【別名「キゾメグサ(黄染草)」、健康食品の原料にも】
ショウガ科クルクマ属(ウコン属)の多年草で、原産地はインドなどの熱帯アジア。日本には平安時代に中国から琉球に伝わり、江戸時代には幕府が創設した薬園で栽培されていた(国立健康・栄養研究所HPによる)。平安時代前半に編纂された辞書『和名類聚抄』には「鬱金香(うこんこう)」という記載が見られる。属名「クルクマ」はアラビア語で「黄色」を意味する言葉に由来。
日本で栽培されている主なウコンには開花時期や花色から春ウコン、秋ウコン、紫ウコン(夏ウコン)がある。単にウコンという場合は秋ウコンを指すことが多い。秋ウコンは晩夏から初秋にかけて、カンナのような大きな葉の間から花茎を伸ばして花を付ける。白い花びらのように見えるのは葉が変化した苞(ほう)で、実際の花は苞葉の間から見え隠れる黄色の小花。
根茎にクルクミンという黄色の色素を含み、その粉末が香辛料やカレー粉、たくあんなどの着色剤として利用されてきた。そのため「キゾメグサ(黄染草)」という異名を持つ。インドでは僧侶が身にまとうオレンジ色の袈裟の染料にもなっているそうだ。ちなみに桜の「ウコン(鬱金)」の名は花がウコンで染めた色に似ていることから。クルクミンは肝臓の解毒作用を促すといわれ、健康食品や二日酔い止め飲料の原料などとして広く使われている。ウコンの英名は「ターメリック」。
春ウコンは花(苞)がピンク色で、「姜黄(きょうおう)」や「ワイルド・ターメリック」とも呼ばれる。秋ウコンほどクルクミンを含まない分、苦味が強く精油成分を多く含む。紫ウコンは根茎の断面が紫色で、夏に紫の花を付ける。別名「莪朮(がじゅつ)」。胃液や胆汁の分泌を促す成分シネオールを多く含み、体内のコレステロールの排出効果も注目を集めている。「時雨馳(は)せうこんの花のさかりなる」(大野林火)。