く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ヒサカキ(柃、姫榊)> かわいい壷型の小花を鈴なりに 

2020年03月27日 | 花の四季

【葉の縁には鋸歯、サカキの代用として神事に】

 モッコク科(旧分類ツバキ科)ヒサカキ属の常緑樹。北海道を除く各地の山中の雑木林などに自生する。樹高は4~8m。花期は3~4月頃で、壷型の径5mmほどの白い小花を下向きにたくさん付ける。雌雄異株。雄しべが退化した雌花、10~15個の雄しべを持つ雄花のほか両性花もある。花は「プロパンガスのような」と形容される独特の臭気を放つ。葉の縁にギザギザの鋸歯があるのがサカキとの大きな違い。秋に球形の小さな果実が黒紫色に熟す。

 ヒサカキはサカキに比べると寒さに強く、関東以北にも分布する。このためサカキに代わって神棚に供えるなど神事に広く使われてきた。サカキはヒサカキなどと区別するため「マ(真)サカキ」「ホン(本)サカキ」と呼ばれることも。ヒサカキの名前の由来には諸説ある。サカキより小ぶりなことを表す「姫(ひめ)サカキ」から転じたとする説や、サカキに似てサカキにあらずを意味する「非(ひ)サカキ」から来たという説など。

 ヒサカキはよく分枝し葉が密生して刈り込みに強いことから垣根として植えられることも多い。学名は「Eurya japonica(エウリア・ジャポニカ)」。属名の語源は「広い・大きい」を意味するギリシャ語、種小名は「日本の」を意味する(「ジャポニカ」という学名を持つ植物は他にもスギ、ツバキ、シャガ、アセビ、ヤマブキ、イタドリなど多い)。変種に暖地の海岸近くで見られる「ハマヒサカキ」、屋久島固有の「ヒメヒサカキ」などがある。「あしらひて柃の花や適ふべき」(富安風生)

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<薬師寺修二会> 今年は〝コロナ〟の早期終息を祈願して

2020年03月26日 | 祭り

【不動堂前で大護摩・火渉り式、奉納行事は全て中止!】

 奈良・薬師寺で25日「修二会花会式(しゅにえ・はなえしき)」が始まった。「お水取り」として知られる東大寺の修二会とともに、奈良に春の訪れを告げる恒例の行事。薬師寺にとっては奈良時代から続く1年で最も重要な法要だ。結願(けちがん)の31日まで1週間にわたって本尊を祀る金堂で、練行衆により悔過(けか)法要が営まれる。例年は国家繁栄や五穀豊穣などを祈るが、今年は新型コロナウイルスが世界を震撼させていることから、薬師如来に一刻も早いコロナの終息を祈願する。

 国宝薬師三尊像(薬師如来、日光・月光菩薩)の前には桜や桃、牡丹など10種の華やかな造花(つくりばな)が飾られていた。ここで「六時の行法」と呼ばれる法要が1日に6回執り行われる。期間中、雅楽や能楽、太鼓、ハープやチェロの演奏などの奉納行事が連日計画されていたが、全て取り止めになった。また稚児行列や野点、僧侶の法話、花活動家・志穂美悦子さんによる特別展「聖観世音菩薩に捧げる花展2020」も中止に。

 ただ初日25日には秘仏不動明王像を祀る不動堂前で「柴燈(さいとう)大護摩・火渉(わた)り式」が薬師寺修験咒師(しゅし)本部によって予定通り行われた。午後1時すぎ、修験者たちが法螺貝を吹き鳴らしながら登場し、結界を張り巡らせた中央の護摩壇を周回。この後、上空に向け矢を放つ法弓の儀や法剣の儀などに続いて護摩壇に点火した。

 もうもうと立ち上る白煙はやがて激しい炎に。周囲は熱気に包まれ結界の周りで見守っていた参拝者たちは一斉に後ずさりしていた。めらめらと燃え上がる火柱はまるで不動明王が背負う火炎光背。火の勢いが収まってくると、火床の灰が平らにされ「火生三昧(かしょうざんまい)」といわれる火渉りが行われた。修験者や僧侶の後には百人近い一般の参拝者の列。みな真剣な表情で煩悩を焼き払おうと素足のまま熱い灰の上を進んでいた。

 玄奘三蔵院伽藍の大唐西域壁画殿の回廊では特別展「大和椿盆栽会」が25日から始まった。ただ、この催しも31日までの会期予定が29日までに短縮。会場には奈良県内の愛好家が丹精込めて育てた鉢植えが20鉢ほど並び、天理市の椿園「カメリア・岩屋」が栽培する多くの品種の切り花も展示されている。今年は長崎県五島市で「国際ツバキ会議・第30回椿サミット」が2月29日~3月1日に開かれる予定だったという。しかしコロナの影響で中止になったとのことで、出品者の一人も残念がっていた。薬師寺では5月初めに東塔の落慶法要を予定していたが、こちらも延期が決まっている。玄奘三蔵院伽藍の写経道場前ではそんな世情の混乱をよそに「薄墨桜」がソメイヨシノより一足早く満開を迎えていた。

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<アオモジ(青文字)> 高級楊枝材クロモジの名前に因んで

2020年03月24日 | 花の四季

【ハマビワ属の落葉樹、別名「ショウガノキ」】

 西日本の日当たりのいい山地に生えるクスノキ科の落葉樹。海外では中国や台湾、インドネシアなどアジア東南部にも分布する。樹高3~7m。3~4月頃、淡黄色の小花を葉に先立って散形状に付ける。白い花弁のように見えるのは花弁の基部を包む総苞片。雌雄異株。雄花序は雌化序に比べ花がやや大きく、花数も多い。

 9~10月頃、球形の果実(径5mmほど)が黒紫色に熟す。レモンのような芳香があり、エッセンシャルオイルなど香料として利用される。枝や葉にも独特な香りがあることから、別名「ショウガノキ(生姜の木)」とも呼ばれる。花材に使われたり、同じクスノキ科の「クロモジ(黒文字)」同様、和菓子などに添えられる高級楊枝の材としても活用されたりする。

 その名はクロモジの名前に因む。クロモジの語源については一説に、樹皮に現れる黒い斑点模様を文字に見立てて名付けられたという。アオモジの幹や枝は青みがかった緑色を帯びる。両者はごく近縁のような似た名前だが、分類上はクロモジがクロモジ属、アオモジがハマビワ属と異なる。クロモジは葉の展開と同時に花が付く。クロモジ属には「シロモジ(白文字)」と呼ばれる樹木もある。

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<アブラチャン(油瀝青)> 山野に自生する日本固有の落葉樹

2020年03月15日 | 花の四季

【名前は油分を多く含む木の性質からの命名】

 本州、四国、九州北部の山野に分布する日本固有種。秋に美しく黄葉する落葉樹で、樹高は3~5mほどになる。果実や樹皮など木全体に油分を多く含むのが特徴。可愛らしい響きの名前だが、「チャン」は敬称の「ちゃん」ではない。漢字では「油瀝青」と書く。瀝青(れきせい)は道路舗装や防水工事などに使われるアスファルトやタール、ピッチなど炭化水素系化合物の総称で「チャン」や「ビチューメン」とも呼ばれる。

 雌雄異株。早春芽吹きとともに半透明の淡黄色の小花を3~5個ずつ散形状に付ける。雄花・雌花とも花びらは6枚で、雌花は球形の子房を持つ雌しべを葯のない仮雄しべ9個が囲む。秋になると緑色の果実が黄褐色に熟す。果実や樹皮から採れる油はかつて灯明用などに利用された。枝や幹が粘り強いため、杖に加工され雪国では輪かんじきの材料としても使われた。

 アブラチャンには「ムラダチ(群立ち)」という別名も。これは株元から幹が叢生し群がるように何本も立ち上がる様から。学名は「Lindera praecox(リンデラ・プラエコックス)」。属名はスウェーデンの植物学者ヨハン・リンデル(1676~1723)に因んで名付けられた。種小名は「早熟の」「早咲きの」を意味する。日本海側では葉裏の脈上に毛があるものが見られ「ケアブラチャン」として変種に分類されることもある。「油瀝青咲いて山道あたたかし」(鈴木しげを)

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<新型コロナ> 東大寺など奈良の観光地も閑古鳥!

2020年03月14日 | メモ

【入国規制で中国、韓国の観光客はほぼ皆無に】

 世界を震撼させている新型コロナウイルス。奈良の観光地もその直撃をもろに受けている。これまで海外客で大賑わいだった奈良公園一帯は中国、韓国からの入国制限で人通りがめっきり途絶え、まさに閑古鳥が鳴く状況。東大寺や春日大社の参道などでは好物の「鹿せんべい」を突然もらえなくなった鹿の姿ばかりが目立っていた。

 こんなに静かな東大寺周辺を目にするのはもちろん今回が初めて。中国や韓国からの観光客は皆無で、南大門から大仏殿に至る参道で見かけた外国人は二組の欧米からのツアー客だけだった。沿道の鹿せんべい屋さんもほとんどお客がなくて手持ち無沙汰の表情。その周りを多くの鹿が物欲しげに取り囲んでいた。「お水取り」として知られる二月堂の修二会は今年で1269回目。3月1日から予定通り行われ、15日未明満行を迎えるが、人出は例年をかなり下回っているそうだ。

 

 杉の巨木と古い石燈籠が並ぶ春日大社の表参道。ここにも海外客の姿はほとんどなく、ひっそりと静寂に包まれていた。東大寺や春日大社に程近い奈良国立博物館は新型コロナで臨時休館中。近鉄奈良駅すぐそばの東向商店街はふだん猿沢池や興福寺、古い町並みのならまちなどに向かう海外客で賑わう。しかし、ここの人通りもかなり減っており、ドラッグストア店頭での中国語による呼び込みも鳴りを潜めていた。感染拡大が終息しインバウンド客が戻ってくるのはいつになるのか。4カ月後に迫った東京五輪は果たして予定通り開催されるのだろうか。 

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