KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

短い距離だけれど以外とタフだった五条山

2024年05月16日 | 四国の山

今週はお花見シリーズで『船窪のオンツツジ』高越山を計画。奥様たちにも連絡して、

あとは天気次第と思っていたら、あっちゃんから『予定が入っていたのを忘れてました

!』と連絡が入った。

しばらくするとWOC登山部のFBにセニョさんが、『船窪のオンツツジと奥野々山から

五条山まで歩きます!』と計画が上がった。高越山は以前にも登ったことがあるので、

どうせならセニョさんの計画の山は初めて知った山で、当然YAMAPの山頂ポイント

数も増えると思って、ルリちゃんに『高越山ではなく南側の山になるけどいいですか?

』と案内すると、問題なしの返事が返ってきた。

その後またしばらくして今度はルリちゃんから『YAMAPで調べてみると結構岩やロ

ープがあるようなので、まだ肘の調子が悪いのでキャンセルします!』と連絡が入った。

結局セニョさんと二人での山行となった。セニョさん相手だと何時ものようにスタート

時間を気にすることはない。せっかくなのでオンツツジを眺めながらのお昼ご飯にした

いので8時に船窪の駐車場に集合で連絡をした。





船窪までの道はかなりクネクネした道。先週、岳人の森までの道で車酔いしたあっちゃ

んは、この道は100%酔ってしまうだろうな~と思いながらカーブで右に左にハンド

ルを切る。時間が割と早いのでこのまま公園まで車に乗って行って、観光客いないうち

に一眼レフで写真を撮ってみようかなと考えて、1kmほど手前にある駐車場まで来る

とやはりすでにセニョさんは到着していて身支度をしているところだった。

軽く挨拶をして奥様たちは今日は来れないと説明。YAMAPでルートの確認をして駐

車場の奥から続いている林道へと歩いて行く。

道は大丈夫かなと思うくらいどんどん下っている。途中一カ所分岐になった場所でセニ

ョさんが、『どっちだろう?』と言ったけれど、YAMAPをどう見間違ったのか、その

ままコンクリート道を下って行ってしまう。700mほど下ったところで植栽地で見晴

らしの良い場所になり、もう一度YAMAPを見てみると、ダウンロードしたトラック

から違う道を歩いているのに気が付いた。『すみませんセニョさん、さっきの分岐で間違

ったみたいです』と声をかけて引き返す。植栽地越しには吉野川と山川町の街並みが見えた。










分岐まで戻りルート復帰。道のコンクリートはすぐに途切れて石が転がる地道になる。

分岐からは10分ほどで林道が四差路になった場所に出た。三方向にに林道が続いて

いるが、尾根はちょうど切通になった真ん中になる。










切通の反対側も植林地になっていて、西側の眺望が開けている。この辺りから山々を眺

めることはなかなかないので、山座を同定するのは難しい。











切通からはいきなり杉林の中の急登が始まる。セニョさんが見慣れないストックを突い

ている。『最近になってストックがあると楽なのに気が付いた!』と。ちょっと遅くな

いですか?(笑)











急登を登りながらセニョさんが、先週小豆島で山の中と、山からの下山後も悪戦苦闘し

た話を聞かせてくれる。山でのオカルトかかった話と下山後のいかにもセニョさんらし

い話に思わず笑ってしまう。歩き始めは少し詰まった感じがしていた左膝も、身体が温

まってきたからか、あまり気にならなくなってきた。急登を登りきると歩きやすい尾

根道に変わる。










快適道が終わると露岩が現れ、そのうちに杉林から岩の痩せ尾根になってくると、ブナの

木が目立ち始める。











痩せ尾根を過ぎると岩場にロープがかかっていた。湿気を含んだ岩や木の根は登山靴の

グリップが効かずに滑りやすい。それ以上にソールのすり減り具合からか、驚異的なグ

リップ力がうたい文句のモンベルのトレールグリッパーも、もうそろそろ限界なのかも

しれない。










ロープのかかった岩場を登りきると奥野々山山頂に着いた。山頂標は高松軽登山の錆び

た鉄板の標識と白い山名杭が木の根に置かれているだけだった。

そして山頂のすぐ南側には朽ち果てた奥野々神社があった。屋根は落ち壁のトタンも剥

がれかけ鉄骨もむき出しになっている。こんな山中に鉄骨造りの社殿ということは、当

時は随分と立派な神社だったような気がする。

awa-otokoさんのブログによると、この奥野々山の南側にある母衣暮露滝は昔から修験道

場として行者の出入りが盛んであった場所で、この滝で垢取りを行いこの奥野々神社に

参拝したのではないかと書かれている。奥野々神社は奥野々大権現とも呼ばれ、高越大

権現
と表裏一体だったのではということだ。










奥野々山からはまたブナの林、そして下り坂が続いていく。緩やかな坂と急な下り坂が

繰り返し続いていく。














尾根の左側が杉の人工林、右側は新緑の自然林。鞍部まで来るとまた一段と新緑の明る

い緑が目に飛び込んでくる。














そしてまた朝見権現までの登坂が始まる。登りも下りも距離は長くはないが、なかなか

足に堪えてくる。すると尾根の右側が伐採地になりこの間で一番景色の広がる場所

になる。伐採地の頂部からは北にちょうど満開の船窪のオンツツジのオレンジ色が、

尾根を染めているのが見える。『ここからはっきりと色が分かるということは満開です

ね!』とセニョさんと話をする。














そして麓に目を移すと穴吹川が曲線を描いているのが見えた。穴吹の宮内の集落辺りだ

ろうか?





伐採地からまた急登を登り左手のアセビの木の間をかき分け進むと、朝見権現はそのア

セビの木に囲われた狭い場所にあった。三等三角点 薊権現 1138.57m











朝見権現からは一旦アセビの木の外に出て西側に回り込んで五条山へと向かう。ここか

らはセニョさんも初めての道。岩場に急坂そして痩せ尾根と朝見権現までの道に比べる

と、随分とワイルドな道になってきた。











この辺りからピンクのテープが目立ち始めるが、どこの山でもそうだがピンクのテープ

はあてにならない。それよりもやはりYAMAPのGPS。間違いがないか確認しなが

ら下って行く。『次の山頂を目指しているはずなのに下りとは?』とセニョさん。

尾根の岩を巻く場所では、足元が悪すぎるのに、掴んだ木がことごとく枯れていてこれ

もあてにならない。セニョさんは尻セード。私は久しぶりに尻もちをついた。














1050mの等高線上で展望岩に出た。地形図を見てみると少し下に見えるピークのも

うひとつ先のピークがどうやら五条山の様だ。南西には雲に隠れた剣山から続く稜線が

眺められる。ここから先は岩壁で進めない。










一旦戻ってまた西側を巻いて行く。この辺りからも穴吹川に沿った宮内の集落が見えた。











五条山は朝見山よりさらに狭い山頂らしからぬ山頂だった。時間は10時前、スタート

からおおよそ2時間。

奥野々山から朝見権現までが700mで25分、朝見権現がら五条山までが600mで

40分かかっていた。それでも折り返しで2時間と考えれば、計画通りちょうどお昼は

オンツツジを見ながらになりそうだ。








折り返しの朝見権現へはこんなに下ったかな思えるほどの急登。『あっ、そういえばここ

で尻もちついたんだ~』










それほどの高さでなければ、下るときは意識をしないのであまり記憶に残らないので、

『こんな岩下ったかな?』と二人で言いながら登って行く。











朝見権現の手前まで来ると道は山頂を左に巻いて登るように続いている。するとセニョさ

んが『右にトラバースすれば山頂へ登らずに反対側へ抜けられるように思うのですが』と

仰る。確かに地形図を見ると等高線上に歩いて行けばいけそうな気がする。『じゃ~行っ

てみましょう』と返事をして、右に進んで行くと地元の屋島の冠ケ嶽の岩壁の下と同じ

ような雰囲気になってきた。冠ケ嶽もそうだが、安山岩の冷たい色の岩壁の足元は土溜

まりがあって人が歩けるだけのスペースがある。ただ冠ケ嶽と違うのは1mほどの幅の

土溜まりから下は切れおちた斜面になっていた。














見上げると安山岩の岩壁。朝見権現は岩稜の山頂だとわかる。一カ所だけ足元の幅がな

い場所で岩壁がせり出ていて、ヒヤッとする場面があったが何とか朝見権現の山頂の先

に出られたかに思えたが、そこから先は灌木が密集した斜面で進めそうにない。仕方が

ないのでまだ密集度がマシな山頂へと登って行く。『近道やと思ったのが間違いやった

ね、そのまま山頂へ登ったらよかったね』とセニョさん。まぁこれはこれで迫力のある

朝見権現の岩壁が見られたし、藪漕ぎもまた楽しい~!

灌木を掴み、灌木の根元に足を預けながら急斜面を登って行くと見覚えのある山頂に出

た。結局『急がば回らずに登れ!』だった。

















朝見権現からの尾根道では往路でも見かけたが、何本もの杉の木の根元の皮が削がれていた。

鹿の仕業だろうか?それにしても杉の木の皮が削がれているのは初めて見た。

伐採地から見える船窪まではまだまだ遠い。五条山では行動食を口に入れたが、けっこう

お腹が空いてきた。そのせいか登りのペースも随分と遅くなる。














奥野々山が近づいてくると、またブナの新緑が目に飛び込んでくる。まわりもそうだが、

新緑の季節ももうそろそろ終わりかな。そして奥野々神社の横のブナの大木は、往路で

は反対側になるので気づかなかったが、太い幹の裏半分がない反り返ったねじれた異形

のブナがあった。














登ってきたロープ場を今度は慎重に下って行く。そしてまた少し登りとこのルートは小

刻みにアップダウンが続いていく。








そして最後は林道までの急坂の下り。ここにきて地味に膝に痛みが出始めた。それでも今

日はセニョさんが下りはゆっくりと歩いてくれるので助かる。ちょっとした拍子にポキポ

キと膝から音がする。『膝のロッキング』という嫌な言葉が頭に浮かんでくる。膝のロッ

キングとは半月板の損傷などで、膝の関節内にある骨や軟骨の欠片や半月板組織などの浮

遊物が、関節の隙間に挟まった時に生じて、しばしば激しい痛みを伴い、歩くことが困難

になる現象をいう。このところ歩きながら気になるのはこのロッキング現象。注意のしよ

うもないだけれど、それだけは絶対に避けたい。











林道から船窪への尾根ではまた急登が始まった。やれやれと思いながらあと少しなので、

行動食も採らずに登って行くと完全にシャリバテ。前を歩くセニョさんとの距離がどん

どん離れていく。なんとか追いついて船窪の南側のピークに登りつく。














ここからは下り坂。するとセニョさんが『何か建物が見えると!』と、木の間を指さす。

少し歩いて行くと、セニョさんが建物の屋根と見間違えたのはオンツツジだった。











オンツツジ公園の展望台の前のベンチに腰掛けお昼ご飯にする。セニョさんがベンチの

上にザックを置いて、中身を探りながら『無いな~』と独り言。お腹の減った私がおに

ぎり弁当をかきこみ食べ終える頃には、ザックの中身を全部取り出したが、探し物は見

つからなかった。WOC登山部メンバーには周知の事、セニョさんあるあるなのだ。

ベンチから見える南側の山々。剣山は少し雲に隠れていた。








オンツツジは見ごろを迎えていた。観光客が公園内を歩いて写真に収めている。なかに

は樹齢400年、6m近い高さのもあるという。これだけの規模と大きさのオンツツジ

は他に類を見ないそうで、国指定天然記念物に指定されている。

















展望台からオンツツジを眺めた後、高越山への林道を歩いて行く。途中から塔ノ丸の尾

根へ取り付き、尾根を歩いて行くと程なく塔ノ丸山頂に着いた。

四等三角点 塔ノ丸 1143.22m 地形図には山名は掲載されていないが、YAMAP

ではルートなしの山頂でポイントになっている。










以前はキティちゃんのプレートはあったと思うとセニョさんが言っているが見当たらない。

山頂には石祠と三角点と目新しい山名札があった。










ここからセニョさんはさらに高越山まで歩くという。奥野々山からの下りでどうも膝の調

子が良くない。『今日は私はここまでで』と断りを入れて山頂で別れる。林道まで戻ると、

高越山からの帰りか、四人の女性たちが賑やかに前を歩いている。










公園まで戻りフェンスのゲートを開けて中に入る。もう以前に何度か見ているのに、近く

まで来ると改めてその大きさに驚かされる。














西から東の端まで園内を歩いてフェンスの外の車道に出て駐車場まで歩いて行く。道の

脇には新緑の中の春紅葉の色が際立っている。

駐車場について車に乗り込み座席に座り膝を曲げるとといきなり太ももの裏と表、ハム

ストリング筋と大腿四頭筋が攣り始めた。慌てて膝を伸ばしても更に痛みが増すばかり。

ドアを開け外に出て立ってみてもますます酷くなる。悶絶とはまさにこのことだろう。

太腿の筋肉は大きいだけにその痛みたるや・・・・。足を持ち上げたり歩いてみたりし

ても変わらず。逆に足首や指の関節まで攣り始めた。にっちもさっちもいかない時間が

どれくらい経っただろうか。少しづつ収まってきたので車に乗り込んでも、膝の曲げ伸

ばしで痛みがぶり返す。

それでも少し痛みを感じながら車を走らせる。『これが左足で良かった。右足が運転中

にでもなったらとんでもない事になっていた』と考えながら、奥野々トンネルの手前ま

で来ると、今度はアクセルを踏んでいる右足が攣り始めた。じっとしていたなら足の

動作を変えてみることもできるが、運転中はどうにもならない。痛いのを無理やりアク

セルを踏み、道が広くなった場所でブレーキを踏んで車を停めた。そして悶絶すること

数分。今日は気温もさほど高い中、それでも水分も割と採っていたのに原因が全く分か

らない。しかも両足が攣るなんて・・・・。

膝の不安とともにまたひとつ不安材料が増えてしまった。これからの暑い季節。体調管

理を十分に注意しなければならない。