KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

『線で繋ぐ石鎚山~剣山』京柱峠~土佐岩原駅

2022年06月30日 | 四国の山

線で繋ぐ石鎚山~剣山も前回の黒滝山土佐岩原駅までを歩いて

いよいよ吉野川を越えられた。(カガマシ山野鹿池山が未だですが。)

今回はその続きとなる京柱峠までを繋ぐ区間だが、当初は岩原駅からと

京柱峠からそれぞれから二回に分けて、三方山までのピストンを考えていたが、

前回の黒滝山でのデポ作戦に味を占めて、今回もデポ作戦を決行。先ずは岩原駅に

集合し1台をデポ。そしてもう一台に乗り込んで京柱峠まで移動しスタート地点とした。

これなら二回の所を一回で歩け、しかも京柱峠からスタートすれば、登りは累積

約650m、そして下りは1,550mと前回同様ほどんど下りのコースとなる。

前回は結構下りのコンクリート道が長くて、奥様たちが足を痛めたが、今回は

最後の岩原の集落辺りがアスファルト道になるだけで、ほぼ山道なので問題はない。

YAMAPで検索して見ると、少しペースの早い人で岩原駅から登って5時間30分。

我々のペースが少し遅いとしても下りなら同じ5時間30分位で歩けるかなと予想。

二週間ぶりの山歩きでも楽勝・楽勝と思っていたのが大きな間違いだった。


京柱峠はおじいさんの居た茶店がなくなって久しいが、その横のベンチに腰掛け

支度をする。僅か二週間で梅雨明けした空はどこまでも青く、標高が上がって

気温が下がった峠を気持ち良く9時前にスタートする。




峠からは北東から東に掛けて、寒峰~矢筈山そして天狗塚と牛の背まで見渡せる。











峠から北に国道を少し進んだ場所に道の脇に、電柱と黄色いカバーの付いた

支線がある。その場所から左の尾根に向かって取付いて行く。







尾根道を右下に国道を見ながら歩いて行く。その国道が見えなくなってくると

直ぐに三角点が現れた。三等三角点 京柱 1158m。割れたキティーちゃんの

プレートが国交省の杭に括り付けられていた。











1327mの標高点に続く尾根道は、最初は右手に人工林、左に自然林の道が。

しばらくすると自然林の中の道になる。その木々の間を涼しい風が吹き抜けていく。










更に進んで行くと、右に鉄条網の柵が続いている。すると木々の間から広い

萱原が見えた。恐らく放牧場の跡だろう。少し進んで鉄条網の中に入ると、

今は使われていなくて雑草が伸び放題になっている緩斜面の放牧場が広がっていた。










放牧場跡から緩やかに登って行くと1327mの標高点。北に向かっていた道はここから

西に向かって折れ、そして萱原の中の道になる。萱原は笹原に比べると茎が柔らかく、

手で掻き分けて行けば難なく進んで行ける。萱原の向こうにはこれから向かって行く

弘瀬山が見え、山頂からは防火帯のような植生の違う筋が見える。

踏み跡は全くないのでその弘瀬山に向かって適当に萱の中を下って行く。













すると林道と伐採した木材の集積地の様な広場になった場所に飛び出した。







その広場を横目に見ながら林道を北東に進んで行き、適当な場所から左側の法面を

樹林帯の中へと入って行く。道ははっきりとした踏み跡はなく、尾根らしき雰囲気を

辿りながら歩いて行く。途中で振り返ると東の峰々が眺められた。土佐矢筈山

天狗塚の間に、次回歩く綱附森が見えたので、奥様たちに『次はあの稜線を歩くんです』

と説明をする。矢筈峠から綱附森はどうしてもピストンになるが、

できれば山頂から出来るだけ先まで足を延ばして、その次の天狗塚からのピストンの

折返しの距離を短くしたいと考えている。
















道は相変わらず右下に林道が見えている。それなら林道を歩いて行っても

良さそうなものだが、そこは奥様たちも女性。陽の当たる林道は日焼けをすると

日陰の尾根道を歩いて行く。











登りの途中からまた萱の中の道になる。先ほどの1327mから見えた防火帯の様な

雰囲気のする、木々が伐採されて幅の広い萱が生えた道が続いて行く。

YAMAPではこのコースをほとんどの人が反対側から歩いてきているが、

そのほとんどの人が弘瀬山を過ぎた辺りで藪になると書いていた。それを見て

今日は破れてもいいような古い服を着てきたが、その藪がこの場所だとしたら

少し期待?外れだった。全く問題なく奥様たちも苦も無く歩いて行く。







弘瀬山では山頂標が柱から落ちていたが、その山名標がなければ、判らずに

通過してしまうような場所だった。木々に囲まれほとんど見晴らしもなく、

行動食を口に入れ、写真を撮ってそそくさと次の三方山へと向かって行く。





弘瀬山から北東に二つ目の小ピークを過ぎると長い急坂が続いている。

ここでもYAMAPで見た、反対から来た人は長い急登が続いていると

書いてあった場所だ。登りの弱い私にとっては、ここは下って行くので助かるが、

ひざを痛めているあっちゃんには、少し堪える下り坂だ。







振り返って




急坂を下りきると1299mの標高点への登りとなる。この辺りからテープが目につく

様になる。北西に向かっていた道は1299mから西に向かって折れる。この間の

小ピークでは地形が複雑で、同じような尾根がピークから派生しているので

気を付けなければいけない。木に巻いている赤テープを探すか、その都度スマホを

見てYAMAPのルートを確認するかが必要だ。







今回の計画ではほとんど下りで楽勝と思っていたが、意外とアップダウンがあって疲れる。








時間的にはお昼は三方山辺りだろうなと奥様たちも考えていたのか、今日は珍しく

あっちゃんも『お昼、お昼!』と騒がない。そして11時45分三方山に着いた。










先程の弘瀬山と違って、三方山は名前の通り木々の間から周りの山並みが見渡せた。

声を掛けるでもなく、暗黙の了解で各々が日陰に腰掛けお弁当を広げる。

今日も私はぶっかけうどん。天かすと半熟卵を載せて頂くはずが、半熟卵を木の根で

割るとそのまま地面に落としてしまって、楽しみにしていた半熟卵がパーに。(T_T)










三方山で30分ほど時間を過ごし、ここから岩原駅へと下って行く。地形図では

多少のアップダウンあるが、ほぼ下りの道。コースタイムではまだ残り3時間に

なっているが、下りなら苦にならず問題ない!と思っていたのに・・・・。


山頂から少し西に歩いた場所では、西に向かっての大眺望が広がっていた。

正面には前回歩いた黒滝山。その奥には野鹿池山だろうか?双耳峰の山が見える。











霞んでいるが瀬戸内海



前回黒滝山のデポで通過した大黒の集落



黒滝山と野鹿池山?その奥は栃尾山?



黒滝山から最後に通った大砂子の集落



三方山山頂からは南西への道になり、1166mの標高点まではほぼ下りの道。

右は自然林、尾根から左はヒノキの人工林の中の下りが続いて行く。










その途中で熊谷峠にある地蔵尊が、山姥をこの池に封じ込めたという伝説の池があった。

山姥(やまんば)は山中に住む女性の妖怪。山に住み人を食らうと考えられている。

『お願いだから食べないでね!』と奥様たちには聞こえないように小さな声で言ってみる。







奥様たちの池(笑)からも下り坂が続いて行く。下りが終わり1166mの標高点まで登り、

二つ目のピークを過ぎ下って行くと左手に林道が見えた。この辺りから県境は西に、

登山ルート図では南に線が続いている。ピークではやはり尾根が分れるので、

その都度ルートの確認が必要になっいてくる。

















県境との分岐からは痩せ尾根を歩いたり、ピークの下を巻いたりしながら進んで行く。

冬の間たっぷりと落ち葉を積もらせた自然林の森に、心和ませてながら歩くが、

そんな景色を眺めながら、落ち着いて歩けたのはこの辺りが最後となる。










尾根筋の東西に地形図で林道が、それぞれ行止りになる場所の間の1050mの等高線の

辺りで、作業小屋の跡だろうか石積みが残っていた。







地形図に1,000mの標高数字が載っている辺りから、右手に植林地の鹿避けの

ネットが続いていた。尾根近くまで民家があるのは有瀬の集落だろうか?










ルリちゃんがダウンロードした以前歩いた人のYAMAPのトラックと

登山ルート図の点線が食い違い始めた。以前に歩いた人はネットの中を北北西から

歩いてきているが、あっちゃんがネットに近寄って触ってみるが、意外としっかり

張っていて、上はもちろん下も潜れそうにもなく、ネットの中にはどうやっても

入れそうにない。仕方がないので登山ルート図の点線を信じてそのまま進んで行くと、

前を下るルリちゃんが『わ~もう急過ぎる。45度はあるで』と言っている。

またまた大袈裟な~と思いながらルリちゃんの居る場所まで降りて行くと、確かに

その先はほとんど崖のような斜面。スキー板があればジャンプ台になりそうなくらい

の凄まじい斜度の斜面だった。














木から木へと飛び移る様にして下って行くが、油断をすると転げ落ちてしまう。

それにしてもこんな斜面をよく真直ぐに杉の木は伸びていくもんだと感心するが、

やはりそれどころではない。とにかく滑らないように、転がらないように・・・・。

かなりの急角度で下に集落が見える。

















するとネット越しに植林地の奥に尾根が見えた。どうやらこのルートを登って来た人は

あちら側から歩いてきたようだ。ただどう考えてもネットの向こうに入れるような

場所はなかった。そして今更この急坂を登り返す元気はない。







杉林が終わると雑草と萱の藪になってきた。右手のネットに沿って下るのは急な斜面で

とうとう困難になり、少し左に振って下って行くが、左側にもネットが張られていた。








左側のネットに沿って下るが益々藪は酷くなってきた。更には崖になった場所もあり、

時間だけが過ぎていき右に左に迷いながらで、遅々として進んで行かない。







灌木と萱の藪をとにかく下へと下って行くと、少し下に杉林が見えた。

杉林まで行ければ、今の藪と比べたらおそらくマシにはなるだろう。

先程の急坂になる前に手袋をはいたのだが、右の手袋が見つからず素手のままなのが

辛い。この藪にはあのトゲトゲのタラの木がやたらと多い。しかも掴まって

下りようとする木が丁度タラの木だったりする。

何とか杉林まで降り立って、さてどう進んで行くかを思案するが、一番近い

まともな場所は地形図に載っているヘヤピンになった北側の林道だった。

そうと決まったらあとはひたすら登って行く。さっきの下りでは先頭だったので

気づかなかったが、登りになって奥様たちの後ろに回ると、とにかく二人のお尻と

ザックの汚れが酷い。今まだ色んな悪路を歩いてきたが、二人ともがこれだけ

汚している姿は初めて見る。それだけここまでの道が酷かったと言う事だ。

するとまた目の前にネットが現れた。幸いこの場所ではネットの支柱は倒れて

ネットを踏んで進むと中?(外)へと入って行けた。














ここからがとにかく最悪の藪。林道までは標高約50mほどなのに立って進む事は

出来ず、真っすぐにも進めない。屈みながら通れる場所を探しながら少しづつ

登って行く。途中でさらにネットが現れ、ここではあっちゃんはザックを降ろして

ネットの下を何とか潜り、私は横にあった切株に足を乗せ重たい体を持ち上げ

何とかそのネットを乗り越えることができた。そのネットを越え、何とかして

進める方にと登って行くとまた右側にもネットが現れた。もうこうなってくると

写真も写す余裕などほどんどない。掴んで体を持ち上げようとする木が

さっきからほとんどがタラの木で、木を掴む事さえできない。しかも熱中症に

なりかけたのか、身体が全く動かない。

本来先頭を行くべきだが足が止まってしまって、息切れが酷い。あっちゃんに

先に行ってもらい数メートル進んでは立ち止まりの繰り返し。

何とかして林道に飛び出た時には、もうほとんど動くことが出来なかった。

スポーツドリンクを飲み干し、更に昨日たまたま買っていた熱中症対策ゼリーを

口に入れると、何とか生き返る事が出来た。林道直下50mほど下からここまで

45分もかかっている。予定の時間よりすでに2時間近くオーバーしていた。













林道からは727mの標高点に向かって下って行く。果たして体はもつのか心配だったが、

先程の水分の補給が効いてきたのか、何とか奥様たちに付いて行けていたが、今度は

足首や大腿四頭筋が攣りそうになる。歩き方を変えたり、立ち止まっては足首を

回したりして何とかだましだまし下って行く。










林道から1時間弱でりっぱな社殿の岩屋神社に着いた。ここまで降りてこれれば

あとは何とかなる。未だかつてないほどの藪をクリアできて、横にいるあっちゃんは

楽し気で満足気だったが、私は社殿の脇にある石垣に腰を降ろすと、今までにない

大きな安堵感に包まれた。神社に三人の無事にお礼をして石段をくだって行く。

この参道の石段。今は車で本殿まで来れるので、登ってくる人がほとんどいないのだろう。

とにかく上に下に、右に左にズレていて荒れている。高屋神社の石段どころの話ではない。



















石段を降りるとここからは以前にWOC登山部で歩いた、露石渓谷トレッキングの

コースになっている。所々で記憶の残る建物があった。







山道から車道に飛び出した後は、集落の中を駅への道を下って行く。

計画では5時間30分から6時間くらいと考えていたが、道を間違え今までで

最上級の藪歩きを強いられて、結局8時間30分も掛かってしまった。

今回はどこで間違ったのかゴールの時点では全く思いつかない。

ゆっくりとビールを飲みながらでも、YAMAPのトラックを他の人と比べて

検証してみる事にしよう。それにしてもこれからの季節。油断せずに熱中症対策も

しっかりしないと、道迷いよりも熱中症対が危ない危ない!








今日のトラック




家に帰ってトラックを調べてみたが、三つを比較しても、ターニングポイント

となる辺りでは、北側は既にネットで囲まれていたので、中へ入っていく事は

出来なかったはずだ。その為トラックを確認せずに下へ下へと降りてしまった。

登山ルートを確認した時は時すでに遅く、藪と急斜面を登り返す気力は残ってなかった。

それでもやはり戻ってルートを辿るべきだったと反省。




『線で繋ぐ石鎚山~剣山』 黒滝山~土佐岩原駅

2022年06月18日 | 四国の山

線で繋ぐ石鎚山~剣山も四国中央部の登岐山周辺を何とかクリアして、

その次の区間になるカガマシ山~野鹿池山間は、取りあえず登山口までの県道の通行止めの

様子を見ながら時期を見て歩くことにした。

ではその次はというと野鹿池山の東の黒滝山から土佐岩原駅の区間になる。

この線で繋ぐ石鎚山~剣山はエントツ山さんは単独無支援で13日間で歩き通したが、

当然自分たちにはマネのできるはずもなく、詳しく書かれているレポートを見ながら、

途中の様子を参考にさせてもらっている。

そのエントツ山さんとは別にYAMAPのプチファーマさんが、

独りで基本、日帰りで繋いでいる活動日記を参考にさせてもらっている。

そのプチファーマさんは土佐岩原駅から黒滝山までを往復して8時間40分ほど

かかっていた。そしてこの区間は消化試合と書かれていた。確かに黒滝山から

吉野川までは、見晴らしもほとんどなく、ただただ線で繋ぐだけの区間。

しかもその上で岩原駅から黒滝山までの標高差はおおよそ1,000m以上ある。

これといったピークがあるわけでもなく、ほとんど歩く人のいないこのルートを

プチファーマさんの様に往復する気力がどうにも湧いてこない。そう思って色々調べるうちに

黒滝山の東側に山頂近くまで林道が続いているのが目に入った。しかも航空写真を見ると、

その林道からさらに県境尾根に向かって林道らしき道が続いていた。しめしめ・・・・・!


そこはへっぽこリーダー。如何に楽して線で繋いでいくかと言う事で、岩原駅に車一台を置き、

その林道にもう一台をデポしてスタート。黒滝山まで一旦登って、そこから折り返して

土佐岩原駅へと下って行くという妙案を思いついた。誰かに後ろ指をさされようが、値打ちが

下がると言われようが、結局は自己満足の世界なので人と比較しても仕方がないと思っている。

同行している奥様たちと共有できる時間、そしてエントツ山さんやプチファーマさんが歩いた軌跡を

共有できること事を大切にしたいと思っている。


そんな感じで岩原駅に集合した後、私の車で黒滝山の山頂近くまで続く林道へと車を走らせる。

この辺りの山間部はどこもそうだが、けっこう高い場所まで民家があり、その集落の中を

複雑に絡み合うようにして道があちらこちらに派生していて、車のカーナビには林道は

載っていなくて、スマホのGoogleMapのカーナビに案内してもらわないと目的地まで

たどり着くのが難しい。最終民家を過ぎると、道はアスファルトからコンクリートの道になり、

所々で道の両側から雑草がはみ出しているのを避けながら何とか予定していた場所まで

たどり着いた。道の脇からは今日歩くだろう岩原へ続く尾根が見えた。








航空写真で見た林道はもう使われていなくて、草木が道を覆っていた。ここ数日降った雨でまだ

濡れている草の中を歩いて行くと、直ぐに足元はずぶ濡れになった。航空写真にあった林道は

直ぐに杉林の中の作業道になった。その作業道を道なりに進んで行くと破線の道に出た。

この破線は地形図では南に向いて県境尾根へと続いていているが、途中で途切れて分からなくなった。

仕方がないので作業道から左手に尾根へと乗っかり、そのまま上へと歩いて行く。

道は無いがこのまま進むと尾根へと飛び出すはずだ。














森林組合のピンクのテープはあるが登山のルート用ではないので、とにかく尾根を外さない

様に歩いて行くと、県境尾根に出る手前でガスが流れ始めた。急登で汗を掻き始めた身体には

冷たいガスが涼しくて心地よい。










破線からは外れたが適当に登って行くと、山頂手前の小ピークで県境尾根に出た。

そこから一旦下って登り返して行くと尾根には大きな岩が現れた。













大岩を回り込みながら緩やかな尾根を進んで行くと見覚えのある広場に着いた。

前回、あっちゃん野鹿池山から歩いてきてお昼ご飯を食べた場所だった。

そしてその奥が山頂標の立つ黒滝山山頂だった。

ルリちゃんは私たちとは別にWOC登山部で同じように野鹿池山から歩いてきている。

前回の登岐山の藪漕ぎを想定して古いザックに変えて歩いたら、案の定今日の新しいザックに

いつもの三脚を入れ替えるのを忘れて、三人での記念撮影は諦め、奥様二人の記念撮影。













写真を撮りトラックが繋がったら長居は無用、岩原駅へと県境尾根を戻って行く。

が~しかしこの黒滝山山頂も北へも支尾根が派生していて、間違って下って行ってしまう。

兵庫山では40分近く下って間違いを気づいたが、今回は直ぐに間違いに気づいて山頂近く

まで戻って出直し下山開始。県境尾根は最初は自然林の尾根が次に高知側が自然林、

徳島側が人工林の尾根になり、そのうちに植栽林の杉林の中の尾根になる。







杉林の中になると、枯れ枝が積もってほとんど踏み跡は分からない。ガスが立ち込めたり

さ~っと流れたりする中を、県境の杭を目印に歩いて行く。








黒滝山から岩原駅までは下って行くだけと思っていたが、意外とアップダウンがある。

あっちゃんは前回の登岐山周回の時から膝の調子が悪く、黒滝山山頂で下り坂に備えて

サポーターを巻いたが登坂も結構あって以外とペースが落ちない。

1167mの標高点を過ぎ、破線が尾根を跨いでいる場所からさらに進んで行き、

急登を登り詰めると三峯示山に着いた。このピークは地形図にも掲載が無く、

三角点もなく、『みよし三歩会』の人たちが作った山頂標が立つだけの場所だった。










その山頂標の後ろには何故か錆びた草刈り機が立てかけられていた。途中の尾根道が

草刈りされた様子もなく、こんな山の中まで持ってきて置き忘れたのか?不思議だ?




ここで車酔いから回復したあっちゃんが、『お腹が空いた!』と騒ぎ始めた。

取りあえず行動食のおにぎりを頬張るが、『お昼ご飯をどこで食べるの?』としきりに聞いてくる。

時間はまだ10時40分。『地形図にある林道のあたりで丁度お昼になるのでそこにしましょう!』

と答えるが、納得していない様子だった。

三峯示山から10分強で市女笠山に着いた。この山も三峯示山と同じで三角点はなく地形図には

山名も記載されていないが、YAMAPではこの二つが山頂ポイントになっていて、

奥様たちは、今日も新しく二つのポイントをゲット出来て満足されたご様子だ。

それにしても黒滝山からここまで約2.5km歩いてきたが、黒滝山の標高が1209mで

この市女笠山が1208mとは、僅かに1mしか下っていないことになる。

山名となっている市女笠(いちめがさ)は平安時代中期から、公家の女性が外出する時に使った、

中央部が突起した笠の事らしいが、遠くから見るとこの山容がその笠に似ているのだろうか?













市女笠山山頂からは少し東に歩いて直ぐに南に向かって下って行く。ここでも北に向かって

広めの支尾根が続いているので安易に進むと間違えてしまう。先ほどの轍を踏まないように

GPSで確認しながら、南への県境尾根へと下って行く。










急坂を下りきると鬱蒼とした杉林の中の尾根になる。この辺りの杉林は

植林はしたもののほとんど手が入れられていなくて、枝打ちもされていない。

幹の下の方から枝が伸び、とても雑多な雰囲気がする。







その騒がしい杉林を過ぎると1196mの三角点への急登となる。やはり登りになると

奥様二人には離されてしまうへっぽこリーダー。斜面は適度に湿り気が合って踏み込むと

靴底が少し沈んでグリップが効いて助かる。これが乾いていたり、濡れてぬかるんでいたり

したらとても登れたもんじゃない。そんな急登を息を切らせて登りきると、四等三角点・大砂子に着いた。













大砂子の三角点からは植生が自然林へと変わっていく。調子よく下って行くルリちゃんと

やはり下りでは少しペースが落ちるあっちゃん。










そんなあっちゃんが立ち止まって何やら地面を見ている。『カエル、カエルです!』

と言っているが、私にはストックで指す方向に全くカエルが見えない。

『ココ、ココ!』とあっちゃんが差すストックの先に、落ち葉と全く同じ色の

保護色になったヒキガエル?。少し離れてみるとまた分からなくなるほど全く

同じ色をしている。あっちゃんがストックで直ぐ近くを突いてみるが、逃げようともせず

ビクリともしない。このカエル、保護色で見つかっていないと思っているのだろうか?




縦割れした大岩の横を過ぎ、更に下って行くと右手に林道が見えた。

地形図に載っている実線の林道だ。やっとお昼ご飯が食べられると喜び勇んんで

あっちゃんが下ってきた。











林道で待ちに待ったお昼ご飯。奥様たちはタッパに入れてきた冷やしうどん。

私はコンビニで買った山かけそばを食べる。尾根でもあちらこちらで地面一面に

白い花弁が散っていたが、ここでも腰掛けた土の上に大量に散っていた。

見上げるとエゴノキの白い小さな花が、下向きに一斉にこちらを見つめていた。








お昼ご飯を食べ終えて、ここから32号線まではほぼ林道歩きになるはずだ。

ただここで1000mの標高を32号線の200mの標高まで一気に下ることになる。

のんびり下道歩きと思っていた当てが外れて、意外と急な箇所が多い。

途中からは荒れたコンクリートの道になる。それにしても車を含めた不法投棄が

やけに目立った。最終民家の場所までに車は4台捨てられていて、冷蔵庫から

農機具まで大きめのものを、よくこんな道の悪い場所までわざわざ運んできたもんだ。













最終民家からもコンクリート道が続いて行く。硬い路面が堪えてきたのか

ルリちゃんが珍しく音を上げるている。







一旦、林道下名太田口線に出て、少し東に歩いてそこからまた下道を下って行く。

途中で道が崩れて行き止まりになった場所では、その工事のための仮設のトイレの

脇から今度は山道を下って行く。














山腹から山裾の景色が見え始めると、地形図にも載っている新田神社の前に降り立った。







神社に手を合わせて、更に下に広場になった場所に下ると大砂子小学校跡地と彫られた

石柱が立っていた。高知県内には600校近くあった小学校が、現在は230校になっている。

市町村の合併に伴って、小学校も統合されたりしているが、山間部の小学校も過疎化で

ほとんどが閉校になっている。この小学校も東部の4小学校統合で大砂子分室になり、

その後昭和45年に閉鎖となったそうだ。記念碑の後ろには索道の基柱が残っていた。







大砂子跡地からは民家の間を気兼ねしながら石段を下って行く。今はほとんどが車で

行き来できるので、石段自体はあまり使われていないのか、少し荒れ気味で歩きづらい。










昼食後から林道を下り始めて1時間45分ほどで32号線へやっと下りた。

ほとんどコンクリートの道の下りは予想以上に堪えた。普段元気なルリちゃんも

『これだったら登った方が良かったわね』と少し疲れた様子だ。




国道32号線を岩原駅に向かって歩いていると、国道の下の吉野川から

何やら歓声が聞こえてきた。ガードレール越しに覗き込んでみると、ラフティングに

興じている学生らしき姿が見えた。何艘もボートで大勢が遊んでいる所を見ると

どうも修学旅行生らしかった。











そんな黄色い歓声を聞きながら岩原駅へと戻って行く。行動時間5時間30分。

累積標高は登りが625m、下りが1425mと予定通りほとんど下りの行程だったが、

予想外にアップダウンもあって、楽勝と思っていたのが大間違いの区間だった。

下りの途中から右足の小指が登山靴の中に当たってずっと痛かった。帰って見てみると

皮が剝けて赤く腫れあがっていた。雨降りの後で濡れた路面の下りを想定して、

グリップの効く、普段は履き慣れていないモンベルの靴を履いたのが悪かったようだ。

一部の区間を残してだが、これで石鎚から石鎚山系の東端の黒滝山、そして吉野川まで

やっと繋がった。次の岩原駅から京柱峠をクリアすれば、その次は矢筈峠から東。

いよいよ剣山系が近づいて来たぞ!







今日のトラック



今日の3Dトラック

『線で繋ぐ石鎚山~剣山』 野地峰~兵庫山

2022年06月02日 | 四国の山
先週半年ぶりに線で繋ぐ石鎚山~剣山を再開・・・・の予定が県道5号線の通行止めで

二転三転して、予定していた区間を歩く事が出来なかった。

先週のコースは今回歩いた野地峰~兵庫山の予行演習のつもりだったが、結局予行

演習は出来ずに本番を迎える事となってしまった。

今回の区間の課題はまずは大登岐山のスズタケ大藪。次に野地峰~登岐山ピストン

と兵庫山と登岐山ピストンの二回に分けて歩くか、一回で縦走するかのコース取り。

一回で歩こうと思ったら、一台を白滝の里山に、もう一台を桑ノ川林道にデポ

することになるが、この間の移動にかなりの時間がかかり、車酔いをする奥様が

いるので極力避けたいコース取り。それならと思いついたのが北側の富郷側から

周回は出来ないかという案。地形図には兵庫山の山頂近くまで破線が延び、

野地峰からも北に真っすぐ破線が続いている。この計画をエントツ山さんのアドバイスを

求めたら、実際に何回か周辺を歩いてくれて、10~11時間くらい

かければ歩けそうだと教えてくれた。そのアドバイス通り冬場は阿讃縦走路に

切り替え、日中の時間が長くなるのを待って、今回、アドバイス通りのコースを

チャレンジしてきた。


早起きが苦手なあっちゃんの愚痴を無視して、6時にいつもの豊浜SAに集合して

四国中央市から国道319号線を法皇トンネルを越え、金砂湖を西へ。富郷ダムを越えて

法皇湖に架かる最初の橋を対岸へと渡って落合と書かれた標識を右折。

銅山川の支流の橋を渡って大きなヘアピンカーブの脇に車を停めた。

時間はいつになく早い7時前。先週ならまだ集合場所に向かっている時間だ。







車を停めた場所から左に林道へと歩いて行く。途中に重機を停めた小屋があり

さらにその奥に落合橋。その橋を渡って左に地道の林道へ入って行く。

林道に入ってしばらくすると山側にピンクのテープが木の枝にかかっていて、

ここが取りつきとなる。取付きからひょいっとひと登りすると林道というより

杉の植林地の作業道が続いているが、その作業道に出るまでに分かりにくい場所

にはテープがあるので迷う事はない。



















作業道は地形図のほぼ破線通りに続いている。途中S字になったヶ所が崩れて迂回路

になっていて、少し破線からはズレていたがあとはほとんど問題なく歩いて行ける。

















途中、道にはピンクのテープや細い赤と銀色のテープと色々なテープがあったが、

赤のテープが恐らくエントツさんが検証歩きをした時に付けてくれたテープかな?










作業道はあるが、間伐された木は運び出される事なく辺り一面転がっている。

途中何ヵ所か谷側に石積みが残っていたが、ひょっとすると作業道用というよりは、

遠く昔は峠道として利用されていた道かもしれない。













作業道に沿ってどんどん登って行く。エントツ山さんが掲示板にこの登りの道で大きな

分岐はここだけ!と写真をアップしてくれていた場所を、指示通り右に進んで行く。







地形図では1100m付近で破線が途切れている。ここからは兵庫山の北の鞍部に

向かって続いている支尾根を辿る。尾根に出ると道には立派なアカマツの巨木が

何本もそびえ立っていた。














破線が途切れていたので少し不安だったが、明瞭な道が続いていく。

道は尾根筋より少し北側を巻くようにして続いている。










ここまでの間何枚か見た保安林の立て看板は、どこも倒れ掛かっていたが、

その脇に今日初めて見る『兵庫山 愛媛 落神会』と書かれた矢印の紙があった。








尾根道が痩せ尾根になってくると、シャクナゲの淡いピンクの色が目に飛び込んできた。

葉の先に尖った蕾を付けている所を見ると、まだ咲きはじめなのだろうか?











兵庫山北側の天堤山へと続く鞍部に出た。前回玉取山からの縦走で間違って下って

行ってしまった道だ。山頂直下は結構急登が続いている。













兵庫山から玉取山に折り返すには、山頂から北に歩いて直ぐに右に下らなければ

ならないが、真っすぐ北にも道があるので間違えやすい。前回は安易に真っすぐ下って

しまって40分も下って間違えたのに気づいた。(この石柱の奥で道は分かれている)




前回、玉取山からの線を繋いだのが昨年の11月19日。おおよそ半年ぶりの兵庫山。

山頂からは桑ノ川の谷あいの奥に白髪山と正面にはこれから向かう大登岐山

















兵庫山からは一旦下って小さなピークを越えて、大登岐山へと県境の道が続いている。

山頂から急坂を下って行く途中で、いつもは登りは弱いが下りでは問題がないのに

急に足が動かなくなり、前を歩く奥様たちがどんどん離れていく。







鞍部で一旦追いつくが、そこから登りになると更に間隔は開いて行く。

以前にも一度コンディショニングタイツが暑くて足が動かなくなった事があった。

それとも今日に備えて家で足踏みマシーンをし過ぎたせいだろうか、足に錘でも

付けたように重く、ほとんど前に進んで行かない。















自然林の新緑が目に眩しいが、額から流れ落ちる汗が目に入りそれを楽しむ余裕もない。







道の両側には葉の落ちたスズタケが目立ち始めると、前を歩いていたルリちゃんが

立ち止まって何やら覗き込んでいる。『これは笹の花かな?』と聞いてきた。

その茎の先には紫色の花らしきものが付いている。

『スズタケの花だったら100年に一度咲くと言われるので珍しいです!』と答える。







その先ではシャクナゲがまた咲いていた。シャクナゲの咲く尾根はどこも

似通っていて、岩が露出しその岩の周りにシャクナゲの根っこが絡みついている。










道の脇に大きなズタ場



シャクナゲ尾根を過ぎると、また少し広い笹の広がる尾根道になり山頂が近づいてくる。

この辺りでもう足はほとんど動かず、背中の張りが益々酷くなる。








露岩の尾根を右手に見ながら登って行くと、山頂手前で尾根に乗り、見晴らしのいい

場所に出た。尾根の直立した大きな岩肌が見えた。さらにその先では正面にこれから

まだまだ先、続いて歩く野地峰までの稜線が見えた。










大登岐山は木々に埋もれてはいるが、所々に岩肌も見える険しい山頂になっている。

山頂手前でそんな露岩の尾根を回り込んで行くと山頂に着いた。白骨樹に

消えかかった文字で大登岐山と書かれている。













その山名札のさらに奥は南に向かって展望岩になっていた。

佐々連尾山の中川峠に続く笹原尾根から始まる、北東から南西に

かけての嶺北の山並みが一望できる。

その展望岩の手前で登岐山へのテープがあり、一旦急坂を下って行くのだが、

足の張りと腰と背中の張りがピークで、ニコニコ顔の奥様たちを他所に、登岐山へは

行かずにこの大登岐山で奥様たちを待つことにする。山頂の平らな岩に腰掛けていると

登岐山に向かっている奥様たちの話し声がずっと聞こえていた。その話し声とは別に

ずっと同じ場所で鳴いている動物の声が聞こえていた。聞いたことのない鳴き声だったが

恐らくけがをして動けなくなった鹿が、悲しそうに鳴いているのではないかと思った。



















山頂からは西に法皇山系から石鎚山系が見渡せる。しばらくすると登岐山から

戻って来ている二人の声が聞こえ始めた。あっちゃんがルリちゃんに『KAZASHIさん、

ここでお昼ご飯にするかな?』と聞いている。時間はまだ11時だが仕方がないので

これから歩くスズタケ大藪を前に腹ごしらえをすることにする。

結局、奥様たちが登岐山を往復するのと、お昼ご飯の時間を入れると、この

大登岐山で1時間あまり居た事になる。

















お昼ご飯を食べ終えた後、さぁ~ここからが今日の核心部。YAMAPを見ると

ほとんどの人がここのスズタケ大藪で苦労したと書いてある。

先ほど山頂直下で尾根に乗っかった場所の反対側が黒岩山への縦走路の取付きになっていた。

最初は尾根からの急な下りをテープを見ながら下って行く。その内直ぐにスズタケの

色が濃くなり、そのスズタケを掻き分け進んで行く。














ただここのスズタケ藪は足元を見ると踏み跡なのか、獣道なのか空洞が続いている。

スズタケは身長以上の背丈になっているが、足元の空洞を見ながら下って行けば

ほぼルートを外すことはない。『なんでみんなここで道を間違えるんだろう?』

なんて上から目線で考えながら下っていると、一度だけその空洞があちこちにあって

岩の崖になった場所に出て行き詰ってしまった。

崖の下はどうなっているかと膝を曲げて覗き込んでみると、屈んだ左足の太腿が

攣ってしまった。足の先やふくらはぎが攣るのはよくあるが、太腿が攣るのは

なかなかない。その筋肉が大きいだけに攣った痛みは半端ない。足を曲げると

痛みが酷くなるので、何とか曲げずに歩いて行くがとにかく藪の中の事

思うようにはいかない。その岩場から軌道修正するのに少し登り返したが、

これがけっこう大変だった。スズタケは山頂から下に向かって傾いているので、

登って行くとその茎が突っ張って前に進みづらい。しかもその茎は掻き分けても

跳ね返ってきたりする。

結論、『このルートは登りよりも下りの方が断然歩きやすい』













一度間違えた場所からは修正して、また足元を見ながら下って行くと一旦藪が途切れた。

ここで油断したのかルリちゃんが足を滑らせたが大事には至らなかった。







その途切れた場所の鞍部から1369mのピークに向かって登りが始まるとまた少し

籔いてきたが、先ほどの下りの藪ほどではなく、平泳ぎしながらピークに向かって登って行く。

その藪が終わると周りの景色も見え始め、振り返ると先ほどの大登岐山。










計画ではエスケープルートとして下川峠から北に下るルートを検討していたが、

せっかくここまで来て、攣った足も何とかもちそうなので、予定通り野地峰まで

進んで行くことにする。

下川峠は尾根が広がった場所になっていたが、峠にしては鞍部ではなく、1369mの

ピークへの登りの途中の場所だった。







その下川峠からも少しスズタケ藪が続いていたが、先ほどと比べると密集度が

少なかったので、難なく歩いて行けた。







1369mのピークからは黒岩山の肩越しに、野地峰の反射板が見え、いよいよ

最終目的地が近づいて来たのが判る。







そのピークから一旦下って今度は1231mの標高点へと向かって行く。

尾根道にはブナの木が目立ち始め、緩やかな下り坂の両側は木々と木々の間隔が広く、

新緑の間を日差しが地面まで降り注いで、今回のコースの中で一番素敵な場所だった。














1231mの標高点を過ぎると尾根には露岩が現れ始める。










途中の岩には『一二四 山中』と岩に文字が刻まれていて、更にその先では

『一一九 山中』と刻んだ平らな石が立っていたが、何の印なんだろう?







黒岩山山頂が近づいてくると、葉の落ちたスズタケとブナが点在する緩やかな尾根になる。










山頂下の笹原にこの黒岩山の主の八方ブナが立っていた。ただ写真で見た八方ブナと

違って、一番低い太い枝が折れて倒れたいた。














黒岩山は名前とは似つかない、岩ではなくゆったりとした雰囲気の山頂になっていた。

西には野地峰への稜線が続いている。あの峰まで歩けば、後は北に向かって下るだけだ。











山頂から少し先に三角点はある。石柱の下からすべて露出した三角点だった。







途中でルリちゃんからもらったこむら返りの薬が効いてきたのか、足の調子は

随分とマシになってきた。大登岐山の登りで足が動かなくなって、藪の下りでは

足が攣ってと散々だったが、野地峰まではもう少し。一旦下って、反射板に向かって

緩やかな坂を登って行く。











道の笹はきれいに刈り払われているが、歩きづらい露岩が続いていてスピードは上がらない。

とはいえ前を歩いていた奥様二人の姿は全く見えない。ほんと元気な奥様たちだと

言いながら独りトボトボ歩いて行くと、野地峰から東光森山を繋いだ時のスタート地点に

なった白滝の里山村が見え始めた。








反射板の下ではルリちゃんが腰を降ろして寛いでいた。あっちゃんの姿が見えないので

お花摘みにでも行っているのかと思っていたら、手に湿布薬の袋を持ったあっちゃんが

戻ってきた。どうやらあっちゃんも腰に張りが出てきたらしい。

ここで腰を降ろして、最後の行動食を口にする。










野地峰からは今日歩いてきた山々が一望できる。左の端の兵庫山から真ん中の

とんがり大登岐山。そして山頂に笹原が見える黒岩山。まだ下りの4kmほどが

残っているが、とにかくよく歩いてきたもんだ。










野地峰から西に縦走路を少し進むと右に侵入注意のロープがかかっている。

ここが地形図に載っている野地峰から北に続く破線。入り口には意外にも

『冨郷登山口』と書かれた札が木の枝に掛けられていた。北側からの登山も

決してマイナーではなかったんだと感心する。










破線の道は予想以上に明瞭な道だった。相変わらずいいペースで下って来るルリちゃん。

下りになった途端にスピードが落ちるあっちゃん。聞いてみると下りでは膝が痛く

なるようだ。これは私も同じで歩く時間が長くなると膝が痛み始める。







途中一カ所だけ少し崩れてザレた場所があったが、あとはほとんど問題なく下って行ける。







野地峰からの登山道の入り口にもあった、大きな碍子の付いた鉄骨が途中にも

何本か転がっていた。何か施設への送電線でもあったのだろうか?










1029mの標高点を西に巻くようにして道は続いていたが、この辺りから

少しづつ道の様相が変わってきた。1001mの三角点のある岩を頭上に見ながら

ここでも西側を巻いて下って行く。










その1001mの三角点を過ぎると、道は時々、掘割のような中の道になっていて

それを過ぎると折字登山口との分岐になる。ここから左に進むと折字への

破線が続いているが、北にも破線は続いている。ただしこの道はやまきぬさん

YAMAPでは破線通りに道は無く不明瞭となっていた。ならばとエントツ山さんが

落合橋から野地峰へと登って来た時に使った、ショートカットの尾根を下ることにする。

分岐ではエントツ山さんが付けたのか、取付きと右に赤テープが巻いてある。










しかし直ぐに赤テープは見失い、とにかくGPSを見ながら尾根を外さないように

下って行くが、次第に藪尾根になり、大登岐山のスズタケ藪以上に歩きづらい。

するとリーダーのあるある!で、掴んだ木が枯れた木で、そのまま折れて前に

転倒。数メートルずり落ちてルリちゃんの手前でようやく止まった。


そこからは先頭のルリちゃんと入れ替わって、道を確認しながらとにかく尾根を

意識しながら下って行くが、時々崖の様になった場所もあり、時間ばかりかかって

ショートカットにならないな~なんて思っていると、後ろから悲鳴が聞こえてきた。

ルリちゃんが先ほどあった崖の様な場所で5mほど落ちたらしい。幸い地面は松葉が

降り積もった柔らかい斜面だったので、事なきを得た。










尾根は灌木で塞がれて歩けず、何度も少し下を巻いて下って行く。枝で目を突きそうに

なったり、枝に帽子を引っかけて落としたりと、まともに立って歩けないのは

とにかく疲れる。悪戦苦闘の中そうこうしている内にふと目の前に赤テープが現れる。

この辺りから尾根の藪はなくなって、少しは歩きやすくなってきた。










そしてようやく杉の植林地の最上部に出てきた。ここでも赤テープ。







藪尾根に比べると目の前を遮るものが無く、断然歩きやすいのだが、とにかく

急な斜面で油断をすると転げ落ちそうになる。前を歩くルリちゃんはどんどん

スピードが上がっていくが、反対に膝が痛いあっちゃんのスピードが落ちていく。

『まだ着かないかな~!』と悲鳴にも近いあっちゃんの声が後ろから聞こえてくる。

この植林地には作業道は見当たらず、とにかく転げ落ちないように自分で

歩きやすいように右に左に向きを変えて下って行く。








藪とはまた違った苦闘の後、ようやく下の方に林道らしきものが見えてきた。

結局、野地峰から折字への分岐が2kmで55分。ショートカットが1.4kmで

1時間15分もかかった事になる。距離は短くできたが時間の短縮にはならなかった。







最後林道に降り立った時には大きな大きなため息がでた。







林道を車を停めたヘヤピンカーブの場所まで戻って行く。歩きやすくなった下道で

普段なら奥様二人のお喋りが始まるところだが、お二人ともやはり疲れているのか

黙々と歩いている。駐車場所までスタートから10時間30分。距離的には

そうでもないが、行動時間としてはココ一番の長時間になった。ただ『線で繋ぐ~』で

最大の懸案の区間を歩き終えて、三人とも心地よい疲れを感じながら帰路についた。











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