く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<富雄丸山古墳> 直径は国内最大の109mと判明!

2019年01月27日 | 考古・歴史

【3段構造、1・2段目の平坦部に円筒埴輪列】

 国内最大の円墳とみられる奈良市の「富雄丸山古墳」(4世紀後半築造)の規模や構造が市埋蔵文化財調査センターによる調査でほぼ解明され、26日に現地説明会が開かれた。2017年度の航空レーザー測量で直径110m前後の造り出し部付きの円墳であるとみられていたが、その後の発掘調査で直径約109mの3段構造の円墳であることが確認された。これまで国内最大の円墳は長く埼玉県行田市の「丸墓山古墳」(6世紀前半)の直径105mとされていた。

 同センターは古墳北東側の造り出し部とその隣接部分を中心に4カ所で発掘調査を進めてきた。その結果、墳丘1段目斜面の外側に裾部分とみられる小石が敷き詰められた平坦面が現れ、古墳の直径が約109mであることが分かった。また1段目の平坦面は幅が約7.2m、2段目は約8.8mで、他の円墳に比べて幅が広いことも判明した。平坦面の中央には1段目、2段目とも約20cm間隔で円筒埴輪が並べられていた。

 

 造り出し部の発掘では平坦面に小石を敷いた礫敷が確認され、斜面には拳大の葺石が見られた。また墳丘との接続部に近い平坦面でも円筒埴輪列が見つかったが、埴輪と埴輪の間隔は約10cmと狭くなっていた。古墳上部の墳頂部については1972年に一度発掘調査されているが、今回改めて調査して当時の発掘場所を確認した。埋土からは埋葬品の一部とみられる鍬形石や管玉、鉄器、埴輪の破片なども出土した。

 

 同古墳の埋葬施設は木棺を粘土で覆って埋め戻した粘土槨(かく)だったとみられる。明治時代に盗掘被害に遭っているが、京都国立博物館が埋葬品の一部と伝わる石製品や銅製品などを所蔵し国の重要文化財に指定されている。天理大学の付属博物館「天理参考館」所蔵の三角縁神獣鏡3面も同古墳からの出土品といわれる。奈良市では古墳の規模や形状を確定するため引き続き発掘調査を進め、いずれは古墳公園として整備する方針だ。

 

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<今城塚古墳> 張り出し部の祭祀場に埴輪が整然と

2019年01月16日 | 考古・歴史

【学界では継体天皇の〝真の陵墓〟説が有力だが…】

 淀川流域で最大級の規模を誇る大阪府高槻市の前方後円墳、今城塚(いましろづか)古墳(国指定史跡)。長さ約190mの墳丘の周囲を二重の濠が巡り、全体の広さは縦横およそ350m×360mに及ぶ。高槻市が古墳公園として整備してきた一帯は「いましろ大王の杜(もり)」として市民の憩いの場になっている。訪ねたとき墳丘の周りの芝生広場は凧揚げに興じる家族連れなどでにぎわっていた。

 この大きな古墳に葬られている被葬者は一体誰なのか。学界ではその規模や築造の時期、記紀の記述などから6世紀前半に没した継体天皇の陵墓とする説が支配的。一方、宮内庁はここから1km強西側に位置する太田(おおだ)茶臼山古墳(茨木市)を継体天皇陵と治定している。今城塚古墳は治定から外れているうえ陵墓参考地にも指定されていない。古墳の発掘調査が高槻市の手で自由に行われ、古墳公園として復元・整備され、市民が自由に墳丘に登ったり散策したりできるのもそのお陰だ。継体天皇が葬られている可能性が高いその墳丘に、なんの制限もなく自由に登れることに、感動より先に拍子抜けするほどだった。

 

 これまでの発掘調査で墳丘の盛り土のかなりの部分が1596年の伏見地震に伴う地滑りによって崩落していることが分かった。また北側の内堤に外濠に突き出す形で長さ65m、幅10mの張り出し部分があり、そこに家形の埴輪や武人、力士、巫女、鷹匠、馬、鶏、水鳥など様々な形象埴輪200点余が整然と並んでいたことが判明した。被葬者の埋葬時の様子を埴輪で再現するため古墳完成後に設けられた神聖な〝埴輪祭祀場〟とみられている。それらの出土品はいま古墳に隣接する「今城塚古代歴史館」に展示され(下の写真)、祭祀場跡地には復元埴輪によって往時の様子が再現されている。

 

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<BOOK> 「ほんとうはこわい 植物図鑑」

2019年01月11日 | BOOK

【監修・小林正明、絵・高橋のぞむ、大泉書店発行】

 植物の多くは一箇所に根を張り、生きるために水と光と二酸化炭素から養分を作り出す。だけど植物の中には肉食のものや根から他の植物の養分を盗むものもいる。毒や棘で身を守る植物や過酷な場所で恐ろしげな姿に変えて生き延びる植物も。本書ではそんなしたたかに生きる植物たちを愉快なカラーイラスト入りで紹介している。

     

 監修者の小林正明さんは1942年長野県生まれで、高校教員を歴任した後、飯田女子短期大学教授や信州大学農学部非常勤講師などを務めた。現在は「伊那谷自然友の会」の会長として自然保護活動に取り組んでいる。著書に『身近な植物から花の進化を考える』など。イラストを担当した高橋のぞむさんは1993年北海道生まれの生物画を得意とするイラストレーター・漫画家で、著書に『世界一ゆるい いきもの図鑑』がある。

 本書は「肉食でこわい」「毒がこわい」「武器がこわい」「寄生するからこわい」「生き物をあやつってこわい」「見た目がこわい」の6章で構成する。取り上げたのは内外の植物58種類。食虫植物のハエトリグサは葉の内側の毛に2回触ると0.5秒の早さで葉を閉じ虫を閉じ込める。水生のムジナモの反応速度はもっと早く獲物が毛に触れるとわずか0.03秒で葉を閉じる。ムシトリスミレは粘液を出す毛が密生した捕虫葉にアリなどがくっつくと消化液を分泌して溶かし養分として吸収する。

 グロリオサは〝炎のユリ〟とも呼ばれる情熱的な花姿が人気だが、全草に毒性を持ち、とりわけ塊茎部分の毒性が最も強い。ヤマイモに酷似しており、誤食による死亡例もあるそうだ。可憐なスズランも全草に毒を持っており、山菜のギョウジャニンニクと間違って食中毒を起こすことが多い。トリカブトはドクウツギ、ドクセリとともに日本三大有毒植物といわれる。かつて暗殺用によく用いられ、近年でも保険金殺人事件で使われたことで知られる。猛毒植物としてハシリドコロやトウゴマ、ベラドンナなども取り上げている。

 「武器がこわい」植物として紹介するのは棘に毒があるイラクサ、萼などに粘液を出す毛が密生するモチツツジ、硬い鉤爪の付いた果実が実るライオンゴロシ、葉の裏が鋭い棘で覆われ葉を食べる魚から身を守るオオオニバスなど。モチツツジは花粉を運んでくれない小さな虫を粘液を出すことで遠ざけていると考えられるそうだ。ライオンゴロシはアフリカの草原に生えるゴマ科の植物で、「デビルズクロー(悪魔の爪)」という英名を持つ。

 このほか「寄生するからこわい」ではアツモリソウやギンリョウソウ、ナンバンギセルなど、「見た目がこわい」ではアフリカ・ナミブ砂漠に生え和名で「奇想天外」と呼ばれるウェルウィッチア、石ころのような多肉植物リトープス(別名イシコロギク)、強烈な臭いを発する世界最大の花ラフレシア、真っ赤な血のような樹液を流すリュウケツジュなどを取り上げている。

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<奈良市写真美術館> 「入江泰吉 古都奈良の文化財~総集編~」

2019年01月07日 | 美術

【世界遺産登録20周年の記念展第3弾】

 奈良市写真美術館で「入江泰吉 古都奈良の文化財~総集編~」が始まった。本展は「古都奈良の文化財」がユネスコの世界文化遺産に登録されて20周年になるのを記念した3回シリーズの最終回。昨年の第1回記念展では東大寺・春日大社・春日山原始林、第2回は中金堂の落慶に合わせて興福寺を取り上げた。今回は総集編として西ノ京の薬師寺、唐招提寺を中心に東大寺や興福寺、元興寺、平城宮跡なども加え入江作品70点余を展示している。

   

 展示室に入ってまず目に飛び込むのは満開の桜の大木を撮らえた『春の平城宮跡』。桜の花が木全体を覆い尽くし、地面も散った花びらでピンク色に染まる。その背後には奈良時代の大きな建物の基壇跡、さらにその奥には昔と変わらない春日原始林の山並みが広がる。だだっ広いだけのような古の都の跡にもこんな風景があったのかと改めて思い知らされた。(多分あの場所かな?)

 薬師寺では創建当時の姿を今に残す東塔が約110年ぶりに全面解体修理中。その東塔を撮った作品も多く並ぶ。『水に映る薬師寺東塔』もその一つ。西塔が再建される前の1967年頃の作品で、西塔の礎石の中にできた水溜りに東塔がくっきりと影を映す。作品発表当時大きな評判を呼び、参拝客の間で水溜りを覗き込むのがはやったそうだ。薬師寺を撮った入江作品には西ノ京大池越しに東西の両塔を遠望したものも多い。入江が〝定点観測の写真家〟といわれた所以である。今展でも池を前面に置いた『夏の薬師寺伽藍』『陽春の薬師寺堂塔』などが展示されている。

 入江は朝雪が降っていたら撮影のため一目散に自宅を飛び出していたという。今回も『降雪薬師寺堂塔』『雪の飛火野』『猿沢池雪日』など雪景色の作品が10点近くを占めた。その多くが1970~80年代の作品。それにしても当時はこんなに雪が降っていたのか! とりわけ雪が杉の木立を覆う豪雪のような『春日大社二ノ鳥居降雪』には目がしばし釘付けになった。奈良の冬の風物詩、若草山の山焼きの作品の中では、燃え盛る山焼きの炎を山の上側から撮らえた『若草山山焼き』の迫力に圧倒された。会期は2月17日まで。

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<花園ラグビー場> W杯控え「資料館」が「ミュージアム」に変身

2019年01月04日 | スポーツ

【VRで迫力のある選手の動きを体感!】

 大阪・奈良府県境の生駒山を望む東大阪市花園ラグビー場。全国高校ラグビー大会の会場として、花園は高校ラガーマンにとって憧れの〝聖地〟。今秋にはワールドカップも控えており、2年から大規模なリニューアル工事が行われてきた。その一環として旧ラグビー資料館も「花園ラグビーミュージアム」として生まれ変わった。高校ラグビー準々決勝が行われた1月3日、ミュージアムは多くのラグビーファンでにぎわっていた。

 ミュージアムはメーングラウンドの正面入り口を入ってほぼ向かい側(南側サイドスタンドの1階部分)に位置する。展示されているのはラグビーの歴史や高校・大学・社会人のラグビー大会の歩みを紹介するパネル、オールジャパンのジャージやサインボールなど。日本人として初めてラグビー殿堂入りを果たした坂田好弘さんを紹介するパネルや、〝史上最大の番狂わせ〟ともいわれた前回W杯の日本・南アフリカ戦(34対32)の模様を伝えるパネルも。勝利の雄たけびを上げる日本代表の勇姿を目にしたとき、4年前の驚きと感動が蘇ってきた。

 

 一角には「宇宙を旅したラグビーボール」(下の写真)も鎮座。高校~大学でラグビーに明け暮れた宇宙飛行士星出彰彦さんが2008年にスペースシャトルディスカバリー号に乗船したとき持っていったという。新設のVR(バーチャルリアリティー)体験コーナーには行列ができていた。専用ゴーグルとイヤホンを装着すると、オフェンスあるいはディフェンスの場面を選手と同じ目線で体感できる。その力感あふれる素早い動きに圧倒された。来場者の中には展示の品々を覗き込むようにじっくり見て回る人も多かった。

 

 花園ラグビー場は日本初のラグビー専用球技場として1929年に開場。W杯を前に2017年2月から大規模な改修・増築工事が行われてきた。メーングラウンド正面の壁面はラグビーのスクラムをイメージする格子状のデザインに一新。スコアボードのある北側にもスタンド席が新設されたほか、大型ビジョンや夜間照明、ドーピング検査室なども設けられた。ゴールポストの高さも従来の13mから国際基準の17mに。W杯では花園で9月22日のイタリア・ナミビア戦を皮切りに同28日アルゼンチン・トンガ戦、10月3日ジョージア・フィジー戦、同13日アメリカ・トンガ戦の計4試合が予定されている。

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