【京都3奇祭の1つ、毎年4月第2日曜に(今年は8日)】
開花が例年より遅れた関西の桜もまもなく満開。この季節になると、疫神が散る花の精にあおられて悪疫をまき散らすとして、古くから各地で花鎮めの祭りが行われてきた。有名なのが京都・今宮神社の「やすらい祭」。鞍馬の火祭、太秦の牛祭とともに京3奇祭の1つといわれる。開催日は毎年4月第2日曜日で、今年は8日に行われる。
(2010年4月11日)
赤鬼・黒鬼、花傘を中心とした「練り衆」と呼ばれる行列が笛・鉦・太鼓のお囃子に合わせ街中を踊り回る。その後、今宮神社の境内で輪になって「やすらい花や」と唱えながら「やすらい踊り」を奉納する。鬼たちが飾り髪の赤熊(しゃぐま)を振り乱しながら激しく飛び跳ねる光景は、まさに奇祭そのものだろう。
囃子言葉の「やすらい花や」のやすらいは「散り急がないでゆっくりせよ」という意味らしい。花傘は直径1.5mほどで上部を桜や椿の花で飾ったもの。その傘の中に入ると1年間無病息災に過ごせるといわれる。平安時代の「梁塵秘抄口伝集」に練り歩く様子が描写されているが、祭りの様子はその時代からほとんど変わっていないようだ。その後、衰退し一時途絶えた時期もあったが、江戸時代に徳川5代将軍綱吉の母、桂昌院(京都・西陣出身)が社殿を寄進するとともに祭りを復活させたという。
関西では今宮神社のほか、奈良県桜井市の大神神社で今月18日に、大阪天満宮でも同25日にそれぞれ鎮花祭が行われる。いずれも神楽などが奉納されるが、大神神社の鎮花祭には奈良や大阪の製薬業者や医療関係者らも参列、多くの医薬品が献納されるため「くすりまつり」とも呼ばれる。