はじめに
日本にも、ファイナンシャル・タイムスのマーチン・ウルフのような逸才が居ればというのが、年来の筆者の思いであり、本コラムでも、「日本にウルフはいない」以来、しばしば引用しているところだ。その新著の邦訳「シフト&ショック」が早川書房から出たのは、うれしい限りである。
その内容は、リーマンショックを起こした世界経済の構造的な理由を探り、衝撃によって政策や学説がいかに変わり、今後、どうすべきかを説いたものである。約450ページと、ちょっと長めで、世界経済に関する多少の基礎知識も必要ではあるが、ここから得られる見識は、実に豊かだ。
第1の物語
現実は複雑で多様なものだが、今の時代を単純化すると、こんな物語になるのではないか。まず、バブルが起こり、1000億円の土地が2000億円に値上がりした。企業は銀行から2000億円の融資を受けて購入し、地主は代金2000億円を預金した。次に、バブルが弾けて地価は元に戻り、融資の回収が不能になる。政府は、銀行の経営に不安を感じ、中央銀行に流動性の供給を命じて、最終的に1000億円の損失を引き受けるハメになった。結局、政府は、その半分を、企業と銀行の従業員の給料などを削って、少しずつ返済させるとしたが、残りは、税金で穴埋めするしかなかった。
問題は、こういう対処が正しいかどうかだ。もっとも、正しいも何も、銀行の信用システムを破綻させてしまったら、国民経済が大打撃を受けかねないのだから、事実上、選択の余地はなかった。それだけに、民衆の不満は極めて強い。バブルの恩恵どころか、迷惑さえ被ったのに、なぜ損失だけは背負わねばならないのかと。
しかも、バフル崩壊後は、中銀も、政府も、民衆に理不尽な政策を取りがちである。中銀は、バブルで信用が膨張し、流動性の提供で固定化されたから、これがインフレの種にならないかと恐れを抱くようになる。この恐れが、景気が十分に回復する前に、金融を引締めたがるという困った傾向を生む。
政府も、不良債権の後始末やバブル崩壊後の景気対策で、財政赤字が急上昇しているから、国債金利の行方に強い不安を持つようになる。それで、少し景気が上向いただけで、緊縮財政を始め、回復の芽を摘むようなことをしてしまう。バブルによって、実物の供給力に対し、マネーが過大になったことが、中銀や政府の焦りを誘い、調節の感覚を狂わせるのである。
………
加えて、バブル崩壊が厄介なのは、通常の景気対策が効きにくいことである。通常、金融緩和が景気回復に結びつくルートには二つあり、一つは住宅投資で、もう一つは輸出である。低金利は、設備投資には直接効かず、これら二つの需要増に応じて伸びて来る。ところが、バブル崩壊後は、いずれのルートも潰れていたりする。
住宅投資にバブルが生じた後で積み上がりがあると、金利を下げたところで、効果が出ないのは、言うまでもない。これは、設備投資にも起こっている場合さえある。こうなると、頼りは、自国通貨安による輸出増になるが、バブル崩壊が世界的だと、どの国も金融緩和をするために、金利差がつかず、通貨安が得られなくなってしまう。
こうして、財政による景気対策に、大きな負荷がかかる。誰しも財政赤字は出したくない。ところが、やむなく財政赤字を出して需要を作ると、これを目当てに、他国が金融緩和競争を仕掛け、輸出を伸ばそうとしたりする。世界的なバブル崩壊は、勇敢に財政出動をした国が食い物されるという、不幸なことまで起こるのだ。
第2の物語
そもそも、なぜバブルが生じたのか。これを、第2の物語としよう。まず、バブルには金融緩和が必須である。ところが、通常、金融緩和をすると、設備投資と雇用が増えて、物価が上がり気味になる。その上、自国通貨安によって、輸入品も高くなる。こうなると、金融緩和を続けられなくなり、バブルの発生には至らない。
裏返せば、バブルにするには、金融緩和をしても、設備投資や雇用が増えず、自国通貨高を保つことが必要になる。ここで登場するのが、貿易黒字が大好きな「異質の国」である。この国は、ひたすら輸出を増やし、それで得たお金で、輸出先の国債を買いまくるという、奇特な価値観を持っている。それでは、自国民の生活を豊かにできないにもかかわらず。
異質の国が存在すると、金融緩和をしても、自国通貨安にはならず、安い輸入品が溢れ、設備投資と雇用も、あまり増えない。金融緩和で生じたマネーは、もっぱら、金融商品や土地へと向かう。金融業や不動産業が隆盛を極め、成長は確保できるかもしれないが、その他では伸び悩むから、雇用が行き渡らず、貧富は拡大することになろう。
………
異質の国は、なぜ、自国民の生活を顧みないのか。一つのタイプは、非民主的な政治体制を正当化するため、高成長を至上命題とするとともに、民衆の不満を招かぬよう、物価上昇率を押さえ込もうとする場合である。輸出で稼いだ金を、すべて国内の購買力にしてしまうと、生産性格差インフレは避けがたい。たとえ、それが平等化に必要だとしても。
もう一つのタイプは、国民生活より財政再建を優先する場合である。こういう国は、緊縮財政ありきで、国内で足りぬ需要を自国通貨安による輸出で埋め合わせようとする。それで、異様な金融緩和をしたり、為替介入で輸出先の国債を大量購入したりする。もっとも、為替レートは大きく変動するから、何度も元の木阿弥になるが、まったく懲りないようだ。
このように、バブルは、緩和によって金融業を儲けさせたい国と、内需の抑制を好む国の利害の一致によって生じる。双方とも、民衆の生活向上を犠牲にしても構わないという共通性があり、均衡ある持続的な経済成長という全体の利益より、歪みが生じても優先して獲得したい特殊な利益を欲しているのである。
将来に向けて
バブルが崩壊した後、どのような経済運営をすべきだったかは、今更の感がある。そこは、ウルフさんが指摘するように、既に政策の舵は切られているからだ。そして、日米欧の中で、緊縮財政の度合いが薄かった米国のパフォーマンスが良好なことからすれば、あえて議論するまでもないのかもしれない。
一つ残念であったのは、1991年の日本のバフル崩壊後の「成功」が活かされなかったことだ。当時の日本は、果敢に財政出動を行い、民間投資が減退する中で、景気を支え続け、着実に消費を伸ばしていった。そして、消費率が高まり、再び設備投資が上向くまでに漕ぎ着けた。1997年に過激な緊縮財政に転じ、努力を無にしていなければ、リーマン・ショック後の世界に、反面教師でないモデルを提供できていたと思う。
緊縮財政の失敗は、米国にとっては過ぎ去った選択であり、ユーロ圏にとっては未だ認めたくない過ちだ。現時点の論点は、ドイツが緊縮財政を敷いておいて、ユーロ安で米国の需要を食うことが許されるのかに限られる。消費増税で緊縮をした日本は、輸出拡大が思うに任せず、恨まれるまでになっていないが、原油安で貿易収支が黒字に転ずるところに来ているので、今後の為替レートには要注意である。
………
これからの財政運営について、方向を示すとすれば、バブル崩壊の結果として膨らんだ財政赤字を恐れ過ぎないことであろう。単に、豪胆になれと言うのではなく、過剰なマネーの持ち手を認識し、これを管理するアプローチが必要になる。「第1の物語」を思い出してほしい。持ち手とはバブルを売り抜けた者である。彼らの供給力の裏付けのないマネーをいかに回収するかがポイントになる。
具体的には、果敢に財政出動を行うことで、実物経済を成長させ、2%程度のインフレ目標を達成し、相対的にマネーを小さくして行く。その一方、利子配当課税の税率を引き上げ、金利が上昇しても、利払費を税収増で賄えるようにし、財政破綻の不安を除く。また、予想外に物価が上昇し始めた場合に備え、自動的に消費税を上げられる準備もしておく。あとは、相続税で最終的な回収を行うだけだ。
現在の金融緩和に頼るアプローチは、通貨安や資産効果に頼ろうとする危ういものである。おまけに、緊縮財政で民衆の需要を削ろうとする。これでは、実物とマネーの乖離は開くばかりだ。マネーの持ち手を認識していないから、的外れの政策になる。民衆は、どうしてほしいかは分からないが、何かおかしいと感じるから、反緊縮や反格差を叫ぶ。これを反体制に追い込んではなるまい。
おわりに
ウルフさんは金融の専門家でもあるので、再度のバブルと金融危機を起こさないために、銀行の自己資本比率の10%以上への引き上げやリングフェンスの導入など、傾聴すべき提言をしている。ただ、これらは、金融緩和の下でも、銀行がバブルを作らないように規制するものであり、そもそも、バブルの元となる大規模かつ長期的な金融緩和を、いかに避けるかが重要な課題となる。
それには、「第二の物語」で示したような国際的な需要管理の誤りをどう正すかになる。国民生活の向上より、政治体制や財政再建を優先するという、不合理な行動を放置していては、金融緩和や自由化によって、手っ取り早く利益を得ようとする政治運動を防ぐのは難しくなる。それが持続可能でないと分かっていても、長期的には生きていない人間は、求めてやまないのだ。
むろん、財政を使うとしても、裁量性には枠組が欠かせない。ウルフさんが指摘するように「財政ファイナンス」は必要なものとなろう。それだけに、これが放漫に流れぬよう、従来の財政赤字のGDP比率のような役に立たないものとは違う、新たな制度や運用ルールを創造しなければならない。本コラムの社会保険を需要管理のアンカーにするという試みも、その一つなのである。
(6/5の日経)
介護施設不足で41地域へ移住を提言。日米欧の長期金利上昇。
(昨日の日経)
出生率9年ぶり低下1.42、第1子年齢0.2上昇。5月米雇用28万人、円13年ぶり安値。外国人持ち株比率35.5%に上昇。
※出生率低下には寂しいものがあるね。東京が上昇したのが救いか。
(今日の日経)
関電・KDDI提携へ。マイナス成長でも最高益、円安でかさ上げ1兆円。生保・円安で外債投資見合わせ。創論・財政健全化。
※財政健全化は、本田内閣参与にインタビューしてほしいな。東洋経済(6/6)を見る限り、本コラムの考え方とあまり変わらない。流れはこの方向にある。
日本にも、ファイナンシャル・タイムスのマーチン・ウルフのような逸才が居ればというのが、年来の筆者の思いであり、本コラムでも、「日本にウルフはいない」以来、しばしば引用しているところだ。その新著の邦訳「シフト&ショック」が早川書房から出たのは、うれしい限りである。
その内容は、リーマンショックを起こした世界経済の構造的な理由を探り、衝撃によって政策や学説がいかに変わり、今後、どうすべきかを説いたものである。約450ページと、ちょっと長めで、世界経済に関する多少の基礎知識も必要ではあるが、ここから得られる見識は、実に豊かだ。
第1の物語
現実は複雑で多様なものだが、今の時代を単純化すると、こんな物語になるのではないか。まず、バブルが起こり、1000億円の土地が2000億円に値上がりした。企業は銀行から2000億円の融資を受けて購入し、地主は代金2000億円を預金した。次に、バブルが弾けて地価は元に戻り、融資の回収が不能になる。政府は、銀行の経営に不安を感じ、中央銀行に流動性の供給を命じて、最終的に1000億円の損失を引き受けるハメになった。結局、政府は、その半分を、企業と銀行の従業員の給料などを削って、少しずつ返済させるとしたが、残りは、税金で穴埋めするしかなかった。
問題は、こういう対処が正しいかどうかだ。もっとも、正しいも何も、銀行の信用システムを破綻させてしまったら、国民経済が大打撃を受けかねないのだから、事実上、選択の余地はなかった。それだけに、民衆の不満は極めて強い。バブルの恩恵どころか、迷惑さえ被ったのに、なぜ損失だけは背負わねばならないのかと。
しかも、バフル崩壊後は、中銀も、政府も、民衆に理不尽な政策を取りがちである。中銀は、バブルで信用が膨張し、流動性の提供で固定化されたから、これがインフレの種にならないかと恐れを抱くようになる。この恐れが、景気が十分に回復する前に、金融を引締めたがるという困った傾向を生む。
政府も、不良債権の後始末やバブル崩壊後の景気対策で、財政赤字が急上昇しているから、国債金利の行方に強い不安を持つようになる。それで、少し景気が上向いただけで、緊縮財政を始め、回復の芽を摘むようなことをしてしまう。バブルによって、実物の供給力に対し、マネーが過大になったことが、中銀や政府の焦りを誘い、調節の感覚を狂わせるのである。
………
加えて、バブル崩壊が厄介なのは、通常の景気対策が効きにくいことである。通常、金融緩和が景気回復に結びつくルートには二つあり、一つは住宅投資で、もう一つは輸出である。低金利は、設備投資には直接効かず、これら二つの需要増に応じて伸びて来る。ところが、バブル崩壊後は、いずれのルートも潰れていたりする。
住宅投資にバブルが生じた後で積み上がりがあると、金利を下げたところで、効果が出ないのは、言うまでもない。これは、設備投資にも起こっている場合さえある。こうなると、頼りは、自国通貨安による輸出増になるが、バブル崩壊が世界的だと、どの国も金融緩和をするために、金利差がつかず、通貨安が得られなくなってしまう。
こうして、財政による景気対策に、大きな負荷がかかる。誰しも財政赤字は出したくない。ところが、やむなく財政赤字を出して需要を作ると、これを目当てに、他国が金融緩和競争を仕掛け、輸出を伸ばそうとしたりする。世界的なバブル崩壊は、勇敢に財政出動をした国が食い物されるという、不幸なことまで起こるのだ。
第2の物語
そもそも、なぜバブルが生じたのか。これを、第2の物語としよう。まず、バブルには金融緩和が必須である。ところが、通常、金融緩和をすると、設備投資と雇用が増えて、物価が上がり気味になる。その上、自国通貨安によって、輸入品も高くなる。こうなると、金融緩和を続けられなくなり、バブルの発生には至らない。
裏返せば、バブルにするには、金融緩和をしても、設備投資や雇用が増えず、自国通貨高を保つことが必要になる。ここで登場するのが、貿易黒字が大好きな「異質の国」である。この国は、ひたすら輸出を増やし、それで得たお金で、輸出先の国債を買いまくるという、奇特な価値観を持っている。それでは、自国民の生活を豊かにできないにもかかわらず。
異質の国が存在すると、金融緩和をしても、自国通貨安にはならず、安い輸入品が溢れ、設備投資と雇用も、あまり増えない。金融緩和で生じたマネーは、もっぱら、金融商品や土地へと向かう。金融業や不動産業が隆盛を極め、成長は確保できるかもしれないが、その他では伸び悩むから、雇用が行き渡らず、貧富は拡大することになろう。
………
異質の国は、なぜ、自国民の生活を顧みないのか。一つのタイプは、非民主的な政治体制を正当化するため、高成長を至上命題とするとともに、民衆の不満を招かぬよう、物価上昇率を押さえ込もうとする場合である。輸出で稼いだ金を、すべて国内の購買力にしてしまうと、生産性格差インフレは避けがたい。たとえ、それが平等化に必要だとしても。
もう一つのタイプは、国民生活より財政再建を優先する場合である。こういう国は、緊縮財政ありきで、国内で足りぬ需要を自国通貨安による輸出で埋め合わせようとする。それで、異様な金融緩和をしたり、為替介入で輸出先の国債を大量購入したりする。もっとも、為替レートは大きく変動するから、何度も元の木阿弥になるが、まったく懲りないようだ。
このように、バブルは、緩和によって金融業を儲けさせたい国と、内需の抑制を好む国の利害の一致によって生じる。双方とも、民衆の生活向上を犠牲にしても構わないという共通性があり、均衡ある持続的な経済成長という全体の利益より、歪みが生じても優先して獲得したい特殊な利益を欲しているのである。
将来に向けて
バブルが崩壊した後、どのような経済運営をすべきだったかは、今更の感がある。そこは、ウルフさんが指摘するように、既に政策の舵は切られているからだ。そして、日米欧の中で、緊縮財政の度合いが薄かった米国のパフォーマンスが良好なことからすれば、あえて議論するまでもないのかもしれない。
一つ残念であったのは、1991年の日本のバフル崩壊後の「成功」が活かされなかったことだ。当時の日本は、果敢に財政出動を行い、民間投資が減退する中で、景気を支え続け、着実に消費を伸ばしていった。そして、消費率が高まり、再び設備投資が上向くまでに漕ぎ着けた。1997年に過激な緊縮財政に転じ、努力を無にしていなければ、リーマン・ショック後の世界に、反面教師でないモデルを提供できていたと思う。
緊縮財政の失敗は、米国にとっては過ぎ去った選択であり、ユーロ圏にとっては未だ認めたくない過ちだ。現時点の論点は、ドイツが緊縮財政を敷いておいて、ユーロ安で米国の需要を食うことが許されるのかに限られる。消費増税で緊縮をした日本は、輸出拡大が思うに任せず、恨まれるまでになっていないが、原油安で貿易収支が黒字に転ずるところに来ているので、今後の為替レートには要注意である。
………
これからの財政運営について、方向を示すとすれば、バブル崩壊の結果として膨らんだ財政赤字を恐れ過ぎないことであろう。単に、豪胆になれと言うのではなく、過剰なマネーの持ち手を認識し、これを管理するアプローチが必要になる。「第1の物語」を思い出してほしい。持ち手とはバブルを売り抜けた者である。彼らの供給力の裏付けのないマネーをいかに回収するかがポイントになる。
具体的には、果敢に財政出動を行うことで、実物経済を成長させ、2%程度のインフレ目標を達成し、相対的にマネーを小さくして行く。その一方、利子配当課税の税率を引き上げ、金利が上昇しても、利払費を税収増で賄えるようにし、財政破綻の不安を除く。また、予想外に物価が上昇し始めた場合に備え、自動的に消費税を上げられる準備もしておく。あとは、相続税で最終的な回収を行うだけだ。
現在の金融緩和に頼るアプローチは、通貨安や資産効果に頼ろうとする危ういものである。おまけに、緊縮財政で民衆の需要を削ろうとする。これでは、実物とマネーの乖離は開くばかりだ。マネーの持ち手を認識していないから、的外れの政策になる。民衆は、どうしてほしいかは分からないが、何かおかしいと感じるから、反緊縮や反格差を叫ぶ。これを反体制に追い込んではなるまい。
おわりに
ウルフさんは金融の専門家でもあるので、再度のバブルと金融危機を起こさないために、銀行の自己資本比率の10%以上への引き上げやリングフェンスの導入など、傾聴すべき提言をしている。ただ、これらは、金融緩和の下でも、銀行がバブルを作らないように規制するものであり、そもそも、バブルの元となる大規模かつ長期的な金融緩和を、いかに避けるかが重要な課題となる。
それには、「第二の物語」で示したような国際的な需要管理の誤りをどう正すかになる。国民生活の向上より、政治体制や財政再建を優先するという、不合理な行動を放置していては、金融緩和や自由化によって、手っ取り早く利益を得ようとする政治運動を防ぐのは難しくなる。それが持続可能でないと分かっていても、長期的には生きていない人間は、求めてやまないのだ。
むろん、財政を使うとしても、裁量性には枠組が欠かせない。ウルフさんが指摘するように「財政ファイナンス」は必要なものとなろう。それだけに、これが放漫に流れぬよう、従来の財政赤字のGDP比率のような役に立たないものとは違う、新たな制度や運用ルールを創造しなければならない。本コラムの社会保険を需要管理のアンカーにするという試みも、その一つなのである。
(6/5の日経)
介護施設不足で41地域へ移住を提言。日米欧の長期金利上昇。
(昨日の日経)
出生率9年ぶり低下1.42、第1子年齢0.2上昇。5月米雇用28万人、円13年ぶり安値。外国人持ち株比率35.5%に上昇。
※出生率低下には寂しいものがあるね。東京が上昇したのが救いか。
(今日の日経)
関電・KDDI提携へ。マイナス成長でも最高益、円安でかさ上げ1兆円。生保・円安で外債投資見合わせ。創論・財政健全化。
※財政健全化は、本田内閣参与にインタビューしてほしいな。東洋経済(6/6)を見る限り、本コラムの考え方とあまり変わらない。流れはこの方向にある。
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