KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

桜を見に出かけよう!ついでにお山も。

2023年03月30日 | 四国の山


今週は奥様たちそれぞれ予定があってお出かけなので、久しぶりのソロ活動。

それじゃあどこにお出かけしようかと考えたが、思いつく山がみんな登山口までの

アプローチに難がある。どうもやっぱり2度続けての車のタイヤのパンクがトラウマに

なっていて、荒れた道を走るのは二の足を踏んでしまう。

なら、あんまり無理せずせっかくの花見の時期、桜を目当てについでに登れる山は

ないかと考え、まずは昨年出かけた枝垂桜の神山町を花見の場所に決め、その周辺で

軽く歩ける山を。となると大川原高原から旭ケ丸、そして高鉾山が最適地となった。

ついでに『線で繋ぐ』のシリーズで剣山から以東の稜線となる、柴小屋への道の

様子も下見に、梅ノ木峠辺りまで足を延ばしてみることにした。



神山町へはいつもなら山川町か石井町経由で向かうのだが、自宅からのルートを

GPSにセットすると高速で板野ICまで走り、そのまま南下して吉野川を渡り、

今度は鮎喰川に沿って走り、しらさぎ台なる住宅地を抜け園瀬川沿いの道を走る

という初めての道ばかりで複雑なルート案内だった。

途中の通勤ラッシュで信号待ちに時間を取られて、ナビの画面の到着予想時間は

どんどん遅くなっていった。それでも今日は独り。待ち合わせをしているわけでも

ないので、慌てることなくのんびりと走って大川原高原に着いた。

車を降りると吹きさらしの駐車場は風が冷たく感じ、薄手の上着と手袋をはいて

準備する。霞んではいるけれどけっこう遠くまで見渡せる。











前回WOCのメンバーと来た時にソフトクリームを食べた一軒茶屋は、火災の跡で

基礎だけが残っていた。吹き上げてくる風の音と共に、グルグルと回る風力発電の

大きな羽の音が耳につく。天気のいい日は吉野川の北岸からでも並んでいるのが

見えるこの風力発電。間近で見るとさすがにデカイ!














駐車場から最初は放牧地への舗装路を歩いて行き、途中から脇道へと入って行く。

時期によってはドウダンツツジの咲く道も、季節はもう少し先の様だ。

替わりに馬酔木がそこらじゅうで咲いている。この花を見るといつも思い浮かぶのが

屋島の山上で売っているイイダコおでんの頭の中にぎっしりと詰まった卵。











登り坂が終わると展望台に着いた。階段を登り階上に上がると360度の眺望。

しばらくの間山座同定してみるが、霞んでいてあまりどこの山だか分からない。


柴小屋まで続く風力発電の奥に高丸山から雲早山の稜線


勝浦町の奥の山並み


六郎山の電波塔が見える










展望台の下には石仏。手を合わせた後に旭ケ丸へと向かう。ここから柴小屋までは

四国のみちになっているようだ。








まだ硬い蕾が芽吹いていないツツジの林の中を歩いて行くと、旭ケ丸に着いた。

一等三角点 旭ノ丸山 1019.6m 久しぶりの一等さんはさすがに大きい!

(地形図では1019.5mと載っているけど、ここでは1019.5mの標示されている)

前回来た時にはまだYAMAPを始めていなかったので、取りあえず1ポイントゲット!











三角点から少し歩いて道は南に振って続いて行く。途中で南阿波幹線の72番鉄塔。

幹線がけあって結構大きな鉄塔だ。鉄塔を過ぎ階段を下って行くと分岐点に出た。








四国のみちの道標の先には、こんもりとした高鉾山の影が木々の間から透けて見える。

ここで直進するとトラバースの高鉾山への道。右の脇道を進むと急登が待ち構えている。








急登は北向きの斜面のせいか、先週末に降った雨がまだ少し土を濡らしている。

踏み跡を辿りながら登って行くが、所々で足を滑らせた跡が残っている。

振り返ると先ほど見た72番鉄塔と同じくらいの高さまで登ってきている。











いつもなら先行する奥様たちのお尻を見ながら、離されまいと必死で登って行くのだが

今日はソロ。息が切れない程度のマイペースで登っていける。分岐にあった道標通り

15分ほどで高鉾山本峰に着いた。前回来た5年前はアジサイの季節。まわりの木々も

緑が多かったが、まだ周りの木々が葉をつけていない本峰の広場は広々としていた。

ヤッホー地蔵さんも新しくなって数も増えていた。














ベンチに腰掛け一息入れる。まだ少し肌寒いが汗を掻いた上着を一枚脱ぐ。

アミノ酸のゼリーでエネルギーチャージした後、縦走路を歩いて行くと道の真ん中に

孤高の馬酔木が一本立っていた。








途中の分岐では直進すると高鉾山南峰へと道。右は柴小屋への稜線となる。

工事中の看板が立っていたが、ここからは『線で繋ぐ』シリーズの下見。地形図では

稜線上が四国のみちと表記されている。風力発電の工事で果たしてその道がどうなって

いるのか確認しに右に折れて進んで行くと、植林地の先に大きな羽が見えた。







この稜線が四国のみちになっているはずだが、稜線上には風力発電が点在して続いている。

ここで四国のみちは分断されていた。何年か前と比べると様変わりしただろうこの景色。

遠くに見える高丸山から雲早山の稜線は、変わらぬ姿でいてくれることを願う。







分断されているとはいえ今日の下見は遂行しなければならず?、そのまま工事で切り取られた

尾根の法面を降りて行く。広場の反対側に回って尾根に取り付くと、あらら立入禁止の看板。

広場への立ち入り禁止なので、広場から出るなら構わないだろうとそのまま尾根を進むと

また次の風力発電。ただここの法面は高さもありそのまま降りられるような斜度でもない。










仕方がないので法面の上端に沿って引き返す。風力発電の広場と広場の間は

立派な舗装された管理道で繋がっていた。道は974mの標高点を北側に巻いて

更に先へと続いている。その北側に回り込む手前の風力発電が一基停まっていて

メンテナンスの作業をしているひとの姿があった。






後ろのピークが974mの標高点のピーク。









道は今度は924mの三角点の南側を回り込んでいたが、途中から三角点に向かって

林の中を登って行く。杉林の中をピークに向かって登って行くがGPSを見ると、

三角点はピークより少し下にある。登っては下り、右に左にとGPSを見ながら

うろつくが、なかなか三角点が見つからない。もう一度だけと引き返して登り返すと

何とか木の幹元にあるのを見つけることができた。四等三角点 流川 924.2m














その三角点から適当に南に下ると杉林の中に作業道の様な道にでた。右に梅ノ木峠に

向かって歩いて行くと、作業道ではなく四国のみちだった。この道を左に行くと

地形図では林道大川原旭丸線へと破線が続いている。そして先ほどの流川の三角点と

高鉾山本峰の間の稜線上はよく見ると破線は載っていない。どうやら四国のみちは

この手前で高鉾山に向かっている林道が、四国のみちとなっているようだ。

(風力発電が四国のみちを分断しているわけではなかった)











道標に従って杉林の中を下って行くと林道に出た。そして梅ノ木峠となっていた。

道標を見るとここが丁度柴小屋との中間地点になるようだ。大川原高原と芝小屋間が

約13km。縦走だと充分歩ける距離だけれど、車をデポするにはGooglMapでは

35km、1時間30分かかるとなっている。この区間は両側からのピストンに

なりそうだ。目的地の梅ノ木峠までの下見も終えてへっぽこ隊長の任務終了。

ここからは折り返して、四国のみちの林道大川原旭丸線の舗装路歩きとなる。








この間の林道は風力発電の管理道にもなっているのだろう。道の真ん中には

恐らく電線が埋められているのだろう。一定の幅でコンクリートで補修した

痕がずっと続いている。削られら法面には植生ネットで保護されて、そのすき間に

可愛らしいスミレがあちらこちらで咲いていた。











林道が流川の三角点の南側を回り込むと、また巨大な風力発電が稜線から顔を出した。

近づくとあの風切音も聞こえ始めた。その風力発電への道はやはり立入禁止となっている。

復路で林道歩きを選んだのは、電力の管理道を通るのが躊躇われたのもあるが、林道から

南側の景色が見えないだろうかと思っての事だったが、ほとんどが木々に遮られていて、

一ヵ所だけ高丸山の稜線が見えただけだった。










梅ノ木峠から約3km、50分ほどで南高鉾山への取付きに着いた。

林道の脇から南に山道に入って行くと、直ぐに東側が開けた南高鉾山に着いた。

前回もここでお昼だった。ベンチに腰を降ろしてお弁当を食べる。

目の前には3週間前に歩いた勝浦町の稼勢山が横たわっていた。



稼勢山


勝浦町


六郎山







南高鉾山でお腹を満たしたら、駐車まで戻って今日のメインの神山町へ。

半年ぶりに被ったキャップより頬っぺたがはみ出て、胸周りもなんだかふっくらと

ふくよかに。ほんと太ったな~・・・・。




林道に一旦出て、そのまま高鉾山本峰を回り込むようにして歩いて行く。本峰手前の

分岐へと法面を登って行くと四体の石仏とヤッホー地蔵のおばこ峠と書かれた標識。










峠からは階段を登らずに花木園の方へのトラバース道を歩いて行く。さすがに

1000m近い標高。まだ花が咲くのは早いのか、それとも花音痴所以なのか

小さなスミレしか見つけることが出来ない。








トラバース道から展望台の東側に出て、放牧場の横の道を下って行く。展望台からは

柴小屋に向かって西側に風力発電の鉄塔は続いていたが、東の六郎山に向かっても

鉄塔は続いている。風が強くなったのか出発時より羽が勢いよく回っている。

沿面距離11.7km 累積標高650m 4時間ほどのトレッキング。と言っても

ほぼ林道・管理道の舗装路を歩いていたせいで、いつになく踵が痛いような気がする。

春の陽気に誘われてこれからしばらくするとこの山も花の季節になるだろう。

ただ今日はまだ早かったので、今から里に下りてお花見にしよう!
















佐那河内町へ下る途中の山肌と風力発電が並ぶ稜線







佐那河内町から神山町に移動すると、お目当ての枝垂れ桜が待ってくれていた。














少し散り始めなのか、風に乗って花弁が舞っている。

その桜の木の下でお弁当を広げて寛ぐ人たちの姿があった。
















帰り道の国道439号線。酷道と評される道幅が狭く、路面の荒れた区間のある

国道だが、この辺りしかもこの季節の道はその評判とは真逆のフラワーロード。

そんな枝垂れ桜の咲き誇る道を、名残惜しみながら帰路についた。





刻々変わる天気予報。晴れ間を狙って早春の花巡り

2023年03月22日 | 香川の里山


先週の天気予報では今週の水曜日は雨。では火曜日に出かけますかと奥様たちに

連絡するも、次第に火曜日の天気も怪しくなってきた。仕方がないので今週は

自主トレにしましょうと連絡して、多少天気が悪くてもいいように近場の里山

(さぬき市里山チャレンジ30座)の残りを独り歩きで消化しようと

考えていたら、今週に入って水曜日の午前中は晴れマークがついた。

自主トレも天気が良ければ春のスプリング・エフェメラルのユキワリイチゲを

見に行きたいと考えていたので、さっそく奥様たちに連絡すると即OKがでた。

春の妖精の春植物のユキワリイチゲは陽が当たらないと花が開かないので、

天気予報の晴れマークを信じて出かけてきた。

家を出て車を走らせると周りは真っ白。ラジオの天気予報では濃霧注意報の

アナウンス。いやいや本当に晴れるのかな?と思いながら走って行くと、

まんのう町にはいると青空が見えてきた。よっしゃー!と独り言ちして

集合場所に着くと、開口一番ご主人に明日は雨やでと言われていたあっちゃん

『本当に晴れたね!』とニコニコ顔。今日は道の駅ことなみの第二駐車からスタート。




国道を三頭トンネルの手前まで歩き久保谷橋を渡ると大師堂がある。この国道438号線は

平成9年に三頭トンネルが開通するまでは行き止まりで、トンネルの開通で初めて徳島側への

車両での通行が可能になった点線(分断)国道だった。

橋の手前には昔は金毘羅堂があり、これから谷あいの足元の悪い峠道を行き来する

人達にとっては格好の休憩所で、接待された茶を飲みながら旅の話に花を咲かせ、

阿讃の情報交換場となっていたようだ。大師堂からの道は四国のみちにもなっている。

 


   


最初はコンクリートの車道から直ぐに山道になる。昨日降った雨がまだ地表を濡らし、

谷あいの朝の空気はまだ少し冷たい。

   


道は沢の右岸、左岸を渡渉しながら続いて行く。最初に目についたのは落ち葉の上に

散った真っ赤な椿の花だった。








        


芽吹き始めた周りの木々に目をやりながも、足元にお目当ての花が咲いていないかと

目を皿のようにして歩いて行く。






コチャルメラソウ?



おっ、み~つけた!ユキワリイチゲ。でもまだ日が当たらず俯いたままの花は

開いていない。気温が上がり日が当たる帰りに期待しよう。







道筋の所々で石を積んだケルンがあるが、これは絶妙なバランスで立っていた。

雨はつい先ほどまで降っていたのか、雫をいっぱいつけた葉がみずみずしい。








段差になった場所では小滝となって大きな音をたてて流れ落ちて行く沢の水。

幅はさほどではないが、グラつく石もあり落ちないように用心深く渡渉する。













地形図で谷筋が派生している場所に道標が二つ。この場所から征木(麓)と

立石峠(尾根)への道があるのだろうか?また機会があれば歩いてみたい。




すると前を歩くルリちゃんから『あったわよ!』の声が上がる。

さすが視力2.0のルリちゃん。ストックで指す場所に二つ目のお目当ての花があった。

落ち葉の中に咲く花と葉が、周りと同系色で目の悪い私では見つけられなかっただろう。

葉も花もうなだれているサラリーマン風から、今まさに飛び立とうと羽を広げたような

葉と花を開け始めた花もある。

アワコバイモ









この谷あいで一番大きな滝?を右手に見ながら更に登って行く。日が当たると

木々や花たちもなお一層いきいきとして見える。






ヨゴレネコノメ



まだ峠まで半分も来ていないが、奥様たちは度々立ち止まっては写真を撮って

なかなか前に進まない。まぁ今日は距離もないし、ユキワリイチゲの花が開く

午後までゆっくりと歩けばいい。
















小さい花があちらこちらに咲いているが、ほとんど名前が分からない。

小さな山野草はGoogle先生でも分からない。









アブラチャン





奥様たちが二人で『ここからいくつ見える?』とアワコバイモの数を数えている。

『KAZASHIさんは?』と聞いてくるが、近づかないと私には全く見えない。










峠の道は三頭神社まで、ミニ西国三十三観音霊場の石仏が丁石を兼ねて街道沿いに

置かれ、その当時から道行く人々を見守っている。













谷あいの道が少し左に振り、杉林の中の道になると峠まであと少し。『KAZASHIさん、

お腹空かん?』とあっちゃんが聞いてきた。と言う事は自身がお腹が空いてきたと言う事。














途中で度々の撮影会でゆっくりしたが1時間40分ほどで三頭峠に着いた。

額束の北側には三頭山大権現と南側は金毘羅大権現と異なる名前が書かれた

珍しい鳥居。そして猿田彦と天細女命の二体の石像。いつ見ても柔和なお顔の

細女命さんと対照的な、無骨なお顔の猿田彦さん。ここを訪れた人が細女命さんの

身体を触る(そのせいで白くなっている?)のを目の前で見せられて、猿田彦さんが

怒っているようにも見える。














そんな風に思いながら二人の間に立ってお顔を眺めた後、ザックを降ろしていると、

あっちゃんはもう既におにぎりを頬張っていた。








私もいちおう行動食を口にしたあと、三頭山へと南に峠道を歩いて行く。

杉林を抜けると車道に出た、ここからは舗装路を歩いて行く。











三頭山の手前まで来ると先週の天気予報がウソように青空が広がっていた。

車道の横で東に開けた場所からは竜王山の電波塔が見える。







東屋を過ぎ道の右手から三頭山のハンググライダー場へと登って行くと、更に眺望が

開けてきた。吉野川側からは雲がかけ登ってきている。














三角点の手前には新しく可愛らしい山名札が掛かっていた。








四等三角点なのに三等(三頭)とはこれ如何にの、四等三角点 三頭 734.03m

にはキティーちゃんの赤いプレート。







三頭山は「剣霊」「山王」「青龍」の三神を祀るため、その名がついたという

古い伝承が残っているが、山名札の後ろのこの石碑はまだ新しい。








それじゃ東屋まで戻ってお昼ご飯にしましょう。丁度峰と峰が重なった辺りが

三頭峠だろうか。まだまだ雲が登ってきている。もっと標高が高ければ雲海を

見下ろす形で見られたのにな~。








東屋で今日もカップラーメン。久しぶりに食べる出前一丁は、ゴマ油がよく効いていて

とても美味しく感じた。お腹を満たしたら気になるのはWBCの様子。スマホで見ると

丁度9回の表で1点差で勝ったとの結果。思わず三人で『やった~~!!』と声を上げる。











優勝の感激からしばらくすると奥様たちは、村上選手最後になって活躍出来て

良かったねとか、大谷選手はどんな人と結婚するのだろう?と話しを始めた。

気温も上がって来たし、空も申し分のない青空、今から下ってもあのユキワリイチゲは

花を開いてくれているだろうから、そろそろ腰を上げましょう。東屋を出て、

途中にあった展望所からは南の景色が開けていたが、雲海の上に稜線が見えるだけ。

雪を残す山は石堂山や矢筈山辺りだろうか?








展望所から車道に降り、舗装路から峠道へと歩いて行く。三頭峠で細女命さんの

おっぱいにタッチ。猿田彦さんに怒られそうだが随分とにやけた顔だ。











ではではお目当てのイチゲさんに会いに行きましょう。下って行く途中の谷あいにも

眩しい日差しが届いていて期待できそうだ。







峠の直下から沢筋になると期待通りあちらこちらで花を咲かせていた。

アカリプタさんによると、ユキワリイチゲはルリイチゲとも呼ばれるそうだ。

その名の通り瑠璃色の花が日差しに向かって開いている。

その瑠璃色も薄く白っぽいのもあれば濃い色もと様々。
















雪割一華と書いて一茎から一輪だけ花を咲かせるその細い茎からは、不釣り合いな

大きな花弁が風に揺れている姿は健気でとても可愛らしい。













途中までは一緒だった奥様たちは、私以上に度々立ち止まって写真を撮るので

次第に間隔が開いてきた。奥様たち、今日は団子よりお花の様だ。











独りで歩いていても谷あいの道は、水の流れる音や鳥のさえずりで割とにぎやかだ。

途中で何人かの人とすれ違う。やはりこの晴れ間を狙って大きなカメラを抱えている。

すると最後に出会った男性に声を掛けられた。以前に二度ほどご一緒したことのある

水沼さんだった。水沼さんはまんのう町の地域おこし協力隊で活動していた時に知り合った。

今は大川山の麓に住まわれ、登山ガイドとしても活動されている。

奥様たちが後ろから来る間に、二人で里山について色々と話し合った。概ね県内の里山の

現状についての意見は一致して、お互いに『そうでしょう~』『そうですよね~』と

言っていたら奥様たちが降りて来た。

その後もしばらくお話をして別れたのだが、四人の居るところの写真を撮り忘れた。













大師堂まで戻って三体の石仏にお参りする。一番大きな石仏は光背に何体もの化仏が

彫られていて珍しい石仏。その横には西国三十三番の一番札所の石仏、そして右端が

関東二十四輩の二十四番の石仏が並んでいる。








久保谷橋をわたり国道を駐車場まで戻って行く。早春の谷あいでは春を告げる花々が

目を楽しませてくれた。明日からはまた雨模様。つかの間の晴天を小さな草花を

愛でながら過ごす事が出来た。今日の晴天で山肌にも淡い色が付き始めたが、

またしばらくは天気と共に停滞しそうだ。ただこの雨が上がれば一気に春色が広がるだろう。

春の山の景色と共に我々の気持ちもまた春色に染まっていく。



結局、線を繋いだ阿佐尻山

2023年03月16日 | 四国の山


朝はまだ肌寒いが日中は随分と気温が上がり、朝着込んだ上着を一枚脱がなければ

汗をかく、そんな日が続いている。春の訪れに胸躍らせるのは人間だけに限らず、

植物たちも同じようだ。里では梅の花から始まりここ数日で河津桜が満開のニュースも

流れている。山ではスプリングエフェメラル。『春の妖精』と呼ばれる花たちが

ネット上にどんどんアップされ始めた。その春の妖精にも沢山の種類があるようだが、

花音痴の私には未だ二つの花の名前しか知らない。そう福寿草とカタクリの花だ。

その福寿草の群生地で有名な鶏足山の写真をプチファーマさんがアップされていた。

やはりこの季節になると『線で繋ぐ』で里山を歩くよりは、せっかくなら花を目当てに

歩きたい。そう思って鶏足山に変更しようと考えたが、登山口となるキャンプ場の

手前で例年道が荒れているのを思い出した。ここ一カ月の間に2度もパンクをして

荒れた舗装路がトラウマになっている。かと言って寒峰は昨年歩いたし、どうしようかな~

と思っていたら、四年前にWOCのメンバーと歩いた阿佐尻山が頭に浮かんだ。

さっそく奥様たちに連絡をしたら未登の山、しかもYAMAPのポイントができると

あって、即『OK!』の返事が返ってきた。




いつものように『道の駅たからだの里』に集合して32号線を南下。それにしても

猪鼻トンネルが開通して本当に便利になった。あっという間に三好市に入り、

大歩危のローソンで休憩したあと西祖谷へと車を走らせる。

県道から国道439号線を京柱峠方面へ、途中から何度目かのヘアピンカーブから

団体営農道の標識へと直進して登って行くと、前回も車を停めた堀切峠に着いた。








先週の稼勢山で冬の服装と同じように長袖の下着を着て歩いたらとても暑かったので、

今日は半袖の下着にしてみたらやはりまだ肌寒い。三人とも上着を着こんで

スタートする。堀切峠から栂峰の集落へと歩いて行くと、集落に入る手前で

前回は無かった登山口の案内板があった。その案内板の道路の反対からはV字に

切れ込んだ祖谷渓谷の奥に三角の頭の中津山が見える。







間知ブロックが積まれた法面を登って行くと自然木でできた素朴な雰囲気の鳥居があった。

前回歩いた時にこんな鳥居があったかな~と。4年経つと記憶も曖昧だ。

鳥居の奥の祠に一礼して杉林の中へと入って行く。

ここから奥様たちに案内で書いた急登が始まる。WOCのメンバーのコアラさん

山さんヨウちゃんと登った時は、コアラさんが最後は四つん這いになって登って

いたので、急登が待ってますと奥様たちの案内には書いたが、さすが毎週トレーニング

ジムに通っている二人は、力強くグイグイと登って行く。











そのアマゾネスの後ろをハアハア・ゼイゼイとついて行くへっぽこリーダー。

動画なんぞ撮っていたらあっという間に置いてきぼりになる。













何とか急登を登りきると電源施設と電波塔のある尾根に出た。

木には小さく小川と書かれた木札が掛かっていた。三等三角点 小川 994.2m










ここからは南西に向かって緩やかな登りの尾根が阿佐尻山まで続いて行く。

電波塔から直ぐに大きな反射板が現れる。フェンスで囲まれた反射板は、四国電力の

管理となっている。ここから麓にあるダムか変電所施設への中継なのだろう。




その反射板からしばらく歩くと尾根の南側が大きく伐採された場所に出た。隔てる

木々のない斜面から一気に風が吹き抜け、帽子が飛ばされそうになる。

前回は杉の苗木の白い食材防止材が、この斜面一面整然と並んで埋め尽くしていたが、

吹き付ける風の影響か、今はほとんどが倒れてしまって悲惨な状態になっている。























正面には笹原に僅かに雪を残した土佐矢筈山への稜線。



そしてその左に綱附森



そして牛の背の背中がここからは小さく見える。黄砂だろうかどの山も霞んで見える。






冬枯れた落葉樹が続く北側と、伐採された南側の斜面。何だか荒涼とした風景の尾根だ。











今日の行程を日曜日に歩いていたりょうまさんのYAMAPの活動日記のURLを

奥様たちには事前に送っていた。そのりょうまさんの活動日記には、このコース上で

写した山野草の写真を何枚もアップしていた。それを見たあっちゃんが、『今日は

いくつ、お花を見つけられるかな?』と言いながら、右に左に目線を移しながら歩いて

いると最初に見つけたのがりょうまさんが書いていたヤマシャクヤクだった。

緑の葉にふんわりとした花を咲かせているところしか見た事のない素人には

この赤い葉と蕾がどうもヤマシャクヤク?に結びつかない。








すっかり葉を落とした木々にも小さな芽が付き始めている。もうしばらくすると

若い緑の葉に囲まれた尾根道になるのだろう。その尾根にはここ数日の晴天で

乾いた色をした、苔むした露岩がポツポツ現れ始める。













阿佐尻山まではゆるゆると登って行けると思っていたが、時々まあまあの急登が現れる。

土が露出していると何となく踏み跡が分るが、杉の枝葉で覆われるとその踏み跡も

分からなくなる。とにかく尾根を外さぬように登って行く。








1168mの標高点辺りから、苔岩が点在する尾根から次第に大きな岩が行く手を阻み始めた。

小さめの岩は乗り越え、大きな岩は巻いたりしながら進んで行く。












杉の木が多い尾根から落葉樹だけの尾根になると一気に風景が変わった。

巨岩と灌木の中を岩と岩の間をすり抜け右に左にと歩いて行く。













周りの雰囲気的にはそろそろかな?と思っていたら、尾根から少し右に今日の

お目当てが待っていた。この群生地、以前より花の数が随分と増えたような感じがした。

人気の寒峰もいいけれど、まだ人が少なく、意外と変化にとんだコースのこの山で

これだけの群生が見られたら十分だ。








ルリちゃんもとにかく踏みつけないように、そ~っと歩いて飴色に輝く花を写し始めた。










『素敵な花を見ながら・・・・・』と言ってあっちゃんが何やらザックから取り出したのは

魚肉ソーセージだった。ん?さっきもおにぎり食べたような気がするんだが。








しばしの撮影会と若干1名の腹ごしらえの後、群生地をあとにすると、少し先に

二又になった尾根の窪地にまた群生地が現れた。『踏んだらいかんよ!』と

ルリちゃん。今度はあっちゃが踏まないようにしながら写真を撮っている。














二つ目の群生地では上から若い男性が降りて来た。登山口に停まっていたハスラーの

持ち主の様だ。『花には詳しいですか?』とあっちゃんが問いかけると、『全くです』と

返事が返ってきた。詳しければりょうまさんが写していた10枚近くの花の居場所を

聞き出そうとしたのだが、『残~念!』。

その群生地から少し登って行くとコンクリートの林道に飛び出した。ここから山頂近くまで

林道は続いているが、ルリちゃんとあっちゃんは尾根を歩くと言って登って行った。

私は前回歩いていたので、独りのんびりと林道を歩いて行く。

道はコンクリートから地道になると南から東にかけての眺望も広がって来た。

ススキの穂を揺らす風の音と時折聞こえる鳥の鳴き声、そして歩みを進める

私の靴音だけが聞こえる。静かだな~!














尾根の南側に続いていた林道が、今度は尾根を跨いで北側に続いている。その尾根に

落石注意と阿佐尻山登山口の道標。ここから尾根に登って行く。少し籔いた尾根道。

前回はもう少しすっきりしていたと思いながら、時々木の枝に服を引っかけながら

登って行くと、これも少し周りの草も増えた?山頂に着いた。





そして4年前に比べると木々の背丈も伸びたのか、以前に比べると少し木の枝で

遮られる方向もあったが、それでも360度、祖谷系から剣山系の名だたる

峰々が見渡せる絶景だ。そんな景色を眺めながら尾根を歩いて来ている奥様たちが

来る間に、お湯を沸かして独り待つ事にした。


中津山と国見山


牛の背・西熊山・三嶺と塔ノ丸


以前より伸びた木の枝が邪魔をする、寒峰から矢筈山へと続く稜線


土佐矢筈山



前回の動画。残雪がもっと多かった



尾根を歩いてきた奥様たちが10分ほど遅れて到着した。二人もこの大展望に感激している。

でもそれも一瞬。『お腹減った~~!』と。花より団子、景色よりやっぱり団子のようだ。

今日は以前からあっちゃんが持ってきてくれていたのに、ここ最近下山後にうどん屋さんで

食べることが多くて、いつになっても食べられなかった『最強どん兵衛』を頂くことに。

ただしこの最強どん兵衛。普段のきつねうどんなら5分のところ、8分かかるらしくて、

それが長すぎる待てないとあっちゃんが文句を言っている。

それでも待った甲斐があって、きつねうどんのきつねも、かき揚げうどんのかき揚げも

そして出汁も全く違う特別感があって美味しくいただいた。








特別な最強どん兵衛を頂いた後、先ほど奥様たちを待っている間に思いついた考えを

提案してみる。それはここから更に先を歩くと、京柱峠から弘瀬山の稜線に繋がる。

その線が繋がると、ここから剣山まで一気に繋がり、そこから今度は北側の丸笹山・

塔ノ丸そして黒笠山・矢筈山・寒峰と繋がればぐるっと周回が線で繋がる。

それを奥様たちに説明すると、『いい、いいですね!』と快諾を頂いた。

題して『ぐるりん祖谷と剣の峰々』。どこかで聞いた事のあるようなキャッチだが、

それはそれで置いといて、また一つ目標ができた。

それがこのコース



寒峰方面のルートを確認する



山頂からしばらくは尾根を下って行く。すると突然林道に出た。『これは・・・!』

山頂手前で北側に続いていた林道だ。そしてもうひとつと思い出したのは、たしか

京柱峠から弘瀬山・三方山を歩いた時に、弘瀬山の手前でも尾根から林道に飛び出した。

ひょっとしたら同じ林道?と脳裏をよぎった。







未舗装の林道は尾根の南側を無理やり削ったような形で造られ、その削られた

斜面からは大小さまざまな形の落石が道の上に転がっていた。







その林道が尾根の北側に回り込むと、今度は雪が現れた。日中の温度で溶けては

朝の冷え込みで凍った雪はザラザラで、油断すると壺足で踏み抜いてしまう。

壺足でガクンと体制を崩すとルリちゃんが、『気を付けてよ腰が悪いんやから!』と。

『ハイ・ハイ奥様!』。時々凝りが酷くなるがここの所はガラスの腰も幾分か調子がいい。










残雪を通り過ぎると見覚えのある場所に出た。広場になった場所には前回来た時には

伐採された木が積み上げられていた。それを奥様たちに言うと全く記憶にないという。

ここから少し林道を歩いて弘瀬山の尾根へと取り付いたのも憶えていない。

まあ林道歩きになると途端にお二人は朝ドラの話になり、話に夢中になって

憶えていないのもやむ無しか~。いやいやそれではイカンので、これから厳しく

指導していこう!(なんてね)




ここで剣山系への線が繋がったところで折り返して行く。

途中からは朝に比べて霞んだ空が随分とクリアになってた。京柱峠の北にあった

放牧場跡や京柱峠、そして土佐矢筈山と綱附森の笹原もはっきりと見える。











帰りは阿佐尻山山頂には行かずに林道をそのまま歩いて行く。すると日の当たらない

場所にさらにたくさん雪が残っていた。奥様たちは今日は朝ドラの話ではなく、

わけぎの料理の話に夢中になっている。しかも雪の上で立ち止まり酢味噌和えの話をしている。







そして林道が尾根の南側に回り込むと、周りの山々がやはり随分とキレイに見えている。

気温は上がっているが強い南風の影響か、黄砂も流れてしまったのか?

そんな周りの景色を他所に、奥様たちはまた次の料理の話が始まった。











林道がコンクリートのヘヤピンカーブになった場所から尾根へと取り付く。

直ぐにある2番目の群生地では朝よりさらに花が開いているように見えた。

反り返った花弁が中心部に光を集め輝いている。冬の長い間暗い地中で過ごし、

春の陽気と共に思い切り花を広げて短い春を謳歌している健気な花だ。











足元の悪い岩尾根を過ぎ1168mの標高点は北に巻いて下って行く。
















大規模伐採地でも朝の景色がウソのように牛の背が綺麗に見えた。

まだ黄色く色づく前のミツマタの白い色の奥に、わずかに残る牛の背の残雪の白。













電波塔まで緩やかだった尾根から最後急坂を下って行く。前の二人が『こんなに

急だったかな?』と言いながら注意深く下っている。山頂で『今日どこに急登が

あった?』と言っていたのはルリちゃんだったのに・・・・・。




















急坂が終わり杉林を抜け、最初にあった山神さんだろうか、小さな祠に一礼して

舗装路に飛び出した。道路から見える集落には新しそうな車が停まっているのが

見えるので、まだこの栂峰集落に人は住んでいるようだ。

長い冬が終わり雪が融ける春を待ちわびたのは福寿草だけではなく、山深くに住まう

この辺りの人達も同じだろう。そんな人たちの生活に思いを馳せながら堀切峠を後にした。








坂本のひな祭りと稼勢山と樋口山

2023年03月09日 | 四国の山


『線で繋ぐ引田鼻灯台~讃岐三崎灯台』もいよいよ終盤に差し掛かったところで

お山はそろそろ花の季節になってきた。ネット上でもそんな花を写した写真が

アップされ始めたが、その中で目を引いたのが花の写真ではなく、REIKOさんが

アップしていた勝浦町坂本のひな祭りの写真だった。

坂本八幡神社の石段に並べられたお雛様。町家の軒先に飾れられたひな人形。

これは奥様たちにも見て欲しいと連絡したら、丁度あっちゃんがテレビで、

同じ勝浦町で催されているビックひな祭りの放映を見た直後で、是非一緒に見て

みたいと折り返しがあった。


以前はよく西三子山の福寿草を見に出かけていた頃は、帰りにビックひな祭りを

見学して帰っていたが、坂本のひな祭りは初めて。

そして開通して間もない徳島南部自動車道を走るのも初めて。以前だと一旦

高速を降りて徳島市内を走るので時間帯によっては渋滞していたが、この

自動車道のお陰でその心配がなくなった。

その自動車道の終点となる津田町で降りて勝浦川に沿って県道16号線を進んで行く。

山犬嶽高丸山に出かける時も通っていた道で、坂本と書かれた標識は目にしていたが、

その標識から北に山手の集落へと登って行く。閉校した坂本小学校を利用した

ふれあいの里さかもとに車を停めて準備をしていると、『私、ランチの予約して

くるから戻ってくるのは何時位になる?』とあっちゃん。

『13時までには戻って来られるかな』と答えると、さっそく校舎の中へ入って行き

『ランチ、予約してきたわよ!』と言って戻って来た。











支度を整え坂本の旧街道を歩いて行くと、それぞれの家の軒先にお雛様が飾られている。

その一つひとつを見ながらルリちゃんもあっちゃんも感心している。







途中に『かせ山』と書かれた道標からコンクリートの坂を登って行く。




民家の脇を通り竹林を抜けるとまたアスファルトの道に出た。その道に沿って

歩いて行くと、今度は分岐分岐で『かせ山トレッキングコース』と書かれた矢印の

案内板があった。雲一つない青空に気温も体温も上がり、今日も長袖の下着を

着てきたので、歩き始めて直ぐに暑くなってきた。額からは汗がボタボタと落ちる。











案内板に沿って作業道を進んで行く。作業道は分岐が多く、この案内板がなければ

まず道が分からず迷ってしまうだろう。








途中では坂本の集落が山裾からかなり上の方まで続いているのが見えた。山の斜面は

杉が植えられているのだろう、茶色く変色した山肌になっている。コンクリート道から

地道になると途端に道が荒れて来た。倒木を跨ぎロープを掴んでの乗越すとまた

舗装路に出た。ここまでの道は地形図には全く載っていなくてまるで迷路の様だ。










舗装路からは地形図でまっすぐ破線が続いているが、実際は何度か右に左にと

折れながら登って行く。

けっこう登って来たところで突然墓地が現れた。集落近くでなくて何でこんな上に?

ここからの作業道には杉の枝葉や種が道を覆いつくしていて、ほとんど使われていない。

と思っていたら軽トラックが一台停まっていた。近づくとそのトラックを停めた場所から

少し下の杉林の中で、枝打ちをしているおじさんがいた。










その作業を横目に見ながら杉林の中を歩いて行くと、トレッキングコースの案内板と

錆びて判読できないもう一つの案内板。トレッキングコースの案内板は左に。錆びた

案内板は尾根へと誘導している。矢印に沿って左に進むとまた道は荒れてきた。

枯れ落ちた枝葉で歩きづらかった道は、山側から落ちて来た石で更にガタガタの道になる。











尾根の北側を回り込むようにして少しづつ高度を上げて行くと、まだ真新しく折れた

木が道を塞いでいる場所もあった。不安定な倒木の枝に乗っかり平均台の様にして

乗り越えたが、奥様たちは安全を取って倒木を避けて下に降りて歩いてきた。









その倒木を過ぎても何ヵ所も道を塞ぐ木が多く、跨いだり潜ったりとまるで障害物競走の様相。

これだけ倒木が多いのは台風とかの影響だけでなく、斜面の地盤がもともと柔らかいのだろう。

















トラバース道の途中で一ヵ所だけ北に開けた場所があった。そこからは稜線に並んだ

白い風力発電の羽がゆっくり回っているのが見えた。大川原高原の稜線だろう。

道は相変わらず石がゴロゴロしていて歩きづらい。枯れた杉の葉の上に真っ赤な

椿の落花が一輪。周りを見て見ると椿の木が何本かあった。

『ここの椿の幹は何だか細いわね』とルリちゃん。










トラバース道から最後少し急な坂を登ると、お大師の峠と言われる稼勢峠に着いた。

ここから南に稼勢の集落(集落跡?)へと道が続いている。














峠からは東に尾根を進んで行く。緑のネットに沿って急登が続く。

その急登を登りきったら稼勢山かと思ったら、山頂はまだ先だった。







露岩の尾根や奇木を見ながら二回程アップダウンをして、最後の坂を登ると山頂に着いた。

山頂には三等三角点 坂本 501.4m。あら?山名標は鹿背山になっている。

ここで行動食を口する。『ふれあいの里には何時に着くかな~!』とあっちゃんが

聞いてきた。下山の時間というよりはお昼のランチで予約した時間が間に合うのかを

気にしているようだ。そう言いながらおにぎりと魚肉ソーセージを頬張っている。












お腹を少し満たした後、元来た道を戻って行く。峠からの尾根道は意外と急な

アップダウンが続いている。












露岩の場所には往きには気づかなかったがロープも掛かっていた。








稼勢の集落のものなのか今は使われていないだろう共同アンテナがあったのも

先には気づかなかった。





稼勢峠まで戻り更に西に尾根を辿っていくと夷神社跡に着いた。平場の石積みと

その上に石積みに囲まれた祠が残る神社跡だった。夷と書いてえびすと読むらしいが

勝浦町沼江にある生夷神社と関係があるのだろうか?














地形図ではこの夷神社跡から更に西に鳥居の記号がついている。『取りあえずそこまで

行ってみましょう!』と声を掛けて進んで行くと、鞍部になった鳥居の記号の場所には

何もなく、さらに先のピークに小さな石仏と稼勢山530mと書かれた山名標があった。

先程の三角点のあったピークよりこちらの方が高いと言う事は、こちらが稼勢山なのかな?








神社跡の手前にトラバース道へ下る分岐があったが、奥様たちに『さてさて戻って

分岐から下ります。それともこのまま尾根を行きます?』と問いかけると、『このまま

尾根を下りましょう!』と返事が返ってきた。道があるかどうかも分からないが、

地形図を見て尾根を辿れば往路に出られると奥様たちも判断したのだろう。

地形図の見方もレベルアップしたもんだと感心する。










石仏のあった場所から次のピークの場所で東と北に尾根は分かれ派生している。

地形図では北に向かって広尾根を下ると往路に出る。ピークからは道らしく

なってきたが、杉林の中になると道が不明瞭になってくる。それでも薄い踏み跡を

辿り落ち葉と松葉に足を滑らせながら下って行く。
















すると往路でトラバース道と尾根との分岐になった場所に出た。錆びた鉄板の道標が

文字は判読できないが尾根に向かっての矢印になっている。







杉林の中を歩いて行くと先ほど枝打ちをしていた男性が、軽トラックの中でお弁当を

食べていた。男性の年齢からして枝打ちをしても、この辺りの木を伐りだすことが

あるのだろうか、なんてあっちゃんと話をする。杉林を抜けるとまたコンクリートの

道になる。朝とは逆に今度は分岐を右に右にと進んで行く。











12時30分、旧街道に出た。ふれあいの里のランチを予約した13時には

どうやら間に合いそうだ。








朝のスタート時点では人気のなかった八幡神社は、けっこうな人が訪れていた。

そのせいで石段のひな人形に人が写らないように写真を撮るのが一苦労だった。

今年のテーマは『ハート』だそうだが、本殿の石段の前にはハート型の芽の輪くぐりが

造られていた。真っ赤な毛氈の上に並べられたお雛様に色とりどりの吊るし飾りが

なお一層目をひく。











あちらこちらの木には可愛らしい『さるぼぼ』がいる。







今風らしく写真スポットも用意されて、ひな祭りを盛り上げている。

お目当ての八幡神社の境内をゆっくりと回ると丁度ランチを予約した時間になった。







旧小学校の教室がランチの会場になっていたが、ほぼほぼ女性ばかり。しかもけっこう

年齢の高い人達だ。おそらくそのご主人も仕事はしていないだろう女性たちだが、

夫婦で来ている人はひと組もなく、女性達だけで賑やかに話をしながらランチを

食べている。『夫元気で留守がいい』。その間に奥様は優雅にランチ。

引退後の自分の姿を見るようで何だか寂しくなった。

席に着いてから少し時間がかかったが地、元の食材を使ったランチは美味しく頂けた。





ランチの後はここまでせっかく来たのだからと、近くにあるYAMAPのポイントに

なっている樋口山を登ることにした。車で移動し正木トンネルの手前の路肩の広く

なった場所に車を停めて歩き始める。県道の歩道をトンネル方向に少し歩き、手前で

脇を登って行く林道が取付きになっていた。コンクリートの林道には杉の枝葉が

散乱していて普段からこの道を利用している様子は全くなかった。
















途中で先ほど登った稼勢山が意外と大きな山容に見えた。

その近くで道の脇にあった杉の木をストックで叩くと、雄花から真っ白な花粉が飛んだ!

ひえ~これが花粉症の元凶か!!








林道のコンクリートが途切れた場所が終端のようだった。そこからは尾根を南東に

向かって歩いて行く。ここも稼勢山と同じように山頂と思った場所がニセピークで

山頂までまだ小刻みにアップダウンをしていく。














露岩の尾根を抜け、杉林の中を歩きスタートから40分弱で樋口山に着いた。

山頂は三等三角点 正木 372.35m 周りは木々に囲まれ眺望はほとんどなかった。











それでもYAMAPのポイントをゲットできたから、さっそく下って行く。
















車まで戻って今度は樋口山の西にある山河の里に寄り道。山河の里は個人のお宅。

ご夫婦でお庭の手入れをして、一般にも開放しているそうだ。今日はまだ

咲いている花は少なく、花壇に植えられている沢山のチューリップが咲くころには

もっといろいろな花が咲き賑わいを見せてくれるだろう。













手書きの案内板や石に書いた絵を見ると、お会いは出来なかったが、そのご夫婦の

人柄が感じられる。














山河の里のお庭を見た後は、あっちゃんご希望のビックひな祭りへ。

その途中で、REIKOさんお勧めの田舎寿司でお寿司を買い、

会場のある道の駅ひなの里へ。

入場料を払って中に入ると、目の前に巨大な雛壇。










男性にはほとんど興味のないひな人形だが、奥様たちはやはり女子?女の子?女性。

ひとつひとつの顔を見比べながら歩いている。

同じようにして見て回るが、私としてはこのお内裏様くらい顎の所がシュッとしたら

いいな~とくらいしか思い浮かばない。











そしてビックひな祭りの後はこれもREIKOさんお勧めの前松堂で和菓子のお買い物。

駐車場では満開の河津桜を見て、お雛様と花とお買い物の三拍子そろった一日が

終わり、奥様たちも大満足の一日となった。色々と教えてもらったREIKOさんに感謝です。











『線で繋ぐ引田鼻灯台~讃岐三崎灯台』 雨島峠~笠松山

2023年03月01日 | 香川の里山


今回の里山を線で繋ぐで懸案事項のひとつだった、尾瀬山から琴南間を無事繋ぐ

ことができ、今日の笠松山でいよいよ三豊市から高松市が繋がる事になる。




ただし前回、雨島の集落から雨島峠笠松山を往復しようと琴南側から雨島の

集落へと向かう途中で、ポーンと音がして一瞬でタイヤの空気が抜けていった。

路面に散らばっていた尖った石を踏んだのか、サイドカットで走行不能になった。

その日は修理に出していた代車で、トランクからスペアタイヤを取り出しタイヤ

交換をしようとするが、肝心のジャッキがトランクの中に見当たらない。

取説を見てみると座席の下に収納してあると書いていた。ジャッキアップして

スペアタイヤに交換して事なきを得たが、荒れた路面をこれ以上進むのが躊躇え、

しかもジャッキアップの時に持病の腰を痛めて歩けそうにないので、その日は

笠松山を諦め帰って来たと云う曰くつきの山なのだ。

故に今回は琴南側からのアプローチは止めて、塩江側からアプローチをする事にした。




塩江の道の駅に集合して、内場ダムから貝ノ股の集落へ県道154号線を走り、

途中から林道下切・貝ノ股線を北に向かって登って行く。道に点在する民家には

人気は無く、前回の雨島集落と同様にこの辺りも消滅集落となってしまっている。

また路面の状態は、尖った石が散乱していていい状態ではないので慎重に運転していくが

前回のバーストが頭をよぎる。ゆっくりゆっくりと運転していくと、

峠の手前には電波塔があり、そのフェンスの横に車を停めてスタートする。




車を停めた場所から北に少し歩いて行くとこの林道の峠に着く。峠には林道の

竣工を記念した石碑が建てられているが、そこには総延長距離と、事業費が

彫られていたが、その事業費は2億5千万となっている。この事業費が高いのか

安いのかはピンとこないが、貝ノ股側からは車が走っている痕跡は全くない。





その石碑の手前から左に作業道が続いている。作業道には轍が出来ているので、

北の下切側からは作業車がここまで来ているようだ。その作業道を進んでい行くと

尾根側に鉄塔があり、標示杭の番号が消えていたので、奥様たちが番号を確認しに

鉄塔まで行くと阿波幹線102番鉄塔だった。











鉄塔からさらに進んで行くと土場の様な広場に出た。広場の北隅から尾根への取付きになる。





広場からの取付きには、ほぼ土に埋もれかけた擬木の階段が続いていて、その階段に

沿って登って行くと右に展望所の様な感じで広くなった場所に出た。

木々がなければ北への眺望が広がっているはずだが、木々に遮られて眺望はない。

その広場の真ん中に沢山の文字を刻んだ石碑があった。表にはいろいろな神様の

名前が刻まれていて、何だかとってもご利益がありそうなので、手を合わせてお願いをする。










展望所跡らしき場所からは九十九折れの鉄塔保線路を登って行く。








九十九折れの道が終わると鉄塔広場に出た。前回学習したように手前側に(番号の

若い番号の鉄塔側)に銘板が掛かっている。







すっかり葉を落とした木々の間の尾根道には、明るい気持ちのいい朝の光が届いている。











途中にあった四等三角点 水ケ本 840.92m




竜王山を頂点として派生した支尾根になるこの尾根は登山道ではなく、踏み跡は薄い。

国土地理院の杭や時々ある赤テープに沿って歩いて行く。










何度か小さなピークを登って行くが、ピークでは踏み跡が薄いので道が判りづらく、

方角を間違えないようにちゃんと確認しながら歩いて行かないと、直ぐに間違えそうになる。








竜王山と雨島峠との三差路となる砥石山の手前では少し足元に笹が現れる。

尾根から少し広がった場所に出ると、ほとんど消えかかった山名札が掛かっていた。

地形図では標高点だけで山名など載っていないが、YAMAPでは砥石山となっている。

山名札も消えかかっているが砥石山と書いていあるような・・・・・?














それでも取りあえずはYAMAPの登頂した山の数にはなった。山名札の前から左に

道が続いている。『こちらが阿讃縦走路への道ですね』と三人で確認した後、何気に

別方向に下って行く。がしかし踏み跡はなくけっこうな傾斜の下り坂だ。

気になってGPS を見てみると、雨島峠への破線とは違う方向に下っている。

前を行く二人に声を掛け引き返す。




地形図をもう一度見てみると雨島峠へは砥石山から少し戻って破線が分れていた。

砥石山まで登り返しそのまま少し戻ると、林道からは尾根を歩いてきたがその下に

北に向かって道が続いていた。(右が尾根筋、左が雨島峠への道)




二又になって別れた支尾根は雨島峠へ、そして笠形山へと尾根が続いている。

道は最初はヒノキの林の中では明瞭だったが、自然林のなかになると途中で

少しだけ踏み跡が薄くなった場所もあった。

雨島峠の手前で105番鉄塔への保線路と合流する。










砥石山からは30分ほどで見覚えのある石仏が見守る雨島峠についた。西に笠形山。

東に行くと竜王山。北には戸石の集落、そして南に下ると雨島の集落への道になる。







雨島峠で三界萬霊の石仏に手を合わせ、来た道を戻って行く。尾根の北端に沿って

歩いて行くと、切れ落ちた尾根の下に阿波幹線の鉄塔と送電線が続いている。










道が少し不明瞭になると国土地理院の赤い杭を目印にして歩いて行く。










砥石山の手前では『こんな急坂下ったかな?』なんて言いながら急登を登って行く。







砥石山の手前で北への尾根に乗っかり、林道へと続く尾根道を下って行く。道の脇には

まだ少しだけ雪が残っていた。時折木々の間から大滝山への稜線が見える。














867mの標高点の辺りで11時を過ぎた。そろそろかなと思っていたら案の定、

あっちゃんが『お腹が空いた~~』と言い始めた。つられて私のお腹もグ~となった。

この辺でお昼にしませんか?と聞いてくるあっちゃんに、『いえ、車を停めた場所まで

戻ってお昼にします!』とここではリーダーらしく威厳を持って答える。

砥石山の手前に尾根に乗ってから35分ほどで作業道の土場に出た。ここでも

『日当たりが良いからここでお昼にしましょ』と言って直ぐに『いややっぱり

日当たりが強すぎるのも良くないので』とあっちゃん。『どっちやねん!』と突っ込む。








車を停めた場所まで戻ると、木々の間からそこそこ日差しがさしていた。

道の脇の側溝に足を落として腰掛けてお昼ご飯にする。ここ最近は山を下りて、

うどん屋さんでお昼ご飯にする事が多かったので、考えてみると久しぶりに

山の中でお湯を沸かす。食後はルリちゃんからはチョコレート、あっちゃからは

塩饅頭を頂いてコーヒーを飲みながらまったりと。








お昼ご飯の後、今度は先ほどと反対方向に笠松山へと向かう。林道の脇から東に

山の中へと分け入ると『笠松山・蛸山縦走口』と書かれた札が木の幹に掛けられていた。










その下には『尾根に上がる』と書いてある。保線路のはっきりとした道が右手に続いているが、

一応書いてある通りに尾根に向かって植栽地を登って行くと、これがなかなかの急登だった。










急登を登りきり木漏れ日の尾根をさらに登って行くと貝ノ股への分岐に着いた。

このピークから右手に進むと上貝ノ股の集落へと下りて行けるようだ。

















笠松山に続く稜線は南は緩やかで北側は急峻な尾根になっている。分岐から一旦下り

鞍部から笠松山に向かっては、地形図の等高線の見た目よりは急登が続いていた。














林道の取付きから笠松山は1.2kmほどの距離。40分ほどで山頂に着いた。

二等三角点 笠松山 834.3m ここ最近見かけなかった二等の標石が大きく見える。











記念撮影を済ませたら、さてさて林道まで戻りましょうか。今まで一方向での往復を

したことは何度もあったが、今日は初めてだろうか2方向への往復になった。













今日は満点の眺望はなく、ほとんどが木々の間から見えるだけで、はっきりとは

山座同定は出来ないが、途中で大麻山善通寺五岳らしき峰々が見えた。





山頂から一旦下り緩やかに登って行く途中で、最初の急登の手前の鞍部に着いた。

植林地の中のあの急登を今度は下って行くのに、膝痛の事が頭をよぎった。

すると左手にそのピークを巻くように続く保線路が見えた。

急登の手前の案内札には『尾根を登る』と書いていたが、何のことはないあんな

急登を登らずともこの保線路を辿れば無理せず笠松山への道と合流できる。










復路は30分ほどで車を停めた林道に着いた。ザックを降ろし靴を履き替えようと

したら、あっちゃんが『KAZASHIさん、これパンクしているんと違うん!』と。

指さすタイヤを見てみると確かにタイヤの下端がペッちゃんこだ。

『なんてこった!』

前回の雨島集落でのパンクを踏まえて、反対側の塩江側からアプローチしたのに

またパンクするなんて。ほとほとこの笠松山には嫌われいるのだろうか。とは言いながら

恐らくもう二度と来ることはないだろうから、前回の様に登山口に向かう途中でなく、

山から降りてきて気づいたのがまだマシだった。

前回は修理中の車の代車だったのでスペアタイヤの交換となったが、修理から戻って

きた自身の車にはスペアタイヤは積んでいなくて、パンク修理のキットが載っていた。

初めての体験に車から取説を取り出して三人でその取説を見ながら、あ~でもない、

こ~でもないと言いながら何とか空気を入れることができた。

まずはバブルコアを押してタイヤの空気を抜いた後、修理剤を入れる



車内のソケットから電源をとり、コンプレッサーで空気を入れる。


適正圧になるまで確認する。


10分ほど経っても圧が上がらない場合は、修理は無理との事(穴が大きい等)




修理を終えて奥様たちは、前回のジャッキアップしてのタイヤ交換も経験して、

『これでタイヤのアクシデントは大抵大丈夫ね!』と宣う。

帰りはパンクした道を戻るのが躊躇われ、峠を越えて北に林道を降りて行く。

林道下切・貝ノ股線から林道塩江琴南線を通って内場ダムへの降りて行く。

雨島集落でのパンク。そしてその次は柞野から琴南の途中で上着を落とし無くして

二回目のアクシデント。二度あることは三度あるがなければいいけどな~と思っていたら、

今回のパンクでここ最近の三度目のアクシデント。これでもう何も起こらない事を

祈って家路に着いた。