今秋の目標の御来光の滝に出かけて来た。
この時期の御来光の滝は2年ほど前から麺法師さんが
『一度は見てみたい!』と熱望していて、やっと実現できる運びとなった。
と言っても私が歩いたのは7年前に木の根の森で、
『ホームページ開設10周年』と銘打って、高御位山さん、すまし粉さん、エントツ山さん
Kyoさんご夫婦、グランパご夫婦、マーシーさん、Reikoさんと大勢集まっての16時からの宴会。
そして翌日雨の中を御来光の滝を目指したものの、スタート時間が遅く滝を目前にしての撤退となった。
翌年、リベンジで独りで念願の御来光の滝を見ることができたが、それも6年も前の事。
メンバーを案内をするのに薄くなった記憶に不安になって、エントツ山さんの掲示板に書き込みをしたら
丁寧に初心者用のルートを解説してくれた。『よ~し、これで準備万端』。
残るは左膝の痛みだけと思っていたら、夜中に腹痛に見舞われた。
12時から1時間おきにトイレに駆け込み、最後は3時を過ぎてしまったので、
そのまま起きることにしたが、結局ほとんど眠れなかった。
いつもより1時間早く丸亀を5時にスタート。西条辺りでようやく空が白み始めた。
瓶ケ森林道では薄曇りの空。若干不安は残るが、それでも林道の途中では朝陽に当たる伊予富士や
赤や黄、オレンジ色に染まる山肌の写真を度々車を停めては写す。
長尾尾根展望台には8時に着いた。ここから見える石鎚山は
普段見る山容とは違った山のように見える。『まるで槍ヶ岳のようやね~』と山じい。
身支度をして展望台から少し上に歩いて行くと、目印となるカーブミラーがある。
もともと御来光の滝から石鎚山へのルートは面河渓谷がスタート地点。
エントル山さんによるとここからの道は釣り人が歩いていた道だという。
今は踏み跡もしっかり付いていて、面河川までの激坂が始まる。
案の定下り始めて直ぐに膝が悲鳴をあげ始めた。幸いにして反対の右脚の攣りはどうやら大丈夫の様だ。
踏ん張ると痛みが走るので、スピードを落とさずトントンと降りて行く方が楽だ。
とにかく周りの紅葉が素晴らしく、よそ見をしていると躓き転びそうになる。
最初はメンバーと付かず離れず下っていたが、次第に間隔が空いて独りで河原に降り立った。
しばらくは右岸に渡渉できる場所をあちこち探していたが、いくら待ってもメンバーが降りてこない。
仕方がないので下流へと歩いて行くと『お~い!』と呼ぶ声がした。
どうやら途中から違う道へと降りて行ったようだ。
前回歩いた時はこの河原を少し歩いた記憶があるので、メンバーが降りて来た道が元々の道の様だ。
話を聞くと山じいが下流と上流を間違えて突堤まで歩いたとの事。
『山じい!水が流れてきている方が上流ですよ!』
幸いにして晴れの日が続いて水量は少なく比較的楽に右岸へ渡渉して、
目印のブルーシートのある場所から河原から山道へと入って行く。
ここからは踏み跡はしっかりあり所々にテープもある。
それでも台風の影響かあちこちに道を塞ぐように木が倒れていたり
道が崩れていたりして少し回り込む場面もあった。
最初の高巻きが終わると2回目の渡渉で左岸に渡って行く。頭を出して白く乾いている岩は問題ないが、
まだ濡れて茶色く色のついた岩はツルっと滑り油断禁物だ。
左岸に渡るとしばらく川の流れを横目に見ながら森の中を歩く。
ここでもテープを目印にしながら右に行ったり左に行ったり。
森を出ると七釜の幾段もの小滝が続く場所に出た。
岩の上には苔が付き白い岩肌に川床は赤くとっても雰囲気のある場所だ。
七釜の上流から3回目の渡渉。渡渉ヶ所には手前と対岸にテープが必ずあるので
『ほら!あそこにテープが見える!』などと言いながら渡って行く。
川の上は低く谷あいになっていて、その奥に見える紅葉がとてもきれいだ。
対岸に渡るとまた高巻きが始まる。しばらくは森の中を何本もの大木を見上げながら進んで行くと、
次第に山道になり斜面をジグザグに登って行く。
前を歩く麺法師さんが『最近お気に入りのYouTubeチャンネル』を教えてくれた。
『かほの登山日記』というチャンネルらしいが、
とにかく女の子が可愛いから見てくださいと言っている。
私のお気に入りは『山好き移住者の日記』というチャンネルで
元モンベルのショップ店員のチャンネルだが、奥さんのマルちゃんがとっても可愛らしい。
映像の素晴らしさでは『JIN』だが、登場人物の女性の好みで性格が出る。
雨の後には渡り辛くなるだろう小さな沢も、水量が少なく難なくクリアー。
木製の二段の梯子を登って巻き道の一番高い場所に出る。
川を見下ろすと彩が続いている。高巻き道でなく川をずっと遡上すれば、それはそれは素晴らしい
紅葉の中の沢登りとなるだろう。
道が付かない急な斜面には木製の階段が取り付けられている。『大丈夫かな?』と
言いながら山じいが歩いてくるが、意外としっかりしていて問題ない。
一般的な登山道ではないこの道に、階段や梯子は誰が整備したのだろう?
御来光の滝の上部に愛媛大学の小屋があるが、愛大の登山部の人たちかな~?
ここからまた一旦河原に降り、左岸へと4回目の渡渉をする。
河原からは上流も下流も彩の花が咲いている。
しばらく川の中の大岩をピョンピョンと移りながら、南沢出合いの滝を右手に見ながら進んで行くと
ロックゲートと呼ばれる、沢の両側から岩が迫る場所に着く。
本来ならこのロックゲートの間を進んで沢の中を進んで行くのだが、
その先には最難関の斜め岩が待ち構えている。10mほどの斜面の岩だが手掛りがほとんどなく、
足掛かりも余りないので、足を滑らすとそのままドボーンと水の中に落ちる事になる。
今回エントツ山さんに教えてもらった初心者用のコースは、このロックゲートの手前の倒木から高巻く道。
と言ってもあのエントツ山さんが『この道も危険な場所がない事はない』と言っていたので
果たして今日のメンバーは大丈夫だろうか?と気にしながらグイグイと登って行く。
柔らかい土の斜面は滑りやすく歩きにくい。朽ちかけた木橋や小さな沢筋のロープが張られた場所を通り進むと
先ほどの沢筋より少し幅のある沢に出た。エントツ山さんのアドバイスによると
この沢筋の岩はいつも濡れていて、足を滑らせると危険で要注意のヶ所らしい。
ところがやはりここでもほとんど水が流れていなくて、乾いている場所もあり、
意外とスムーズにクリアできた。
この最後の高巻き道の難関の場所を過ぎると、いよいよ御来光の滝が姿を現した。
山じいが姿の見えない後ろから来るメンバーに『お~~い!着いたぞ~』と嘯いている。
(本当はもう少し登らんといかんのに)
ここからは御来光さんがどんどん、どんどん近づいてくる。
巨大な岩が転がる沢筋から見上げると周りの木々の色付きも申し分ない。
一旦、沢から右岸の巻き道を登って行くと、御来光の滝のお膝元に着いた。
今まで薄曇りだった空も、日ごろのメンバーの行いがよっぽどいいのか
雲が流れて青空が広がり始めた。
落差102m、日本の滝100選にも選ばれている名瀑。今年は夏場に四国内の他の百選の滝を
色々と巡ったが、滝までのアプローチといい、その姿といいこの滝は別格だ。
特に巨大な岩壁にこの時期ならではの周りの木々の彩が、なお一層花を添えてくれている。
全員が揃った所で、滝壺を直ぐ目の前にして滝を見上げながらお昼ご飯にする。
こんな滝を目の前にしてお弁当が食べられる滝も他にはなかなか無い。
間近にしては飛び散るミストも大袈裟ではなく程よく心地いい。
IRIBITOさんも腰を降ろして見上げながら感激している。
やっさんは何枚も何枚も一眼レフで写真を撮っている。
振り返って歩いて来た谷あいの彩も今がまさにピークで見とれてしまう。
ただ朝からの腹痛で、ほとんどお弁当が喉を通らない。小さな稲荷寿司を2個食べるのがやっとで
随分と残してしまった。最後にメンバーの写真を撮って名残惜しんで滝壺を後にした。
帰り道の道も高巻いて登ったり降りたり、そして何回か沢を渡渉しての繰り返し。
高巻くと盛りの紅葉からは外れるが、沢に降りると紅葉のど真ん中に飛び込む。
何回か河原で小休止しながら最初に渡渉した河原まで戻って行く。
相変わらず熱心に写真を写しているやっさん。
渡渉もここまで繰り返すとメンバーもこ慣れてきたが、
案内には『足元に不安のある方はお勧めできません』と書いて正解だった。
初めて雨の日に来た時に私はこの場所で沈して肩まで浸かった。
廻りの人は助けもせずに何とか写真を撮ろうと必死だったのを思い出す。
七釜まで戻ってくるとあと一息。と言っても最後にあの激坂が待っている。
最後の渡渉が無事終わり、今日は誰も沈することなく(残念!)、残りは急登を残すのみ。
ここにきてお腹の調子はピークに差し掛かり、お昼もほとんど食べれなかったのに
胃がムカついてきた。山じいとやっさんには先に登ってもらっていくことにする。
いつもは余り水分を摂らないたちだが、今日は2本のスポーツ飲料が空いている。
河原で念の為に空いたペットボトルに水を入れて正解だった。
ここ数年、年間の山行回数が増えているので少しは体力が付いているかと思ったが、
6年前と同様に10~20歩ほど歩いては立ち止まるの繰り返し。
脱水状態もさることながら、シャリバテにもなっているのかほとんど歩けない。
せっかくの周りの紅葉もゆっくりと見る余裕もなく、果たして登りきれるかと思ったほどしんどい。
スタート地点の近くのロープを登りきり、
石鎚スカイラインを走る車の音が聞こえてくると、何とか最後の力が湧いてきた。
長尾尾根展望台では先に着いた二人が寛いでいた。
後ろから来る麺法師さんとIRIBITOさんが気になったが、考える余裕もなく
ベンチに寝そべった。随分と遅れて二人が到着。IRIBITOさんはさほどでもないが、
麺法師さんは疲れ切った雰囲気だ。
次第に陽が落ちかけた雰囲気の空に石鎚山がそびえ立っている。
スタート時点の下りでIRIBITOさんが『スタートして下って、最後に登るのは初めてやな』と言っていたが、
とにかく疲れた体に鞭打つように最後の急登は堪えた。
『もう一度行こうとは思わんな』とメンバーが口々に言っていたが、それでも
『これだけの豪快な滝とドンピシャな紅葉が見れて最高だった!』と全員が言ってくれた。
とにかく激坂の苦難の先に素晴らしい景色が待っていた御来光の滝。
墓場尾根も前回歩いて、今回の御来光の滝に麺法師さんも満足してくれたようだ。
帰り道、河原でIRIBITOさんが拾ったスマホの落とし物を、西条の交番に届けて
時間のロスがあったが、陽の落ちるのが早くなった中を高速り帰路についた。