KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

途中棄権で岳人の森でカメラの練習

2024年05月11日 | 四国の山


今週はあきらめが悪くて西赤石山のアケボノツツジを狙っていたけれど、どうやら天気

が西から崩れてきそうだった。そのうえYAMAPで下調べをしても、今年の兜岩から

西赤石山の北面の写真はあまりパッとしない。それなら少しでも天気が崩れる時間が遅

い東に向かって出かけてみようと行先変更。

そこで目についたのがYAMAPにアップされていたoimoさんの写真。この方の写真は

いつもとてもきれいで見惚れてしまう。直近でアップされていた鹿舞ダキ山・砥石権現

のカタクリ、そして岳人の森のヒメシャガの写真も青空の下の、ステキな写真ばかりだ

った。今日は恐らく良くて曇り空、雨も降ってくるかもしれない。それでも最悪岳人の

の中ならマシな写真が撮れるかもしれないと思って出かけてきた。


ところが自宅から前山ダムを越え多和辺りからフロントガラスに細かな雨粒。脇町の手

前で南側が開けた場所からは、視線の先の山々には灰色の雲が重くのしかかっていた。

美郷物産館の道路を挟んだ駐車場でおち合い、そのまま私の車で国道193号線を神

山町へ倉羅峠を越えていく。峠に差し掛かると今まで後ろで賑やかに話をしていた

リちゃんとあっちゃん
の二人が急に静まり返った。目を閉じ無口になったあっちゃん

は大抵車酔いをしている。神山町に入り大塚旅館から右折して更に南に向かう途中、

大中尾集会所の横の公衆トイレで用を済まそうと、車から降りたあっちゃんの顔色は

真っ青だった。大中尾集会所からも更にクネクネ道が続き何とか観月茶屋の前に車を

停めると、外は霧雨。『山の中ではご飯が食べられないと思うので、降りて来てから

のお昼になります。』と声掛けをして雨具を着込む。観月茶屋は10時からの営業なの

で、入り口の扉にはまだ『CLOSE』の札が掛けられていたが、扉を開けて声をかけて

みつるさんに入園料を払うと、『砥石権現までならこの天気ですから注意してください

ね』と声をかけてもらう。




観月茶屋の裏から岳人の森へと登って行くと、さっそく道の脇に小さな可愛らしい花が

咲いていた。それを見ながら時々立ち止まっては『あ~だこうだ』と話をしている奥様

たち。このままだと登山口にいつまで経ってもたどり着けそうにないと思い、『お花の

観賞は山から下りてからにしましょう』と声をかける。








茶屋の上の道から一つ目のカーブを曲がるとひときわ犬の吠える声が大きくなった。近

づいてみるとけっこう強面の人相、いや犬相をしている。








園内のコンクリート道を何度か曲がり登って行くと砥石権現の登山口になる。ここから

山田 勲さんが、それまであまりはっきりしていなかった砥石権現への道を、個人で

整備した『砥石新道』になる。と言っても岳人の森自体もほとんど個人で整備してきた

のだから、その苦労たるや想像を絶する。







登山口からは九十九折れの道が続いていく。先週の佐々連尾山では歩き始めこそ膝の調

子が悪かったが、しばらくすると体が温まってきたのか膝の違和感もなくなった。ただ

アケボノの丘への下りと、帰りの大森山からの下りで傷み始め、山から帰ってからは階

段の上り下りで難儀していた。先週のそんな感じもあったので今日も歩いているうちに

痛みはなくなるだろうと思っていたが、なぜか今日は登りで痛みが治まらない。このま

ま登って行っても酷くなりそうな感じがしたので1142mの標高点の手前で、奥様た

ちに事情を説明して途中棄権することにした。oimoさんの活動日記には砥石権現の稜線

でカタクリの花が咲いている写真が載っていたので、まだ今年は見ることができていな

いカタクリの花をぜひ見たいと思っていたのに残念だ。

登山道に薄く霧がかかっているいる中、ひとりショボショボ登ってきた道を降りていく。










登山口を通り園内の順路と書かれた案内板とは逆行して通路へと入って行くと、さっそく

道の脇には目当てのヒメシャガの群生。シャガに似ていることからその名が付けられたよ

うだが、シャガの花びらの濃い紫と黄色の模様があるのに比べると、その小ささもあって

か控えめな雰囲気のするヒメシャガ。










静かな森の中の小道の両側に隙間なくびっしりと咲いているヒメシャガ。花こそ違えど、

2月に高知の加茂で見た林床に小さく咲く、バイカオウレンの森とと同じような雰囲気

もする。

もちろん晴れた日も木漏れ日の中の道でいいけれど、今日のように霧がかかった森の中

も、また違った雰囲気がいい。







山田さんが重機を使って人工的に作った『ゆきしろの池』の周りにも、貴重な花がたく

さん植えられ咲いている。クリンソウ、エビネランのどちらも独特な花の形と色をして

いて、緑の森の中でひときわ目立っている。クルッと花びらが丸くなってあちこち向い

ているヤマブキソウは森の中で遊んでいる園児の様だ。














森の斜面に周遊するように造られた道。その道に沿って右に左に目をやると、まるでアヤ

メのミニチュアの様なヒメシャガがびっしりと咲いている。














森の中から舗装路まで戻るとオンツツジの花が目立つ中、珍しい黄色い花びらのツツジ。

相変わらず山は雲に覆われている。すると上の方から奥様たちの聞き慣れた声が聞こえ

てきた。『お疲れ様!』と声をかけ、取りあえずお弁当を取りに車まで戻ると、駐車場に

奥様たちの地元のバス会社のワゴン車が停まっていた。店の中から出てきた方が何やら

袋を下げている。『このわらび餅は天然のわらびを練り込んでいるんですよ!』と教えて

くれ、私の車のナンバーを見て『どちらから?』と尋ねられた。あっちゃんが『同じ地元

です!』と答えると、『まぁこんな所で!』と皆さん笑顔になる。
















ワゴン車の出発をみつるさんご夫婦と一緒に見送ったあと、三人でわらび餅を予約して弁

当を抱えてまた森の中へ。

途中にある東屋でお弁当を広げた後、三人で今度は順路に沿って歩いて行く。




途中の道の脇にも咲いていたヒメシャガだが、森の中一面に咲いているのを見て奥様たち

も感激している。











私はと言えば、カメラを抱えて色々と試しに設定を変えながら写していく。ただ足元に

咲く小さな花を、膝を屈んで撮るのがなかなかの苦痛だ。











薄緑の林床の中に藤紫のヒメシャガの花が咲き、赤褐色のヒメシャラの木の幹が新緑の

周りの景色のアクセントになっている。静かな雨露に濡れた森は傘をさす夫人の姿が似

合っている。










オダマキは昨年大山で見て以来。ユキザサと一緒にチゴユリも咲いているけれど、小さ

すぎてマクロで撮って拡大してみてやっとユリらしく見える。











50年に渡ってこの森を造り育ててきた山田 勲さん。23歳のころに父親にこの場所に

植物園を造る構想を話したところ最初は取り合ってもらえなかったが、母親が一緒になっ

て説得してくれ、当時山の共同所有者だった7人を説得して所有権を譲渡してもらうとこ

ろから始まった岳人の森。県道は舗装路ではなく電気も水道もなかった時代から苦労に苦

労を重ねて今に至っている。1月の事故の話も聞くが、何とか回復してまた森の中で仕事

をしている姿をみたいと思っている。