(通算19回)していた。筑紫は「ヒガシを倒せ!」を目標に猛練習に励み、ついに東福岡の分厚い壁に一つ風穴を開けた。熱血指導で知られる筑紫監督の西村寛久は「(東福岡の無敗を止めたのが)関東や関西のチームではなく、福岡県勢でよかった」と話す。

 

一方、東福岡監督の谷崎重幸は「これで(無敗神話の)呪縛から解放され、チャレンジ精神を取り戻せる」。約30年間監督を務め常勝軍団に育て上げた谷崎はこの3月末で監督を退任するが、引き続き「ラグビー部統括」として指導に当たるという。

 

筑紫、東福岡の両校は2月17日から鹿児島で始まる全九州新人大会に出場する。組み合わせにもよるが、佐賀工業、大分舞鶴など九州各県の強豪が集うその大会で、両校が勝ち抜いて、また顔を合わせるのか。高校ラグビーファンにとっては見逃せない大会になってきた。

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ウサギの「く~にゃん物語」④ 鼻ぴくぴく ウサギの〝ウインク〟よ

2012年02月07日 | ウサギ「く~にゃん物語」

 

【嗅覚は高感度、視覚は弱くてもぐるっと360度】

 

 鼻ぴくぴくはウサギの専売特許。よく動くでしょ。西洋では「お鼻でウインクする」とか言われてて、なかなか評判がいいんだって。ぴくぴく動かして、その鋭い嗅覚でわずかなニオイでもかぎとるの。「回りに天敵がいないか」「何か危険が迫っていないか」。そんな状況をつかむための強力な探知機というわけね。

 

     

 

だから何か物音がしたり不安だったりした時にはぴくぴくが速くなるんだ。ご主人様がある時数えたら30秒間に40回近くも動いたんだって。逆にリラックスして安心な時には動きが少なくなって、熟睡状態の時はほとんど動かないの。だから鼻の動きでその時の気分や状態が分かるっていうわけ。

 

鼻はいいけど、目の視力のほうはちょっと弱いんだ。「0.1程度」ともいわれているけど、その代わり視野が広いのが自慢なの。片目で170190度も見えるから、両目だとぐるっと360度。真後ろも見えるんだから。

 

人の片目の視野が100度ぐらいらしいから、それに比べたらすごいでしょ。しかも光に対する感度が人よりずっと高いんだ。ウサギは天敵を避けるため主に夜間に行動するでしょ。そのために必要な視覚は十分備わっているというわけよ。

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スキージャンプ15歳の高梨沙羅 ユース五輪に続きNHK杯圧勝

2012年02月05日 | スポーツ

 

【2年後のソチ冬季五輪への期待高まる】

 

ノルディックスキーの女子ジャンパー、高梨沙羅(1996年10月8日生まれ)が2月5日、札幌・大倉山ジャンプ競技場(ラージヒル)で行われたNHK杯でまたまた大ジャンプを披露、初優勝を飾った。まだ15歳の中学3年生だが、オーストリア・インスブルックで1月中旬開かれたユースオリンピックでの金メダルに続く大ジャンプに、2年後のロシア・ソチ冬季五輪への期待がますます高まっている。

 

NHK杯では1回目でただ1人100mを超える116.5mを飛ぶと、2回目には最長不倒の127を記録、2位以下を寄せ付けない圧倒的なジャンプを見せた。高梨は1年前の2011年1月、この大倉山で最長不倒のバッケンレコードを打ち立て一躍脚光を浴びており、大倉山は実に相性のいい舞台になっている。

 

1年前のHBC杯では準決勝で16歳の高校生、伊藤有希が139.5mを飛び、オーストリア選手が持っていた大倉山女子の最長不倒距離139mを破った。だが高梨は決勝でこれをさらに1.5m上回る141mもの大ジャンプを見せた。これには高梨自身さえ「びっくりした」そうだ。

 

今回の127mはその記録に比べると飛距離は劣るが、それを単純に比較してもあまり意味がない。スタートゲートの位置の設定やその時々の天候によって、飛距離は大きく影響されるからだ。ゲートが高くなると、それだけ助走距離も長くなってスピードが増し飛距離も伸びる。助走距離が1m長くなると飛距離は5m程度伸びるともいわれる。

 

【1月にはW杯でも日本人初の表彰台】

 

1年前の大倉山の記録がフロックでないことはその後の活躍が証明している。その翌月2月のコンチネンタル杯で初優勝。今季から始まったW杯ジャンプでは今年1月8日の第3戦で2位となり、日本人初の表彰台に上がった。大きなヨーロッパ選手らに交じって、僅か15歳・身長151cmの高梨が銀メダルを獲得したことは、日本女子ジャンパー界にとってはまさに歴史的快挙ともいえよう。そして、その1週間後の1月14日にはユース五輪で1、2回目とも最長の飛距離をマークして金メダルだ。

 

ジャンプは助走スピード、踏み切りの強さとタイミング、飛び出す角度、空中姿勢などがうまくかみ合って飛距離が伸びる。距離が伸びても着地で両手を水平に広げるテレマークが決まらないと減点される。ジャンプ台によって傾斜角度は微妙に異なる。それだけに高梨には各地のジャンプ台でさらに経験を積んでほしい。

 

【ジャンパー一家、趣味はバレエとダンス】

 

ジャンプ台を飛び出す際のスピードは時速90km、加速する空中では100~120kmにも達する。高梨は小学2年生の時にジャンプを始めたが、最初に飛んだときは「正直怖かった」という。だが、今や飛ぶ喜びを全身で表現しているようだ。父親は元ジャンパー、高校生の兄も現役ジャンパーでジュニア強化選手というジャンパー一家。趣味はバレエとダンス。好きな食べ物に魚料理を挙げる。

 

高梨の励みとなっているのが、ソチ五輪でスキージャンプ女子がフィギュアスケート団体やバイアスロン混合リレーなどと並んで、新種目として加わることになったこと。開催時期はちょうど2年後の2014年2月7~23日。それまでにさらに経験を積み重ね勘に磨きをかけて、ロシアから日本に朗報をもたらせてほしい。それがジャンプへ挑戦するちびっ子たちを増やし、まだ歴史の浅い日本の女子ジャンプ界の隆盛にもつながるのではないかと思う。「なでしこ」の活躍が期待される今夏のロンドン五輪に加え、2年後の冬季五輪も楽しみになってきた。

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